2020年03月29日

グリーン・ライ エコの嘘(原題:The Green Lie)

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監督:ヴェルナー・ブーテ 
脚本:ヴェルナー・ブーテ、カトリン・ハートマン
出演:ヴェルナー・ブーテ、カトリン・ハートマン、ノーム・チョムスキー、ラージ・パテル、ヴィンセント・ハンネマン、ディーン・ブランチャード、スコット・ポーター、ソニア・グァジャジャラほか
制作:e&a film

スーパーで見かける「環境に優しい」商品。買うだけで野生動物や熱帯雨林が救えるというが本当だろうか?真実が知りたくなったブーテ監督は、世界一周航空券を買い、専門家と共に実態を探る旅に出発する。まず向かったのは、パーム油の生産量世界一のインドネシア。数日前まで熱帯雨林だったがパーム油農園を拡大するため、焼き尽くされた土地を訪れた監督は惨状に絶句する。どうすれば環境破壊をせずに済むのか?買わないことなのか?正しい消費の選択をすることなのか?

ブーテ監督と一緒に旅したのはジャーナリストでグリーンウォッシング専門家のカトリン・ハートマン。まず「グリーンウォッシング」とは何ぞや?と調べました(下記)。ハートマン女史は、いかにも「エコの仮面」をつけた嘘つき商品や会社を見つける仕事をしているようです。スーパーの棚に並んだあらゆる商品の裏のラベルを見ると(老眼には辛い)何が使われているかわかります。最近よく耳にする「サスティナビリティ=持続可能な」とついたパーム油の表示がたくさんありました。そこでインドネシアに向かいます。全体の8割がインドネシアとマレーシアで生産されているのです。
パーム油の生産は、かの国に労働と賃金をもたらした代わりに、多くの熱帯雨林が破壊されました。それは国だけでなく地球にとっても大変なのだとわかるのは後のこと。二人はさらに他の国を周り、企業の実態を調べ、解決方法はないかと学者を訪ねていきます。
私が10数年前にマレーシアに行ったとき、飛行機の窓から延々と******の連なる土地が見えて、何かと思えばそれがパーム椰子でした。上から見ると「*」なんです。
映画の中に「お金、お金、お金ばかり!」と吐き捨てる人が登場していました。あの「*」が「$」に見えた人も多かったのでしょう。今きっと後悔しているはず。(白)


この作品で初めてパーム油を知りました。そして、日本の食品表示では「植物油脂」と書くだけで「パーム油」と書く必要がないことも。「パーム油って聞いたことないから、私には関係ない」と初めは気楽に考えていましたが、きっとたくさんたくさん使っているのだと思います。しかし、パーム油を使っているかどうかは確かめる術はないらしい。困ったものです。しかし、この作品を見ることでパーム油の現状を知ったのだから、見てよかったと言えるでしょう。
また、パーム油以外のことに触れています。メキシコ湾の原油流出事故の際に、石油を掘削していたBP社は流出したオイルを除去する替わりに有毒な石油分散剤を使って海底に沈めました。これが非常に有毒な油塊(タールボール)として海岸に打ち上げられます。素手で触ると危険らしい。見た目だけで自己の責任を取ったと主張するBP社に企業としてのエゴを感じずにはいられません。(堀)


2018年/オーストリア/カラー/97分/
配給:ユナイテッドピープル 宣伝:スリーピン
©e&a film
http://unitedpeople.jp/greenlie/
★2020年3月28日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
※シアターイメージフォーラムは4月8日(水)から5月6日(水)は休館予定
劇場情報はこちらでご確認ください。
http://unitedpeople.jp/greenlie/scr

=wikiより=グリーンウォッシング(greenwashing)は、環境配慮をしているように装いごまかすこと、上辺だけの欺瞞(ぎまん)的な環境訴求を表す。 安価な”漆喰・上辺を取り繕う"という意味の英語「ホワイトウォッシング」とグリーン(環境に配慮した)とを合わせた造語。

*参考*
サステナビリティ・ESG(環境・社会・ガバナンス)投資のニュースサイト
「サステナビリティジャパン」はこちら

サステナビリティはよく聞く言葉「ロハス」の「ス」です。健康と「持続可能な」社会に配慮したライフスタイルを意味する造語。
英語の頭をとったものです。
ロ (Lo)=Lifestyle of、ハ(Ha)=Health and、ス (S)=Sustainability

posted by shiraishi at 19:41| Comment(0) | オーストリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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