2024年12月31日

鹿の国

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(C)2025 Visual Folklore Inc.

監督:弘理子 
プロデューサー:北村皆雄 
語り:能登麻美子・いとうせいこう 
音楽:原摩利彦 
出演:中西レモン・吉松章・諏訪の衆 
芸能監修:宮嶋隆輔 
太鼓:塩原良 笛:愛蓮和美

日本最古の神社の一つ、諏訪大社。
捧げられた75頭の鹿の首、生き神とされた少年…
諏訪大社の撮影協力を得て、初めてその謎と秘儀に迫る。


はるか昔、大地が引き裂かれることで誕生した巨大なくぼ地、諏訪盆地。
諏訪大社では、年間200回を超える祭礼が行われている。
重要神事で降ろされる古い神・ミシャグジ。そして神事に欠かせないとされた鹿の生贄……。この地域の人たちにとって、鹿とはどんな存在なのか?

ネパールやチベットで生と死の文化を追ってきた監督・弘理子(ひろ・りこ)は、四季の祭礼を追ううち、そこにあるいのちの循環への原初の祈りに気づく。そして、長らく畏怖と謎に包まれてきた中世の「御室神事(みむろしんじ)」の再現に挑む。厳冬の3カ月間、神域の穴倉に籠められた生き神・少年大祝(おおほうり)の前で繰り広げられた芸能とは?そして春4月、化粧を施されて出現する大祝に捧げられた75頭の鹿の首の意味とは?冬から春へ、死から再生へ。美しい四季とともに3年をかけて描き出された、現代社会を生きる私たちが忘れかけていた原初の祈りの姿。

諏訪大社には、何度か訪れたことがあるのですが、年間200以上もの神事が斎行されていることを知りませんでした。7年目ごとに行われる御柱祭が有名ですが、なにしろ7年に1度ですから、その機会に訪れるのはなかなか大変です。
この映画を観て、諏訪大社では実に魅力的な神事が数多く行われていることがわかりました。もちろん神事ですから、一般に公開されていないものもあることと思います。
諏訪大社公式サイト:https://suwataisha.or.jp/  こちらで、予定を確認して、ぜひ訪れてみたいです。
鹿というと奈良が思い浮かびますが、諏訪にも多くの鹿がいることを知りました。(余談ながら、去年の夏に訪れた北の果て稚内・宗谷岬にも鹿がたくさんいて、ここは奈良か?と思ったのでした)
「鹿なくして御神事はすべからず」とのこと。一方で、70名もの僧侶を諏訪大社の神域に迎え入れて行う行事もあって、神仏習合の歴史を感じさせられました。
心が洗われるような映画で、お正月に観るのにふさわしいです。(咲)



2025年/日本/98分/カラー/日本語/DCP
製作・配給:ヴィジュアルフォークロア
助成:文化庁文化芸術信仰費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
公式サイト:https://shikanokuni.vfo.co.jp/
★2025年1月2日(木)よりポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー



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いもうとの時間

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©東海テレビ放送

プロデューサー:阿武野勝彦
監督:鎌田麗香
音楽:本多俊之、鈴木よしひさ 
音楽プロデューサー:岡田こずえ
編集:奥田繁
撮影:坂井洋紀 米野真碁
音効:久保田吉根
ナレーション:仲代達矢

46年にわたる東海テレビ「名張毒ぶどう酒事件」シリーズ“最終章”

兄の無罪を信じて64年―
いつか真実が分かるその日まで、「いもうと」は生きる。

1961年、三重と奈良にまたがる集落・葛尾で凄惨な事件が起こった。村の懇親会で振舞われたぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡。
犯人と目されたのは、奥西勝(当時35歳)。客観的証拠はなく、あるのは自白調書のみ。一審判決では無罪を勝ち取ったが、二審では一転して死刑判決が言い渡される。以降、無実を訴え続けるも、奥西は89歳で獄中死した。
被告が亡くなった名張事件で再審請求を引き継いだのは妹の岡美代子。弁護団を結成し、新証拠を出し続けるが、再審の扉は開かない。遂に10度目の再審請求も幕を閉じ、棄却され続けた月日はなんと半世紀。再審請求は配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹しかできない。美代子は現在94歳。美代子がいなくなれば、事件は闇の彼方に消える。残された時間はそう長くはない。それでも兄の無罪を信じ、長生きを誓う。あまりにも長く辛い「いもうとの時間」は果たしていつまで続くのか。

犯人として逮捕され、一審判決で無罪となるも、二審で死刑判決。その後の再審請求が棄却され続けた経緯が丁寧に語られます。そこからは、奥西さんが冤罪であることを確信させられるのですが、真犯人と目される人物については何も言及されません。葡萄酒に農薬を入れた張本人は、誰からも疑われずに、奥西さんが逮捕されたことに安心して、ほくそ笑んだまま人生を送っていることになります。
獄中で亡くなった兄の嫌疑を晴らそうと、今も闘い続ける岡美代子さん。心穏やかに過ごせる日が訪れますように・・・(咲)


2024年/89分/日本/ドキュメンタリー/DCP
製作・配給:東海テレビ放送
配給協力:ポレポレ東中野
宣伝:ブライトホース・フィルム
公式サイト:https://pole2.work/imouto
★2025年1月4日(土)よりポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町にてロードショー!




posted by sakiko at 02:56| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月26日

占領都市  原題:OCCUPIED CITY

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(c) 2023 De Bezette Stad BV and Occupied City Ltd. All Rights Reserved.

監督:スティーヴ・マックイーン(『それでも夜は明ける』)
原作:ビアンカ・スティグター「Atlas of an Occupied City (Amsterdam 1940-1945)」 
製作総指揮:ダニエル・バトセク、ベン・コレン、オリー・マッデン、ヤリフ・ミルチャ、マイケル・シェイファー 
製作:フロア・オンラスト、アンナ・スミス=テンサー 
撮影:レナート・ヒレッジ 
編集:ザンダー・ナイステン 
録音:ヨス・テン・クロスター 
整音:ヤン・シェルマー ナレーション:メラニー・ハイアムズ 
音楽:オリバー・コーツ(『aftersun/アフターサン』)
ナレーション:メラニー・ハイアムズ

オランダの首都アムステルダム。運河が流れる「水の都」として知られる風光明媚なこの街には、第二次世界大戦中の1940年5月から5年間、ナチス・ドイツの占領下におかれた恐怖の記憶がある。人々は人権や言論の自由を奪われ、ユダヤ人を中心に多くの犠牲者が出た。「アンネの日記」で有名なアンネ・フランクのように強制収容所へ移送された人は10万7千人。統計では、その内の実に10万2千人が虐殺されたとされている。
「二度とこうした歴史を繰り返さないために」と映画化を構想したのは『それでも夜は明ける』でアカデミー賞(R)作品賞・助演女優賞・脚色賞の3部門を受賞した英国出身の映画監督スティーヴ・マックイーン。製作はA24、歴史家で妻のビアンカ・スティグターが2019年に著した「Atlas of an Occupied City (Amsterdam 1940-1945)」を原作とし、4時間11分の大作ドキュメンタリーとして完成させた。
アムステルダムを第二の故郷として暮らすマックイーンが目指したのは、単なる知識や情報としてではなく、場所をして語らしめ、当時の記憶を鮮烈に蘇らせるような映画。アーカイブ映像の使用やインタビューによる回想はあえて使わず、35mmフィルムで130ヶ所にも及ぶ「現場」を正確に捉えることで、計り知れぬ恐怖の日々を体感させる。

映し出されるのは、2020年のコロナ禍のアムステルダム。通りから人の消えた町。それは、ナチスの支配下となって、人々が凍りついた町を彷彿させてくれます。それでも、緑豊かな運河の町には、時折、子どもたちの遊ぶ姿もあって平穏そのもの。
ナレーションを担当したメラニー・ハイアムズが、沈着冷静に、映し出される場所で、80年以上前に何があったかを具体的に語ります。
ユダヤ人を匿った人が公開処刑される様子を、無理やり庶民に見せた広場。教会の鐘のほとんどが溶かして武器にするために没収されたこと。父親が非ユダヤ人で、ユダヤの母親との間に生まれたカルマイヤー印(部分的ユダヤ人)の娘たちが、スカートをたくしあげて歩かされ、ユダヤ人の脚かどうか確認させられたこと。
異民族と結婚したユダヤ女性が不妊手術をさせられた病院跡・・・
ユダヤ人だけでなく、ロマや共産主義者、フリーメイソン、エホバの証人、同性愛者なども粛清の対象だった当時のアムステルダム。残忍な出来事も淡々と語られて、逆にぐっさりと心に響きました。
それでも最後には、新しく美しいシナゴーグで、バル・ミツバ(成人式)の練習をしていたユダヤ人の少年たちが、ドアから飛び出してきて、明るい希望を感じさせてくれました。(咲)



2023年/イギリス、オランダ、アメリカ /英語(一部オランダ語)/251分/スタンダード/カラー/5.1ch/G
日本語字幕:松田千絵
提供:TBSテレビ 
配給:トランスフォーマー、TBSテレビ
公式サイト:https://www.transformer.co.jp/m/senryotoshi/
★2024年12月27日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町ほか全国ロードショー




posted by sakiko at 10:10| Comment(0) | オランダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

中島みゆきコンサート「歌会VOL.1」 劇場版

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(C)2024 YAMAHA MUSIC ENTERTAINMENT HOLDINGS, INC.

2024年12月27日(金)全国ロードショー 上映劇場情報

中島みゆきが4年ぶりのコンサートで披露した19曲がスクリーンに甦る

新型コロナウイルスの拡大により、2020年の『中島みゆき 2020ラスト・ツアー「結果オーライ」』は、ツアー途中で公演中止を余儀なくされ“幻のラスト・ツアー”になっていたが、今年2024年、4年ぶりに東京・大阪にて16公演開催された『中島みゆきコンサート「歌会VOL.1」』。そのコンサートがまた映画になった。『中島みゆきコンサート「歌会VOL.1」 劇場版』となって、迫力の5.1chサラウンドにて、全国の映画館の大スクリーンに甦ります!
アニメーション映画『アリスとテレスのまぼろし工場』の主題歌「心音(しんおん)」、TVドラマ「PICU 小児集中治療室」の主題歌「倶(とも)に」、「プロジェクトX」の主題歌「地上の星」、「Dr.コトー診療所」の主題歌「銀の龍の背に乗って」、倉本聰脚本の「やすらぎの郷」の主題歌「慕情」など、全19曲を披露したコンサートの模様を、迫力の5.1chのサラウンドで上映。会場の最前列にいるかのような臨場感で、中島みゆきの最新コンサートが体感できる。

《上映全19曲》
はじめまして/歌うことが許されなければ/倶(とも)に/病院童(びょういんわらし)/銀の龍の背に乗って/店の名はライフ/LADY JANE/愛だけを残せ/ミラージュ・ホテル/百九番目(ひゃくきゅうばんめ)の除夜(じょや)の鐘(かね)/紅い河/命のリレー/リトル・トーキョー/慕情/体温/ひまわり“SUNWARD”/心音(しんおん)/野うさぎのように/地上の星

