2020年01月12日
ジョジョ・ラビット 原題:Jojo Rabbit
監督: タイカ・ワイティティ
出演:ローマン・グリフィン・デイビス、 タイカ・ワイティティ、スカーレット・ヨハンソン、 トーマシン・マッケンジー、サム・ロックウェル、レベル・ウィルソン
第二次世界大戦下のドイツ。
10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、今日から始まる青少年集団ヒトラーユーゲントの合宿を前に、空想の友人アドルフ(タイカ・ワイティティ)に「僕にはムリかも」と弱音を吐く。アドルフに、「ナチスへの忠誠心はピカイチだ」と励まされ、合宿に出かけていく。
合宿で待ち受けていたのは、戦いで片目を失ったクレンツェンドルフ大尉(サム・ロックウェル)や、教官のミス・ラーム(レベル・ウィルソン)。厳しい訓練が始まる。勇気を試すため、ウサギを殺せと命令されるが、心優しいジョジョは殺せない。教官から、2年間音信不通で脱走したと決めつけられている父親同様、臆病者だと馬鹿にされる。おまけに「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名まで付けられてしまう。
くじけてはいけないと、張り切って訓練に臨むが、ジョジョは手榴弾の投てきに失敗して大怪我を負う。それを知った母親ロージー(スカーレット・ヨハンソン)はユーゲントの事務局に乗り込み、怪我が治るまで身体に無理のない奉仕活動につかせるよう掛け合う。
帰宅したジョジョは、亡くなった姉インゲの部屋に隠し扉があって、ユダヤ人の少女エルサ(トーマシン・マッケンジー)を母が匿っているのを知る・・・
ユダヤ人の少女エルサに「通報したらお母さんも協力者として死刑よ」と言われるジョジョ。ヒトラーユーゲントでユダヤ人は下等だと教え込まれているジョジョは、ユダヤ人を壊滅するための本を書こうと思いつき、「ユダヤ人の秘密を教えてくれれば、ここにいてもいい」とエルサに提案します。エルサから毎日講義を受けるうち、ユダヤ人は下等な悪魔だという教えは間違っているのではないかと気づくジョジョ。年上のエルサに惹かれていく姿も、なんとも可愛いです。
監督は、本作の原作であるクリスティン・ ルーネンズ著「Caging Skies」を母親から薦められ、大人たちによって憎悪を吹き込まれたドイツ人少年の目を通して物語が語られることに魅了されたそうです。
ニュージーランド生まれのタイカ・ワイティティ監督は、なんと、マオリ系ユダヤ人! 母親がユダヤ人で、父親がマオリ人ということから偏見にさらされて育った思いも、作品に込められています。また、祖父が第二次世界大戦でナチスと戦ったこともあり、この時代のことにも興味があったとのこと。
監督自身で、ジョジョの空想の友人アドルフ・ヒトラーを演じているのですが、ちょび髭姿は、まさにヒトラーそのもの。ユーモアのセンスも抜群です。
悲しい物語なのに、くすっと笑わせてもくれる素敵な1作です。(咲)
この作品は何と言っても主人公のジョジョを演じたローマン・グリフィン・デイビスがかわいくてたまらない! ジョジョは入隊するヒトラーユーゲントというナチスの青少年組織では体格的にも精神的にも他の子どもたちより圧倒的に幼いのですが、それでも必死にがんばろうとする健気さがローマンの全身から溢れ出ていて、ぎゅ~っと抱きしめて頬ずりしたくなるほどです。そんなジョジョが自宅で匿われていたユダヤ人の少女と出会い、信じていたことが少しずつ崩壊していくことに戸惑いながらも成長していく。母性本能がかき乱されること必至です。
そして、ヒトラーユーゲントで教官を務めるクレツェンドルフ大尉役のサム・ロックウェルがまたいい。クレツェンドルフ大尉は名誉の負傷で片目を失い、戦線を外されて教官になったのですが、あからさまに不満を表す嫌な奴。ところが物語が展開していくうちに、ジョジョのことを気に掛けていることが分かってきます。そして最後には思いっきり漢気を感じさせる行動に出る。そんな複雑な役どころにコミカルさを加えて演じられるのはサム・ロックウェルだからこそではないでしょうか。
スカーレット・ヨハンソンは絶対的に息子を守ろうとする強さと、父親の不在を息子に感じさせない優しさを内包する母親を魅力的に演じています。スカーレット・ヨハンソンも母親役がすっかり板についてきました。
ユダヤ人の少女を演じたトーマシン・マッケンジーはこの作品で初めて知りましたが、凛としていて、ユダヤ人であることの矜持を感じさせてくれました。女優として、今後が非常に楽しみです。(堀)
2019年/アメリカ/109分/G
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/jojorabbit/
★2020年1月17日より全国にて公開
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