2019年12月05日

カツベン!

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監督:周防正行
脚本・監督補:片島章三
音楽:周防義和

出演:成田凌、 黒島結菜、永瀬正敏、 高良健吾、 音尾琢真、徳井 優、 田口浩正、正名僕蔵、 成河、 森田甘路、 酒井美紀、 シャーロット・ケイト・フォックス、上白石萌音、 城田優、 草刈民代、 山本耕史、 池松壮亮、 竹中直人、 渡辺えり、 井上真央、 小日向文世、 竹野内 豊

偽の活動弁士として泥棒一味の片棒を担ぐ生活にウンザリしていた染谷俊太郎(成田凌)は一味から逃亡し、とある町の映画館にたどり着く。そこで働くことになった染谷は、今度こそ本当の活動弁士になることができるとワクワクするが、そこは館主夫妻(竹中直人、渡辺えり)をはじめ、スターを気取る弁士の茂木貴之(高良健吾)や酒好き弁士の山岡秋聲(永瀬正敏)などくせ者ばかりだった。

「活動写真」という言葉には、単なる懐かしさを超えた、日本人のメンタリティを顕在化させる温かな響きがある。故・淀川長治氏の名調子解説を聞いて育った世代のせいだろうか…。大正時代、スクリーンに見入り、活動弁士に聴き入る観客たちがいる場所は、映画をポケットに入れられる現代の映画ファンとは確実に異なる、熱く濃密な空間が漂っていたに違いない。
活動弁士は、日本独自で発展した世界にも稀な映画文化の象徴である。
周防監督と共同脚本であり発案者の片島章三が映画愛を詰め込んだ本作。全体にスラップスティックコメディの要素を詰め込み、楽しませる。実際にはサイレント映画の撮影現場がこれほど無茶振りだったとは思えないが、創り手のサービス精神が垣間見えて愛おしい活劇調となっている。

熾烈なオーディションを勝ち抜いて主役を射止めた成田凌、相手役の黒島結菜とも適役の好演が光るが、特筆すべきは永瀬正敏だろう。登場場面では本物のカツベン士だと思ってしまったほど、声の張り、色艶、間合い…どこを取っても堂々たるカツベン士の様相を呈す。人気カツベン士から酒に身を持ち崩すやさぐれ男まで、人物の内心が透けて見えるほどに演じ切っており、若手俳優とは一日の長を示した。

エンディングに流れる無声映画の傑作『雄呂血』の映像、「ジョージア行進曲」をもじった「カツベン節」を歌う奥田民生の節回しも、映画の余韻を残す上手い演出だ。(幸)


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楽屋荒らしから活動弁士になる染谷俊太郎を演じた成田凌さん、駆け出しから人気弁士になるまで順撮りだったのでしょうか?半年以上特訓したとのこと。ちゃんとだんだん上達してプロの弁士らしくなっていました。夢は弁士だったという子ども時代の子役さんもうまかったです。
劇中の無声映画は既存の作品『椿姫』や『金色夜叉』などを参考に新しく製作されたもの。完全オリジナルの作品にも誰が出演しているのかお楽しみに。
実は無声映画観賞会に何年か通って弁士の解説つきの無声映画を楽しんでいました。この作品の監修の澤登翠さんをはじめ、俳優さんの指導を担った片岡一郎さん、坂本頼光さんの解説を毎回すぐ近くで聞くという贅沢。今でも毎月例会があるんですよ。映画を観て気になった方は、ぜひ一度でも生で見て聞いてくださいませー。(白)


配給:東映
2019年製作/日本/127分/G/
©2019「カツベン!」製作委員会
公式サイト:http://www.katsuben.jp/
◆12月13日(金)丸の内TOEI他全国順次ロードショー◆
posted by yukie at 12:28| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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