2024年製作/117分/G/日本
配給:ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス



・入場料金:前売:3,000円(税込) 当日:3,300円(税込)
・前売券 11月1日(金)より発売中!
 ムビチケカード:取扱い劇場⇒ 
 https://www.major-j.com/cinema_information.php?id=M83131153874
 ムビチケオンライン:https://mvtk.jp/film/087233
 セブンイレブン(マルチコピー機)
 ファミリーマート(マルチコピー機)
 ローソン、ミニストップ(Loppi)

▼上映館等の詳細は劇場版サイトまで
▼中島みゆき公式サイト
予告編

なかなかチケットが取れない中島みゆきのコンサート。前回(2020)の「結果オーライ」は、結局チケットが取れなかったのですが、今回(2024)の「歌会VOL.1」はやっとチケットが取れました。でもなんと、東京国際フォーラムAの一番後ろの席。しかも双眼鏡を忘れてしまったので、ほんの小さくしか見ることができませんでした。それが今回も映画になりました。アップもあるので歌っている表情も見ることができます。手の動きや、みゆきさんの息遣いも伝わってくることでしょう。楽しみです(暁)。
posted by akemi at 06:05| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月25日

神は銃弾(原題:GOD IS A BULLET)

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監督・脚本:ニック・カサヴェテス
原作:ボストン・テラン「神は銃弾」(文藝春秋刊)
音楽:アーロン・ジグマン
出演:ニコライ・コスター=ワルドー(ボブ・ハイタワー)、マイカ・モンロー(ケース)、カール・グルスマン(サイラス)、 ジェイミー・フォックス(フェリーマン)

クリスマスの夜、警察官ボブ・ハイタワーの元妻とその夫が惨殺され、14歳の愛娘ギャビが姿を消した。一人暮らしのボブと電話で話したばかりだった。手を下したのは、悪魔のようなカルト集団「左手の小径」らしい。ギャビは無事なのか?絶望と怒りかられたボブは、かつてカルトに誘拐され生還した女性、ケースを探し出す。傷ついた彼女はようやくジャンキーから立ち直ったところだった。初めは口を閉ざすが、悩んだ末ボブに手を貸すと連絡してきた。警察も法律も力が及ばないカルト集団に近づくため、ボブは仕事をやめてケースの言うままにタトゥーを入れる。

父親が命がけで娘を探し、救い出そうとするストーリー。警察官とはいえ、内勤で事務職。腕っぷしも強いとはいえない。同僚は止めますが、ボブは今の生活を捨て背水の陣をしきます。頼りとするのはケースただ一人。子どものときに拉致されて、カルト集団の中で育ち死んだ方がましだと思う体験をした女性です。他人のためにそこへ戻るという決断ができるのかー。この強いヒロインに『ドラゴン・タトゥーの女』を思い出しました。
この世の悪がみな集まったような集団を相手に、戦っていく二人を2時間半余り見続けてぐったり。バイオレンス描写に弱い人はご注意。
「このミステリーがすごい!」2002年版海外編で第1位を獲得した、ボストン・テランの同名ベストセラー小説が原作。1999年のデビュー作だそうです。日本での出版は2001年。(白)


2023年/アメリカ/カラー/シネスコ/156分/R15+
配給:クロックワークス
Copyright (C) 2023 By GIAB Productions LLC. All rights reserved
https://klockworx.com/movies/giab/
★2024年12月27日(金)より公開

posted by shiraishi at 23:25| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

私にふさわしいホテル

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監督:堤幸彦
原作:柚木麻子「私にふさわしいホテル」(新潮文庫刊)
脚本:川尻恵太
音楽:野崎良太(Jazztronik)
主題歌:奇妙礼太郎「夢暴ダンス」(ビクターエンタテインメント)
出演:のん(加代子)、田中圭(遠藤道雄)、滝藤賢一(東十条宗典)、田中みな実(明美)、服部樹咲(有森光来)、髙石あかり(東十条美和子)、橋本愛(書店員)橘ケンチ(EXILE)(俳優)、光石研(支配人)、/若村麻由美(東十条千恵子)

新人賞を受賞した中島加代子、夢見た華々しいデビューがすぐそこに。しかーし大御所作家・東十条宗典の酷評により、小説を発表する場も得られず単行本もない!失意の加代子は自腹で憧れの「山の上ホテル」に宿泊する。文豪が愛したこのホテルで加代子は良い作品を書くつもりだ。ところが、大学の先輩で編集者の遠藤が訪ねてきて、にっくき東十条がこの上階にカンヅメになっていると知った!
恨みが再燃した加代子は、東十条の執筆の邪魔をして原稿を落とさせ、自分の原稿を押し込もうと画策する。あの手この手で計画を成功させ、次なる対決へと駒を進める。

奇想天外な作戦にそんなアホな、と呆れるなかれ。のんさんの魅力がさく裂、くるくる変わる表情、夢をあきらめずに挑戦していく加代子がぴったりです。出世魚ばりにペンネームを変え、そのたびに全く違う雰囲気・衣装で登場します。このスタイリストも「のん」さんで同じ名前。ややこしいので、のんさんは役名の「加代子」で呼ぶようになったとか。現場の楽しさがそのまま作品にも表れているようです。
受けて立つ大御所作家・東十条を滝藤賢一さん、このモデルはあの作家先生か?といろいろ想像させる演じっぷりです。加代子が先輩と慕い、頼りにしていた遠藤を田中圭さん、理不尽な文学界を泳ぎ切る世渡り上手な編集者が板についています。そのパパの上をいくのが賢い娘たちで、笑いました。
柚木麻子さんの小説では『伊藤くん A to E』が2018年に映画化、これは男性一人をめぐる女性たちの恋模様。今回は摩訶不思議な文壇の端っこにつかまって奮闘する女性小説家。柚木さんもデビュー以来こんなご苦労をされたのかと想像してしまいました。本作は「山の上ホテル」(今年の2月に休館)で撮影された貴重な作品でもあります。(白)


2024/日本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch98 分/G
配給:日活/KDDI
企画協力:新潮社 特別協力:山の上ホテル
(C)2012 柚木麻子/新潮社
(C)2024「私にふさわしいホテル」製作委員会
https://www.watahote-movie.com/
https://x.com/wands_movie
★2024年12月27日(金)より全国ロードショー


posted by shiraishi at 23:01| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ(原題:I Like Movies)

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監督・脚本:チャンドラー・レヴァック
撮影:リコ・モラン
美術:クラウディア・ダロルソ
編集:シモーン・スミス
音楽:マレー・ライトバーン
出演:アイザイア・レティネン(ローレンス・クウェラー)、ロミーナ・ドゥーゴ(アラナ)、クリスタ・ブリッジス(テリ)、パーシー・ハインズ・ホワイト(マット・マカーチャック)

2003年。カナダの田舎町で暮らすローレンスは、映画が生きがいの高校生。社交性がなく周囲の人々とうまく付き合えず問題をおこしがちだ。彼はニューヨーク大学に入学して、トッド・ソロンズから映画を学ぶことを夢見ている。たった一人の友達マットと毎日つるみながらも、これは仮の姿、ここから出てニューヨークで全く違う新しい自分になりたいと思っている。母子家庭の彼は高額な学費を自分でも働いて貯めようと、地元のビデオ店「Sequels」でアルバイトを始めた。
かつて女優を目指していた店長のアラナや同僚などさまざまな人と出会い、これまでと違う世界が拡がった。しかし、ローレンスは自分の将来を不安に思うあまり、身近な人を傷つけてしまう。

青春あるある、しかしイタイ、わが身を振り返ってしまう共感度高い作品。ローレンスは映画おたくで、かなりクセの強い作品が好み。お客に薦めたのがトッド・ソロンズ作品。私は『トッド・ソロンズの子犬物語』一本しか観ていませんが、人が描かないことをあえて描き、後味の良くない作品もあり、好みが分かれるところです。一般受けしないけれどローレンスのようなマニアには受けるのでしょう。
ローレンスは好きなことにはとことんハマりますが、自分のことでいっぱいで人の気持ちおかまいなしなところがあります。余計なことを言ったり、しちゃったりのトラブルメーカーです。あっ、なんだか自分を観ているような…。バイト先で大人にもまれて少しずつ成長するローレンスを見守りたくなりました。
バンクーバー映画批評家協会賞で最優秀カナダ映画賞など4部門を受賞(白)


2022年/カナダ/カラー/99分
配給:イーニッド・フィルム
(C)2022 VHS Forever Inc.All Rights Reserved.
https://enidfilms.jp/ilikemovies
★2024年12月27 日(金)より全国ロードショー

posted by shiraishi at 22:58| Comment(0) | カナダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月22日

苦悩のリスト 原題:The List ★「ヴィジョン・オブ・マフマルバフ」

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(C)Makhmalbaf Film House

監督:ハナ・マフマルバフ(『ハナのアフガンノート』『グリーンデイズ』)
撮影:ハナ・マフマルバフ
プロデューサー:メイサム・マフマルバフ
製作:マフマルバフ・フィルム・ハウス
出演:モフセン・マフマルバフ、マルズィエ・メシュキニ、メイサム・マフマルバフ、ハナ・マフマルバフ、ハナの子ども

2021 年 米軍撤退~タリバン再侵攻
その恐怖政治から逃れられるのはほんのわずかな人々だけ
膨大なリストの中から、誰を助けるのか ―


2021 年 5 月、アフガニスタンからのアメリカ軍撤退を契機にタリバンが再侵攻を開始、国外脱出しようとする市民で空港はパ ニックに陥った。7 月には全土を掌握したタリバンからの迫害や処刑等、生命の危機に直面したアーティストや映画製作者を救うための救援グループが発起。モフセン・マフマルバフ監督はじめファミリーも約800人の「リスト」を元に各所への呼びかけしてゆく中、リストから人数を絞らなければならないという苦渋の選択を迫られる...。
パニックに陥る空港周辺の市民たちと、遠く離れたロンドンで交渉に当たるマフマルバフ監督らが追い詰められてゆく状況が交差する、緊迫のポリティカルドキ ュメンタリー。

マフマルバフ一家も、イランからパリを経てロンドンに逃れている身。ロンドンの自宅から、電話とパソコンを駆使して必死になって国外脱出を手助けしようとする一家の姿を、末娘ハナが映し出しています。「おじいちゃん、おばあちゃん」のまわりをうろつく幼い子どもたちが可愛い。ハナの兄メイサムも、おじさんになったなぁ~と、マフマルバフ一家の今に感慨深いものがありました。(咲)

去年、山形国際ドキュメンタリー映画祭で観た時の緊迫感が忘れられない。カブールの空港に押し寄せ脱出を試みようとする人々。それらの人々すべてを脱出することはできない。苦悩のリスト作りと、忙しく交渉をするマフマルバフ監督の姿やサポートする兄メイサムの姿を映像に収めたハナ。きしくもこれは、アフガニスタン、カブールでの状況も映し出した。脱出する人々に手を貸すマフマルバフ一家の姿を観ながら、ハラハラドキドキするしかない自分を恥じた(暁)。

2023 プサン国際映画祭 正式出品
2023 山形国際ドキュメンタリー映画祭 クロージング作

2023/イギリス、アフガニスタン、イラン/67 分/カラー/DCP/英語、ペルシャ語
配給:ノンデライコ
企画:スモールトーク
公式サイト:http://vision-of-makhmalbaf.com/
★2024年12月28日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて


posted by sakiko at 21:29| Comment(0) | イラン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

