監督・脚本・編集:井上雅貴
出演: 阿部純子、ロデオン・ガリュチェンコ、山本陽子、アレキサンドル・ドモガロフ、六平直政、杉作J太郎、斉藤工、イッセー尾形
日露戦争の時代、松山の捕虜収容所で花開いた国を越えた一つの恋
それから110年経った2018年。駆け出しのTVディレクターの桜子(阿部純子)は、先輩の倉田史郎(斎藤工)と共に、日露戦争時代のロシア兵に関する取材でロシアに行くことになる。テーマに関心を持てないでいたが、祖母菊枝(山本陽子)から自分のルーツがロシア兵にあると聞かされ、俄然興味を持つ。手がかりはロシアから届いた謎の手紙と、ソローキン(ロデオン・ガリュチェンコ)と、ゆい(阿部純子・二役)の日記。
兄の健二を日露戦争で亡くしたゆいは、ロシアを許せない思いを抱えながら、捕虜となったロシア兵の看護をしていた。献身的に看護するゆいの心の痛みを知ったソローキンは優しく彼女に接し、お互い心を惹かれあうようになる。やがて、ロシア革命に身を投じる為、ソローキンは脱走を計画。ゆいも連れて行こうとするが・・・
第1回日本放送文化大賞ラジオ部門でグランプリに輝いたラジオドラマ「松山ロシア人捕虜収容所外伝 ソローキンの見た桜」の実写映画化。
プロデューサーは、初めて手がけた映画『風の絨毯』(2003年)でイランとの合作を果たした益田祐美子さん。今回も、ロシアとの合作で壮大なロシアロケを敢行しています。
日露戦争時代、多くのロシア兵捕虜収容所が存在しましたが、初めて設置されたのが、愛媛県松山市。捕虜は「博愛ノ心ヲ以て」取り扱うべしとされ、食糧にも当時の日本の将兵を上回る経費をかけ、将校クラスを中心に「自由外出」が認められ、道後温泉で集団入浴をしたり、遊廓にいったり、芝居見物(内子座でロケしています)したりという、かなり自由な捕虜生活だったそうです。そんな様子も映画から垣間見られます。
このような捕虜収容所だからこそ、ゆいとソローキンとの恋も生まれたのでしょう。
数ヶ月前に、渋谷の文化村でたまたま第一次世界大戦中の「坂東俘虜収容所の世界展」を観たのですが、そこでも収容所でドイツ兵捕虜たちが誇りを持って楽しく生活できるよう配慮していた様子を知り、日本の武士道精神を感じて嬉しく思ったものです。
ただ一つ気になったのは、ゆいとソローキンが流暢な英語で会話していたことです。映画だからとはいえ、流暢すぎる! ソローキンはロシア人だし、もう少し、たどたどしい英語のほうが、より真実味があったかなと思いました。(咲)
日露戦争で捕虜となったロシア人将校と日本人看護婦の悲恋を描く。知的で、ちょっと影があり、女性の扱いに慣れた西洋人に惹かれるのは仕方のないこと。阿部純子の真っすぐな眼差しから、その思いが溢れ出る。愛ゆえの判断と行動に主人公の強さを感じずにはいられない。実話とのことだが、どこまでが実話なのか、知りたくなる。(堀)
*舞台挨拶*
【角川シネマ有楽町】
■3.23(土)
(1)10:30の回上映後
(2)13:30の回上映前
登壇者(予定)
#阿部純子/#ロデオンガリュチェンコ
#アレクサンドルドモガロフ/#斎藤工/#イッセー尾形
井上雅貴監督/井上イリーナプロデューサー
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■3.23(土)
16:15の回上映前
登壇者(予定)
#ロデオンガリュチェンコ/#山本修夢/#海老瀬はな
#イワングロモフ/#アンドレイデメンチェフ
井上雅貴監督/井上イリーナP
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■3.25(月)
18:00の回上映後
登壇者(予定)
#ロデオンガリュチェンコ
井上雅貴監督/井上イリーナプロデューサー
【ミッドランドスクエアシネマ】
■3.24(日)9:00の回上映後
登壇者
#ロデオンガリュチェンコ
井上イリーナプロデューサー/益田祐美子プロデューサー
【MOVIX京都】
■3.24(日)11:30の回上映後
登壇者
#ロデオンガリュチェンコ
井上イリーナプロデューサー/益田祐美子プロデューサー
2019年/日本/112分/DCP
配給:KADOKAWA、平成プロジェクト
★2019年3月22日(金)角川シネマ有楽町ほか全国公開
☆2019年3月16日(土)愛媛県先行公開
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