2019年11月2日~ シアター・イメージフォーラム他にて公開中
その他の公開情報
監督:胡波(フー・ボー)
脚本:フー・ボー
撮影:ファン・チャオ
美術:シェ・リージャ
編集:フー・ボー
音楽:ホァ・ルン
プロデューサー:王小帥(ワン・シャオシュアイ)
出演
チャン・ユー:ユー・チェン役
ポン・ユーチャン:ウェイ・ブー
ワン・ユーウェン:ファン・リン
リー・ツォンシー:ワン・ジン
中国北部、斜陽の炭鉱都市に暮らす4人の登場人物たちの1日を4時間近い長尺で描き、世界を驚かせた作品。行き場のない悲しみを抱えた孤独な“4人の運命”が交差する。キーフレーズは「満州里のサーカス団にいる象は、ずっとそこに座っている。誰かがフォークで刺そうとも、そこに座っているだろう」。タイトルはここから。
親友の妻との浮気現場を見られ、親友を自殺に追い込んでしまった男、于城。男子高校生韋布は番長のスマホを盗んだ友人をかばおうとして、番長を階段から突き落として大怪我をさせてしまい学校から逃げ出す。韋布が思いを寄せる同級生の黄玲は、学校の主任教師と密かに交際しているが、主任との関係が暴露され町に居場所がなくなってしまう。韋布の家の隣に住む老金は家のベランダで寝起きしているが、娘夫婦は孫娘の進学に備えるため、家を買うのに彼を老人ホームへ入れようとしている。しかし、韋布を追うチンピラたちに目をつけられ怖気づいた娘婿に家を追いだされてしまう。この4人の「喪失」と「逃避」の一日が描かれる。一日の終わり、坐っている象を観るために4人は満州里へと向かうバスに乗り込む。
監督の胡波は本作を撮り終えた後、自ら命をたってしまったという。作品の長さをめぐってプロデューサーと確執があったらしい。監督の死後、本人希望の4時間バージョンが映画祭で上映され、ベルリン映画祭フォーラム部門で国際批評家連盟賞を受賞したり、台湾の金馬奨で作品賞を受賞した。
そんな話題作だが、作家でもあった監督のこだわりが伝わってくる作品だった。灰色の空の下、居場所を失った人物の苦境をこれでもかと息苦しいくらいに描き、観客にやるせなさや閉塞感を与える。しかし、そんな苦しい中でもひとすじの希望を感じさせる作品だった。そういう意味では監督の才能は感じたが、やはり長ければいいというものではないと私は思う(暁)。
公式HP
2018年製作/234分/中国
原題:大象席地而坐 An Elephant Sitting Still
配給:ビターズ・エンド
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