2025年02月07日

みんな笑え

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監督・脚本:鈴木太一
撮影:福田陽平
出演:野辺富三(斎藤太紋)、辻凪子(濱本希子)、渡辺哲(斎藤勘造)、片岡礼子(濱本陽子)、今野浩喜(萬大亭勘之助)、今川宇宙(米田千恵)、杉本凌士(西条宗男)、和田光沙(芳野麻未)

落語家の太紋(たもん)は、うだつが上がらないまま50歳になった。師匠である父 勘造は認知症を患って引退し、父の高座名を継いで二代目勘太を襲名した。しかし人気も野心もない彼が高座に上がると、お客は舌打ちをしていなくなる。家に帰れば、息子のこともわからなくなった父の罵詈雑言を聞きながらの介護、それも辛い。
漫才師の希子はこれまでろくにネタも練らないまま、アドリブ漫才を続けていたのを反省してネタ作りに苦戦していた。たまたま聞いた太紋の噺に、昔母がよく聞いていたのを思い出す。ネタの使用許可を得るために希子は太紋に会いに行き、師匠と呼んでついて歩く。不器用な2人は自分の芸を見つめ直すようになる。

太紋役の野辺富三さんは蜷川幸雄さんの舞台に出演していたそうで、映画初主演。これまでの出演作を観ていませんが、風貌といい、醸し出す雰囲気といい、一度で記憶に刻まれます。渡辺哲さんとの親子役もしっくりきます。
落語や漫才を生業とする方々の裏の苦労が垣間見られるのと同時に、どこにも誰にでもある親子の葛藤や人と人との繋がりが描かれていました。光の当たらないところでくすぶっている人が「これじゃいけない」と前を向くきっかけは様々ですが、同じような思いの人がたくさんいるはず。鈴木監督のコメント「映画ファン、演芸ファンのみなさん、そして日本中の「しょうもない俺」のみなさんが、 映画館のスクリーンでこの作品と共に野辺富三と出会ってくれたら嬉しいです」に共感したので、そのまま贈ります。(白)


2025年/日本/カラー/105分
配給:ナミキリズム
(C)2024 映画「みんな笑え」製作委員会
https://minnawarae.com/
★2025年2月8日(土)より新宿ケイズシネマほか全国ロードショー

posted by shiraishi at 22:55| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする