2019年09月08日
プライベート・ウォー 原題:A Private War
監督:マシュー・ハイネマン(『カルテル・ランド』『ラッカは静かに虐殺されている』)
出演: ロザムンド・パイク、ジェイミー・ドーナン、トム・ホランダー、スタンリー・トゥッチ
2012年2月、シリア内戦取材中、政府軍の砲弾に散ったアメリカの女性ジャーナリスト、メリー・コルヴィン。
本作は、英国サンデー・タイムズ紙の特派員として、世界各地の戦場に赴き、戦禍に苦しむ人々の思いを伝えたメリーの半生に迫る物語。
トレードマークだった黒い眼帯は、2001年、スリランカ内戦の折、ジャーナリスト入国禁止を無視し、バンニ地域を取材中、ロケット砲弾にあたって左目を失明して以来つけていたもの。
その後も、イラク、アフガニスタン、アラブの春に揺れるチュニジア、エジプト、リビアと精力的に取材。PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみながらも、戦地の真実を伝え続けた。享年56歳。
メリー・コルヴィンの名前を知ったのは、『バハールの涙』(2019年1月公開 作品紹介)で、彼女をモデルにした眼帯ジャーナリスト・マチルドと通じてのこと。『バハールの涙』でエマニュエル・ベルコが存在感たっぷりに演じた女性記者を、本作ではロザムンド・パイクが体現している。
ハードな取材の合間に、恋もしたらしいことに少しほっとした。
イラク、アフガニスタン、リビア、シリアなどの戦地の場面は、すべてヨルダンで撮影したとのこと。服装や看板などで、それぞれの雰囲気をうまく描いている。
メリーが2度、謁見に成功したリビアのカダフィ大佐も、なかなか似ている。
それにしても、数多くの戦場カメラマンと呼ばれる人たちが、取材中に命を落としている。危険を冒してまで、戦場の真実を伝えたいという思いには、ただただ感服するばかり。彼らが伝える映像や当事者の人たちの声に、戦争を終わらせなければと思うのに何もできないのがはがゆい。戦争を引き起こしている権力者たちは、このような報道を見ても動じないのだろうか。(咲)
2019年/イギリス・アメリカ/110分/G
配給:ポニーキャニオン
公式サイト:http://privatewar.jp/
★2019年9月13日(金)TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください