2019年10月15日
マレフィセント2 原題:MALEFICENT: MISTRESS OF EVIL
監督:ヨアヒム・ローニング
製作:ジョー・ロス、 アンジェリーナ・ジョリー、 ダンカン・ヘンダーソン
脚本:リンダ・ウールバートン、 ノア・ハープスター、 ミカ・フィッツァーマン=ブルー
撮影:ヘンリー・ブラハム 美術:パトリック・タトポロス 衣装:エレン・マイロニック
出演:アンジェリーナ・ジョリー、エル・ファニング、ミシェル・ファイファー、ハリス・ディキンソン、サム・ライリー、MIYAVI
呪いの眠りから覚めたオーロラ姫(エル・ファニング)は、フィリップ王子(ハリス・ディキンソン)のプロポーズを受ける。一方、妖精界を滅ぼすために動き出す者たちがいた。そして結婚式当日、オーロラ姫に魔の手が忍び寄る。
女子の多くは、物心ついた時から「眠れる森の美女」を読み聞かせをしてもらったり、絵本を飽くことなく読んだ記憶があるはずだ。お城や深い森、光る湖、煌びやかな衣装に想像の翼を羽ばたかせ、そして恐怖のイメージを植え込ませたのではないか。
お伽話の世界ではイメージが何よりも大事!
大ヒットした前作同様、今回もコンセプトアートの豊かさが眼を惹く。パトリック・タトポロスによるプロダクション・デザインが本作をしっかりと大人の鑑賞に耐え得る深度、枠組みを与えているからに違いない。イメージの喚起力が映画に広がりを齎すのだ。ファンタジーには華やかさと恐怖がつきもの。
監督のヨアヒム・ローニングはノルウェー時代の出世作『コン・ティキ』の厳然たる史実と、ハリウッドに於ける『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』のエンターテイメント性を本作で結実させているようだ。
見どころはもう一つ。製作も兼ねるアンジェリーナ・ジョリー、エル・ファニング、ミシェル・ファイファーらハリウッドの王道女優組を支える脇役に、キウェテル・イジョフォー、サム・ライリー、エド・スクレイン(『デッドプール』の悪役、「ゲーム・オブ・スローンズ」)の名優・イケメン英国俳優陣を配したことだ。王子役にはポカン顔(ファンの方すみません!)だった前作のブレントン・スウェイツに代わり、英国のハリス・ディキンソンを起用。王子としての悲哀を眼の奥に忍ばせる理解力を見せている。
また、オーロラ姫を世話する黄色の妖精にジュノー・テンプル、赤の妖精はイメルダ・スタウントン、水色はレスリー・マンヴィルらオスカー級の英国女優陣が引き続き出演したことからも製作陣が、”俳優の層が世界一厚い”英国俳優に期待を託していることが分かる。
今回から、マレフィセントと同じ種族の重要キャストにMIYAVIが配置され、検討している点もお見逃しなく!(幸)
真実の愛について描いた前作から5年。本作でもマレフィセントのオーロラへの愛は変わらない。血の繋がりを超えた母性愛は究極の行動を示す。
さらに、本作では共存について問う。前作で人間の王国と妖精の国は統一され、オーロラは2つの国の女王となった。しかし、本当に人間と妖精は共存できるのか。
オーロラが結婚するフィリップ王子の母であるイングリス王妃は幼い頃にムーア国との国境近くで恐ろしい思いをした経験から妖精を憎んでいる。オーロラに優しく接するが、マレフィセントに対する嫌悪はあからさま。イングリス王妃の思惑と行動が本作を大きく動かしていく。
作中、イングリス王妃は息子とオーロラの結婚式に口をはさむ。古今東西、嫁姑の関係は同じようだ。自分の価値観を押し付けずに、相手を尊重することはできないものか。家族と民族の違いはあるが、共存問題の根本は同じかもしれない。
ところで、アンジェリーナ・ジョリーの美しさは変わらないが、エル・ファニングの成長が著しい。この5年間に『ネオン・デーモン』、『20センチュリー・ウーマン』、『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』、『メアリーの総て』といった作品に出演し、天真爛漫な雰囲気を残しつつ、大人の女性への脱皮と遂げた。それと同期するかのように、前作では守られる存在だったオーロラが自分で考え、行動するように。もし続編があるのなら、次はオーロラが1人堂々と主役を演じるところを見てみたい。(堀)
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
製作 アメリカ/2019/カラー/ 119分
(C) 2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
公式サイト :https://www.disney.co.jp/movie/maleficent2.html
★10月18日(金)より日米同時公開
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