2019年03月31日

バイス  原題:Vice

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監督・脚本:アダム・マッケイ『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
出演:クリスチャン・ベール『ダークナイト』、エイミー・アダムス『アメリカン・ハッスル』、スティーヴ・カレル『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』、サム・ロックウェル『スリー・ビルボード』

1960年代半ば、不真面目な学生だったディック・チェイニー(クリスチャン・ベイル)はイェール大を退学となり、電気工として働き始めるが、酒癖の悪さは治らず、警察の世話になってしまう。恋人のリン(エイミー・アダムス)に激怒され、「二度と失望させない」と誓う。その後、連邦議会のインターンシップに参加し、共和党の下院議員ドナルド・ラムズフェルド(スティーヴ・カレル)のもとで働き始めたチェイニーは、権力の中に自分の居場所を見いだす。やがて、頭角を現したチェイニーは史上最年少の34歳でジェラルド・フォード政権の大統領首席補佐官になり、ジョージ・H・W・ブッシュ政権下では国防長官に選ばれた。そして、ジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)政権で副大統領に就任する。

同時多発テロ事件をきっかけにアメリカがイラク侵攻を決めた瞬間をクライマックスに、それを陰で牽引したといわれるディック・チェイニーの政治家人生を描いている。と書くと、真面目で難しい政治映画と思われてしまうかもしれない。しかし、コメディ出身のアダム・マッケイ監督は茶目っ気たっぷりに演出し、政治に疎い者にも分かりやすく、詳しい人にはさらに興味を抱かせる。しかも役者のなりきりぶりが半端ない。チェイニー役のクリスチャン・ベールは体重を約20キロ激増して、見事に20代から70代まで演じ切り、ブッシュ大統領役のサム・ロックウェルの眉を寄せた顔はブッシュ本人と見紛うばかり。本作はアカデミー賞 メイクアップ&ヘアスタイリング賞に輝いた。
なお、「記者たち 衝撃と畏怖の真実」ではイラク侵攻の裏側を暴こうとする新聞記者たちの奮闘を描いているので、セットで見ると、どちらの作品もより理解が深まるはずである。
また、本作について、町山智浩氏が公開前の試写会で行われたトークイベントで詳細な解説をした。そのレポートはこちらから。(堀)


アメリカ合衆国 第46代副大統領ディック・チェイニー。
ジョージ・W・ブッシュ政権で、副大統領を務めた男。
本作は、田舎の大学を卒業後、電気工をしていたチェイニーが、上院議員だったドナルド・ラムズフェルドと出会ったことから、妻の後押しもあって政治家をめざし、ついには副大統領となり、ブッシュ大統領を裏で操っていたことを暴いた、まさかの実話。
釣りが好きだというチェイニー。石油会社の役員として、地方都市でのんびりと釣りを楽しみながら暮らしていてくれれば、中東情勢は違っていたかもしれない・・・
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ブッシュといえば、この写真のように靴を履いたままの足を机に乗せている失礼な姿が思い浮かぶ。イラク侵攻当時、恐らくCNNだったと思うのだが、イラク派兵前の兵士が、軍でイラクの人たちの習慣を学んだと得意げに話す中で、「こんな風に、靴を履いた足を机に乗せてはいけないそうです」と語っていたのを思い出す。靴を履いたまま家の中に入ることさえ失礼なのにと呆れたものだ。それほど習慣の違う国に、アメリカは土足で上がりこんで滅茶苦茶にしたのだ。独裁政権のイラクに民主主義を植えつけるなどという大義名分を掲げて!  
9,11の同時多発テロ後のアメリカ政府の対応を見ていて、単純で短絡そうなジョージ・W・ブッシュ大統領をうまく操っているのが、チェイニーはじめネオコン(新保守主義者)の連中だという印象を持っていた。石油の利権のためにイラク侵攻を画策したといわれていたけれど、本作を観て、まさにそうだったのだと唸った。
それにしても、チェイニーはじめ登場人物が皆そっくりで大笑い。もとのお顔はどうだったっけ?とわからない位。政治の裏舞台を暴いているけれど、しっかり楽しめる作品になっているのも凄い。(咲)

『バイス』公開記念 映画評論家・町山智浩氏トークイベント

提供:バップ、ロングライド 
配給:ロングライド
© 2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All rights reserved.
http://www.longride.jp/vice/
★2019年4月5日(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー





posted by sakiko at 17:25| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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