子どもたちはもう遊ばない 原題:Here Children Do Not Play Together  ★「ヴィジョン・オブ・マフマルバフ」

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(C)Makhmalbaf Film House

監督:モフセン・マフマルバフ(『カンダハール』『パンと植木鉢』他)
撮影:シャディ・ジャミル・ハビブ・アラー、モフセン・マフマルバフ
編集:マルズィエ・メシュキニ
音響:ハナ・マフマルバフ
プロデューサー:メイ サム・マフマルバフ
製作:マフマルバフ・フィルム・ハウス
出演: アリ・ジャデ、ベンジャミン・フライデンバーグ、アディ・ニッセンバウム、エルサレムの市民たち

2023 年 恐怖と憎悪が極限化するパレスチナとイスラエル
分断の象徴であるエルサレムの深層へと潜ってゆく
旧市街の日常から見えてくる紛争の根源とかすかな希望


映画のロケハンでエルサレムを訪れたマフマルバフ監督。ユダヤ、キリスト教、イスラームの3つの宗教の聖地である歴史ある町を彷徨いながら、出会ったパレスチナ人やユダヤ人の語る姿をスマートフォンに収めていく。 ロシアから移民してきたユダヤ女性は、教育システムがそれぞれの宗教ごとになっているために分断されていると語る。数少ない異教徒が一緒に学ぶ学校にも足を運ぶ。そこの卒業生は友人に銃を向けたくないと兵役に就きたくないという。
2023 年 10 月のハマス襲撃後、イスラエルの激しい報復が続く。長年続くイスラエルとパレスチナの紛争に解決の糸口はあるのか・・・

アフリカ系パレスチナ人と名乗るアリ。先祖がアフリカからメッカ巡礼に来て、パレスチナ女性と結婚したのだとか。18歳の時、政治犯として逮捕され15年間収監。その後、ジャーナリストとして真実を伝えたいと活動していたけれど、アラファトが議長になって辞め、今は、世界からくる観光客にエルサレムの町を政治的意識を持って観光してほしいと自主的にいガイドを務めています。強烈なキャラクター。マフマルバフ監督は、このアリさんと偶然出会ったそうで、まさに「神様からの贈りもの」。
ユダヤ人のベンジャミンさんは、先祖代々この地で暮らしてきた家系で、イスラエル建国前にパレスチナ人と交流してきたお祖父さんやおじさんの話を聞いて育った方。本人もパレスチナ人と交流しています。まわりのユダヤ人は、「殺される」「理解してくれない」とパレスチナ人に会おうとしないと語っていて、偏った情報のためだと悲しくなります。
「パレスチナ人」と書かれたTシャツを着た10代の少年少女が、軽快な「Dammi Falastini(My Blood is Palestinian/私の血はパレスチナ人)」という曲に合わせて踊る姿は明るくて、パレスチナの子どもたちのインティファーダで石を投げるイメージとは違うものでした。この曲を歌っているムハンマド・アッサーフは、閉じ込められたガザの町から、「アラブ・アイドル」に出演して注目され、アラブ圏のスターになった人。(映画『歌声にのった少年』に描かれた人物) 
アリやベンジャミンなどの人たちの話の合間合間に、この子どもたちのダンスシーンが挟み込まれて、映画に独特のリズム感をもたらしていて、今も曲が頭の中でぐるぐる回っています。明るく振舞っているこの少年少女たちに、真に明るい社会がもたらされますようにと祈るばかりです。
公開を機に、9年ぶりに来日したマフマルバフ監督にお話をお伺いしました。

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モフセン・マフマルバフ監督インタビュー 
この映画の中には、パレスチナの詩人マフムード・ダルヴィーシュの「他者を思え」という内容の詩が出てくるのですが、それ以外にも、マフマルバフ監督自身の語る言葉がとても詩的な香りに溢れています。
「詩と共に生きる私たちイラン人は、2+2は4じゃないと思っています。国民的に論理的じゃないのです」という言葉が一番印象に残りました。(咲)




2024 プサン国際映画祭 正式出品
2024 サンパウロ国際映画祭 正式出品

2024/イギリス、イスラエル、イラン/62 分/カラー/DCP/英語、アラビア語、ヘブライ語
配給:ノンデライコ
企画:スモールトーク
公式サイト:http://vision-of-makhmalbaf.com/
★2024年12月28日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて
posted by sakiko at 21:27| Comment(0) | イラン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ヴィジョン・オブ・マフマルバフ」『子どもたちはもう遊ばない』『苦悩のリスト』

エルサレムとアフガニスタン
混迷を極める地を、全編スマートフォンで撮影!
父モフセン・マフマルバフ監督と、娘ハナ・マフマルバフ監督の渾身のドキュメンタリー
2本同時公開!


公式サイト:http://vision-of-makhmalbaf.com/

『子どもたちはもう遊ばない』 
監督:モフセン・マフマルバフ
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(C)Makhmalbaf Film House
エルサレムの旧市街を彷徨うモフセン・マフマルバフ監督。
長年続くイスラエルとパレスチナの紛争に解決の糸口はあるのか・・・
作品詳細は、こちら

『苦悩のリスト』
監督:ハナ・マフマルバフ
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(C)Makhmalbaf Film House
2021 年 米軍撤退~タリバン再侵攻。
恐怖政治から逃れようと空港に殺到する人たち。
ロンドンにいるマフマルバフ監督は、芸術家たちを救い出そうと奔走する・・・
作品詳細は、こちら

配給:ノンデライコ
企画:スモールトーク(ショーレ・ゴルパリアン)
★2024年12月28日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて


『子どもたちはもう遊ばない』公開直前イベント
 12月26日(木)15:00~ 会場:ユーロライブ
『川との対話』(※日本未公開)上映+ モフセン・マフマルバフ監督トーク

★当日券のみ、開場時に販売開始(14:30)

『川との対話』
監督:モフセン・マフマルバフ
かつて同じ土地であった隣国イランとアフガニスタンの男性が、川を挟んで対話を続ける。男性たちは、ソ連侵攻の時代から内戦、タリバン時代、そしてアメリカの興亡とタリバンの復活に至るまで、互いに袂を分かった後の物語を語り合う。歴史を語る上で引用されるのはマフマルバフ・ファミリーのこれまでの作品群からの映像で、国同士の対話という寓話的な仕組みを通して、歴史の痛みとこれからを浮き彫りにするシネエッセイ。日本初公開作品。
2023/50分/DCP/カラー


◆モフセン・マフマルバフ監督マスタークラス(聞き手:矢田部吉彦さん)
約10年振りに来日するモフセン・マフマルバフ監督。新作2本を中心に、創作の根幹と緊迫する世界情勢を語る特別講演。聞き手は元・東京国際映画祭ディレクターの矢田部吉彦さん。(※トークのみ。映画の上映はありません/1時間半予定)

日時:12月29日(日)17:00~
会場:シアター・イメージフォーラム3Fスペース
料金:1,500円(新作半券割引1,000円)
※ご予約優先。定員に達しなかった場合は当日券もあり
※予約ページ
https://airrsv.net/makhmalbaf/calendar



◆新作公開記念 マフマルバフ・ファミリー特集◆
『ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ』
1992/92分/DCP/モノクロ

『サラーム・シネマ』
1985/82分/DCP/カラー

『タイム・オブ・ラブ』
1991/70分/DCP/カラー

『パンと植木鉢』
1996/78分/DCP/カラー

『私が女になった日』
2000/78分/DCP/カラー
イスラーム映画祭9『私が女になった日』上映によせて ★2000年のマルズィエ・メシュキニ監督インタビュー(シネマジャーナル51号掲載)

『独裁者と小さな孫』
2014/105分/DCP/カラー
makhmalbaf.jpg
『独裁者と小さな孫』モフセン・マフマルバフ監督 インタビュー

posted by sakiko at 21:25| Comment(0) | イラン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ブルースの魂 原題:LE BLUES ENTRE LES DENTS 英題:THE BLUES UNDER THE SKIN

『ブルースの魂』日本版ポスター_R_R.jpg
(C)1973-2022 NEYRAC FILMS


2024.12.28(土)新宿K’s cinemaUPLINK吉祥寺他にて 全国順次公開
上映情報

B.B.キング生誕100周年記念公開 2022年デジタル修復版
制作から50年を経て、アメリカで、そして日本で初の劇場公開
2022年デジタル修復版


監督・脚本:ロバート・マンスーリス
字幕:福永詩乃
出演ミュージシャン:B.B.キング バディ・ガイ ジュニア・ウェルズ ルーズヴェルト・サイクス ロバート・ピート・ウィリアムズ マンス・リプスカム ブッカ・ホワイト ソニー・テリー ブラウニー・マギー ファリー・ルイス ジミー・ストリーター
出演俳優:ローランド・サンチェス オニケ・リー アメリア・コルテス ウィリアム・L・エヴァンス

人生の苦しみに痛む魂の回復力 ブルースの核心が浮かび上がる。
伝説的なブルース・ミュージシャンたちの衝撃的なパフォーマンスと、
ハーレムに住む若いカップルの愛と苦闘


ブルースは19世紀後半ごろアメリカ南部で、アフリカ系アメリカ人の間から発生した音楽。悲しみ・憂鬱の感情が英語では「ブルー(blue)」の色でたとえられることに由来している。黒人霊歌、フィールドハラー (農作業時の叫び声)や、ワーク・ソング(労働歌)などから発展したといわれている。アコースティックギターの弾き語りを基本としたのがデルタ・ブルースと言われている。悲しみ・憂鬱の感情が英語では「ブルー(blue)」の色でたとえられることに由来。

音楽ドキュメンタリー作家ロバート・マンスーリスが、下火になっていたアメリカン・ブルースの名残をフィルムに収めようと、1970年代初頭、本物のデルタ・ブルースを求めてミシシッピ・デルタを旅したドキュメンタリー。B.B.キングをはじめとする伝説的なミュージシャンたちにインタビューを行い、演奏に密着し撮影した。目的は音楽を記録するだけでなく、ブルースをこれほどまでに表現豊かで心揺さぶる音楽にしている文化的・政治的要因を探ることだった。
合間に、ハーレムに住む若いカップル(ローランド・サンチェスとオニケ・リー)の波乱含みの関係をドラマチックに描き、貧困や偏見との闘いを表している、ドキュメンタリーとフィクションの境界線を曖昧にして、見るものをブルースの核心へと誘っている。

フレディ(ローランド・サンチェス)は子供のころ、生活のためノースカロライナ州から母親に連れられてニューヨークにきた。しかし、武装強盗の罪で5年間服役、出所後ハティ(オニケ・リー)と結婚し二人で母親の家に居候している。刑務所内の病院で働いた経験を生かして看護助手をやろうと職探しをするがうまくいかない。ハティに金を無心してはビリヤード場に出入りし鬱とした日々を過ごしている。そんなフレディに嫌気がしたハティは、仕事帰りに立ち寄るなじみのバーでブルースを歌う男と駆け落ちを図るが、うまくいかない。

監督:ロバート・マンスーリス紹介 HPより
ギリシャからスイスに亡命
1929年にギリシャのコモティニで生まれたロビロス・マンソウリス(ロバート・マンス―リス)は、ドイツ軍の占領に対するレジスタンスに参加した。戦後アメリカのシラキュース大学で映画製作を学んだ後、一時ギリシャに戻るが、1966年に監督した『Face to Face(英題)』が軍事独裁政権との間で問題となり、スイスのジュネーブに亡命。そして1968年ころ、マンスーリスは『A l’Affiche du Monde(世界のポスター)』というTVポップ・ミュージック・シリーズのエピソードを監督するため、パリに招かれる。

