2024年09月07日

ジガルタンダ・ダブルX   原題:Jigarthanda Double X

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(C)Stone Bench Films (C)Five Star Creations (C)Invenio Origin

監督・脚本:カールティク・スッバラージ
音楽:サントーシュ・ナーラーヤナン
キャスト:
アリアス・シーザー、またの名をアリヤン:ラーガヴァー・ローレンス
キルバカラン、またの名をキルバイ、レイ・ダース:S・J・スーリヤー
マラヤラシ:ニミシャ・サジャヤン (『グレート・インディアン・キッチン』)
ラトナ警視:ナヴィーン・チャンドラ
ドゥライ・パーンディ:サティヤン

クリント・イーストウッドとサタジット・レイが南インドの森で出会う

1970 年代前半のマドラス(現在のチェンナイ)。警察官採用試験に受かったキルバイは、血を見ると 気を失うこともある小心者。着任を間近にしたある日、不可解な殺人事件に居合わせ、殺人の罪で牢に 繋がれてしまう。彼は、政界に強いコネクションを持つ悪徳警視ラトナに脅されて、無罪放免・復職と引 き換えにマドゥライ地方のギャングの親分シーザーを暗殺することを命じられる。ラトナは、西ガーツ山脈のコ ンバイの森に派遣された特別警察の指揮官で、冷酷非道な男。その兄のジェヤコディは、タミル語映画界のトップスターにして、次期州首相の候補と噂されている。一方シーザーは、「ジガルタンダ極悪連合」という 組織のトップで、地元出身の野心的な有力政治家カールメーガムの手足となって象牙の違法取引から殺人まで、あらゆる非合法活動を行っている。 シーザーに近づくために、キルバイはサタジット・レイ門下の映像作家と身分を偽り、シーザーを主演にした映画の監督の公募に名乗りを上げる。クリント・イーストウッドの西部劇が大好きなシーザーは、キルバイを抜擢しレイ先生と呼ぶようになる。そこから2人の運命は思いもよらない方向に転がり始め、西ガーツ山脈 を舞台にした森と巨象のウエスタンの幕が上がる・・・

さすが、タミル語映画、濃いです。
森で象が殺され、民も容赦なく殺されます。
武器を持った警官たちが民ではなく、支配者の味方。これでは安心して暮らせません。
キルバイは、ヒーロー映画を撮るという名目で、その実態を撮るのです。
映画が正義を証明してくれる。 
武器で森と民を征する支配者を弾糾する。
出来上がった映画が、大きな象牙が掲げられた映画館で上映されます。 さて、それはどんな映画?
「戦争に勝者はいない」という言葉も、ずっしり心に響きます。
冒頭に、クリント・イーストウッド、ラジニカーント、マニラトラムの名前が掲げられた映画愛に溢れた巨編です。(咲)


2023 年/インド/タミル語/PG12/172 分
字幕:矢内美貴 加藤豊/協力:ラージャー・サラヴァナン
配給:SPACEBOX
宣伝:フルモテルモ
公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/jdx/
★2024年9月13日(金)より 新宿ピカデリーほかにて全国ロードショー
posted by sakiko at 20:22| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シュリ デジタルリマスター

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監督・脚本:カン・ジェギュ
撮影:キム・ソンボク
音楽:
アクション監督:チョン・ドゥホン
出演:ハン・ソッキュ(ユ・ジュンウォン)、ソン・ガンホ(イ・ジャンギル)、キム・ユンジン(イ・ミョンヒョン)、チェ・ミンシク(パク・ムヨン)

1998 年9月のソウル。2002年のサッカーW杯に向け、南北朝鮮統一チームが結成され、その選手選抜を兼ねた南北交流試合が行わるというニュースに沸いていた。要人暗殺事件を捜査中の韓国情報部員、ユ・ジュンウォンと相棒のイ・ジャンギルは、犯人と目される北朝鮮の女性工作員イ・バンヒを追跡している。情報部員であることは恋人のミョンホンにも明かしていない。
国防科学研究所が開発した強力な破壊力を持つ液体爆弾が強奪され、監視カメラの映像から北朝鮮の特殊部隊の仕業とわかる。以前の爆破テロの犯人パク・ムヨンが関与していた。液体爆弾を用いたテロの脅威が迫っている―。

