2019年12月12日
冬時間のパリ (原題:Doubles vies 英題:NON-FICTION)
監督・脚本:オリビエ・アサイヤス
撮影監督:ヨリック・ル・ソー
製作:シャルル・ジリベール
製作総指揮:シルビー・バルト
出演:ギョーム・カネ、ジュリエット・ビノシュ、バンサン・マケーニュ、ノラ・ハムザウ、パスカル・グレゴリー
電子書籍ブームに乗り遅れまいとしている編集者のアラン(ギヨーム・カネ)は、作家のレオナール(ヴァンサン・マケーニュ)から不倫をテーマにした新作について相談される。アランは友人でもあるレオナールの作風を時代遅れだと感じていたが、女優の妻セレナ(ジュリエット・ビノシュ)は評価している。実はアランはアシスタントと不倫中で、セレナもレオナールとひそかに関係を結んでいた。
パトリス・シェローやオリビエ・アサイヤスといった仏文化に根付く映画を撮る監督の新作には、堪らなく映画ココロをそそられる。好きではない人にはピンと来ないかもしれないが、杉綾織のように人物も物語も系譜のように連なっているからだ。
本作も、エリック・ロメール監督作『木と市長と文化会館 または七つの偶然』にインスパイアされて脚本を書いたという。ヒントを得るのも先達・同僚・後輩の作品から。続けて観ている仏映画ファンも含め、家族のような感覚になってくるのだから不思議なものだ。大所帯でシステマチックな製作手法を採るハリウッド映画と異なり、スタッフ、出演者とも気心知れた小さな「ワンチーム」感が伝わるせいだろうか。
冬のパリ、海辺の別荘(素敵!)を舞台に、2組の夫婦とそれに纏わる人々の織り成すタペストリーがもつれて行く様をパリの渇いた空気、海辺の光線を背景に描かれる。ギョーム・カネやジュリエット・ビノシュら仏を代表する俳優陣が、喋る喋る、飲むわ食べるわで、仏版ウディ・アレンを思わせる楽しさだ。洗練されたユーモアと今日性を盛り込んだ展開に観入っていると観客もパリを覗いたような気分にさせてくれる。
個人的にはパスカル・グレゴリーの変わらぬ姿に再会できたことが嬉しかった。(幸)
配給:トランスフォーマー
2018年製作/107分/G/フランス
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
(C)CG CINEMA / ARTE FRANCE CINEMA / VORTEX SUTRA / PLAYTIME
公式サイト:http://www.transformer.co.jp/m/Fuyujikan_Paris/
★2019年12月20日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国公開
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