2024年12月13日

キノ・ライカ 小さな町の映画館  原題:CINEMA LAIKA

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(C)43eparalleleproductions

監督・脚本・撮影・編集:ヴェリコ・ヴィダク
脚本:エマニュエル・フェルチェ
出演:アキ・カウリスマキ、ミカ・ラッティ、カルッキラの住人たち、ジム・ジャームッシュ、ヘッラ・ユルッポ、マウステテュトット、ヌップ・コイヴ、サイモン・アル・バズーン、ユホ・クオスマネン、エイミー・トービン

北欧フィンランドの鉄鋼の町カルッキラ。深い森と湖と、今は使われなくなった鋳物工場しかなかった人口9000人の小さなその町に、はじめての映画館“キノ・ライカ”がまもなく誕生する。元工場の一角で自らの手で釘を打ち、椅子を取りつけ、スクリーンを張るのは映画監督のアキ・カウリスマキと仲間たち。キャデラックにバイク、ビールと音楽。まるでカウリスマキの映画から抜けでたようなその町で、住人たちは映画館への期待に胸をふくらませ、口々に映画について話しだす…。

クロアチア出身のアーティスト、ヴェリコ・ヴィダクが、妻と生後8カ月の娘を連れてカルッキラに1年間滞在し、キノ・ライカ開館までの作業を手伝いながら、映画館の誕生にわき立つ人びとの声を拾いあげたドキュメンタリー。

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©43eparalleleproductions

アキ・カウリスマキ監督が仲間たちと楽しそうに理想の映画館を作る姿が微笑ましいです。
元は労働者たちが過酷な環境の中で過ごした製鉄工場が、町の人が集う場に変貌! 
バーも併設された映画館は、映画だけでなく、美味しい食べ物も満喫できる場所。カルッキラの町では、『希望のかなた』や『枯れ葉』のロケも行われていて、ヘルシンキからも気軽に行ける距離とのこと。古い町並みも楽しめそうです。アキ・カウリスマキの世界に浸りに訪れてみたい! 夏に行けば、カウリスマキ監督ご本人に会えるらしいです。(咲)


アキ・カウリスマキの世界に浸りに訪れてみたい!と思っていたら、コラボツアーのお知らせが届きました!(12/18)

旅行会社・北欧旅行フィンツアーによるコラボツアー
【キノ・ライカとアキ・カウリスマキの世界7日間】来年6月に企画!


映画『枯れ葉』の公開記念で催行され満員御礼となった、
「キノ・ライカとアキ・カウリスマキの世界スペシャルツアー」が更にバージョンアップしたものだそうです。
冬の期間はポルトガルで過ごすカウリスマキ監督も春先にはカルッキラに戻ってきて、
キノ・ライカでコーヒーを提供したり、スタッフの一員として働いている為、ツアーで訪れた際にはそんな貴重な姿も見られるかもしれないとのこと。
ツアーの詳細は北欧旅行フィンツアーの公式サイトで発表予定。


2023年/フランス・フィンランド/フィンランド語、英語、フランス語/81分/2.00:1/6.1ch/DCP
配給:ユーロスペース 提供:ユーロスペース、キングレコード
公式サイト:http://eurospace.co.jp/KinoLaika
★2024年12月14日(土)ユーロスペースほか全国順次公開
posted by sakiko at 14:10| Comment(0) | フィンランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アイヌプリ 英題:Ainu Puri

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©2024 Takeshi Fukunaga/AINU PURI Production Committee

★2024年12月14日より ユーロスペースほか全国順次ロードショー
劇場情報

北海道の荘厳な大地で親から子へアイヌの文化を伝承する

監督・プロデューサー:福永壮志
プロデューサー:エリック・ニアリ
撮影:エリック・シライ
編集:出口景子 川上拓也
音楽:OKI
キャスト
天内重樹、天内愛香、天内基輝、天内芳樹

近年、アイヌを描いた映画がけっこう公開されている。今年(2024)はすでに、『カムイのうた』、『ゴールデンカムイ』、『シサㇺ』と3作品も公開され、『アイヌプリ』で4作目。ウポポイ(民族共生象徴空間)も、アイヌ文化復興・創造の拠点として2020年に開設され、アイヌの歴史や文化への関心が高まっていると言えるかも。

この作品は北海道白糠町で伝統的な鮭漁(マレㇷ゚漁)をはじめとしたアイヌ文化を継承し、日常生活の中で”アイヌプリ(アイヌ式)”を実践する人々を追ったドキュメンタリー。
白糠町に住む天内重樹(シゲ)は、現代人としての日々を過ごしながら、彼のやり方でアイヌプリを実践し、祖先から続く鹿狩りや、鮭を槍のような棒で突くマレㇷ゚漁の技法や文化を息子の基樹に伝えている。先祖と同じように山野からの恵みを食する生活も取り入れながら生活するシゲとその家族の日常を追い、自らのルーツを大事にしながら今を生きる彼らの姿に迫る。

