2019年10月27日

閉鎖病棟 それぞれの朝

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監督・脚本:平山秀幸
原作:帚木蓬生「閉鎖病棟」(新潮文庫刊)
撮影:柴崎幸三
主題歌:K「光るソラ蒼く」
出演:笑福亭鶴瓶(梶木秀丸)、綾野剛(塚本中弥=チュウさん)、小松菜奈(島崎由紀)、坂東龍汰(丸井昭八)、高橋和也(大谷)、木野花(石田サナエ)、渋川清彦(重宗)、小林聡美(井波)

長野県のある精神病院。ここには、ここ以外に居場所のないさまざまな人たちがいる。梶木秀丸は元死刑囚だった。刑が執行された後息を吹き返したが、彼はすでに死んだ人間であり、帰る場所はなかった。チュウさんはひどい幻聴に悩まされてサラリーマンをやめ、普通の生活ができずに強制入院させられた。話すことが不自由な昭八に慕われている。義父からDVを受けて入院することになった女子高生の由紀は、秀丸と陶器作りをする。3人はこの病院で出会い、互いにないものを補いあうように穏やかな日々を送っていたが、ある日事件が起きる。

それぞれに辛い事情を抱えた患者たちを、鶴瓶さんをはじめとする俳優たちが渾身で体現しています。あの人もこの人も患者さんとしてそこにいて、閉じこもったり疲れたりしていました。役をひきずって辛くならないようにと、平山監督が気遣ったそうです。そんな中に小林聡美さん演じるぴっと姿勢の良い井波看護師がいると、ホッとします。経験に裏打ちされた確かな芯と、『かもめ食堂』でのサチエさんの優しさを合わせもっていました。『渇き。』(2014)でミステリアスな女子高生役だった小松菜奈さん、今回も女子高生ですが違和感なし。閉鎖病棟は外から鍵がかかって、中からは開けられません。外では風も人も冷たくて、居心地が良いとはいえないけれど自由だけはある、かな。
原作の帚木蓬生「閉鎖病棟」は山本周五郎賞を受賞し、ベストセラーとなっています。たくさんの入院患者のエピソードが詳しく書かれていますので、映画を観て気になった方はぜひ本もどうぞ。(白)


小さな諍いはあるものの互いに受け入れ、調和の中で暮らす。そこに大きな憎悪が生じて事件が起きた。舞台は精神科病院で、それぞれが抱える状況は違うが、私たちも根本的には同じかもしれない。患者の家族の気持ちに相槌を打ちながら話す看護師の言葉の意味にハッとした。怯えるように繊細な綾野剛は初めて。いつもと違った魅力を放つ。渋川清彦は彼らしい役だが、凶暴さに孤独感を滲ませる。ラストに希望を感じた。(堀)

2019年/日本/カラー/シネスコ/117分
配給:東映
http://www.heisabyoto.com/
★2019年11月1日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 16:08| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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