2020年06月14日

エジソンズ・ゲーム 原題:The Current War: Director’s Cut

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監督:アルフォンソ・ゴメス=レホン
製作総指揮:マーティン・スコセッシ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、マイケル・シャノン、トム・ホランド、ニコラス・ホルト

19世紀のアメリカ。白熱電球を事業化した発明家のトーマス・エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)は、大規模な送電には直流が適していると考えていた。だが実業家のジョージ・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)は、交流の方が安価で遠くまで電気を送れるとして、交流式送電の実演会を開いて成功させる。それを知ったエジソンは、世論を誘導しようとする。

当初、ワインスタイン・カンパニーの作品としてトロント国際映画祭でj上映されるも、創業者のハーヴェイ・ワインスタインがセクハラ訴訟で失脚。製作会社が破産に追い込まれ、公開延期となっていた曰く付きの作品だ。製作総指揮を務めるマーティン・スコセッシが撮り直しや再編集を敢行するなど、アルフォンソ・ゴメス=レホン(TVシリーズ「glee/グリー」などを演出)の監督ながら、スコセッシの”光と影”が濃厚に感じられる活力に溢れた秀作である。

映画の内容も、まさに”光”を追い求める男たちの思惑や戦略、電流戦争による人生の毀誉褒貶が描かれる。そこには敗者としての”影”が宿っていることも映画は忘れない。19世紀シカゴ万博における眩い光が表象するように、本作の映像美は圧巻だ。電気が世界を照らす。国際基準を得た者だけが獲得し得る栄光と光芒をカメラは澱みなく映し出す。

流麗な音楽、19世紀を再現した質感ある衣装と意匠。細部のディテールに凝った映画だけが持つ重厚感が隅々に満ちている。が、一番の貢献は俳優陣だろう。米国の話にも関わらず、エジソン役にベネディクト・カンバーバッチ、その秘書にはトム・ホランド、ニコラス・ホルトのニコラ・テスラ役というように、マイケル・シャノン以外の殆どのキャストは女優陣に至るまで英国勢なのだ。
カンバーバッチはエジソンが持つ傲慢さと狂気を、トム・ホランドは若い助手としての焦燥を巧みに演じる。極めつけは天才ニコラ・テスラに扮するニコラス・ホルトだ。テスラの持つ気品と才気、悲劇的な末路まで予兆させる難役を短い出番ながら観客の心に焼き付かせた。英国名優陣を堪能する映画でもある。

ライバルを追い落とすためには手段を選ばぬネガティブキャンペーン、裏取引…。ビジネスバトルは現代にも通ずる普遍性を呈した内容である。今年の必見作となろう。(幸)


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配給:KADOKAWA
製作/アメリカ/2019/108分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
(C)2019 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.
公式サイト:https://edisons-game.jp/sp/index.html
★TOHOシネマズ日比谷ほかにて6月19日(金)公開★
posted by yukie at 07:26| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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