2019年08月02日

太陽がほしい <劇場版>

2019年8月3日より、東京 UPLINK渋谷、大阪 シネ・ヌーヴォ、愛知 シネマスコーレにて
3館同時ロードショー。他、全国順次公開。
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©2018 Ban Zhongyi

監督・撮影:班忠義(パン・チョンイー)
ナレーション:有馬理恵  
編集:秦岳志  
整音:小川武  
音楽:WAYKIS
出演:万愛花、尹林香、尹玉林、高銀娥::、劉面換、郭喜翠、
   鈴木義雄、金子安次、近藤一、松本栄好、山本泉

中国における日本軍性暴力被害者を20年に渡って取材、<

班忠義監督は、日本軍性暴力被害者の支援活動と並行して20年間撮りためてきた証言の映画化を決意。この企画に賛同した750人の支援者の協力を得、5年の歳月をかけてこの作品『太陽がほしい<劇場版>』を完成させた。
監督は「毎年被害女性の元を訪ね、証言や事実関係の調査・検証をしてきました。24年にわたって活動を続けられたのは、日本の支援者の方々のおかげです」と語っている。
班忠義監督は1958年生まれ。故郷、中国遼寧省撫順市で、近所に住む日本人残留婦人と知り合い、交流を続け1987年日本に留学。その中国残留日本婦人のことを書いた「曽おばさんの海」で、1992年、朝日ジャーナルノンフィクション大賞を受賞。その2年後、支援団体、市民の力で、中国残留日本人に対する帰国促進が議員立法の形で実現。
曽おばさんとの出会いががきっかけで、戦争被害者を調査していた班監督は、1992年、東京で開催された「日本の戦後補償に関する国際公聴会」で、日中戦争当時、日本軍兵士に性暴力を受けたという中国人女性万愛花さんの証言と、体に残された傷跡にショックを受けた。その後、日中戦争の真実を知るため、万愛花さんを始め、日本軍兵士によって性被害を受けた女性たちを中国に訪ね、2000年に韓国出身の被害女性の故郷への思いを描いた『チョンおばさんのクニ』を完成させた。2007年には『ガイサンシーとその姉妹たち』を製作。その後も支援活動と平行して取材を続け、これまでの取材の集大成として『太陽がほしい<劇場版>』が作られた。
万愛花さんは「私は慰安婦ではない」と言っていましたが、中国における女性たちの被害は、従来言われている「慰安婦」の実態とは違うようです。彼女たちの証言によると、ほとんどは家から強制連行され、地元農家や、軍のトーチカや城塞のそばに監禁されていたことが多かったようです。外から施錠され、用を足す時だけ門番の監視のもと外に出ることができました。『太陽が欲しい』とタイトルをつけたのは、当時の彼女たちが発した心からの叫びだそうです。

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万愛花さん ©2018 Ban Zhongyi

被害女性たちの多くは身体的、精神的暴力により、体調や精神に異常をきたしていたけれど一切の補償が受けられず、班監督が訪ねた時、戦後約半世紀を過ぎても癒えることのない苦しみの中にあった。監督は多くの支援者を日本で募り彼女たちの支援を続けた。
このドキュメンタリー作では中国人の被害女性だけでなく、元日本兵とその協力者だった中国人男性たちも証言をしている。元兵士たちは公の場で自ら、中国人女性を拉致、監禁し、性暴力に及んだと語っていたが、その内容は被害女性たちの証言と一致していた。証言できる戦争世代が亡くなり、日本国内で歴史修正主義が台頭してきた今、このような記録が残しされていることは一層重要な意味を持つ。
班忠義監督は、「現在は映画の中で証言してくれた被害女性たちはすでに亡くなっています。生前、彼女たちが力を絞って私に託してくれた証言と、そこで示された事実を映画として広く日本社会に公開することは、長年、聞き取り調査や生活支援に関わってきた私が果たすべき責任だと思っています。
本作の公開を通して、今を生きる日本の人々によって、彼女たちの歩んだ人生に慈愛に満ちたあたたかな光が当てられることを願っています」と語っています。

長年、中国の性暴力被害者、元慰安婦だった方たちを取材してきた班忠義監督の誠意。この方がいたからこそ、中国における日本軍性暴力被害者の記録が残されました。日本人としては、この戦争被害をなかったことにするわけにはいきません。戦争がこういう問題を引き起こすことを肝に銘じて、日本が戦争に向かわないよう行動を起こしていくことを忘れてはいけません。それにしても、不寛容な世界が広がりつつあると感じるこの頃、また戦争が起こらなければいいのですが(暁)。

2018/中国・日本/108分/BD/ドキュメンタリー
公式HP https://human-hands.com/index.html

●上映、トークイベント情報
東京  UPLINK渋谷 TEL.03-6825-5503  8月3日(土)〜16(金)
 トークイベント開催!(各日、上映後)
 3(土) 林博史さん(現代史研究者/関東学院大学教授)、班忠義監督
 4(日) 有馬理恵さん(舞台女優/本作ナレーション担当)
 7(水) 纐纈あやさん(映画監督)、班忠義監督
 10(土) 中野晃一さん(政治学者/上智大学教授)、班忠義監督
 11(日) 班忠義監督
 12(月・祝) 中原道子さん(「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター共同代表)、班忠義監督
 14(水) 班忠義監督
大阪 シネ・ヌーヴォ TEL.06-6582-1416  8月3日(土)〜23(金)
 4(日) 班忠義監督による舞台挨拶実施!
愛知 シネマスコーレ TEL.052-452-6036  8月3日(土)〜16(金)
 4(日) 班忠義監督による舞台挨拶実施!
神奈川  横浜シネマリン TEL.045-341-3180  9月14日(土)〜
 班忠義監督による舞台挨拶を予定(日程調整中)
広島  横川シネマ  TEL.082-231-1001  11月1日(金)〜
 班忠義監督による舞台挨拶を予定(日程調整中)
広島 シネマ尾道 TEL.0848-24-8222  11月2日(土)〜15日(金)
 班忠義監督による舞台挨拶を予定(日程調整中)

製作:彩虹プロダクション
後援:ドキュメンタリー映画舎「人間の手」、
   中国人元「慰安婦」を支援する会
配給・宣伝:「太陽がほしい」を広める会

*参考
『チョンおばさんのクニ』2000年
中国残留韓国人女性を追ったドキュメンタリー。チョンさんが17才の時、男に大田織物工場へ働きにいかないかと誘われ、朝鮮半島から連れていかれたのは、中国武漢市の慰安所。韓国には帰れず、中国で結婚。しかし、病気になり、祖国への帰国を希望。彼女を帰国させるべく、日本の団体が奔走し、祖国へ旅立ったけど、半世紀を越えて思い続けた故郷に彼女の肉親はおらず、昔の面影すらなかった。帰国の事がマスコミに大きく報道されたことも手伝って、少女時代の親友、姉妹にも会えた。しかし、皆が歓迎してくれたとは言えなかった。ガンが進行し、死ぬ前にまた中国に残した息子や孫に会いたいという彼女の希望はついに実現しなかった。

『ガイサンシーとその姉妹たち』2007年 
日中戦争時代、日本軍の陣営に連れ去られ、性暴力を受けた女性たち。清郷隊という日本軍協力者の中国人が村々を回って、若い女性を連れ去り、日本軍陣営に連れて行き監禁したという。
山西省一の美人を意味する「蓋山西(ガイサンシー)」と呼ばれた侯冬娥(コウトウガ)。その呼び名は彼女の容姿のことだけでなく、同じ境遇に置かれた幼い〝姉妹たち〟を、自らの身を挺して守ろうとした、彼女の優しい心根に対してつけられたものであり、その後の彼女の人生の悲惨を想ってのものだった。蓋山西は、当時一児の母だったが、美人という評判を聞きつけて捕らえられ、日本軍の駐留地に連れて行かれたという。
*シネマジャーナル71号で紹介


posted by akemi at 22:28| Comment(0) | 中国・日本合作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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