2020年06月20日
水曜日が消えた
監督・脚本・VFX:吉野耕平
音楽:林祐介
製作:沢桂一、新井重人
出演:中村倫也、石橋菜津美、中島歩、休日課長、深川麻衣、きたろう
幼少期の交通事故が原因で、曜日ごとに7人の人格が入れ替わる青年は、思考や性格はバラバラだが、各曜日の名前で呼び合いながら平穏な毎日を過ごしていた。その中でも地味な火曜日(中村倫也)は、ほかの曜日から家の掃除、荷物の受け取り、通院といった面倒な用事を押し付けられていた。ある日の朝、目を覚ました火曜日が水曜日がいなくなっていることに気づく。火曜日は、見慣れないテレビ番組などに戸惑いながらも水曜日を満喫する。
以前からカメレオンのように役の表情を変える俳優だと評価していたが本作に於ける中村倫也は凄い!1人7役だけでも想像を絶する難関なのに、7人の中で最も個性が薄く地味な「火曜日」を主人公とした難役を熟すのだ。
「水曜日」がいなくなったことで、「火曜日」は初めて「水曜日」の世界を体験する。その新鮮さと喜びと混沌…。複雑な心情を汗をかく熱演ではなく軽やかに演じ分ける中村倫也は絶品だ。
名演を引き出した監督の吉野耕平は、CMやMVなどで高評価を得てきた実績のある人だけに、デビュー作にしては編集のテンポがよく、丁寧な絵造りが美しい。
吉野監督が自ら手掛けた主題歌「Alba」(須田景凪)のMVにも卓抜な映像センスがうかがわれる。本編と併せて観ると監督の描こうとしていた世界が理解でき、興味深いだろう。(幸)
中村倫也が7曜日分の人格を演じ分けるのが見どころだと思って見ると、拍子抜けするかもしれません。基本的には火曜日の僕で話は展開します。
少年時代の事故はなぜ起きたのか。いつも助けてくれる幼馴染みの女性は何を知っているのか。定期的に通う病院は意味があるのか。分からないことばかりの物語はとってもミステリアス。その中でいちばん地味といわれる火曜日を中村倫也が演じることで、物語にほわっとした温かみを残しました。
すべてがわかった上で火曜日が選択した未来は意外性たっぷりですが、それもありかなと思えるのも中村倫也がなせる業。自粛期間中に始めたYouTube「中村さんちの自宅から」はまだ更新が続き、秋には主演作『人数の町』が控え、その後も出演作が上映される予定。しばらく目が離せそうにありません。(堀)
2020年製作/104分/G/日本
配給:日活
(C) 2020『水曜日が消えた』製作委員会
公式サイト:http://wednesday-movie.jp/
★6月19日より全国公開★
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