2024年12月08日

ホワイトバード はじまりのワンダー  英題:White Bird

2024年12月6日(金)よりTOHOシネマズ系にて全国公開
劇場情報
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(C)2024 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC. All Rights Reserved.

勇気あるやさしさは、人々を変えることができる

監督:マーク・フォースター
脚本/エグゼクティブ・プロデューサー:マーク・ボンバック
原作/エグゼクティブ・プロデューサー:R・J・パラシオ
キャスト
少女時代のサラ:アリエラ・グレイザー
サラを助ける同級生ジュリアン:オーランド・シュワート
ジュリアンの母親役:ジリアン・アンダーソン
サラの孫のジュリアン:ブライス・ガイザー
祖母サラ役:ヘレン・ミレン

大ヒット作『ワンダー 君は太陽』のもうひとつの物語
あれから6年、過ちをおかしたジュリアンの〈おばあちゃん〉が教えてくれる


2018年、「人に親切にする。そんなシンプルなことで、人々の心を変えることができる」というメッセージを、世界中の人々がオギーという10歳の少年から感動を受け取った。全世界1500万部突破のベストセラー小説シリーズ「ワンダー」を映画化した『ワンダー 君は太陽』である。普通ではない見た目で生まれてきたオギーが、初めて通い始めた学校でいじめや裏切りにあい、何度もくじけそうになりながらも、家族に支えられ困難に立ち向かっていく。「正しいことよりも親切なことを選ぶ」という台詞が、多くの人々の心に深くしみわたった。

いじめた側の救済まで描かなければ「ワンダー」の真の世界観は完結しないという作者R・J・パラシオの思いが、「ワンダー」のアナザーストーリー「ホワイトバード」を書き上げた。主人公は、ワンダー」でオギーをいじめた少年ジュリアン。もう一人の主人公は、ジュリアンのおばあちゃん。孫の行く先を心配し、希望に満ちた未来へと導くために、自ら封印してきた「衝撃の過去」を告白するという物語。その思いにに胸を打たれた『ワンダー 君は太陽』のプロデューサーたちが再集結、「ホワイトバード」の映画化を実現させた。

画家として成功したジュリアンの祖母サラ。自分の回顧展のため、フランスからジュリアンのいるアメリカにやってくる。いじめによって学校を退学処分になったジュリアンの行く末を案じたサラが、居場所を失ったジュリアンのため、自らの経験を語る。

1942年、ナチス占領下のフランスで、ユダヤ人であるサラと彼女の両親に危機が近づいていた。ナチスがサラの学校に押し寄せ、ユダヤ人生徒を集め連行するが、サラはクラスメイトのジュリアンに助けられ、彼の家の納屋に潜伏することになる。足が不自由なため、クラスでいじめられていたジュリアンに何の関心も払わず、名前すら知らなかったサラだったが、ジュリアンと両親は命がけでサラを守ってくれた。1年以上、納屋に匿われている間にサラとジュリアンには信頼と絆も生まれた。連合艦隊が近づき終戦も近いというニュースが流れるのだが、その日、ジュリアンは、学校に通うのにいつも通っている裏道ではなく、表通りを行き、ナチスに捕まってしまった。ナチスは障害者や病人も役にたたない人間として捕まえていた。これは、人の命を救うため「命をかけた親切」の物語。

監督は、『ネバーランド』『チョコレート』のマーク・フォースター。『クィーン』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンがジュリアンの祖母サラを演じ、『ワンダー 君は太陽』でいじめっ子ジュリアンを演じたブライス・ガイザーが孫のジュリアンを続投。少女時代のサラは『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』のアリソン・グレイザー、サラを助ける同級生ジュリアンは『トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング』のオーランド・シュワートが演じた。

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(C)2024 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC. All Rights Reserved.


ナチスが通ったところは支配下になっていったということを改めて認識した。仲が良かったクラス仲間たちが、ナチスが来ることによって、一瞬にしてわかれてしまった。これは過去のことと言ってられない。現代だってある。何が真実か、信じる物や人を判断する能力を養わなくては。それにしても、ヘイトスピーチなどを行う人に、その思考を考えなおしてもらうのは容易なことではない。寛容な心を持つことも必要なのに相手を非難してばかりの人の言動に、なんでそういう風に考えるの?と、いつも辟易している。
この映画の中では、サラに好意を持っていたと思われる同級生がナチスの思想に染まり、彼女を追い詰める立場にもなっていく。それに対して、彼らにいじめられていたジュリアンは、ナチスが来てもなびかない。そしてサラの窮地を救ってくれ、自宅の納屋に匿ってくれた。両親もそういう心の持ち主で、1年以上も隠れていることができた。それにしても最後のほうの意外な展開にはびっくり。大家さんに密告されるかもしれないと思いながら暮らしていたのに、その大家さんもユダヤ人を匿っていたなんて。そして命を救ってくれたジュリアンのことも。どういう選択が命を長らえるか、あるいは縮めるか、とても考えさせられる作品だった(暁)。


2024年製作/121分/G/アメリカ
配給:キノフィルムズ

『ホワイトバード はじまりのワンダー』は第37回東京国際映画祭2024で上映された上映時のQ&A 動画
マーク・フォースター監督、エグゼクティブ・プロデューサー レネ・ウルフ
https://www.youtube.com/watch?v=KKDVG-DGodo
posted by akemi at 19:05| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする