時の行路
監督:神山征二郎
原作:田島一「時の行路」(新日本出版社刊)
脚本:土屋保文 神山征二郎
撮影:加藤雄大
音楽:池辺晋一郎
ナレーション:日色ともゑ
出演:石黒賢(五味洋介)、中山忍(五味夏美)、松尾潤(涼一)、村田さくら(綾香)、渡辺大、安藤一夫、綿引勝彦
青森の八戸でリストラにあった五味洋介は、静夫かの大手自動車メーカーに旋盤工として働いている。派遣社員であったが確かな技術を持つベテランとして会社から信頼され、家族がまた一緒に暮らせる日を夢見て仕事に励んでいた。
しかしリーマンショックによる影響は静夫の職場にも及び、非正規労働者の「大量首切り」により職場を追い出されてしまう。洋介は理不尽な仕打ちに屈せず、労働組合に入って立ち上がるが、洋介や妻たち、支援の人々の願いは届かない。
神山征二郎(こうやませいじろう)監督の30本目の作品です。長く取り組んでこられた作品がようやく公開となりました。
非正規労働者が、会社からの突然の解雇に抵抗して労働組合活動に打ち込み、裁判に持ち込む物語です。利潤追求が第一の大企業は、景気の良いときに正規社員より安い賃金で済む非正規労働者を大量に採用してきました。都合が悪くなれば、真っ先に行うのが「派遣切り」です。古く遠い話ではありません。今、コロナウィルスで職場が休みになり、その分無給となる人。急に休校となった小中学生の子どものために家にいれば、やはり無給となって生活に響くのがその非正規雇用の人たちです。
真面目で地味な社会派映画は、エンタメ作品と違って楽しませてくれないかもしれません。でも真面目にコツコツと働いてきた人たちが相応の暮らしができるように、安心して子どもを育てられるように闘ってきた人たち、支えてきた家族の想いが受け取れます。その中に希望の種があるはずです。
同名原作の後、「続・時の行路」「争議生活者―『時の行路』完結編」が出版されています。(白)
2019年/日本/カラー/シネスコ/111分
配給:「時の行路」映画製作・上映有限責任事業組合
http://www.tokinokouro.kyodo-eiga.co.jp/
★2020年3月14日(土)池袋シネマロサほか全国順次公開
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