2020年02月02日

37セカンズ

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監督・脚本:HIKARI
出演:佳山明(貴田ユマ)、神野三鈴(貴田恭子)、大東駿介(俊哉)、渡辺真起子(舞)、熊篠慶彦(クマ)、萩原みのり(サヤカ)、芋生悠(ユカ)、渋川清彦、宇野祥平、奥野瑛太、板谷由夏(編集長)、尾美としのり

ユマは生まれた時、息をしていなかった。息をするまで37秒かかり、それが原因で脳性麻痺となった。下半身が動かないユマはずっと母に面倒を見てもらいながら車椅子の生活をしている。父の思い出はかすかにしかない。
漫画家の友人のゴーストライターをしていくらか収入を得ているが、いつかは影に隠れず自分の名前で漫画を発表したい。すでに23才の大人なのに、いまだに過干渉な母親からの自立も考えている。その実現の第1歩にと、アダルトコミックの募集広告を見て出版社に持ち込みをしてみた。ユマの原稿を見てくれた編集長は、ユマの漫画にはリアルな描写が欠けていると指摘する。性体験のないユマは、思い切って歓楽街へ出かけてみる。

サンダンス映画祭とNHKが主宰する脚本ワークショップで日本代表に選ばれたHIKARI監督、初の長編作品です。主人公を演じている佳山明(かやまめい)さんはユマと同じ脳性麻痺で演技は未経験ですが、オーディションでユマ役に抜擢されました。小さな声で、押しも強くなさそうなのに、大胆な決断をする勇気と行動力のあるユマにぴったりの配役でした。彼女あっての物語だと感じていたら、元からあった脚本を佳山さんに出会ってから、彼女の体験に沿って3分の1も書き直したのだそうです。アメリカで映画製作を学んだHIKARI監督の粘り強い姿勢と、それに応えた俳優陣の熱演でみごたえのある作品が完成しました。
ユマが親友だと思っていたサヤカの身勝手さは噴飯ものでしたが、ユマが外に飛び出してから出会う人たちの魅力的なこと!俊哉のようなヘルパーがたくさんいたならどんなにいいだろう、クマさんご贔屓の舞さんの姉御っぷりが頼もしい、と保護者目線で見てしまいました。
どんなに大人になろうが、息子・娘はいつまでも母親には子どもです。それでも親ができることをし終えたら、独り立ちの時期には涙を飲んで送り出さなくては。息子・娘、ひいてはその子どもたちが幸せであることを願うばかりです。(白)


2019年/日本/カラー/シネスコ/115分
配給:エレファントハウス
(C)37Seconds filmpartners
http://37seconds.jp/
★2020年2月7日(金)より全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 14:15| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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