1999年2月13日の韓国の公開から25周年(日本初公開は2000年1月22日)を迎えます。日本でも大ヒットしましたが、その後再度の上映も配信もなされないままでした。カン・ジェギュ監督自身が権利の交渉を重ね、このたび4Kデジタル修復作業を経て美しい映像で待望の再上映です。現在は映画界の重鎮となっている主要キャストたちが30代と若く、しゅっとしてハンサムなソン・ガンホについ顔が緩んでしまいました。これがデビュー作となったキム・ユンジンは20代です。
南北朝鮮問題、祖国への忠誠と個人の想い、南北精鋭の情報部員と特殊部隊の攻防、刻々と迫るテロの脅威など、中身は盛りだくさんなのにぐいぐいと映像に引っ張られていきます。それまで観ていた韓国映画は文芸ものか歴史ものだったので、ハリウッド映画に負けないアクションやストーリー運びのうまさ、俳優の演技にくぎ付けになりました。
すでにトップスターだったハン・ソッキュ、この後次々と出演作がヒットしたチェ・ミンシク、ソン・ガンホの3人が顔をそろえているほか、まだ売れる前のファン・ジョンミンが端役で出演しています。当時は名前も知りませんでしたが、出演作を何本も見ている今、すぐに気づいて「あ!」。セリフもあるので、先に声でわかりました。後のほうですよ。
主役級の俳優がそろったこんな作品、出演料が莫大でもう作られないでしょうね。スマホがない時代の違いだけで、今見ても全く古くありません。(白)


『シュリ』を観たのが、もう四半世紀も前だということに、感慨深いものがあります。とても印象に残っていて、恐らく2~3回観ていて、初めて観たのは、1999年の東京国際映画祭。ハン・ソッキュが『八月のクリスマス』とは違う印象で、まず驚き、相棒もハン・ソッキュ同様、いかにも朝鮮人のお顔だなぁ~と。(それがソン・ガンホだったと認識したのは、『反則王』を観てからでした。)  一番印象に残ったのは、チェ・ミンシク演じる武力で南北統一を成し遂げようとする北のリーダー。「北の民は飢えで苦しみ土まで食べてる」と吐き捨てるように言う姿が強烈でした。もう一人、印象に残ったのが、コネ入社とからかわれながら熱帯魚の世話をしていた若い情報部員。その時には名前も覚えていませんでしたが、パク・ヨンウという俳優さん。でも、その後の作品では目に留まることはありませんでした。(すみません!)
今回、デジタルリマスター版を観るにあたって、あらためて出演者を見てみたら、チェ・ミンシク演じるパク・ムヨン率いる特殊8軍団の中に、イ・ピルモやイ・ジョンヒョクといったその後ドラマでよく観る方も。大好きなイ・ピルモは一瞬しか確認できませんでしたが、イ・ジョンヒョクは冒頭の場面から結構目立ってます。
ファン・ジョンミンが出てくる尋問場面には、チャン・ヒョンソンもいます。
ハン・ソッキュたちの上司である局長を演じているユン・ジュサンも、ドラマでよく見るお顔。この四半世紀、どれだけ韓国ドラマや映画を観てきたことかと!
『シュリ』以降、それまでのプロパガンダと違った南北分断をテーマにした映画が作られるようになったとのこと。それにしても、『シュリ』が作られて四半世紀経っても、南北統一は成されず、夢のまた夢という感じがします。(咲)



1999年/韓国/カラー/125分
配給:ギャガ
(C)Samsung Entertainment
https://gaga.ne.jp/shuri4K/
★2024年9月13日(金)ほか全国ロードショー

posted by shiraishi at 09:12| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ザ・ブレイキン(原題:Breaking Point)

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監督:ダニア・パスクィーニ&マックス・ギーワ 
原案:レイチェル・ヒロンズ
脚本:サリー・コレット
撮影:ステファン・ヤップ 
振付:ニーク・トラア 
出演:カラム・シン(トレイ)、ケルビン・クラーク(ベンジー)、ハナ・ジョン=カーメン、エミリー・キャリー、ジルー・ラスール、エリオット・コーワン、ルシアン・ムサマティ、アリス・イヴ

