2019年05月16日

リトル・フォレスト 春夏秋冬(原題:Little Forest)

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監督:イム・スルレ
原作:五十嵐大介
脚本:ファン・ソング
撮影:イ・スンフン
音楽:イ・ジュノ
出演:キム・テリ(ヘウォン)、リュ・ジュンヨル(ジェハ)、チン・ギジュ(ウンスク)、ムン・ソリ(ヘウォンの母親)

都会へ出ていたヘウォンは恋愛も仕事もうまくいかず、疲れ果てて故郷の実家に戻ってきた。母が出ていったきり誰も住んでいない。幼なじみのジェハは詳しいことを聞くでもなく、「用心に」と番犬を置いていった。もう一人の幼なじみのウンスクはずけずけと推測をする。当たっているから仕方がない。一人と一匹の生活は心地良い。ジェハとウンスクを呼んでの酒盛りもまた楽しい。母の手順を思い出しながら、昔食べた料理を土地の素材で作り始める。次々と生まれてくる食べ物はヘウォンを次第に元気にしていく。

原作コミックと日本版の2部作も見ました。この韓国版は美しい田舎の風景のもと、3人の幼なじみによりフォーカスしています。故郷で迎えてくれたのは、肩の力が抜けてほっとさせてくれるジェハ、明るくて楽しいウンスク、彼らと時々過ごしたならヘウォンならずとも都会の疲れが取れるはずです。
料理上手だった母ゆずりのヘウォンの毎日の食事は、一人分でも手を抜いていません。ここがすごい!調理の手際がすばらしく良くって、キム・テリさんが作ったのかしら?手元だけ吹替えもあり?料理上手な人は彼氏の胃を捕まえてを逃がさないと思うけれど、ヘウォンは重かったのか?
出来上がった料理はいかにも美味しそうで、目に美しく、身体にも良さそうです。映画に登場した料理が食べられる(または作り方教室)韓国ツアーがあったら、絶対行きたい~。お疲れのみなさま、ほっとする映画ですよ。(白)


原作の五十嵐大介のコミック「リトル・フォレスト」は日本でも2014年、2015年に二部作にして橋本愛主演で映画化された。ただ日本版は「冬・春」「夏・秋」の2部作で間が空いたため、続きが見たいという気持ちの持続が難しかった。今回の韓国版は1年を通して描かれているので、主人公の変化がしっかりと心に届いてきた。
この作品では食事も主役なのだが、出てくる料理がどれも美味しそうなこと!日本でいう天ぷらが出てきたが、「あの花のように見えた食材は何だろう?」と思っていたら、なんとアカシアの花の天ぷらだという。白菜まるごと1枚に衣をつけて焼いて食べるのはお好み焼きのよう。「寒い時には辛い味付けのすいとんがいいよね」と主人公が独り言をいうと思わず頷いてしまった。干し柿を作るため吊るすときには、ひもで縛るのではなく、専用のグッズを使っていた。それはがまるで100均で売っているような感じ。思い出すだけでいろいろな食に関する共感やワクワク感があふれてくる。
主人公は料理を作って食べるだけでなく、食材となる野菜も育てた。種を蒔き、食べられるまで育てるのは時間がかかる。人の気持ちも同じ。都会の生活に疲れて帰ってきた主人公が次のステップに羽ばたくためには、時間をかけてじっくりと心を癒していくことが必要。その過程で家を出た母の気持ちに気づくまでに成長した主人公はきっと次のステップへと大きく羽ばたくのだろう。(堀)



2018年/韓国/カラー/シネスコ/103分
配給:クロックワークス
(C)2018 Daisuke Igarashi / Kodansha All Rights Reserved.
http://klockworx-asia.com/little-forest/
★2019年5月17日(金)シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 18:27| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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