監督・撮影:百崎満晴
プロデューサー:伊藤純
語り:長谷川勝彦
制作著作:NHK
制作:NHKエンタープライズ
埼玉県秩父の山あいの村 楢尾集落。長くここで暮らしてきた小林ムツさんと夫の公一さんは、使われなくなった段々畑をひとつずつ閉じて山に還していく。これまでの感謝の気持ちを込めながら、花や木を丁寧に植える。その数1万本以上になった。自分たちがいなくなった後でも咲き続ける花を選んでいる。「いつか山にきた人が花が咲いているのを見たらどんなに嬉しかろう」と。2002年のテレビ番組が好評を博してシリーズとなり、このほど映画化された。
テレビ番組は見ていなかったので、この作品で初めてムツさんに会いました。なんとも可愛らしい声と笑顔のおばあちゃんです。小柄な身体でずいぶんな急斜面をひょいひょいと歩き、農作業を続けます。山とそこに生きる全てに愛情を注いでいるような人でした。夫の公一さんは言葉少ないですが、明るく屈託のないムツさんとお似合いのご夫婦です。黙々と苗木を植え、一休みできるようにとベンチを作り…高齢の二人にはいつしか別れのときが近づいていました。
観た後、自分の祖父母や両親の姿が浮かびました。真面目に働き、子や孫を育て、静かに人生の幕を閉じていきました(母はムツさんと同い年で元気です)。大きな仕事を成したり名を上げたりしなくとも、私にはかけがえのない人たちです。昔話をしてくれた声や手料理の美味しさを久しぶりに思い出しました。
楢尾集落は自分の故郷ではありませんが、なんだかもう一つ故郷を持てたような気がしました。いつか訪ねていってムツさんの花々に会いたいものです。百崎満晴監督と伊藤純プロデューサーにお話を伺いました。本誌に2p掲載済みです。取材ブログにも掲載しています。(白)
年をとって畑仕事を続けられなくなったと「花をさかせてふるさとを山に還したい」という心意気で耕さなくなった畑に花を植え続ける秩父のご夫婦の話。NHKが18年撮影を続けてきた映像を映画化したというのだけれど、このご夫婦の話として番組があったのかどうかはわからない。たぶん「小さな旅」とか、そういう番組で放映されていたのかな? 秩父という名前が出てくると番組を見ていたから、その中にこの夫婦の話もあったのかもしれない。この映画でムツさんたちが畑に花を植え続ける姿に涙がでました。
『ふたりの桃源郷』『人生フルーツ』とも通じるような作品だと思いました。
秩父へは何度も行っているのだけれどムツさんたちが住んでいた下久保ダム上流の秩父市吉田太田部地区というところは行ったことがないのですが、いつか機会があったらぜひ行ってみたいです。桜の花がきれいな4月初め頃がよさそうです(暁)。
☆テレビ番組「秩父山中 花のあとさき・最終章~ムツばあさんの歳月~」(NHK BS プレミアム/2019 年 5 月放送)が、このたび第 35 回農業ジャーナリスト賞を受賞しました。
2020 年/日本/112 分/16:9/カラー/ドキュメンタリー
©NHK
配給:NHKエンタープライズ、新日本映画社
宣伝配給協力:ウッキー・プロダクション
https://hana-ato.jp/
★2020年6月1日(月)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開
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