監督は、デビュー作『リベリアの白い血』(15)でリベリアを描き、2作目の『アイヌモシリ』(20)で、阿寒湖のアイヌコタンで暮らす少年の成長を通して現代のアイヌ民族のリアルな姿を描いた福永壮志。「この『アイヌモシリ』の撮影の時にシゲさんと出会い、いつか映像に収めたいと思ったのがこの映画の始まりです。2019年から少しずつ、シゲさんとその家族、友達の日常を撮影させてもらいました」と語っている。『アイヌモシリ』で2020年トライベッカ映画祭インターナショナル・ナラティブ・コンペティション部門の審査員特別賞、『山女』(23)でTAMA映画祭最優秀新進監督賞を受賞。米ドラマ・シリーズ「SHOGUN 将軍」(ディズニープラス)では7話、「Tokyo Vice S2」の5話・6話の監督を務めた。『アイヌプリ』は第37回東京国際映画祭(2024)でも上映された。
アイヌの伝統楽器トンコリ演奏の第一人者OKIが音楽を手がけている。

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©2024 Takeshi Fukunaga/AINU PURI Production Committee


去年(2023)『チロンヌㇷ゚カムイ イオマンテ(キタキツネの霊送り)』というドキュメンタリー作品を観た。これは、1986年に屈斜路湖を望む美幌峠で、75年ぶりに「チロンヌプカムイ イオマンテ」が行われ、それを記録したもの。狩猟民族であるアイヌ。動物は自らの肉や毛皮を土産にして人間の国へやって来るとされ、キタキツネを我が子のように育てる。そのキタキツネに祈りを捧げ、歌や踊りで喜ばせ、土産を背負わせて神の国へ送る「イオマンテ」を執り行っていた。それに至る作業、道具作りなどが映されていたが、その作業と同じ作業がこの作品の中でも出てきた。例えば、木の枝を削って、木の皮を花のような形にする作業や、踊りのシーンなど、地域は違っても、アイヌに古くから伝わる儀式が、ここでも記録されていた。シゲさんが何かの申請を何か所かに出していたが、それは鮭を採るための許可願いのようなものだった。そして彼はいう。まるで「ひさしを貸して母屋を取られた」ようなものというような表現をしていて、ほんとにそうだなと思いアイヌを抑圧してきた日本の政策を思った。アメリカのインディアンもそうだし、ハワイの原住民もそうだし、そういうことは世界各地の先住民に起こっている(暁)。

大お祖父ちゃんお祖母ちゃんの時代は、アイヌ語はしゃべっちゃいけない、お祖父さんお祖母さんの時代はしゃべれた。お母さんは単語しか知らない。そんなシゲさんは幼児期、イヌだ!とからかわれて、地元・白糠でアイヌの踊りを踊れなくなったという。それが、今では堂々とアイヌ民族であることを誇り、息子の基樹にアイヌプリを伝えています。基樹くんは、アイヌであることをカッコいいと言っていて、なんだか私も嬉しくなります。
鮭を頭を下にして持って、頭をポンと叩いて絶命させるのですが、「ごめんね」という基樹に、「ありがとうだよ」とシゲさん。あらゆるものにカムイ(神)が宿っていて、そのカムイへの感謝という次第。
アイヌは先住民族として認められたものの、奪われた土地については日本の法では言及されていません。「いきなり人の家に入ってきて、今日から俺ん家だけど、隅っこに住んでていいよというようなもんだ。水を使うのもいちいち許可を貰わないといけない」と、アイヌ伝統のマレク漁を毎年許可を取る時に嘆くシゲさん。こんな思いをしてまで伝統を守る人たちがいることに胸が熱くなりました。(咲)



2024年製作/82分/G/日本
配給:ナカチカピクチャーズ
公式サイト:https://ainupuri-movie.jp/

第37回東京国際映画祭 『アイヌプリ』Q&A
福永壮志監督と音楽担当のOKI
https://2024.tiff-jp.net/news/ja/?p=65000

シネマジャーナルでは、初監督作の『リベリアの白い血』で福永壮志監督にインタビューしています。記事はこちら
posted by akemi at 07:32| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

はたらく細胞

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監督:武内英樹
脚本:徳永友一
原作:清水茜、原田重光、初嘉屋一生
音楽:Face 2 fAKE
主題歌:Official髭男dism「50%」
出演:永野芽郁(赤血球AE3803)、佐藤健(白血球U-1146)、芦田愛菜(漆崎日胡)、阿部サダヲ(漆崎茂)、山本耕史(キラーT細胞)

人間の身体は37兆もの細胞でできている。酸素を運ぶ赤血球、最近と戦う白血球、そのほか無数の細胞たちが私たちの健康と命のために夜昼なく全力ではたらいている。高校生の漆崎日胡(うるしざきひこ)は父の茂と二人暮らし。真面目で健康的な生活を送る日胡の細胞たちは毎日楽しくはたらいている。父の茂は日胡の心配をよそに不摂生を繰り返し、茂の細胞たちは不満たらたら。この親子を病原菌が狙っていた。細胞たちの最大の闘いが幕を開ける!

