2019年03月17日
ブラック・クランズマン(原題:BlacKkKlansman)
監督・脚本:スパイク・リー
脚本:チャーリー・ワクテル、デビッド・ラビノウィッツ、ケビン・ウィルモット
撮影:チェイス・アービン
音楽:テレンス・ブランチャード
出演:ジョン・デビッド・ワシントン(ロン・ストールワース)、アダム・ドライヴァー(フリップ・ジマーマン)、ローラ・ハリアー(パトリス・デュマス)、トファー・グレイス(デビッド・デューク)、ヤスペル・ペーコネン(フェリックス)
1970年代半ば、アメリカ・コロラド州コロラドスプリングスの警察署に、初の黒人刑事として採用されたロン・ストールワースは、捜査のために電話で白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)のメンバー募集に応募する。黒人であることを隠して差別発言をまくし立てた彼は、入会のための面接に進み、彼の代わりに白人の同僚刑事フリップ・ジマーマンが面接に向かう。
昨年のカンヌ国際映画祭で是枝監督の『万引き家族』にパルム・ドールに次ぐグランプリを受賞したスパイク・リー監督作。円熟期にして最高の快作と言えるのではないか·。サスペンスの体裁を取りつつハラハラドキドキさせると共に、笑いとウィットに富んだ会話劇でもあり、試写室は終始笑いとどよめきに包まれていた。
オスカーを受賞したリーの手による脚色は、ノンフィクション原作から自由な翻案が成されており、娯楽と社会性が絶妙なバランスで活かされている。
ブラックパワーの潮流が高まっていた時代背景なればこそ、『黒いジャガー』『スーパーフライ』といったブラック・シネマへの言及も忘れない。逆に、KKK団の集会では、グリフィスによる『國民の創生』が上映され、「彼女は酷い目に遭ってしまうのよ」などと役柄に同化して涙する幹部夫人の描写には笑ってしまう。しかし、この時に泣いていた白人妻が実は後半に隠れたキーパーソンとなる点にご注目願いたい。
28年前『マルコムX』でデンゼル・ワシントンとタッグを組んだ頃のリー演出は生硬で主義主張の押し付けが観られた。今回、息子のジョン・デヴィッド・ワシントンとは、いい意味で肩の力抜けたコンビになっており、父子二代によるタッグというのも感慨深いものだ。
個人的には、KKKの構成員役であるポール・ウォルター・ハウザーやトファー・グレイス、いい味のおばちゃんアシュリー・アトキンソン、フィンランド人俳優のヤスペル・ペーコネンといった白人俳優の好演が本作を支えていると感じた。(幸)
アダム・ドライヴァーの出演作なので外さず、主演はデンゼル・ワシントンの息子というので注目しました。ロンは軽く見えるけれど頭の回るキャラ、アフロヘアに目がいってしまいますが、父親に顔立ち似ています。父親を引き合いに出さないで、というのはしばらく無理かもしれないけれど、いい俳優さんになりますように。
ほんとにこんな話があったのか!?と驚いてしまうのですが、リー監督がぞんぶんに脚色の腕をふるったようです。そのへんを町山智弘さんが詳しく解説しています。ほりきさんが頑張ったレポ記事はこちら、長いですがぜひご覧下さい。
第91回アカデミー賞で6部門にノミネート、脚色賞を受賞。第71回カンヌ国際映画祭でグランプリ。ということで観てけっして損はありませぬ。(白)
2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/135分
配給:パルコ
(C)2018 FOCUS FEATURES LLC, ALL RIGHTS RESERVED.
http://bkm-movie.jp/
★2019年3月22日(金)TOHOシネマズシャンテほか潜入捜査開始!
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