2019年10月17日
108~海馬五郎の復讐と冒険~
監督・脚本:松尾スズキ
撮影:山崎裕典
振付:airman
音楽:渡邊崇
主題歌:星野源
出演:松尾スズキ、中山美穂、大東駿介、堀田真由、土居志央梨、栗原類、LiLiCo、福本清三、岩井秀人、酒井若菜、坂井真紀
元女優の妻・綾子(中山美穂)の浮気をSNSの投稿を通じて知りショックを受けた脚本家の海馬五郎(松尾スズキ)は離婚を考えるが、財産分与で資産の半分を支払わなければならないことがわかる。資産を使ってしまおうと決意した海馬は、妻の浮気投稿についた108の「いいね!」と同数の女を抱く復讐に挑む。
題名の「108(イチマルハチ)」とは、浮気妻のSNS投稿に付いた「いいね!」の数。その数と同じ108人の女を抱いて復讐しようと奔走する売れっ子脚本家の物語だ。監督・脚本・主演の松尾スズキが殆ど”全裸監督”と化して出ずっぱりの熱演・怪演を見せる。
何かとコンプライアンスの厳しい現在の製作現場。R18(18歳未満入場不可)指定に敢えて挑戦した野心さと意欲に満ちた作品だ。国内外の映画について言えることだが、監督や脚本家を主役に据えると、とかくナルシスティックに陥りがち。本作の松尾スズキは自虐的な手法でその点を回避したようだ。オーディション場面がミュージカルになったり、歌や踊りのサービス提供も抜かりない。
松尾スズキは、劇団「大人計画」を主宰する。友人役の秋山菜津子に、「あんた、紀伊國屋演劇賞を獲ったことある?!」と言わせたり、「劇団ハイバイ」の劇作家・演出家・俳優として活躍する岩井秀人を傍観者役に据えるなど、演劇ファンにはクスリと笑える小ネタが満載だ。(幸)
妻の浮気を知った中年男が性の暴挙に出た愚かしさを松尾スズキが真面目に演じて笑いを取る。裸の男女50人がローションまみれでのたうち回る女の海は圧巻。撮影の苦労が察せられた。
脇を固めるキャストたちも個性豊か。特に仕事仲間で、親友で、セフレでもある美津子を演じた秋山菜津子のコメディエンヌぶりはさすが。妻を演じた中山美穂の官能シーンはまったりとした色気が伝わってきた。ミポリンもいつの間にかこんな役を演じるようになったのだと時の流れを感じてしまう。
自分にはセフレがいるのを棚に上げ、妻の浮気を許さない夫。浮気ではなく、本気の心変わりと思ったからか。原因を考えずに復讐に走る辺りに夫の幼さを感じる。男ってみんなそんなもの? 夫婦であっても言葉にしなければ不安な気持ちは伝わらないことを改めて感じた。(堀)
配給:ファントム・フィルム
ⓒ2019「108~海馬五郎の復讐と冒険~」製作委員会『108~海馬五郎の復讐と冒険~』
2019年/ カラー/シネマスコープ/DCP5.1ch/102分/ R18+/日本
公式サイト:http://108-movie.com/
★10月25日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開★
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