トレイとベンジーは仲の良い兄弟で、ブレイキンのパートナーでもあった。ところが子どものころの事故の後から、対立して口も利かなくなった。トレイは大学を目指して勉強に励むが、ブレイキンに夢中のベンジーは父と折り合わず家にも戻らなくなった。父の誕生日を家族で祝おうとベンジーを連れ戻しにいったトレイは、ベンジーの誘いにのりブレイキンで決着をつけることになった。2人の動画がSNSで拡散され、世界選手権のイギリス代表選考会に招かれる。降ってわいた大きなチャンスにかける2人。

公園などで見かけたことのあるダンス、オリンピックの種目になってびっくりでした。競技なんですね。出演者の見事な技に目が丸くなります。それもそのはず、兄弟役のカラム・シンとケルビン・クラークは世界的に評価されたブレイカー、周りをかためる人たちもほんもののブレイカーなのだそうです。家族の絆や同じ目標を持った仲間との友情やあつれきも描かれて、青春時代から遠くへきてしまった私にも楽しめました。
作品中に日本勢も出演しています。2005年に結成された「BODYCARNIVAL」の面々、先日のオリンピックでも活躍していました。競技の前に公開だったらもっと良かったですね。いやいや、初の種目で金メダルを獲った興奮の余韻をもういちど味わってください。(白)


2023年/イギリス/102分/DCP/5.1ch/カラー/シネマスコープ/字幕:平井かおり/G
提供:楽天 
配給:松竹
© FAE FILM BP LTD 2023 ALL RIGHTS RESERVED
https://www.rakuten-ipcontent.com/thebreakin/
★2024年9月13日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー<2週間限定>

posted by shiraishi at 08:46| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シサム

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監督:中尾浩之
脚本:尾崎将也
撮影:小川ミキ
主題歌:中島みゆき「一期一会」
出演:寛一郎(高坂孝二郎)、三浦貴大(高坂栄之助)、和田正人(善助)、坂東龍汰(シカヌサシ)、平野貴大(アクノ)、サヘル・ローズ(リキアンノ)、藤本隆宏(イカシコトシ)、山西惇(伊助)、佐々木ゆか(ヤエヤムノ)、古川琴音(みつ)、要潤(平助)、富田靖子(高坂まき)、緒形直人(大川)

江戸時代前期の松前藩。アイヌとの交易の窓口となり、収益が藩の財政と直結するため次第に支配力を強めていった。高坂栄之助と孝二郎の兄弟は亡くなった父の仕事を受け継ぎ、孝二郎は初めてアイヌの住む蝦夷地へと向かう。ある晩、栄之助が使用人の善助に襲われ殺されてしまった。なぜこんなことに? 怒りに震える孝二郎は兄の仇討ちを心に誓い、逃げた善助の後を追っていく。怪我をした孝二郎はアイヌの集落で手厚く看病された。アイヌの人々とその暮らしにふれた孝二郎は、アイヌの言葉や文化をもっと知ろうとする。

コロナを挟んで5年かかって完成したというこの映画は、日本先住民のアイヌの暮らしや考え方を細かに描いています(主に北海道、ほかに樺太、千島列島、東北に住み独自の言語を持つ)。アイヌは自然を敬い、与えられるものに感謝し、採りすぎることをせずカムイ(神)と共に生きて来た民族です。争わず、話し合いで解決し、互いに助け合います。和人に虐げられたアイヌたちが蜂起し、制圧した松前藩と双方に多くの死傷者が出たのも実際にあったことです。アイヌの歴史と文化を知る良い入門編になり、今生きている私たちにも響きます。
アメリカやオーストラリアにも先住民がいました。後からやってきた人たち(西欧の列強国)は、驚くほど同じやりかたで我がものとしていきます。新天地の開拓と称して入り込み、豊かな資源を買い取ったり、交換したりしますが、公平でしょうか。激しい差別に不満は積もり、耐えかねた人々が立ち上がります。圧倒的な人数や武器をもって住みよい土地から先住民を追い出しにかかります。この一連の動きも同じです。争いの種は、今も昔も同じ過程を経て育つものですね。知らないものは畏怖となります。抑え込むのでなく理解しようとしなければ。その一歩が「知ること」です。言うは易く行うのは難し…。孝二郎は踏み出しました。後に続く人が一人二人と増えますように。
町をあげて撮影に協力した様子が白糠町のnoteで読めました。(白)

