1.31(金)〜ヒューマントラストシネマ有楽町 03-6259-8608、シネ・リーブル池袋 03-3590-2126、kino cinema 立川高島屋SC館 042-512-5162他、公開
上映館情報
マレーシア・クアラルンプールのスラム地区[富都](プドゥ)
荒廃したその街でIDも与えられず、過酷な人生を強いられた兄弟がいた
監督・脚本:王礼霖 (ジン・オング)
製作:李心潔(リー・シンジエ、アンジェリカ・リー)、アレックス・C・ロー
撮影:カルティク・ビジャイ
美術:スーン・ヨン・チョウ、ペニー・ツァイ
音楽:片山涼太 ウェン・フン 主題歌:片山涼太
挿入歌:千言萬語 雲鎂鑫(ユン・メイシン)
出演
アバン:吳慷仁(ウー・カンレン)
アディ:陳澤耀(ジャック・タン)
マニー:鄧金煌(タン・キムワン)
ジアエン:林宣妤(セレーン・リム)
シャオスー:周雪婷(エイプリル・チャン)
犯罪集団のボス ブロント・バララエ
スラム街で支え合いながら生きている兄弟の物語
マレーシアの首都クアラルンプールのスラム地区「富都(プドゥ)」。荒廃したその街で、支え合って生きる兄弟の過酷な人生を描き、世界各国の映画祭で賞を受賞しているマレーシア・台湾合作映画。この地域には不法滞在者やその二世、様々な国籍、背景を持つ貧困層の人々が多く暮らしている。
その場所で、身分証明書(ID)を持たない兄アバンと弟アディは暮らしている。アバンは聾唖(ろうあ)というハンディを抱えつつ、市場の日雇いで堅実に生計を立てているが、アディは簡単に現金が手に入る裏社会の仕事をしていて常に危険と隣り合わせ。
そんなある日、実父の所在が判明したアディにはID発行の可能性が出てきた。
しかし、事件に巻き込まれ、IDを得るのに困った状況が出てきて、二人の未来に重く暗い影が忍び寄る。父も母もいないが、こんな暮らしの中、見守ってくれ、助けてくれる近所の人たちがいて、貧しいながらも二人は生きてこられた。
原題の『ABANG ADIK』(アバン アディ)はマレーシアの母国語バハサ・マレー語から来ていて、「アバン」は「兄」、「アディ」は「弟」という意味で、「兄弟」ということになるそうです。
台湾の俳優ウー・カンレンが兄アバンを熱演し、マレーシアの俳優ジャック・タンが弟アディを演じている。ウー・カンレンは、台湾の第60回金馬奨(2023)で最優秀主演男優賞を受賞。ジン・オング監督は、これまで社会派作品をプロデュースしてきたが、この作品で長編初監督・脚本を手がけた。文化的アイデンティティや、社会的不平等、政治腐敗などの問題を浮き彫りにし、マレーシア社会の複雑さを捉える視点を盛り込んだ作品。
公式HPはこちら
2023年製作/115分/PG12/マレーシア・台湾合作
配給:リアリーライクフィルムズ
2025年01月26日
映画を愛する君へ 原題:Spectateurs!
監督・脚本:アルノー・デプレシャン
出演:ルイ・バーマン、クレマン・エルヴュー=レジェ、フランソワーズ・ルブラン、ミロ・マシャド・グラネール(『落下の解剖学』)、サム・シェムール、ミシャ・レスコー、ショシャナ・フェルマン、ケント・ジョーンズ、サリフ・シセ、マチュー・アマルリック(『フレンチ・ディスパッチ』)
映画と映画館がもたらす魔法を語るシネマ・エッセイ
デプレシャンの日本初公開作『そして僕は恋をする』(96)でマチュー・アマルリックが演じた役ポール・デダリュスの一代記の形をとり、デプレシャンの分身ともいえるポールの映画人生を描く。
祖母に連れられて初めて映画館を訪れた6歳の時。14歳の時に16歳と偽って映画館に潜りこんだこと。
学生時代の映画部での上映会。22歳の時、大学で映画を学んだ記憶。
30歳になり人生の岐路に立つポールは、映画館でトリュフォーの『大人は判ってくれない』(59)を観て、評論家から映画監督に転身しようと決意した。
デプレシャンの自伝的な作品でありながら、誰もが共感し楽しめる物語。これは映画と映画館へのラブレター。
19世紀末に誕生してから現在に至るまでの映画50本以上が登場して、きっと誰しも思い出の場面に出会えることでしょう。人生の一部になっている映画があることに気づかされます。
映画館への愛もたっぷり。配信で観ることが多くなってしまいましたが、映画館という空間で観る高揚感は格別です。
デプレシャン監督の映画愛をたっぷり感じさせてくれる一作です。(咲)

フランス映画祭2010で『クリスマス・ストーリー』が上映された時に来日したマチュー・アマルリック(左)とアルノー・デプレシャン監督(右)
2024年/88分/フランス
配給:アンプラグド
公式サイト:https://unpfilm.com/filmlovers/
★2025年1月31日(金) 新宿シネマカリテほか全国順次公開
ザ・ルーム・ネクスト・ドア 原題:The Room Next Door
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
原作:シーグリッド・ヌーネス「What Are You Going Through」
出演:ティルダ・スウィントン、ジュリアン・ムーア、ジョン・タトゥーロ、アレッサンドロ・ニボラ
巨匠ペドロ・アルモドバル監督の初の長編英語作品
第81回ベネチア国際映画祭 金獅子賞受賞
安楽死を望む女性と寄り添う親友の最期の数日間
小説家のイングリッド(ジュリアン・ムーア)は、久しぶりに帰ってきたニューヨークでのサイン会で、若い頃、同じ雑誌社で一緒に働いていた親友のマーサ(ティルダ・スウィントン)が末期ガンだと共通の友人から聞かされる。戦場ジャーナリストとなったマーサとは、長い間音信不通だった。イングリッドはマーサと再会し、会ってなかった時間を埋めるように語らう日々を過ごす。そんなある日、マーサから、「もう治療はせず、自らの意志で最期を迎えたい、ついては、その日を迎えるのを見届けてほしい」と頼まれる。悩んだ末、マーサが借りた森の中の一軒家で一緒に暮らし始める。マーサは「ドアを開けて寝るけれど もしドアが閉まっていたら、私はもうこの世にはいない」と告げる・・・
戦場ジャーナリストだったマーサは、死を間近にみてきて、自身がガンで余命わずかと知った時、治療で苦しい思いをするよりも、静かに最期を迎えたいと決意します。かつての同僚で胸のうちを明かせるイングリッドに一緒にいてほしいと願い、イングリッドもまた自分にできることは寄り添って話を聞くことだと悟ります。マーサにとって、心残りは若い時に産んだ娘のミシェルとそりが合わず、何年も会ってないことでした。イングリッドがマーサのためにミシェルにしてあげたことに、涙。
死は誰にでも訪れるもの。それでも、潔く死を受け入れることはなかなかできません。死を迎えることを決意したマーサのそばで、イングリッドのほうが戸惑うのもわかります。さて、私なら? (咲)
2024 年/スペイン
配給:ワーナー ブラザース映画
公式サイト:https://warnerbros.co.jp/movies/detail.php?title_id=59643&c=1
★2025年1月31日(金)より全国公開