ビートルズやローリング・ストーンズも
マンスーリスは、ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、ジャック・ブレル、ジョーン・バエズ、サン・ラ、リッチー・ヘヴンズ、カレン・ダルトン、ブッカー・T・&・ザ・MGsといった影響力のあるミュージシャンたちを撮影し、高い評価を得ることができた。

ブルースを題材にした最初の映画
マンスーリスと彼のクルーは街から街へと飛び回り、テキサスでは刑務所の作業員、メンフィスではファーリー・ルイス、バトンルージュではロバート・ピート・ウィリアムズ、ニューオーリンズではルーズヴェルト・サイクスを撮影することができた。マンスーリスは当初から、このプロジェクトを単なるテレビドキュメンタリーのシリーズ以上のものにしたいと考えていた。
「自分の人生を演じる人たちを登場させる映画も作りたいと思っていた。まだパリにいた頃、『ブルースの魂』の準備のために、ハーレムの黒人たちの精神分析的な事例を集めた本を読んだ。そして、ブルースの本当の物語は人生経験であることに気づいた。つまり、ブルースの言葉とその背後にある感情に命を与えなければならない。私はブルースの歌のようなシンプルな物語を書き、それを撮影することに成功した」。

半世紀を経ての公開
『ブルースの魂』はアメリカでは完成から50年経った現在までほとんど上映されなかったが、2024年7月正式な米国初公開が今回の2Kレストア版でついになされた。
マンスーリスは2022年4月21日パリで亡くなった。享年92歳。

今から60年も前の中学生のころ、アメリカの人種差別の問題に興味を持ち、そして、黒人差別に関する本を読み、黒人たちの音楽にも興味が広がり、黒人霊歌や黒人たちが歌うブルースなどにも聴くようになった。あの頃は中学生だったし、レコードプレイヤーも持っていなかったので、もっぱらラジオから流れる歌を聴いていたから、名前は聞いたことがあっても顔は知らなかった。その後フォークソングにも興味が広がったけど事情は同じ。よほど有名で、TVや本に出てくる人以外は、相変わらず聴いたことはあっても顔は知らなかった。だから、最近になって、あの頃の音楽ドキュメンタリー映画が公開されるようになって、あの歌を歌っていた人はこんな顔の人だったんだと思うことも多い。この映画でもたくさんのミュージシャンが出て来て歌っているが、歌は聴いたことがあるような気がするが、ここに出てきた人で名前を知っているのはB.Bキングくらい。でも、タイトル通り、「魂」を感じさせるものだった。監督が製作したドキュメンタリーの中にジョーン・バエズの名前があったがぜひ観てみたい。私にとってはボブ・ディランより評価があってもいいと思っている人。彼女の生き方に影響を受けた(暁)。

予告編
公式HP
1973年(2022年2K修復版)/フランス/英語/88分/1:1.33/
配給:オンリー・ハーツ 協力:ブルース&ソウル・レコーズ
posted by akemi at 21:17| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夏が来て、冬が往く  原題:夏來冬往 英題:Hope for A New Life

『夏が来て、冬が往く』ポスタービジュアル_R_R.jpg
©MICRO ENTERTAINMENT TIMES FILM CO. LTD.


2024年12月27日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
劇場情報

夏が来て冬が来る。冬が去るとやがてまた夏が来る
親が子を育て、暮らしを営む。
その子が新たに生まれた子を育て、世代が移っていく。
それはまるで四季のよう


彭偉(ポン・ウェイ)監督、
撮影:孟德静(モン・ダージン)
美術:谢首洁(シェ・ショウジェ)
編集:李德华(リー・ダーホア)
制作:牧義寛
音楽:西村大介、黒田征一
効果・整音:丹雄二
CG:石川浩作
編集:宮澤誠一、飯田一史

出演
三女 林佳妮(リン・チアニー)役:雪雯 シュエ・ウェン
長女 鄭文鳳(チョン・ウェンフォン)役:曽韵蓁 ゼン・ユンジェン
次女 張曉莉(チャン・シャオリー)役:陈昊明 チェン・ハオミン
生母 藩三喜(パン・サンシー)役:王亜軍 ワン・ヤージュン
チアニーの養父 林小宝(リン・シャオバオ)役:楊涵斌ヤン・ハンビン 
チアニーの恋人 姚志遠(ヤオ・ジーユェン)役:孫序博 スン・シューボー
長男(弟)鄭文龍(チョン・ウェンロン)役:王馳 ワン・チー

中国の美しい海辺の町が舞台。家の都合で養子に出された三女佳妮(チアニー)。深圳(シンセン)に住む佳妮だが、実父が死去と連絡があり自分が養子だったと知る。葬式に出席のため、生家がある青島(チンタオ)に向かった佳妮だが、佳妮には二人の姉と長男である弟がいることわかった。しかも弟はとても自分に対して排他的。実家に入れず、家族でないから出ていけという。自分を手放した母にも納得がいかない。そんな佳妮が青島で過ごした3日間の心の軌跡と家族愛を描いた物語。家父長制による男尊女卑の考え。一人っ子政策のもと、女の子は養子に出されてしまった。この地方に伝わるという伝統文化や、女性であるための理不尽な扱い、男女差別の実態が浮かび上がる。家とは、家族とは、男女のあり方とは?を問いかける。中国の新鋭、彭偉(ポン・ウェイ)監督の長編デビュー作。

深圳の貿易会社で働く林佳妮(リン・チアニー)は、恋人姚志遠(ヤオ・ジーユェン)からプロポーズされたが結婚に踏み切れずにいた。理由は、自分たちの持ち家がないこと。中国では昔からそう言われてきて、家がなければ結婚できないと考えていた佳妮は、価値観の違う恋人からのプロポーズに応えられずにいた。
そんな時、生き別れになっていた実父が亡くなったとの知らせを受け、葬儀に参列するため生家を訪ねた佳妮は、自分には他に2人の姉と弟がいて、長女と長男は実家、次女と自分が養女に出されていたことを知った。海を望む青島近くののどかな村で家族の温もりを味わいながら、母や姉たちのこれまでの暮らしと、さまざまな思いを知っていく。しかし、母が佳妮たちを捜した裏には別の理由があったことを知り愕然とする。
結婚しない選択をする女性が増え、少子高齢化をたどっている中国。失業率の上昇などの将来への不安の他に、1980年頃から導入された「一人っ子政策」(2015年に撤廃された)で女性より男性の数が多いという背景もある。男尊女卑の考え方が根強い地方では女児の誕生は歓迎されず、養女に出されるケースも多かった。
長編映画が初となる彭偉(ポン・ウェイ)監督は、これまであまり取り上げられることのなかった、このような中国社会のひずみにスポットを当てた。中国で実際にあった家族のエピソード数件を盛り込み、多くの女性たちが経験しているのに、あまり表に出てこなかった心の傷に寄り添う。中国で映像制作の仕事に従事し、日本大学芸術学部映画学科で学んだ経歴を持つ彭監督。この作品は、撮影や脚本制作は中国で、仕上げ作業は日本で行い、中日共同作品として完成された。

監督 彭 偉(ポン・ウェイ)フィルモグラフィ 公式HPより
1984年7月19日生まれ、中国 黒竜江省出身。
(黒竜江省は、中国最大の食糧産地、平原は景色が美しく、
ロシアに隣接しており、最低温度は零下50度を記録したことがある。
日本大学芸術学部映画学科卒。中国にて映像制作に携わる。
06年、短編映画『10元の偽札』が第7回北京大学映画祭に入選。
18年、短編映画『雪の味』が日本大学芸術学部湯川制賞を受賞。
22年に撮影した本作が長編初監督となる。
東京国際映画祭2023「東京・中国映画週間」新鋭監督賞受賞。

「中国では昔から家がなければ結婚できないと言われてきた」と、ここでは言っているけど、そうだったの?と思った。私がこれまで300本以上観て来た中国映画ではそういう話は出てきたことがなかったように思う。社会主義になった中国では、ほとんど職場と結びついた社宅のような住宅が多かったし、「結婚するには持ち家が必要」という価値観に出会ってこなかった。古い田舎町ならともかく、深圳という近代的な街に住んでいて、そういう考え方がある?と、佳妮の価値観に疑問が残った。それとも、少し豊かになった現代中国で、そういう価値観が出てきているのか。
また、生家があるという青島での、あまりに理不尽な男尊女卑の考え方にも疑問が残った。こちらも、海外からの交流もある現代的な街だし、いくら山の上にある村とはいえ、見下ろせば青島の町や港が見渡せるような場所で、こんなことってあり?と思った。社会主義になり「男と女が天下を支える」と、女性の地位も上がり、共産党の女性幹部や政府高官、職場の女性幹部もいる中国。そうはいっても、地方の田舎町や農村では、昔からの男女差別、家父長制は、今でも残っているとは思うけど、こんなに都会に近い場所でも、家父長制、家制度、男尊女卑が残っているのだろうか。場所の設定が違うのではないかという思いが残った。どこまでも男が大事、家が大事。中国の女たちも耐えてきたんだということが描かれる(暁)。


公式サイト https://natsugakite-fuyugayuku.com
(2023年/中国/カラー/98分/ビスタ/5.1ch)
日本語字幕:樋口裕子(日本シネアーツ)
英語字幕:平田早苗 (スプラウト)
協力:日本大学芸術学部映画学科 北海道映画舎
配給:アークエンタテインメント
配給協力:クロスメディア
posted by akemi at 20:07| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い  原題:THE LORD OF THE RINGS:THE WAR OF THE ROHIRRIM

loard of.jpg
(C)2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.


監督:神山健治(『東のエデン』『攻殻機動隊 S.A.C』「精霊の守り人」)
脚本:ジェフリー・アディス&ウィル・マシューズ、フィービー・ギッティンズ&アーティ・パパゲオルジョウ
製作:フィリッパ・ボウエン、ジェイソン・デマルコ、ジョセフ・チョウ
製作総指揮:フラン・ウォルシュ、ピーター・ジャクソン、サム・レジスター、キャロリン・ブラックウッド、トビー・エメリッヒ
原作:J・R・R・トールキン

日本語吹替版キャスト:
市村正親(ヘルム王)、小芝風花(王女ヘラ)、津田健次郎(ウルフ)、中村悠一(フレアラフ)、本田貴子(オルウィン)、坂本真綾(エオウィン)、斧アツシ(フレカ)、森川智之(ハレス)、入 野自由(ハマ)、山寺宏一(ターグ将軍)、沢田敏子(老ペニクルック)、田谷隼(リーフ)、大塚芳忠(ソーン卿)、飯泉征貴(シャンク)、村治学(ロット)、勝部演之(サルマン) 字幕版キャスト:ブライアン・コックス(ヘルム王)、ガイア・ワイズ(王女ヘラ)、ルーク・パスクァリーノ(ウルフ)、ミランダ・オットー(オルウィン)ほか

『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の前日譚

偉大な王ヘルムに護られ、騎士の国ローハンの人々は平和に暮らしていた。だが、突然の攻撃を受け、美しい国が崩壊していく…。王国滅亡の危機に立ち向かう、ヘルム王の娘である若き王女へラ。最 大の敵となるのは、かつてヘラと共に育ち、彼女に想いを寄せていた幼馴染のウルフだった。大鷲が空を舞い、ムーマクは暴走、オークが現れ、金色の指輪を集める"何者"かが暗躍し、白のサルマンが登場…。果たし てヘラは、誇り高き騎士の国と民の未来を救えるのか――!?"あの指輪"をめぐる壮大な冒険へと繋がる、まだ誰も知らない伝説の戦いの幕が開ける!

J.R.R.トールキンの小説「指輪物語」を、ピーター・ジャクソン監督が実写映画化した『ロード・オブ・ザ・リング』3部作。本作は、それより約200年前の物語。「指輪物語 追補編」に記された指輪物語の始まりのエピソード。
恥ずかしながら、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を観ていないのですが、アニメーションで描かれた本作は3部作を観ていなくても楽しめるものでした。
想いを寄せ、結婚まで夢見ていた相手である王女ヘラに戦いを挑む男ウルフ。いつの時代も好戦的な権力者によって翻弄されるのは、その支配下にいる民や、戦争を仕掛けられた国の民。
一件落着して、王女ヘラが叫ぶ「戦いはもう充分。兵士たちにも故郷がある!」という言葉が心に残りました。誰も好んで戦地に赴く人はいないはず。世の中から戦争がなくなることを願うばかりです。(咲)


2024年/アメリカ/134分/G
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/lotr-movie/
★2024年12月 27 日(金)全国劇場公開
!吹替/字幕版同時公開※一部劇場除く




posted by sakiko at 16:15| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月15日

ヘヴィ・トリップⅡ/俺たち崖っぷち北欧メタル!  原題:HEAVIER TRIP

heavy2.jpg
(C)2024 Making Movies, Heimathafen Film, Mutant Koala Pictures, Umedia, Soul Food

監督・脚本:ユッカ・ヴィドゥグレン、ユーソ・ラーティオ
製作:カイ・ヌールドベリ、カールレ・アホ
出演:ヨハンネス・ホロパイネン、マックス・オヴァスカ、サムリ・ヤスキーオ、チケ・オハンウェ、アナトーレ・タウプマン、ヘレン・ビースベッツ、ダーヴィト・ブレディン、 JUSSI69、SU-METAL (BABYMETAL)、MOAMETAL (BABYMETAL)、MOMOMETAL (BABYMETAL) 他

フィンランドの田舎町のトナカイ粉砕場の地下室で、メタルコピー曲を楽しんでいたトゥロたち仲間4人のバンド。ついにオリジナル曲を引っ提げ、バンド名もインペイルド・レクタム(直腸陥没)と付けて、隣国ノルウェーの巨大フェス、ノーザン・ダムネーションへ殴り込みを図るも、運転していたドラマーがトナカイを避けて事故死。彼の棺を車の上に乗せて国境を越え、問題を起こして、ノルウェーの刑務所に収監されていた。
獄中、超大物レコードプロデューサーのフィストからドイツのメタルフェス、ヴァッケン・オープン・エアへの出演オファーを受けるが、準備不足と収監中を理由に辞退。
そんなある日、ギタリストの実家のトナカイ粉砕場が地上げ屋の乗っ取り危機に瀕していると聞き、彼らは脱獄。出演料で実家を救おうと、オリジナル新曲を携え、フィヨルドの彼方ヴァッケンを目指す。彼らは無事、ヴァッケンのフェスに参加して、実家を救えるのか・・・

2019年12月27日に日本公開された前作『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』
ヘヴィメタは苦手な私ですが、とにかく可笑しくて、呆れ果て、深く印象に残る映画でした。 5年の時を経て、まさかの続編! 
「“終末シンフォニック・トナカイ粉砕・反キリスト・戦争推進メタル”バンド=インペイルド・レクタム(直腸陥没)」という、なんともいかれたバンドなのですが、彼らはいたって親思いで、バンドを食いものにする商業主義者にも立ち向かいます。人は見た目で判断しちゃいけない!
一方で、前作でも、彼らを執拗に追い詰めた国境警備の女性が、今回も彼らを追ってきます。
続編も、またまた笑わせていただきました。(咲)


2024年/フィンランド映画/96分/カラー/スコープ/DCP
字幕翻訳:堀田雅子 字幕監修:増田勇一
配給:SPACE SHOWER FILMS後援:フィンランド大使館
共同提供:キングレコード+スペースシャワーネットワーク 宣伝:HaTaKaTa
公式サイト:https://heavytrip-2.com/
★2024年12月20日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開




posted by sakiko at 11:40| Comment(0) | フィンランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

私の想う国   原題:MI PAIS IMAGINARIO 英題:My Imaginary Country

watasino omou.jpg
(C)Atacama Productions-ARTE France Cinema-Market Chile/2022/

監督:パトリシオ・グスマン(『チリの闘い』『光のノスタルジア』『真珠のボタン』)

1973年の軍事クーデターでピノチェト政権成立後、キューバに亡命し、現在パリに住むグスマン監督。
50年を過ぎて目の当たりにしたリーダーもイデオロギーもない新たな女性中心の社会運動の記録。


2019年、突然チリのサンティアゴで民主化運動が動きだした。その口火となったのは、首都サンティアゴで地下鉄料金の値上げ反対がきっかけだった。その運動は、リーダーもイデオロギーもなく、爆発的なうねりとなり、チリの保守的・家父長的な社会構造を大きく揺るがした。運動の主流となったのは、若者と女性たちだった。150万の人々が、より尊厳のある生活を求め、警察と放水車に向かってデモを行ったのだった。
それは2021年36歳という世界で最も若いガブリエル・ボリッチ大統領誕生に結実する・・・

1973年9月11日、軍事クーデターでピノチェト政権が成立し、アジェンデ派は徹底的に弾圧された。その過程を追ったドキュメンタリー『チリの闘い』を撮影後、パリに亡命したパトリシオ・グスマン監督。
その後、チリ弾圧の歴史を描いた 3 部作『光のノスタルジア』『真珠のボタン』『夢のアンデス』を放ったグスマン監督。これらの作品から、虐げられ悲惨なチリの人たちのことを知ることができました。
グスマン監督が故国を離れて50年が過ぎ、よもやの突然の民主化運動。
それは、地下鉄が30ペソ値上げすることに端を発した抗議運動でした。鍋を叩き抗議する女性たち。まさに押さえつけられた気持ちが爆発したのを感じさせられました。
家父長制に異を唱える4人の女性詩人たち、先住民族のマプチェ女性として初めて重要な政治的地位についたエリサ・ロンコンをはじめ、監督自ら女性たちにインタビュー。かつて想い描いた国が実現することを願う気持ちに溢れた1作。
『夢のアンデス』で、「2度と祖国で暮らすことはない」と話していたグスマン監督。余生はチリで過ごすことができるのでしょうか・・・ (咲)

チリで2019年にあのような激しい運動があったとは。そして、その後、あのような展開をするとは思ってもいませんでした。その後の展開はどうなのでしょう。少し進んだ民主化は圧力なく進んでいるのでしょうか。気になります。
1973年、ピノチェト将軍による軍事クーデターはアジェンデ社会主義政権を倒し、独裁体制に。当時、選挙で合法的に選ばれた政権を武力で倒し、アジェンデの人民連合派に対する軍部の迫害の激しさに世界各国から非難の声があがり、国際的な非難もされた。その後のチリの状況には詳しくないけど、1988年の大統領選挙でピノチェトが民主政党連合の候補者に敗れ、ようやく1990年に民政移管が実現し、16年半にわたる軍事独裁政治が終わったとなっていましたが、市民の生活はどうだったのでしょう。ピノチェトは2006年に91歳で亡くなったそうだけど、国葬するかどうか国民投票があり、55%の人が反対し国葬にはならなかったそう。国民投票もなく政府が国葬を決めてしまったどこかの国とは違った。
実は、私はあの年(2019年)の3月にチリのサンティアゴにいた。ピースボートで世界一周の旅の途中、右肩脱臼をしてしまい、日本に帰らなくてはならなくなり、船が停泊していたチリの港バルパライソからサンティアゴまでタクシーで空港に向かって走りました。乾いた大地の中をずっと走り約1時間、やっと着いた都市がサンティアゴでした。ほんの一瞬、通っただけの街でしたが、その時はこういうようなことが起こるとは思ってもみませんでした。
香港でも雨傘革命があり、道路を占拠するという事態になりました。緊急事態というのは、どこの国にでも起こりうることなんだろうと思います。私はその道路占拠が排除された3か月後くらいに香港に行き、その場所にも行きました。ニュースや映画で見た道路の占拠光景はあとかたもなく、元の道路に戻っていて、なにごともなかったように車が行き来していました。しばらくそこにたたずみ、雨傘革命とそれに参加した人たちのことを思いました。それにしても、自分が行ったことがあるところで、その国を揺るがすような事態が起こっていたというのは、よけい感慨深いものがあります(暁)。


2022 年/チリ・フランス/83 分/スペイン語 /5.1ch/1:1.85
日本語字幕:比嘉世津子
https://www.uplink.co.jp/watashino/
★2024年12月20日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
posted by sakiko at 03:16| Comment(0) | チリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月13日

キノ・ライカ 小さな町の映画館  原題:CINEMA LAIKA

kinolaika.jpg
(C)43eparalleleproductions

監督・脚本・撮影・編集:ヴェリコ・ヴィダク
脚本:エマニュエル・フェルチェ
出演:アキ・カウリスマキ、ミカ・ラッティ、カルッキラの住人たち、ジム・ジャームッシュ、ヘッラ・ユルッポ、マウステテュトット、ヌップ・コイヴ、サイモン・アル・バズーン、ユホ・クオスマネン、エイミー・トービン

北欧フィンランドの鉄鋼の町カルッキラ。深い森と湖と、今は使われなくなった鋳物工場しかなかった人口9000人の小さなその町に、はじめての映画館“キノ・ライカ”がまもなく誕生する。元工場の一角で自らの手で釘を打ち、椅子を取りつけ、スクリーンを張るのは映画監督のアキ・カウリスマキと仲間たち。キャデラックにバイク、ビールと音楽。まるでカウリスマキの映画から抜けでたようなその町で、住人たちは映画館への期待に胸をふくらませ、口々に映画について話しだす…。

クロアチア出身のアーティスト、ヴェリコ・ヴィダクが、妻と生後8カ月の娘を連れてカルッキラに1年間滞在し、キノ・ライカ開館までの作業を手伝いながら、映画館の誕生にわき立つ人びとの声を拾いあげたドキュメンタリー。

KinoLaika_sub06.jpeg
©43eparalleleproductions

アキ・カウリスマキ監督が仲間たちと楽しそうに理想の映画館を作る姿が微笑ましいです。
元は労働者たちが過酷な環境の中で過ごした製鉄工場が、町の人が集う場に変貌! 
バーも併設された映画館は、映画だけでなく、美味しい食べ物も満喫できる場所。カルッキラの町では、『希望のかなた』や『枯れ葉』のロケも行われていて、ヘルシンキからも気軽に行ける距離とのこと。古い町並みも楽しめそうです。アキ・カウリスマキの世界に浸りに訪れてみたい! 夏に行けば、カウリスマキ監督ご本人に会えるらしいです。(咲)


アキ・カウリスマキの世界に浸りに訪れてみたい!と思っていたら、コラボツアーのお知らせが届きました!(12/18)

旅行会社・北欧旅行フィンツアーによるコラボツアー
【キノ・ライカとアキ・カウリスマキの世界7日間】来年6月に企画!


