2020年01月31日
グッドライアー 偽りのゲーム 原題:THE GOOD LIAR
監督:ビル・コンドン
原作:ニコラス・サール
脚本:ジェフリー・ハッチャー
出演:ヘレン・ミレン、イアン・マッケラン、ラッセル・トベイ、ジム・カーター
ベテラン詐欺師のロイ(イアン・マッケラン)は、出会い系サイトで夫が他界して間もない資産家のベティ(ヘレン・ミレン)をターゲットに定める。ロイが全ての財産をだまし取ろうとひそかに準備を進める一方で、世間知らずのベティは彼に心を許していく。
美し過ぎる74歳(!)と恐るべき80歳!英国を代表する名優同士の競演である。これにジム・カーター(矍鑠とした71歳。「ダウントン・アビー」の執事)も絡み、騙し騙されを繰り広げた後、思わぬ展開が...ネタばれご法度作品のため印象を中心にご紹介したい。
出演者の平均年齢は高いとしても、決して老練な話法の映画ではない。編集のテンポ、リズムとも若々しい躍動に満ちている。
象徴するのはマッケランの闊達なウォーキング!長い手脚、広い歩幅、高齢者の摺り足とは真逆な運び。ビジネスバッグを後ろ手に持ったスーツ姿の何と粋なこと!
マッケランのアクションシーンは流れるように無駄のない一瞬の身体の動きだ。お見逃しなく。
対するヘレン・ミレンのエレガントな物腰。初対面で見せる恥じらんだ初々しい表情。カップを持つ仕草まで気品を滲ませる。高級オーデコロンの薫りが画面から漂ってきそうだ。
知性・教養があることをひけらかさず、お嬢さまのような無防備さも併せ持つ微妙な役柄にグラデーションをつけて演じるのはミレンならではの技量である。
鉄道局が特別許可したというロンドンの地下鉄。ピカデリー街にある書店、老舗帽子店や有名百貨店など、目眩くロンドンロケから某国へと移動するにしたがって映像は緊張感を帯びてゆく。
ビル・コンドン監督とマッケランは『ゴッド・アンド・モンスター』以降、『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』などタッグが多い。オープンゲイ同士ということもあってか、息ピッタリな様子が伝わってきた。
前2作品同様、諦観とブラックユーモア、切なさが幸福な融合を果たすコンドン特有の話法である。
配給:ワーナー・ブラザース映画
2019年製作/109分/G/アメリカ
C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/goodliar/
★2020年2月7日(金)より、全国公開★
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