☆「シサム」はアイヌ語で隣人、アイヌ以外の人のこと(正しい表記は「ム」が小文字になります)。

ここ数年、アイヌのことを画いた映画がいくつか公開されています。今年は、口承で伝えられてきたアイヌ民族の叙事詩ユーカラを日本語訳し「アイヌ神謡集」を完成させた知里幸恵さんの実話がベースになった『カムイのうた』、明治末期の北海道を舞台にアイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた『ゴールデンカムイ』。また、1986年に北海道の美幌峠で執り行われたアイヌ民族の祭祀「チロンヌプカムイ イオマンテ(キタキツネの霊送り)」の記録を基にしたドキュメンタリー『チロンヌプカムイ イオマンテ』を今年観ました。
そしてこの『シサム』は、江戸時代前期の話。松前藩藩士とアイヌの交流と、和人に虐げられたアイヌたちが蜂起し多くの死傷者が出た史実にもとづいた物語。蝦夷地に赴き、怪我をしたことでアイヌに助けられ、異なる文化や風習に触れ、アイヌの持つ精神性や自然に対する考え方に共鳴してゆく武家の若者の成長物語でもある。過去の歴史を描いた作品であるけど、相手のことを知ること、寛容の必要性など、文化の違いを乗り越えて人は共に生き歩んでいかなくてはという、現代に通じることも描いている。
ところで、中島みゆきの「一期一会」が主題歌と聞いていたので、どこに流れるのだろうかと思っていたけど、どこで流れたのかわからなかった。劇場版では流れるのだろうか。劇場にも観に行ってみよう。この映画のために作られた歌ではなく2007年にCD発売された曲ですが、この映画の内容を的確に表した詩だと思うので下記に記します(暁)。

一期一会
歌 : 中島みゆき
作詞・作曲 : 中島みゆき

見たこともない空の色  見たこともない海の色
見たこともない野を越えて  見たこともない人に会う
急いで道をゆく人もあり
泣き泣き 道をゆく人も
忘れないよ遠く離れても  短い日々も 浅い縁も
忘れないで私のことより  あなたの笑顔を 忘れないで

見たこともない月の下  見たこともない枝の下
見たこともない軒の下  見たこともない酒を汲む
人間好きになりたいために
旅を続けてゆくのでしょう
忘れないよ遠く離れても  短い日々も 浅い縁も
忘れないで私のことより  あなたの笑顔を 忘れないで

一期一会の はかなさつらさ
人恋しさをつのらせる
忘れないよ遠く離れても  短い日々も 浅い縁も
忘れないで私のことより  あなたの笑顔を 忘れないで
忘れないよ遠く離れても  短い日々も 浅い縁も
忘れないで私のことより  あなたの笑顔を 忘れないで
あなたの笑顔を 忘れないで

中島みゆき「一期一会」フルVer使用|映画『シサム』特別予告編
https://www.youtube.com/watch?v=g2aiTobIXaM

2024年/日本/カラー/114分
配給:NAKACHIKA
©映画「シサム」製作委員会
https://sisam-movie.jp/
X (旧Twitter)https://x.com/Sisam_movie
★2024年9月13日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
posted by shiraishi at 08:39| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ぼくのお日さま

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監督・脚本・撮影・編集:奥山大史
音楽:佐藤良成
主題歌:ハンバート ハンバート「ぼくのお日さま」
出演:越山敬達(タクヤ)、中西希亜良(さくら)、若葉竜也(五十嵐)、山田真歩(三上真歩)、潤浩(コウセイ)、池松壮亮(荒川)