映画『枯れ葉』の公開記念で催行され満員御礼となった、
「キノ・ライカとアキ・カウリスマキの世界スペシャルツアー」が更にバージョンアップしたものだそうです。
冬の期間はポルトガルで過ごすカウリスマキ監督も春先にはカルッキラに戻ってきて、
キノ・ライカでコーヒーを提供したり、スタッフの一員として働いている為、ツアーで訪れた際にはそんな貴重な姿も見られるかもしれないとのこと。
ツアーの詳細は北欧旅行フィンツアーの公式サイトで発表予定。


2023年/フランス・フィンランド/フィンランド語、英語、フランス語/81分/2.00:1/6.1ch/DCP
配給:ユーロスペース 提供:ユーロスペース、キングレコード
公式サイト:http://eurospace.co.jp/KinoLaika
★2024年12月14日(土)ユーロスペースほか全国順次公開
posted by sakiko at 14:10| Comment(0) | フィンランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アイヌプリ 英題:Ainu Puri

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©2024 Takeshi Fukunaga/AINU PURI Production Committee

★2024年12月14日より ユーロスペースほか全国順次ロードショー
劇場情報

北海道の荘厳な大地で親から子へアイヌの文化を伝承する

監督・プロデューサー:福永壮志
プロデューサー:エリック・ニアリ
撮影:エリック・シライ
編集:出口景子 川上拓也
音楽:OKI
キャスト
天内重樹、天内愛香、天内基輝、天内芳樹

近年、アイヌを描いた映画がけっこう公開されている。今年(2024)はすでに、『カムイのうた』、『ゴールデンカムイ』、『シサㇺ』と3作品も公開され、『アイヌプリ』で4作目。ウポポイ(民族共生象徴空間)も、アイヌ文化復興・創造の拠点として2020年に開設され、アイヌの歴史や文化への関心が高まっていると言えるかも。

この作品は北海道白糠町で伝統的な鮭漁(マレㇷ゚漁)をはじめとしたアイヌ文化を継承し、日常生活の中で”アイヌプリ(アイヌ式)”を実践する人々を追ったドキュメンタリー。
白糠町に住む天内重樹(シゲ)は、現代人としての日々を過ごしながら、彼のやり方でアイヌプリを実践し、祖先から続く鹿狩りや、鮭を槍のような棒で突くマレㇷ゚漁の技法や文化を息子の基樹に伝えている。先祖と同じように山野からの恵みを食する生活も取り入れながら生活するシゲとその家族の日常を追い、自らのルーツを大事にしながら今を生きる彼らの姿に迫る。

監督は、デビュー作『リベリアの白い血』(15)でリベリアを描き、2作目の『アイヌモシリ』(20)で、阿寒湖のアイヌコタンで暮らす少年の成長を通して現代のアイヌ民族のリアルな姿を描いた福永壮志。「この『アイヌモシリ』の撮影の時にシゲさんと出会い、いつか映像に収めたいと思ったのがこの映画の始まりです。2019年から少しずつ、シゲさんとその家族、友達の日常を撮影させてもらいました」と語っている。『アイヌモシリ』で2020年トライベッカ映画祭インターナショナル・ナラティブ・コンペティション部門の審査員特別賞、『山女』(23)でTAMA映画祭最優秀新進監督賞を受賞。米ドラマ・シリーズ「SHOGUN 将軍」(ディズニープラス)では7話、「Tokyo Vice S2」の5話・6話の監督を務めた。『アイヌプリ』は第37回東京国際映画祭(2024)でも上映された。
アイヌの伝統楽器トンコリ演奏の第一人者OKIが音楽を手がけている。

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©2024 Takeshi Fukunaga/AINU PURI Production Committee


去年(2023)『チロンヌㇷ゚カムイ イオマンテ(キタキツネの霊送り)』というドキュメンタリー作品を観た。これは、1986年に屈斜路湖を望む美幌峠で、75年ぶりに「チロンヌプカムイ イオマンテ」が行われ、それを記録したもの。狩猟民族であるアイヌ。動物は自らの肉や毛皮を土産にして人間の国へやって来るとされ、キタキツネを我が子のように育てる。そのキタキツネに祈りを捧げ、歌や踊りで喜ばせ、土産を背負わせて神の国へ送る「イオマンテ」を執り行っていた。それに至る作業、道具作りなどが映されていたが、その作業と同じ作業がこの作品の中でも出てきた。例えば、木の枝を削って、木の皮を花のような形にする作業や、踊りのシーンなど、地域は違っても、アイヌに古くから伝わる儀式が、ここでも記録されていた。シゲさんが何かの申請を何か所かに出していたが、それは鮭を採るための許可願いのようなものだった。そして彼はいう。まるで「ひさしを貸して母屋を取られた」ようなものというような表現をしていて、ほんとにそうだなと思いアイヌを抑圧してきた日本の政策を思った。アメリカのインディアンもそうだし、ハワイの原住民もそうだし、そういうことは世界各地の先住民に起こっている(暁)。

大お祖父ちゃんお祖母ちゃんの時代は、アイヌ語はしゃべっちゃいけない、お祖父さんお祖母さんの時代はしゃべれた。お母さんは単語しか知らない。そんなシゲさんは幼児期、イヌだ!とからかわれて、地元・白糠でアイヌの踊りを踊れなくなったという。それが、今では堂々とアイヌ民族であることを誇り、息子の基樹にアイヌプリを伝えています。基樹くんは、アイヌであることをカッコいいと言っていて、なんだか私も嬉しくなります。
鮭を頭を下にして持って、頭をポンと叩いて絶命させるのですが、「ごめんね」という基樹に、「ありがとうだよ」とシゲさん。あらゆるものにカムイ(神)が宿っていて、そのカムイへの感謝という次第。
アイヌは先住民族として認められたものの、奪われた土地については日本の法では言及されていません。「いきなり人の家に入ってきて、今日から俺ん家だけど、隅っこに住んでていいよというようなもんだ。水を使うのもいちいち許可を貰わないといけない」と、アイヌ伝統のマレク漁を毎年許可を取る時に嘆くシゲさん。こんな思いをしてまで伝統を守る人たちがいることに胸が熱くなりました。(咲)



2024年製作/82分/G/日本
配給:ナカチカピクチャーズ
公式サイト:https://ainupuri-movie.jp/

第37回東京国際映画祭 『アイヌプリ』Q&A
福永壮志監督と音楽担当のOKI
https://2024.tiff-jp.net/news/ja/?p=65000

シネマジャーナルでは、初監督作の『リベリアの白い血』で福永壮志監督にインタビューしています。記事はこちら
posted by akemi at 07:32| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

はたらく細胞

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監督:武内英樹
脚本:徳永友一
原作:清水茜、原田重光、初嘉屋一生
音楽:Face 2 fAKE
主題歌:Official髭男dism「50%」
出演:永野芽郁(赤血球AE3803)、佐藤健(白血球U-1146)、芦田愛菜(漆崎日胡)、阿部サダヲ(漆崎茂)、山本耕史(キラーT細胞)

人間の身体は37兆もの細胞でできている。酸素を運ぶ赤血球、最近と戦う白血球、そのほか無数の細胞たちが私たちの健康と命のために夜昼なく全力ではたらいている。高校生の漆崎日胡(うるしざきひこ)は父の茂と二人暮らし。真面目で健康的な生活を送る日胡の細胞たちは毎日楽しくはたらいている。父の茂は日胡の心配をよそに不摂生を繰り返し、茂の細胞たちは不満たらたら。この親子を病原菌が狙っていた。細胞たちの最大の闘いが幕を開ける!

シリーズ累計発行部数が950万部というメガヒット漫画。2018年にはアニメ化され、人気が上がるにつれてスピンオフ漫画、小説、舞台と拡大していった作品です。人間の体の中で働くたくさんの細胞たちは擬人化され、病原菌との闘いが展開されます。様々な細胞の種類、働きがとてもよくわかりお子様から大人まで楽しめます。
2023年ワーナー・ブラザース映画が100周年を迎え、このビックプロジェクトが始動。登場人物が書ききれないほど多いので、あの人この人を見つけてください。誰とはすぐわからないメイクや奇抜な衣装もお楽しみのひとつ。居並ぶたくさんの出演者の景観をはてどこかで観たような、と考えたら『翔んで埼玉』『テルマエ・ロマエ』の竹内英樹監督がメガホンをとっていたからでした。
「るろ剣」を思い出してしまう佐藤健さんのアクション、今回のアクション監督は大内貴仁さん、「るろ剣」ではスタントコーディネーターだったんですね。『亜人』『HiGH&LOW』も手掛けています。アクションに笑い、ためになる知識・・・とっても派手な映画の中にちゃんと胸アツなストーリーがあり、いつのまにか涙がにじんできました。(白)


2024年/日本/カラー/分
配給:ワーナー・ブラザース ジャパン合同会社
(C)清水茜/講談社 (C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 (C)2024映画「はたらく細胞」製作委員会
https://wwws.warnerbros.co.jp/saibou-movie/
https://x.com/saibou_movie
★2024年12月13日(金)より全国ロードショー
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市民捜査官ドッキ(原題:시민덕희 /英題:CITIZEN OF A KIND)

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監督・脚本:パク・ヨンジュ
撮影:イ・ヒョンビン
音楽:ファン・サンジュン
出演:ラ・ミラン(ドッキ)、コンミョン(ジェミン)、ヨム・ヘラン、パク・ビョンウン、チャン・ユンジュ、イ・ムセン、アン・ウンジン

シングルマザーのドッキのクリーニング店が火事に遭った。なんとか店を立て直したいドッキは、銀行のソン代理の融資の話に飛びついた。融資のために必要だという手数料を言われるまま送金する。その後連絡が途絶えたので銀行に相談に行くと、ソン代理という人物は存在しなかった。振り込め詐欺だったとやっと気づくが、一文無しになり家賃も払えなくなった。落ち込むドッキにソン代理を名乗った男から電話が入った。文句をまくしたてるドッキに、詐欺集団の情報を提供するから警察へ通報して助けてほしいと懇願する。

名もなき市民が極悪詐欺集団に立ち向かった、39日間の大捜査線!
実際に2016年に起きた振り込め詐欺事件をモチーフにしていると聞いて驚きました。振り込め詐欺に遭った一般市民が、詐欺組織のメンバーからのSOSで、警察に相談しますがとりあってもらえません。そこで諦めるのでなく、素人ながら仲間と詐欺集団に近づいていきます。
危険すぎる~と思うのですが、ドッキを演じるのはベテランのラ・ミラン。このおばちゃんならいけるかも、と謎の信頼がわいてきます。ドッキを騙した詐欺集団の一員はジェミンという若者。『エクストリーム・ジョブ』で刑事役だったコンミョンが演じています。
巧妙に作られた集団は、高額報酬という惹句につられてきた若者を次々と補充し、彼らの個人情報を握って囲い込みます。今も世界中に散らばって、犯罪を繰り返していますが、なかなかトップまで迫れません。トカゲのしっぽのように末端を切り捨てていきます。そんな内側とドッキたちの奮闘ぶりを楽しめる作品です。(白)


2024/韓国/カラー/シネマスコープ/114分/DCP5.1ch
配給:クロックワークス
© 2023 SHOWBOX, PAGE ONE FILM AND C-JES STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.
https://klockworx.com/movies/duk-hee/
★2024年12月13日(金)より全国ロードショー

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2024年12月08日

ホワイトバード はじまりのワンダー  英題:White Bird

2024年12月6日(金)よりTOHOシネマズ系にて全国公開
劇場情報
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(C)2024 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC. All Rights Reserved.

