2020年01月06日

マザーレス・ブルックリン(原題:Motherless Brooklyn)

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監督:エドワード・ノートン
原作:ジョナサン・レセム
脚本:エドワード・ノートン
音楽:ダニエル・ペンバートン
出演:エドワード・ノートン(ライオネル)、ブルース・ウィリス(フランク)、アレック・ボールドウィン(モーゼス)、ウィレム・デフォー(ポール)、ググ・バサ=ロー(ローラ)

孤児のライオネルには障がいがあり、その場と関係ない言葉が突然口から出てしまう。自分ではコントロールできないため、周囲からは変わり者扱いされてきた。フランクはそんなライオネルを施設から連れ出し、探偵の仕事を教え、居場所を与えてくれた身内のような存在。ライオネルには並外れた記憶力というほかの人間にはない能力があった。障がいの発作に耐えながら、その能力を駆使してフランクの役に立とうとするが、何者かがフランクを襲う。ライオネルは1人で調査を続けるが、真実に近づくほど彼に危険も迫って来るのだった。

原作にほれ込んだエドワード・ノートンが早くに映画化権を獲得、長い時間をかけて脚本を執筆。このほど監督・脚本・主演として力を注いだ作品が完成しました。芸達者な俳優たちが見せる表情、思わぬ50年代の音楽とタバコと酒の香りがしてきそうなバーのたたずまい。懐かしい雰囲気のノワール作品の中で、エドワード・ノートン演じる異色の探偵が活躍します。障がいのためにコントロールできないという言葉が、ときどきおかしいほど鋭いのは原作どおりなのでしょうか。思わず笑ってしまいました。
ググ・バサ=ロー演じるローラは、原作にない映画オリジナルの役柄。殺伐とした金権がらみの殺し合いの中で、ライオネルの障がいもさらりと受け止めるローラがライオネルの希望になります。彼女の空色のコートがくすんだ街に映えて美しく、彼女の存在が作品に色をそえて観客をストーリーへと案内してくれました。(白)


本作はなんと、エドワード・ノートンが主演だけでなく、監督と脚本、製作までこなしています。しかも脚本は初めてで、監督は20年ぶり。ノートン渾身の作といえるでしょう。
時代設定を原作の1999年から1957年へと変更したことで、ジャズと当時の風景がより調和したような気がします。ニューヨークの土地再開発における利権絡みの殺人事件というのも50年代らしいですね。
主人公のライオネルはトゥーレット症候群を抱えていますが、トゥーレット症候群は文字で読むより役者が演じた方がうまく伝わります。もちろんエドワード・ノートンの演技が素晴らしいこともありますけれど。最初は少し驚いてしまいましたが、物語が進むにつれて、彼の人柄が伝わってきて、次第に病気を抱える彼に寄り添ってあげたくなりました。
意外だったのが、ブルース・ウィリス。孤児を育てる善良な紳士かと思いきや、意外とお金にがめついところがある。これまでのブルース・ウィリスの印象が覆されました。こんな役も演じられるんですね。そのブルース・ウィリス演じるミナはライオネルのことを「マザーレス・ブルックリン」と呼びます。母親はいないけれど、父親代わりの俺はいるぞというメッセージのように思えました。(堀)


2019年/アメリカ/カラー/シネスコ/144分
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights eserved
http://wwws.warnerbros.co.jp/motherlessbrooklyn/
★2019年1月10日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 15:00| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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