タクヤは吃音をもつアイスホッケーが苦手な少年。ホッケーのあと、フィギュアスケートの練習をする少女さくらに目が留まる。美しい姿勢となめらかな動きに見とれているタクヤにフィギュアコーチの荒川が気づいた。元選手の夢を諦めて、今は教える側となった。タクヤがホッケー靴のまま、ステップを真似て転んでばかりいるのを笑顔で見ている。自分の靴を貸して、一から指導することにした。
タクヤは親から「ホッケーかフィギュアかどっちかにしなさい」と言われている。さくらは荒川の指導を受け入れて、タクヤとペアでアイスダンスを始めた。3人の心が少しずつ近づいていく。

1作目の『僕はイエス様が嫌い』(2020年)奥山大史監督、待たれた2作目です。主題歌の「ぼくのお日さま」のぼくは、タクヤそのまま。この歌と監督のフィギュアスケートの思い出から生まれた作品。池松壮亮さんと知り合っていつか一緒に作品をとお互いに思っていたのが実現しました。
池松さんは制作過程から関わり、撮影が始まると主役が初めての越山くん、映画出演が初めての中西さんを映画の役と同じように見守ったようです。奥山監督は俳優から自然に生まれてくるものを重視し、子役には脚本を渡していないそうです。ベテランの池松さんの存在は大きかったでしょうね。
元選手でコーチ役の池松さんだけがスケートの経験がなく、撮影の半年前から特訓したとか。俳優さんはなんでもこなさなくてはいけないんです。画面で観るかぎり堂々としています。カメラも自ら持つ奥山監督は自分もスケートを履いて滑りながら撮影しています。
前作は小さなイエス様の登場にちょっと驚きましたが、静謐で品のある作品でした。今回はもうすこし多く人の感情が出ています。
タクヤとさくら、荒川の3人が冬の間だけ交差し、幸せな時間が流れます。この場面だけでひたひたと満たされたような気がしました。(白)


2023年/日本/カラー/90分
配給:東京テアトル
(C)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINEMAS
https://bokunoohisama.com/
★2024年9月13日(金)テアトル新宿、TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー

posted by shiraishi at 08:37| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ナミビアの砂漠

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監督・脚本:山中瑶子
撮影:米倉伸
音楽:渡邊琢磨
出演:河合優実(カナ)、金子大地(ハヤシ)、筧一郎(ホンダ)、新谷ゆづみ(イチカ)、中島歩(東高明)、唐田えりか(遠山ひかり)、渋谷采郁(葉山依)、澁谷麻美(吉田茜)、倉田萌衣(瀬尾若菜)、伊島空(三重野)、堀部圭亮(林恒一郎)、渡辺真紀子(林茉莉)

世の中も、人生も全部つまらない。やり場のない感情を抱いたまま毎日を生きている、21歳のカナ。
優しいけど退屈なホンダから自信家で刺激的なハヤシに乗り換えて、新しい生活を始めてみたが、次第にカナは自分自身に追い詰められていく。もがき、ぶつかり、彼女は自分の居場所を見つけることができるのだろうか・・・?

あんのこと』で過酷な人生を背負う杏を演じた河井優実さん、今度は自分ファーストで小気味いいほど自在に生きるカナ役です。出演作が続きますね。
山中瑶子監督は19歳で監督・脚本・撮影の『あみこ』を制作、PFFで観客賞を受賞しています。あみこが大人になってカナに?いやそんなに単純ではないか。
河合さんは、この『あみこ』を観たのをきっかけに山中監督に「監督の映画に出たいです」と伝え、後に俳優・河合優実さんが生まれたのだそうです。河合さんは今や多くの映画やドラマにひっぱりだこです。かつての願いが何年もたってようやく実現しました。ほんとに出会いは大切。
優しいけれどカナには退屈なホンダと別れ、刺激的なハヤシと暮らし始めます。女子たちが「ホンダ派」と「ハヤシ派」に分かれそうですが、あなたはどっち? カナはいっとき恋に落ちても、誰と暮らしても、遠くのまだ見ぬ砂漠に憧れ続ける気がします。(白)


2023年/日本/カラー/137分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2024「ナミビアの砂漠」製作委員会
https://happinet-phantom.com/namibia-movie/
★2024年9月6日(金)ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 01:37| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

