監督・脚本:中島貞夫
脚本:谷慶子
監督補佐:熊切和嘉
出演:高良健吾(清川多十郎)、多部未華子(おとよ)、木村了(清川数馬)、寺島進(溝口蔵人)
幕末の京都。清川多十郎は長州藩の名うての剣士であったが脱藩し、貧乏長屋で無為の暮らしをしている。高い志はとうに捨て、居酒屋を切り盛りするおとよの世話になっているばかり。そこへ多十郎の腕を見込んで接触してくるものがいた。適当にあしらっているうちに故郷から弟数馬が訪ねてくる。純真な数馬は多十郎のていたらくを責め、勤皇を貫こうとはやる。浪人の取り締まりを強化していた京都見廻組が急襲し、多十郎は弟を逃がすためについに剣を抜く。
ちゃんばらの名作「木枯し紋次郎」の中島貞夫監督が、84歳にして久々にメガホンをとった本格時代劇。直弟子の熊切和嘉監督が補佐につき、「京都撮影所の伝統であるちゃんばらを、次の世代に伝えたい」という中島監督の熱い思いを支えました。目力のある人という監督の希望にはまったのは高良健吾さん。長州でなく九州男児ですがきりりとした顔立ちが「侍」です。自堕落な姿がまあ色っぽくて、ファンは悶絶ですよ。
『HINOKIO』(2004)のジュンちゃんの面影を今も残している多部未華子さんが、いつのまにかこんな女将役も似合うようになっていました。時代劇には珍しい前髪はなんだか幼く見えるんですが、京都にだけあった髪型だそうです。後半30分も続く立ち回りは、京都撮影所のスタッフ総力あげての結果でしょうか。
撮影に入る前からずっと熱心に稽古していたという、高良さんの渾身の殺陣をご覧下さい。また時代劇に出てほしいなぁ。(白)
2018年/日本/カラー/93分
配給:東映、よしもとクリエイティブ・エージェンシー
(c)『多十郎殉愛記』製作委員会
http://tajurou.official-movie.com/
★2019年4月12日(金)ロードショー
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