勇気あるやさしさは、人々を変えることができる

監督:マーク・フォースター
脚本/エグゼクティブ・プロデューサー:マーク・ボンバック
原作/エグゼクティブ・プロデューサー:R・J・パラシオ
キャスト
少女時代のサラ:アリエラ・グレイザー
サラを助ける同級生ジュリアン:オーランド・シュワート
ジュリアンの母親役:ジリアン・アンダーソン
サラの孫のジュリアン:ブライス・ガイザー
祖母サラ役:ヘレン・ミレン

大ヒット作『ワンダー 君は太陽』のもうひとつの物語
あれから6年、過ちをおかしたジュリアンの〈おばあちゃん〉が教えてくれる


2018年、「人に親切にする。そんなシンプルなことで、人々の心を変えることができる」というメッセージを、世界中の人々がオギーという10歳の少年から感動を受け取った。全世界1500万部突破のベストセラー小説シリーズ「ワンダー」を映画化した『ワンダー 君は太陽』である。普通ではない見た目で生まれてきたオギーが、初めて通い始めた学校でいじめや裏切りにあい、何度もくじけそうになりながらも、家族に支えられ困難に立ち向かっていく。「正しいことよりも親切なことを選ぶ」という台詞が、多くの人々の心に深くしみわたった。

いじめた側の救済まで描かなければ「ワンダー」の真の世界観は完結しないという作者R・J・パラシオの思いが、「ワンダー」のアナザーストーリー「ホワイトバード」を書き上げた。主人公は、ワンダー」でオギーをいじめた少年ジュリアン。もう一人の主人公は、ジュリアンのおばあちゃん。孫の行く先を心配し、希望に満ちた未来へと導くために、自ら封印してきた「衝撃の過去」を告白するという物語。その思いにに胸を打たれた『ワンダー 君は太陽』のプロデューサーたちが再集結、「ホワイトバード」の映画化を実現させた。

画家として成功したジュリアンの祖母サラ。自分の回顧展のため、フランスからジュリアンのいるアメリカにやってくる。いじめによって学校を退学処分になったジュリアンの行く末を案じたサラが、居場所を失ったジュリアンのため、自らの経験を語る。

1942年、ナチス占領下のフランスで、ユダヤ人であるサラと彼女の両親に危機が近づいていた。ナチスがサラの学校に押し寄せ、ユダヤ人生徒を集め連行するが、サラはクラスメイトのジュリアンに助けられ、彼の家の納屋に潜伏することになる。足が不自由なため、クラスでいじめられていたジュリアンに何の関心も払わず、名前すら知らなかったサラだったが、ジュリアンと両親は命がけでサラを守ってくれた。1年以上、納屋に匿われている間にサラとジュリアンには信頼と絆も生まれた。連合艦隊が近づき終戦も近いというニュースが流れるのだが、その日、ジュリアンは、学校に通うのにいつも通っている裏道ではなく、表通りを行き、ナチスに捕まってしまった。ナチスは障害者や病人も役にたたない人間として捕まえていた。これは、人の命を救うため「命をかけた親切」の物語。

監督は、『ネバーランド』『チョコレート』のマーク・フォースター。『クィーン』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンがジュリアンの祖母サラを演じ、『ワンダー 君は太陽』でいじめっ子ジュリアンを演じたブライス・ガイザーが孫のジュリアンを続投。少女時代のサラは『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』のアリソン・グレイザー、サラを助ける同級生ジュリアンは『トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング』のオーランド・シュワートが演じた。

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(C)2024 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC. All Rights Reserved.


ナチスが通ったところは支配下になっていったということを改めて認識した。仲が良かったクラス仲間たちが、ナチスが来ることによって、一瞬にしてわかれてしまった。これは過去のことと言ってられない。現代だってある。何が真実か、信じる物や人を判断する能力を養わなくては。それにしても、ヘイトスピーチなどを行う人に、その思考を考えなおしてもらうのは容易なことではない。寛容な心を持つことも必要なのに相手を非難してばかりの人の言動に、なんでそういう風に考えるの?と、いつも辟易している。
この映画の中では、サラに好意を持っていたと思われる同級生がナチスの思想に染まり、彼女を追い詰める立場にもなっていく。それに対して、彼らにいじめられていたジュリアンは、ナチスが来てもなびかない。そしてサラの窮地を救ってくれ、自宅の納屋に匿ってくれた。両親もそういう心の持ち主で、1年以上も隠れていることができた。それにしても最後のほうの意外な展開にはびっくり。大家さんに密告されるかもしれないと思いながら暮らしていたのに、その大家さんもユダヤ人を匿っていたなんて。そして命を救ってくれたジュリアンのことも。どういう選択が命を長らえるか、あるいは縮めるか、とても考えさせられる作品だった(暁)。


2024年製作/121分/G/アメリカ
配給:キノフィルムズ

『ホワイトバード はじまりのワンダー』は第37回東京国際映画祭2024で上映された上映時のQ&A 動画
マーク・フォースター監督、エグゼクティブ・プロデューサー レネ・ウルフ
https://www.youtube.com/watch?v=KKDVG-DGodo
posted by akemi at 19:05| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月07日

お坊さまと鉄砲   英題:The Monk and the Gun

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(C)2023 Dangphu Dingphu: A 3 Pigs Production & Journey to the East Films Ltd. All rights reservedZ

監督・脚本:パオ・チョニン・ドルジ(『ブータン 山の教室』
出演:タンディン・ワンチュック、ケルサン・チョジェ、タンディン・ソナム
製作:ステファニー・ライ(頼梵耘)
撮影:ジグメ・テンジン
出演:タンディン・ワンチュック、ケルサン・チョジェ、タンディン・ソナム

ブータンで行われる初めての選挙。村の徳の高いお坊さまは言いました。
「次の満月までに銃を二丁用意せよ」
若いお坊さまは銃を探しに山を下りるのですが・・・。

2006年、ブータン。国民に愛されている国王陛下が退位を表明され、民主主義体制へと移行することになる。総選挙で新しいリーダーを選ばなければならないが、ブータンでは選挙を実施したことがない。政府は模擬選挙を実施して、国民の理解を深めてもらうことにする。
周囲を山に囲まれたウラ村。山で瞑想修行中の高僧は模擬選挙の報を聞き、若い僧侶のタシに「次の満月までに銃を二丁手に入れてほしい」と指示する。戸惑うタシに、高僧は「物事を正さねばならん」と話す。
時を同じくして、アメリカから銃コレクターのロンがブータンにやって来る。ウラ村に住むペンジョーのところに昔の貴重な銃があると知ってのことだった・・・

世界の多くの国では、国民が命をかけて闘って、民主化を勝ち取ってきたのに、ブータンでは国王陛下が自主的に国民に民主主義を与えました。ところが、それまで平穏に暮らしてきたのに、選挙のせいで争いが起こるという本末転倒。
時同じくして、2006年には、テレビとインターネットがようやく導入されました。国民の幸福度ランキングで上位を占め、「世界一幸せな国」と知られていたブータンですが、ネット等で入ってくる情報のせいで他国と比較するようになり、幸福度ランキングが下落したそうです。
それでも、本作には、ブータンの人たちがお金よりも心を大事にするエピソードが描かれていて、ほっとさせられます。
さて、高僧は、銃二丁をなぜ求めたのでしょうか・・・
模擬選挙の結果にも、国王陛下を愛するブータンの人たちの思いを知って、微笑ましく思いました。 雑多な外の世界の情報に惑わされずにいてほしいと願いますが、もう遅い?(咲)


バンクーバー国際映画祭 観客賞
ローマ国際映画祭 審査員特別賞
ムンバイ映画祭 観客賞
トロムソ国際映画祭 平和映画賞
フリブール国際映画祭 観客賞
イルミネート映画祭ディレクターズチョイス 他

2023年/ブータン・フランス・アメリカ・台湾/ゾンカ語、英語/112分/カラー/2.39:1/5.1ch
字幕翻訳:川喜多綾子、 字幕監修:西田文信
配給:ザジフィルムズ、マクザム
後援:在東京ブータン王国名誉総領事館
公式サイト:https://www.maxam.jp/obousama/
★2024年12月13日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、 シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
posted by sakiko at 21:38| Comment(0) | ブータン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

不思議の国のシドニ   原題:Sidonie au Japon 英題:Sidonie in Japan

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(C)2023 10:15! PRODUCTIONS / LUPA FILM / BOX PRODUCTIONS / FILM IN EVOLUTION / FOURIER FILMS / MIKINO / LES FILMS DU CAMELIA

監督:エリーズ・ジラール
出演:イザベル・ユペール 伊原剛志 アウグスト・ディール

パリで暮らすフランスの女性作家シドニ。日本で、デビュー小説「影」の翻訳本が再販されることになり、出版社から招聘される。見知らぬ国へ行くことに不安を覚えながら、大阪に降り立つ。空港で編集者の溝口が迎える。フランスに3年留学し、フランス文学を学んだ溝口は、寡黙ながらフランス語で話してくれる。
ホテルの部屋に入り、窓を開けようとするが開かない。フロントに電話すると、「事故防止で開かない」と言われる。取材を受けて部屋に戻るとなぜか窓が開いている。眠れなくて、ホテルのバーに下りるとき、エレベーターに亡き夫の姿をみる。京都、奈良へと、読者とのサイン会をしながら、日本の桜の季節を愛でるシドニ。夫も、移動先の宿に現れる・・・

取材を受ける中で、シドニが小説を書くきっかけになったのが、交通事故で両親と弟を一機に亡くしたことだったとわかります。そして、夫も車の事故で亡くし、同乗していた自分が無傷だったことに傷心のシドニ。日本に来ても、心ここにあらずのシドニが、溝口と話すことで、溝口もまた、自分が生きていることの奇跡を抱えていることを知って、次第に生きる希望を取り戻していきます。身近な人を突然失ったことから立ち直るのは容易なことではありません。でも、残された者は、生きていくことが、亡くなった人への恩だとつくづく思います。
東京国際映画祭の特別招待作品として上映され、来日したエリーズ・ジラール監督は、長編デビュー作『ベルヴィル・トーキョー』のプロモーションで来日した時に、日本に恋したことが、この作品を生んだと語っていました。
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東京国際映画祭上映後Q&A報告
桜が満開の美しい季節の京都、しっとりと落ち着いた奈良、モダンアートで脚光を浴びている直島・・・ そして、ホテルや旅館、料亭などにも、日本の奥ゆかしい魅力が溢れています。谷崎潤一郎夫妻のお墓に刻まれた「寂」の文字もまた、日本の美。フランスの女性監督が捉えた日本の情緒に浸ることができました。(咲)


2023年/フランス・ドイツ・スイス・日本/96分/カラー/ビスタ/5.1ch
配給:ギャガ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/sidonie/
★2024年12月13日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開
posted by sakiko at 20:38| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月06日

