2020年07月03日
横須賀綺譚
監督・脚本:大塚信一
撮影:飯岡聖英
出演:小林竜樹(戸田春樹)、しじみ(薮内知華子)、川瀬陽太(川島拓)、長内美那子(静)、湯舟すぴか(絵里)、長屋和彰(梅田)、烏丸せつこ(陽子)
2008年、東京で結婚目前だった春樹と知華子。知華子の父親が要介護になったため、故郷に戻ることになった。
春樹は証券会社に勤めて多忙な生活をおくっており、知華子との生活ではなく東京で仕事を続ける方を選んだのだ。婚約を解消した知華子は友人の絵里と荷物をまとめる。本当に別れるのかと聞く絵里に「いい人だけど、薄情なの」と言って、家を出ていった。
それから9年後。春樹は震災で亡くなったはずの知華子が生きているかもしれない、と絵里から知らされた。春樹は 半信半疑のまま、知華子がいるという横須賀へと向かう。
小説家を目指していた知華子は夥しい数の本を持っていて、最初のシーンでカメラの前に本の山ができます。家を出た後大きな本棚は空っぽになりました。証券マンの春樹は本を持たない人のようです。どんな含みがあるのかなと思った始まりでした。
2011年3月の東日本大震災から今年で9年になります。地震の後にやってきた津波で、太平洋沿岸の地域は大きな被害を受けました。濁流に飲み込まれていく映像を声も出せずに見つめました。さらに追い打ちをかけた福島第1原発のメルトダウン、目に見えない放射能が住人から故郷を取り上げました。辛くて忘れたい人も、だからこそ忘れまいとする人も、日が経つにつれて記憶は薄れていきます。あの惨禍が遠いできごとであった人はなおさらです。
大塚監督は初めて世に送り出す映画の中に「あったことはなかったことにできない」という台詞を入れました。戦中戦後を生き抜いた静(しずか)さんが「忘れるもんか!」と叫ぶ声も耳に残ります。
マスク着用での大塚監督インタビューをいたしました。ただいま書き起こし中。少しお待ちくださいませ。(白)
☆インタビュー記事掲載しました。こちらです。
2019年/日本/カラー/シネスコ/86分
配給:MAP+Cinemago
(C)横須賀綺譚 shinichi Otsuka
https://www.yokosukakitan.com/
★2020年7月11日(土)より新宿K'Sシネマほか順次公開
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください