2020年03月29日

在りし日の歌 原題:地久天長

2020年4月3日 角川シネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマほか全国順次公開
劇場情報
在りし日の歌.jpg
(C)Dongchun Films Production

監督・製作・ 脚本:ワン・シャオシュアイ(王小帥)
脚本:アー・メイ
撮影:キム・ヒョンソク
音楽:ドン・インダー
キャスト
リウ・ヤオジュン:ワン・ジンチュン
ワン・リーユン:ヨン・メイ
リー・ハイイエン:アイ・リーヤー
シェン・モーリー:チー・シー
リウ・シン:ワン・ユエン
シェン・ハオ:ドゥー・ジャン
シェン・インミン:シュー・チョン
ガオ・メイユー:リー・ジンジン
チャン・シンジエン:チャオ・イエングオジャン

中国近代史の中、変貌し続ける社会の片隅
喜びも悲しみも分かち合い、時を重ねる夫婦の30年の物語

国有企業の工場に勤めるヤオジュンとリーユン夫婦は、ひとり息子のシンシンと中国の地方都市で幸せに暮らしていた。同じ工場の同僚であるインミンとハイイエン夫婦にも同じ年の同じ日に生まれた息子ハオがいて、二家族はお互いそれぞれの子の義理の父母としての契りを交わし、息子たちは兄弟のようにして育った。リーユンは第二子を妊娠するが「一人っ子政策」に反すると非難され堕胎させられてしまった。さらにリーユンはその手術時の事故で二度と妊娠できない身体になった。しかしヤオジュン、リーユン夫婦はシンシンを水難事故で亡くしてしまう。悲しみに暮れる二人は住み慣れた故郷を捨て、親しい友人たちとも距離を置き、誰も自分たちのことを知らない町へと移り住む。
改革開放後、一人っ子政策に縛られた1980年代、めざましい経済成長の1990年代、激動の2000年代、そして2010年代と、喜びと悲しみ、出会いと別れを繰り返しながら、共に生きていく夫婦の姿を映し出す。大きく変貌する社会の片隅で懸命に生きる人びとの姿を、優しい眼差しで静かに描き出した。
監督は『ルアンの歌』『北京の自転車』『我らが愛にゆれる時』で知られる中国第6世代のワン・シャオシュアイ(王小帥)。本作で3度目になるベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。
夫ヤオジュンを演じるのは『オルドス警察日記』(13)で第26回東京国際映画祭最優秀男優賞を受賞したワン・ジンチュン(王景春)。『薄氷の殺人』にも出演している。妻リーユンを演じたのは、『黒衣の刺客』『海洋天堂』のヨン・メイ(詠梅)。二人はこの作品で第69回ベルリン国際映画祭で最優秀男優賞と最優秀女優賞をダブル受賞した。また撮影を『冬の小鳥』『ポエトリー アグネスの詩』などで知られるキム・ヒョンソクが手がけている。
事故で亡くなった最愛の息子シンだが、養子に迎えたシンを演じたのはワン・ユエン(王源)。彼のバックボーンは描かれていないけど、彼もまた「一人っ子政策」の影響を受けたひとりでしょう。両親への感謝の想いとは裏腹に思春期を迎え反抗する16歳の複雑で繊細な心のゆらぎを見事に演じきった。その養子のシンを演じたワン・ユエンは、2013年に中国初の少年アイドルグループ「TFBOYS」でデビューしている。

『在りし日の歌』 メイキング映像 
https://youtu.be/cgUm5PWfyJ0

①ワン・ユエンくん.jpg
「TFBOYS」のメンバーと知られるワン・ユエン
(C)Dongchun Films Production

息子を亡くした大きな喪失感の中で生きている夫婦のさりげない日常を切り取りながら、大激動の中国近代史が描かれる。そして、壮大な中国の風景。川の情景と生活。生活の大きな変貌、街の変化までが描かれるが、人々の思いというのは、どこの国も同じなんだなあと思わせてくれる(暁)。

長い時間をかけて積み重ねてきた幸せが一瞬で壊れることがある。しかし、夫婦、家族で支え合えば、またきっと積み重ねていける。中国の歴史的変化を背景に見せながらも、核に描いたことはいつの時代も変わらない。私もこんな風な夫婦でありたいと思う。(堀)

公式サイト
2019年製作/185分/G/中国
配給:ビターズ・エンド
posted by akemi at 20:09| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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