2019年03月24日

記者たち~衝撃と畏怖の真実~  原題:Shock and Awe

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監督:ロブ・ライナー(『スタンド・バイ・ミー』)
出演:ウディ・ハレルソン(『スリー・ビルボード』)、ジェームズ・マースデン、トミー・リー・ジョーンズ、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ジェシカ・ビール、ロブ・ライナー

2003年3月20日のアメリカによるイラク侵攻。その理由の一つ「大量破壊兵器の所持」が、ねつ造だったことは今や明白だ。
だが、当時、2001年9月11日の同時多発テロ後の愛国心の高まりの中、多くのアメリカ国民が、テロの首謀者であるビン・ラディーンとイラクのサッダーム・フセイン大統領が手を組んで大量破壊兵器を開発しているというマスメディアの報道を信じて疑わなかった。そんな中、中堅の通信社ナイト・リッダーの記者たち4人は、政府の流す「大量破壊兵器所持」情報がねつ造ではないかと真実を追い求める・・・

原題:Shock and Awe(衝撃と畏怖)は、イラク侵攻時の軍事作戦名。
ロブ・ライナー監督は、「アメリカがイラクに侵攻した時、私が生きている間に、また嘘で戦争をすることが信じられず憤りを覚えた」と語っている。ベトナム戦争当時、徴兵対象の年齢だった監督の切実なる思いだ。
ナイト・リッダー社のワシントン支局長として出演もしているロブ・ライナー監督。
「イラクがテロの真犯人? どんな無能の奴の考えだ?」と声高に叫ぶ姿は、まさに当時の監督の思いそのものだ。
政府の情報を鵜呑みにして、国民にプロパガンダをまき散らした主要メディア。
独裁者サッダーム・フセイン大統領を倒して、イラク国民に民主主義をもたらすという、体のいい大義名分も国民受けするものだ。民主主義の国を増やすといいながら、アフガニスタンもイラクもいまだ落ち着かない。それでいて、非民主的で、隣国イエメンに攻撃をかけているサウジアラビアには、肩入れしている。気に食わない国には、なんとしても理由付けして軍事介入するアメリカ政府。戦争に突き進むのは、自身の利益の為というのは見え見えだ。命令した権力者自身が、戦争で傷つくこともない。最大の犠牲者は、侵攻された国の庶民。そして、戦地に送られる兵士たち。
映画の最初の方で、「政府の命令が多くの人生を変えた。なぜ戦争を起こした?」と嘆く元兵士の姿も、監督はしっかりと映し出している。

政府の言いなりにならない、自由で独立したメディアがいかに大切かを語っている本作。
思い起こすのは、韓国映画『共犯者たち』。イ・ミョンバクとパク・クネ政権時代のメディアへの露骨な介入を暴いたドキュメンタリー。 それにしても、政府にとって都合のいい情報だけを聞かされているのは、何もアメリカや韓国だけのことではないのではないか・・・ (咲)


2017年/アメリカ/91分/カラー/ビスタ/5.1ch
配給:ツイン
公式サイト:http://reporters-movie.jp/
★2019年3月29日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー



posted by sakiko at 22:40| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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