2020年06月13日

15年後のラブソング(原題:JULIET, NAKED)

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監督:ジェシー・ペレッツ
原作:ニック・ホーンビィ
音楽:ネイサン・ラーソン
出演:ローズ・バーン(アニー・プラット)、イーサン・ホーク(タッカー・クロウ)、クリス・オダウド(ダンカン・トンプソン)、アジー・ロバートソン(ジャクソン)

イギリスの港町サンドクリフに住むアニーは30代半ば。博物館に勤めて恋人もいるが、最近モヤモヤが収まらない。長年付き合っている恋人のダンカンはタッカー・クロウというロックミュージシャンの大ファン。タッカーはとっくに表舞台から姿を消し、今や伝説と化している。ダンカンはタッカーに心酔、地下室に聖堂と称したコレクションルームを作り、同じような輩と盛り上がるファンサイトも運営している。日頃執着が過ぎるとイラついていたアニーはダンカンと口論した挙句、そのサイトにタッカーの曲を酷評したコメントをしてしまった。そして、タッカー本人からアニーへ1通のメールが届いた。

地方の街でアラフォーになりつつあるアニー。別れるでも結婚するでもない、腐れ縁の彼氏ダンカンと15年も付き合っています。彼が崇め奉っているミュージシャンの悪口を書いてしまう気持ちもわからないではありません。その本人からメールが届くという展開にびっくりです。やりとりをダンカンには言えないままのアニー。
原作のニック・ホーンビィは人気作家で、日本でも『アバウト・ア・ボーイ』などの翻訳本が出ています。映画化された作品も多く、どれもいい感じに仕上がっています。
いつのまにかこの年になっちゃった3人、それぞれが良い味です。アニーを『ピーター・ラビット』のローズ・バーン。華々しいというよりマニア受けしていたタッカーを、イーサン・ホーク。タッカーはわけあって舞台から降りてしまい、今や決まった仕事もなくアメリカの片田舎で元妻の家の”ガレージ”で居候というていたらく。ぐだぐだなイーサン・ホークもなんだか憎めず、面倒見てやりたくなってしまいます(映画の中ならね)。今回も歌が聞けます。
タッカーおたくなダンカンはクリス・オダウド。この人を見ると渋川清彦さんが浮かびます。おたくっぷりが痛いやらほほえましいやら。
そんな二人の間でアラフォー目前のアニーの人生は変わるのか?大人になれない男としっかり者の女、というのはよくある組み合わせですが、このアニーちょっと気づくの遅すぎ。自由で辛辣な妹の言葉に賛成してしまいます。ゆるめのラブコメ好きな方どうぞ~。(白)


原作はニック・ホーンヴィ。ほかにも映画化された作品があり、コリン・ファース主演の『ぼくのプレミアライフ フィーバーピッチ』(1997)やヒュー・グラント主演の『アバウト・ア・ボーイ』といったように、大人になり切れない男性を主人公にしたものが多いです。今回もイーサン・ホークが演じたタッカーは伝説のロッカーですが、大人になり切れていない。イーサン・ホークが演じるから、よけいにそう見えてしまうのかも。まさに適役。イーサン・ホークも「ニック・ホーンヴィの映画化作品をずっとやってみたかった」と言っているくらいなので、相性はいいのでしょう。本作でも、男としてはダメダメなのだが、母性本能をくすぐられて、なぜか許してしまいたくなってしまいます。いつものイーサン・ホークを堪能したい人にはうってつけの作品です。(堀)

2018年/アメリカ、イギリス/カラー/シネスコ/97分
配給:アルバトロス・フィルム
(C)2018 LAMF JN, Ltd. All rights reserved.
https://15-lovesong.com/
★2020年6月12日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
posted by shiraishi at 00:00| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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