ペパーミントソーダ(原題:Diabolo menthe)

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監督・脚本:ディアーヌ・キュリス
撮影:フィリップ・ルースロ
音楽:イヴ・シモン
出演:エレオノール・クラーワイン(アンヌ)、オディール・ミシェル(フレデリック)、アヌーク・フェルジャック(母親)

1963年、アンヌと姉のフレデリックは海辺の父親の家で夏休みを過ごしていた。夏休みの最終日、2人は父に見送られてパリの母親のもとに戻る。
二人の通うリセ・セジュール・フェリー校の新学期が始まったが、アンヌは勉強に身が入らない。姉とボーイフレンドのマルクが交わした手紙をこっそり見て、クラスメートにはマルクが自分のボーイフレンドだと嘘をつく。テストでカンニングをしたり、気弱な教師にいやがらせをしたり、問題ばかり起こしている。こんなことでは、寄宿学校へ送るしかないと母親に叱られる始末。

両親が離婚して、双方を行き来する姉妹の一年間を描いています。早く大人になりたいアンヌは初潮を待ちわび、姉のフレデリックは、ボーイフレンドと遊ぶことより政治や社会に興味を惹かれていきます。心も身体も日々成長する年頃、姉妹のクラスメートや友人たちもそれぞれ変化していくのでした。
ディアーヌ・キュリス監督1977年のデビュー作。監督自身の少女時代をところどころに投影しているそうです。背伸びしたい少女たちのおませな会話や、60年代の音楽やァッションなど懐かしく観ましたが、少女たちの心は今とそう変わらないのではないでしょうか。
フランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』の少女版と評されたみずみずしい作品。俳優出身の監督は、この後、『女ともだち』(1983)『セ・ラ・ヴィ』(1990)『年下のひと』(1999)『サガン-悲しみよ こんにちは-』(2008)などの作品を送り出していきます。(白)


フランス映画界における女性監督の先駆者と言われるディアーヌ・キュリス。彼女が少女時代の体験を基に脚本を書き上げ監督したデビュー作『ペパーミントソーダ』が、47年の時を経て日本初公開されます。
公開当時フランスでは300万人を動員の大ヒット。ルイ・デリュック賞、全米ナショナル・ボード・オブ・レビューでは外国語映画賞に輝いています。

映画の中で、「ケネディが暗殺された!」という言葉が出てきて、1963年という時代を思い出します。そして、最初の方の学校の新学期が始まった場面で、自分のクラスがわからない少女が「オランから来た」と言うのを聞いて、先生が「まぁ大変! アルジェリアから!」という言葉を発していて、アルジェリア独立戦争直後の時代であることも感じます。
公民の授業で、歴史と政治は不可分なものと教師が言います。1962年2月8日に何が起きたかの先生の問いに、パスカルという少女が、「シャロンヌ駅の悲劇」を語ります。左派が呼び掛けた極右過激派のテロやアルジェリア戦争に対して抗議する平和的デモが、警察によって強制的に解散させられ 死者がでた事件。姉フレデリックは、この話を聴いて以来、パスカルと親しくなります。さらに、校⾨の前に反共産主義、反ユダヤ主義者が押しかける騒ぎを⽬撃して、ユダヤの⾎が流れているフレデリックは衝撃を受けます。校内で政治的活動を始めたのが見つかり、母親が教頭に呼び出されます。成績優秀だからと3日間の謹慎で済むのですが、母親からは政治に関わるなと釘をさされます。
ペパーミントソーダ(フランス語でDiabolo Menthe)は、⼤⼈向けの炭酸飲料。まだ初潮が来なくて、うずうずしている妹が背伸びして大人の仲間入りをしたいとカフェで頼む場面が出てきます。
映画の冒頭には、 "まだオレンジ⾊のセーターを返してくれない姉へ”とあって、お姉さんは監督にまだセーターを返してなかったのでしょうか・・・
下記の監督のプロフィールをみると、初監督作品に彼女の生い立ちが反映されていることがよくわかります。(咲)


ディアーヌ・キュリス:監督・脚本
ディアーヌ・キュリスは、1948年12⽉3⽇にフランスのリヨンで⽣まれた。 ロシアとポーランドのユダヤ⼈移⺠の両親は 1942 年にフランスの強制収容所 で出会い結婚。1954年に両親が離婚した後、若きディアーヌは⺟親と姉とともにパリに移り住む。キュリスの⽗親はリヨンに残って紳⼠服店を経営し、⺟親は パリでブティックを経営した。
ディアーヌは別居を恨み、16歳 の時に⽗親のもとへ家出することもあった。リセ・ジュール・フェリー校でしばらく学んだ後、彼⼥と⽣涯の伴侶であるアレクサンドル・アルカディと出会いイスラエルのキブツ(集団農業共同体)で暮らす。彼らは1967年の六⽇戦争の 間もそこに留まり、フランスに帰国後ソルボンヌ⼤学に⼊学した。しかし1968 年5 ⽉の学⽣運動に巻き込まれ⼤学を中退し、ディアーヌは俳優として、アレクサンドルは俳優兼監督として、⼆⼈とも演劇の道へと進む。(プレス資料より抜粋)


1977年/フランス/カラー/101分
字幕翻訳:西田杏祐子
配給:RIPPLE V
(C)1977 - TF1 DROITS AUDIOVISUELS - ALEXANDRE FILMS-TF1 STUDIO
https://www.ripplev.jp/peppermintsoda/
★2024年12月13日(金)渋谷 ホワイト シネクイント ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 01:34| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

狂熱のふたり 豪華本「マルメロ草紙」はこうして生まれた

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監督・撮影・編集:浦谷年良
企画:刈部謙一
製作:杉田浩光
ナレーション:木村匡也
出演:橋本治、岡田嘉夫、中島かほる他

ふたりの奇才の妥協なき8年間の戦い !
エッセイ、文芸評論、小説、戯曲、古典の現代語訳、日本美術論など、膨大な作品を遺した作家 橋本治。その橋本がデビュー当時から共創を切望し、ダイナミックな構図と煌びやかな色彩表現で“現代の浮世絵師”とも称される異能の画家 岡田嘉夫。ふたりのクリエーターが既成概念を打ち壊して挑んだ前代未聞の豪華本「マルメロ草紙」、その制作過程をつぶさに記録した秘蔵映像がついに公開される。

お名前だけは知っているのに、著書を読まずに今まできてしまった橋本治氏の素のお顔を観た気がしたドキュメンタリー。好きなものを好きな仲間と作るのは、こんなにも楽しい!の見本のようです。作ったものは今の出版界が出したくても出せない超ぜいたくな豪華本。シネジャが色校もできずに一発で印刷しているというのに、なんなんですかこの手のかけようは!!予算だって聞いたなら、口があけっぱなしになりそうな金額でしょう。ああ、一生に一度くらいこんな潤沢な予算で好きなだけ手をかけて作れたら・・・とよだれが出そうになったものです。「いやいや中身がともなわないじゃん!」とはっと我に返り、ただただ羨ましく、1ページずつ美しくできあがっていく過程をながめました。
8年間かけているうちに紆余曲折もあったことでしょうが、みなさん実に楽しそうです。仕事と損得なしの趣味が合致しているんでしょうね。(白)


2024年/日本/カラー/84分
配給・宣伝:NAKACHIKA PICTURES
協力:集英社、TOPPAN、ハースト婦人画報社
(C)テレビマンユニオン
https://kyounetsu-movie.jp/
★2024年12月7日(金)ポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー

posted by shiraishi at 01:01| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大きな家

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監督:竹林亮
企画・プロデュース:齊藤工
撮影:幸前達之
音楽:大木嵩雄
主題歌:「トンネル」ハンバート ハンバート

東京の とある児童養護施設。
ここでは、死別・病気・虐待・経済的問題など、さまざまな事情で親と離れて暮らす子どもたちと職員が日々を過ごしています。
家族とも他人とも言い切れない、そんなつながりの中で育つ子どもたちの本音と、彼らを支える眼差しに密着しました。
生きることへの不安。うまく築けない人間関係。変えられないものと、ともに生きていくということ。ここに映っているのは、特別なものではなく、葛藤しながらもたしかに大人になっていく姿と、それを包んでいる、いつか忘れてしまうような日常の景色です。
この映画を観終わったあとは、彼らだけでなく自分が歩んできた道のりをきっと肯定したくなる。
そして、あなたの"ふつう"が少しだけ広がるかもしれません。(公式サイトより)

カメラがそばにいるのが普通になるまで、子どもたちに向き合うのに時間をかけたのがわかる映像です。子どもだってカメラに撮られていると思えば、どこかよそいきの顔になってしまうでしょう。竹林監督は『14歳の栞』(2021)で35人の14歳の子どもたちが登場したドキュメンタリーを制作していますが、その中学生たちから飾らない言葉を引き出しています。そんな経験が生きているんですね。10人の子どもたちが、自分の言葉で想いを伝えてくれていました。
一方、竹林監督は『MONDYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(2022)も作った方なんですよ。大いに笑って二度見してしまいました。
企画・プロデュースを担った 齊藤工さんは、自分が監督するのでなく、その『14歳の栞』の竹林亮監督に任せたいと思ったそうです。「私は、この作品を作るためにずっと映画に関わってきたのかもしれない。そんな、自分の理由になるくらいの作品ができました」という言葉が全てを語っています。子どもたちの将来にも配慮し、以後も配信やパッケージ化の予定はありませんので、ぜひ劇場でご覧ください。(白)


2024年/日本/カラー/123分
配給:パルコ
(C)CHOCOLATE
https://bighome-cinema.com/
★2024年12月6日(金)渋谷パルコ8F ホワイト シネクイントほか全国順次ロードショー


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2024年12月01日

コール・ミー・ダンサー(原題:Call Me Dancer)

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監督・プロデューサー:レスリー・シャンパイン
共同監督:ピップ・ギルモア
出演:マニーシュ・チャウハ、イェフダ・マオール

ムンバイの大学生マニーシュは、ボリウッド映画のダンスシーンを観て興味をひかれ、独学でダンスを始めた。リアリティ番組「インディアンズ・ゴット・タレント」や「ダンス・インディア・ダンス」に出演したことで注目を集め、ダンスワークス・スクールに通えるようになった。そこでイスラエル系アメリカ人のイェフダ・マオールに才能を認められ、親身な指導を受ける。
「僕をダンサーと呼んで」というマニーシュの願いはどのように叶って行くのか。

レスリー・シャンパイン監督は元ダンサー。かつてイェフダのレッスンを受けた経験もある方でした。ダンサーを引退後、映像業界に入り、多くの作品に携わっています。
クラッシックバレエ界では、子どものころから始めている人が多い中、マニーシュ・チャウハは大学生になってから。遅れをとってしまいましたが、コンテンポラリーダンスに活路を見出しました。あふれ出る創造性に加えて日々の研鑽も怠りません。しなやかな身体能力を持つマニーシュには、そちらがうってつけだったのでしょう。
2020年にNetflix映画『バレエ:未来への扉』では、本人役で出演しています。こちらもどうぞ。(白)


2023年/アメリカ/カラー/87分
配給:東映ビデオ
(C)2023 Shampaine Pictures, LLC. All rights reserved.
https://callmedancer-movie.com/
★2024年11月29日(金)ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 11:27| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする