2019年10月31日
ラフィキ:ふたりの夢 英題:RAFIK
監督・脚本:ワヌリ・カヒウ
出演:サマンサ・ムガシア、シェイラ・ムニヴァ、ジミ・ガツ、ニニ・ワシェラ、デニス ムショカ、パトリシア・アミラ
看護師を目指しているケナ(サマンサ・ムガシア)は、ナイロビで母と生活しながら、離婚して国会議員に立候補した父のことを応援していた。ある日、ケナは父の対立候補の娘・ジキ(シェイラ・ムニヴァ)と出会う。やがて二人は惹(ひ)かれ合うが、同性愛が違法であるケニアでは彼女たちの恋は命懸けだった。
2人の少女が暮らすケニアでは同性愛は絶対のタブー・違法行為だ。家族からも「悪魔憑き」と忌み疎まれ、周囲は謂れの無い暴力を振るう。父の仕事(選挙活動)に差し障る、世間体が悪い、と関係を引き裂かれる。偏見、憎悪、様々な悪意に満ちた視線に2人は晒され、女特有の禁忌に向き合わねばならない。
舞台となるナイロビはケニアの大都会だ。これほど過酷な環境の中で、2人の少女は愛を育む。監督の話によると、ケニアの映画では男女のラブシーンさえ見たことはないそうだ。本作は未だにケニアで上映禁止だが、国際映画祭へ出品するために7日間のみ裁判所から上映が許可されたという。監督をはじめ、多くのスタッフが女性である。まさに命懸けの覚悟でこの映画を生み出したのだろう。その決意の強さ、立ち向かう勇気を想像するだに敬服せざるを得ない。
が、本作は決して悲壮感が漂う訳ではない。アフリカの陽光に似合うカラフルな映像は、教会までも明るく彩り、魅力に富む。軽快な音楽、自在に着こなすファッション(スタイルの良さに垂涎!)、ダンス、バイクといったアフリカン・ストリート・カルチャーを纏った初恋青春物語なのだ。活き活きと躍動する少女たちを観ていると、LGBT映画と安易にジャンル分けするのを躊躇ってしまう。(幸)
製作国:ケニア/南アフリカ/フランス/レバノン/ノルウェー/オランダ/ドイツ
配給:サンリス
カラー/2018/82分
©Big World Cinema.
公式サイト:http://senlis.co.jp/rafiki/
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