シリーズ累計発行部数が950万部というメガヒット漫画。2018年にはアニメ化され、人気が上がるにつれてスピンオフ漫画、小説、舞台と拡大していった作品です。人間の体の中で働くたくさんの細胞たちは擬人化され、病原菌との闘いが展開されます。様々な細胞の種類、働きがとてもよくわかりお子様から大人まで楽しめます。
2023年ワーナー・ブラザース映画が100周年を迎え、このビックプロジェクトが始動。登場人物が書ききれないほど多いので、あの人この人を見つけてください。誰とはすぐわからないメイクや奇抜な衣装もお楽しみのひとつ。居並ぶたくさんの出演者の景観をはてどこかで観たような、と考えたら『翔んで埼玉』『テルマエ・ロマエ』の竹内英樹監督がメガホンをとっていたからでした。
「るろ剣」を思い出してしまう佐藤健さんのアクション、今回のアクション監督は大内貴仁さん、「るろ剣」ではスタントコーディネーターだったんですね。『亜人』『HiGH&LOW』も手掛けています。アクションに笑い、ためになる知識・・・とっても派手な映画の中にちゃんと胸アツなストーリーがあり、いつのまにか涙がにじんできました。(白)


2024年/日本/カラー/分
配給:ワーナー・ブラザース ジャパン合同会社
(C)清水茜/講談社 (C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 (C)2024映画「はたらく細胞」製作委員会
https://wwws.warnerbros.co.jp/saibou-movie/
https://x.com/saibou_movie
★2024年12月13日(金)より全国ロードショー
posted by shiraishi at 00:00| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

市民捜査官ドッキ(原題:시민덕희 /英題:CITIZEN OF A KIND)

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監督・脚本:パク・ヨンジュ
撮影:イ・ヒョンビン
音楽:ファン・サンジュン
出演:ラ・ミラン(ドッキ)、コンミョン(ジェミン)、ヨム・ヘラン、パク・ビョンウン、チャン・ユンジュ、イ・ムセン、アン・ウンジン

シングルマザーのドッキのクリーニング店が火事に遭った。なんとか店を立て直したいドッキは、銀行のソン代理の融資の話に飛びついた。融資のために必要だという手数料を言われるまま送金する。その後連絡が途絶えたので銀行に相談に行くと、ソン代理という人物は存在しなかった。振り込め詐欺だったとやっと気づくが、一文無しになり家賃も払えなくなった。落ち込むドッキにソン代理を名乗った男から電話が入った。文句をまくしたてるドッキに、詐欺集団の情報を提供するから警察へ通報して助けてほしいと懇願する。

名もなき市民が極悪詐欺集団に立ち向かった、39日間の大捜査線!
実際に2016年に起きた振り込め詐欺事件をモチーフにしていると聞いて驚きました。振り込め詐欺に遭った一般市民が、詐欺組織のメンバーからのSOSで、警察に相談しますがとりあってもらえません。そこで諦めるのでなく、素人ながら仲間と詐欺集団に近づいていきます。
危険すぎる~と思うのですが、ドッキを演じるのはベテランのラ・ミラン。このおばちゃんならいけるかも、と謎の信頼がわいてきます。ドッキを騙した詐欺集団の一員はジェミンという若者。『エクストリーム・ジョブ』で刑事役だったコンミョンが演じています。
巧妙に作られた集団は、高額報酬という惹句につられてきた若者を次々と補充し、彼らの個人情報を握って囲い込みます。今も世界中に散らばって、犯罪を繰り返していますが、なかなかトップまで迫れません。トカゲのしっぽのように末端を切り捨てていきます。そんな内側とドッキたちの奮闘ぶりを楽しめる作品です。(白)


2024/韓国/カラー/シネマスコープ/114分/DCP5.1ch
配給:クロックワークス
© 2023 SHOWBOX, PAGE ONE FILM AND C-JES STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.
https://klockworx.com/movies/duk-hee/
★2024年12月13日(金)より全国ロードショー

posted by shiraishi at 00:00| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする