2019年06月13日

ガラスの城の約束 原題The Glass Castle


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監督 デスティン・ダニエル・クレットン
製作 ギル・ネッター ケン・カオ
製作総指揮 マイク・ドレイク
原作 ジャネット・ウォールズ
脚本 デスティン・ダニエル・クレットン アンドリュー・ランハム
撮影 ブレット・ポウラク
美術 シャロン・シーモア
衣装 ミレン・ゴードン=クロージャー ジョイ・ハナエ・ラニ・クレットン
編集 ナット・サンダース
音楽 ジョエル・P・ウェスト

出演 ブリー・ラーソン、ウッディ・ハレルソン、ナオミ・ワッツ、マックス・グリーンフィールド
ニューヨーク・マガジンの人気コラムニスト、ジャネットはある日、ホームレス同然の父レックスと再会する。両親は彼女が幼いころ、定職につかず夢を追い求めて気の向くままに生活していて、仕事がうまくいかない父は酒に溺れ、家で暴れた。成長したジャネットは大学進学を機にニューヨークへ旅立ち、両親と関わらないようにしようと考えていた。

掌のような佳編『ショート・ターム』でブレイクしたブリー・ラーソンは、オスカー女優、そしてアメコミヒーローになってもデスティン・ダニエル・クレットン監督への恩を忘れていなかった…。米国で7年間ベストセラーになった著名な自叙伝が原作とはいえ、本作は地味な低予算映画である。しかも、ラーソンは2020年公開予定の映画で三度クレットン監督と、実在の人権弁護士を描いた作品を撮っているという。
富と名声を追い求めるのが常のハリウッドに於いて、ひと筋の爽やかな逸話を感じさせる、この「いい話」が、実は本作の主題と共振している点が面白い。

主人公は定職に就かず酒浸りの父、「ママのアートは永遠に残るのよ」と絵画制作に没頭し、子どもたちの面倒すら見ない母という富と安定に背を向けた両親に育てられた。その日暮らしを続ける父は、独学の物理や天文学を教え、父なりに子どもたちを愛し、いつか「ガラスの城」を建てる夢を語るのだ。
破天荒な父、聡明な娘をウッディ・ハレルソンと、ブリー・ラーソンが、これほどの適役はいないだろうと納得させる説得力で演じる。

クレットン監督の演出は、あくまでも正攻法。危うい暮らしの家族を柔らかく暖かな光線で包み込む。社会の一般通念から逸脱した家族をそのまま肯定しようとする意思を感じる演出だ。
コラムニストとして成功を収め、親との関係を絶った娘、ゴミを漁る境遇になりながらも尊厳を失わない両親のどちらにも共感し、寄り添う姿勢が主題と通底して観客も暖かな気持ちになるに違いない。(幸)


© 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
2017/アメリカ/カラー/シネマスコープ/127分
配給:ファントム・フィルム
提供:ファントム・フィルム/カルチュア・パブリッシャーズ
公式サイト:http://www.phantom-film.com/garasunoshiro/
6月14日(金)新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開
posted by yukie at 11:32| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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