とりつくしま

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監督・脚本:東かほり
原作:東直子「とりつくしま」(筑摩書房刊)
撮影:古屋幸一
音楽:入江陽
出演:橋本紡(佐伯こはる)、櫛島想史(佐伯渉)、小川未祐(りお)、楠田悠人(樹)、中澤梓佐(涼子)、磯西真喜子(さゆり)、柴田義之(秋彦)、安宅陽子(小林環)、志村魁(小林陽一)、小泉今日子(とりつくしま係)

人生が終わってしまった人が、あの世に行く前に「とりつくしま係」に会って「この世の何かにとりついて戻ることができる」と聞きます。
4人がそれぞれ4つのモノにとりついてみた。
夫のお気に入りのマグカップになった妻、大好きなジャングルジムになった男の子、孫にあげたカメラになったおばあちゃん、息子が使う野球のロージンになった母、4つのお話。

東直子さんの小説を映画化した作品。東かほり監督は実の娘さんです。
この映画のように、先に逝った大切な人が見守ってくれていると思えたら心強いです。いや、へたなことはできないな。安心して逝ってもらいたい気持ちが半分。自分が死んだあとのことは想像できなけれど、「とりつくしま係」に会えたなら自分は何にとりつくだろう??いろいろ考えてみましたがやっぱり決められませんでした。できれば風になってあちこち廻るのが向いていそう。
原作では一番最初のお話の「ロージン」が映画では最後になっていました。ロージンというのは、野球のピッチャーがマウンドで使う滑り止めの粉が入った袋です。ピッチャーが投球前にポンポンと手にするたび、粉が舞ってだんだんと減っていきます。どの物語も先に逝かねばならなかった人の気持ちが想像できるのですが、これが最後のシメになって余韻と涙が残りました。
とりつくしま係が小泉今日子さんで、そのお部屋が学校の教室みたいで、手にしているのが(過去帳?)紙の綴りというのもいいです。(白)


2024年/日本/カラー/90分
配給:ENBUゼミナール
(C)ENBUゼミナール
http://toritsukushima.com/
★2024年9月6日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開

posted by shiraishi at 01:30| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

石がある

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監督・脚本:太田達成
撮影:深谷祐次
音楽:王舟(おうしゅう)
編集:大川景子
出演:小川あん、加納土(かのう つち)
稲垣創太、稲垣裕太、秀、瀬戶山晃輔、山下光琉、五頭岳夫

旅行会社の仕事で郊外の町を訪れた主人公は、川辺で水切りをしている男と出会った。相手との距離を慎重に測っていたが、いつしか二人は上流へ向かって歩きだしていた――

川べりでたまたま出遭った二人がなんとなく一緒に歩き、石を探したりする、それだけのお話です。名乗るでもなく、別れてそれぞれの日常に戻っていきます。それなのに、充実した時間を過ごした気になるのは見ている私がいつも何かしらやって、せかせか暮らしているからでしょう。出会ったらすぐ名乗って握手をかわす文化の国では生まれない映画です。二人とも相手を気にしながら踏み込まない、ちょっとした緊張感もあります。太田監督と友人が石拾いをして、帰り道でなくした体験からできた作品。「石がある」というタイトルに、石ばかり、石しかない河原で唖然としたという監督の顔が見えるようで、ふふっと笑えます。

小川あんさんは『あいが、そいで、こい』(2018)、『スウィートビターキャンディ』(2022)、『彼方のうた』(2023)で外へ向かって主張するわけでもないのに印象に残る人だなぁと感じていました。
加納土さんは、ドキュメンタリー映画『沈没家族 劇場版』(2018)の監督さんです。大きな身体ですが言葉はぽつりぽつりと出るだけ、悪い人じゃなさそう、と思わせる雰囲気がありました。小田原の酒匂川(さかわがわ)がロケ地だそうです。歌川広重の「東海道五十三次」に渡しの場面が残っています。もっと涼しくなったら私も河原で石探しをしたいな。(白)


2022年/日本/カラー/スタンダード/104分
配給:inasato
(C)inasato
https://ishi-ga-aru.jp/
★2024年9月6日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開

posted by shiraishi at 01:28| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする