監督・撮影・編集:加納土
音楽:MONO NO AWARE
1990年代、シングルマザーの加納穂子さんがチラシで共同保育の募集をかけ、そこで幼少期を送った加納土監督。大学生になった加納土監督が自身の生まれ育った場所「沈没ハウス」での生活をひも解くセルフドキュメンタリー。当時、子ども達と共同生活を送る保育人たちは、この活動を「沈没家族」と呼んだ。大学生の加納土監督は「沈没家族」住人達に会いに行き話を聞く。家族とは何…? 母の思い、そして離れて暮らす父の姿を追いかける… 加納監督が武蔵大学の卒業制作として発表したドキュメンタリー作品を劇場版として再編集した。
今でこそシングルマザーの人口も多く、自治体によっては補助も出ていて昔よりは暮らし易くは成ってきた(私の兄はシングルファザー)。これも先輩方々が運動してきた成果なので、私は運動を否定しないし、むしろ私もマイノリティをマジョリティにする活動には積極的に関わってきたつもり。では、20年前はどうだったか? 加納監督の母・穂子さんは学生で、在学中に妊娠し、籍を入れないまま出産し、シングルマザーとなり、自治体の福祉サービスなんか無く、実家親族を頼ることなく、保育人募集のビラをまき、知ってるひとから知らないひとまで周りを巻き込みながら子育てを始める。私もその頃、学生だったし、もし自分が独身のまま妊娠出産してたら、どうしていただろうと姿を重ねてみたけど、穂子さんのような活動はできなかったと思うと、穂子さんの「沈没家族」には感嘆するばかり。そのご都会暮らしを捨て、八丈島へ移住するトコロも羨ましいかぎり。モンモンとしながら東京生活を送っている私はアホ認定…。加納土監督は、もともと卒制としてつくられたドキュメンタリー作品を劇場版に編集した際、監督と同じ八丈島出身のバンド「モノノアワレ」の音楽を挿入。このバンド独特のメロディが映画と最高に合ってるんだなあ、これが。そして自分史上、知っているひと達が沢山出ていたドキュメンタリー映画でビックリしたのでした。 (千)
(C)2019 おじゃりやれフィルム
2018/日本/93min
配給 ノンデライコ
公式 http://chinbotsu.com/
★2019年4月6日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開
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