2019年08月11日

命みじかし、恋せよ乙女   原題:Kirschbluten & Damonen

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監督・脚本:ドーリス・デリエ(『フクシナ・モナムール』)
出演:ゴロ・オイラー、入月絢、ハンネローレ・エルスナー、エルマー・ウェッパー、樹木希林

ドイツ、ミュンヘン。妻と別れ、仕事も辞め、生きる希望を失ったカールの前に、ユウと名乗る日本女性が現われる。亡き父ルディと親交があったユウは、ルディが暮らしていた家を見たいという。久しぶりに実家を訪れ、両親の思い出を胸に、ユウと数日過ごす。相続でもめて以来会ってなかった兄や姉とも再会する。そんな中、ユウが忽然と姿を消す。気になり始めていたユウを探しに、カールはユウの故郷、茅ヶ崎へと向かう。老舗の旅館「茅ヶ崎館」の女将が彼を迎える・・・

ドイツの女性監督で、この30年の間に、30回日本を訪れ、『フクシナ・モナムール』など5本の映画を日本で撮影しているドーリス・デリエ。日本文化をこよなく愛するドーリスが、長年憧れていた女優・樹木希林に茅ヶ崎館の女将をあて書きしオファー。
茅ヶ崎館は、小津安二郎が脚本を書くために宿泊したこともある、有形文化財に指定された宿。樹木希林が茅ヶ崎館を訪れたのは、小津監督の遺作『秋刀魚の味』(62)の撮影時に、女優・杉村春子の付き人として参加した時以来とのこと。
本作の、「命みじかし恋せよ少女 朱き唇褪せぬ間に 赤き血潮の冷えぬ間に 明日の月日のないものを」と歌うシーンが、樹木希林の最後の出演シーンとなった。
この歌は、黒澤明監督の『生きる』(52)にも出てくる有名な大正歌謡。

ところで、茅ヶ崎は、私の高校時代の親友が生まれ育った町。何度か訪れたことがあって、映画には茅ヶ崎駅や海岸の風景も出てきて懐かしかった。親友に「茅ヶ崎館」のことを聞いてみたら、家のすぐ近くで、私も前を通っているとのこと。いつか茅ヶ崎を再訪して、茅ヶ崎館にも行ってみたい。
樹木希林さんが、茅ヶ崎館の落ち着いた佇まいの中で歌う姿は、人生の最期が感じられて、涙。(咲)


2019年/117分/G/ドイツ
配給:ギャガ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/ino-koi/
★2019年8月16日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他 全国順次公開






posted by sakiko at 16:47| Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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