2024年09月29日
シビル・ウォー アメリカ最後の日 原題:CIVIL WAR
監督/脚本:アレックス・ガーランド
出演:キルステン・ダンスト、ワグネル・モウラ、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ケイリー・スピーニ―
「お前は、どの種類のアメリカ人だ?」
連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている——」。就任 “3期目”に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくー
次々と話題作を放っているA24が史上最高の製作費を投じた作品。
アメリカの連邦政府から、西部の19州が離脱し内戦が勃発。南北戦争ならぬ東西戦争。何が問題で、19州が離脱したかについては詳しく語られないのですが、大統領が14か月もの間、取材を受けないという事態は、確かに異常。
今の大統領選で、民主党と共和党が、まったく相いれないことを見せつけていて、ちょっとしたことで紛争が起こりかねないと思うと、本作で描かれる物語は、まさにリアル。実際、世界では戦争が絶えません。その現実を突きつけてはくれるけれど、どうすれば戦争を終わらせることができるのかの答えは、残念ながら得られませんでした。というか、もう世界は破滅に向かっているということでしょうか・・・(咲)
2024年/アメリカ・イギリス/109分/PG12
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト:https://happinet-phantom.com/a24/civilwar/
★2024年10月4日 (金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
ビートルジュース ビートルジュース(原題:Beetlejuice Beetlejuice)
監督:ティム・バートン
脚本:アルフレッド・ガフ マイルズ・ミラー
撮影:ハリス・ザンバーラウコス
出演:マイケル・キートン(ビートルジュース)、ウィノナ・ライダー(リディア)、モニカ・ベルッチ(ドロレス)、キャサリン・オハラ(デリア)、ジェナ・オルテガ(アストリッド)。ジャスティン・セロー(ローリー)、ウィレム・デフォー(ウルフ)、アーサー・コンティ(ジェレミー)、シュリンカー(ボブ)
ビートルジュースはお調子者の「人間怖がらせ屋(バイオ・エクソシスト)」。600歳になった今も死後の世界から人間世界へ移住することを夢見ている。そのためには、人間と結婚しなくてはならない。彼の姿が見えていた人間のリディアとなんとか結婚したい。しかし当時ハイティーンだったリディアはすっかり大人、高校生の娘アストリッドもいた。都合の良いことにアストリッドが死後の世界に間違って飛ばされてしまい、リディアは一縷の望みをかけてビートルジュースの名を呼ぶ。娘を助け出す代わりに、まんまと結婚を承諾させるビートルジュース。しかし、彼の元妻ドロレスが封印から復活、リディアと再婚したいローリーも加わって、死後の世界と現世は大騒動が巻き起こる。
前作『ビートルジュース』は1988年。その35年後を描いた作品。ビートルジュース!と3回呼ぶと、死後の世界から登場する主演のマイケル・キートン。彼がいまだ当時のテンションのまま、ビートルジュースを演じているのに驚きます。メイクをしているので、年取った感ゼロ。ウィノナ・ライダーも体型維持して若々しいです。続編の話が浮かんでは消えまた浮かび、と、これまでに紆余曲折あったようですが、35年もたって同じキャストで続編ができるとは珍しいし、めでたい!と言ってよいのではないでしょうか?今回初参加のモニカ・ベルッチの登場シーンは、なかなかショッキング。「イタリアの至宝」と呼ばれた美女がこんな姿になるとは…。
そして、ここにもいましたウィレム・デフォー、どんな役にもハマります。『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』を思い出させますねぇ。ハロウィンにぴったりの“バートン印のダークファンタジー”をお楽しみください。(白)
2024年/アメリカ/カラー/105分
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
https://wwws.warnerbros.co.jp/beetlejuice/
★2024年9月27日(金)ほか全国ロードショー
犯罪都市 PUNISHMENT(原題:범죄도시4)
監督:ホ・ミョンヘン 『バッドランド・ハンターズ』
出演:マ・ドンソク(マ・ソクト)、キム・ムヨル(ペク・チャンギ)、イ・ドンフィ(チャン・ドンチョル)、パク・ジファン(チャン・イス)
新種合成麻薬事件から3年後。ヤクザも恐れる怪物刑事マ・ソクト(マ・ドンソク)とソウル広域捜査隊は、デリバリーアプリを悪用した麻薬密売事件を捜査していた。捜査を進めるうち、手配中のアプリ開発者が謎の死を遂げた事件の背後に、フィリピンに拠点を置く国際IT犯罪組織の存在を突き止める。組織のリーダーは、拉致、監禁、暴行、殺人をいとわず、韓国の違法オンラインカジノ市場を掌握した、特殊部隊出身の“元傭兵”ペク・チャンギ(キム・ムヨル)。一方、組織オーナーで“ITの天才”CEOチャン・ドンチョル(イ・ドンフィ)は、韓国でさらに大きな犯罪計画を練っていた。マ刑事は、史上最大規模のIT犯罪計画を殲滅するため、オンラインカジノ事業の経験を持つチャン・イス(パク・ジファン)に捜査協力を依頼し、広域捜査隊、サイバー捜査隊と新たなチームを結成し捜査を始めるのだが……。
マブリーことマ・ドンソクは『エターナルズ』『新感染 ファイナル・エクスプレス』と出演のたびにファンが増え、この『犯罪都市』シリーズでは自らが企画、脚本にも協力。マブリー色が十二分に発揮されたかと思います。
マブリーが恐れられる刑事として活躍するシリーズ第4弾。今年2月23日に第3弾『犯罪都市 NO WAY OUT』が公開されています(今になって紹介し忘れたのに気づきました。確かに試写を拝見したのにすみません)。
今回の最大の敵は元傭兵ペク・チャンギ役のキム・ムヨル。マブリーがヤクザ役だった『悪人伝』で、刑事役だったのが立場逆転、それも過度に残虐な殺傷でクビになったという冷酷な役です。悪人役でもどこか愛嬌がにじみ出るマブリーと違って、あくまでクール。ニコリともしません。あまたいる助演の俳優さんの中でひときわ目をひくのが、グッチブランドで身を固めたチャン・イスを演じたパク・ジファンです。おだてに乗りやすく、最初は疑いながらもついついマ・ソクト刑事に巻き込まれていきます。お笑い担当でほっとさせてくれます。
ホ・ミョンヘン監督はこれまでのシリーズ3作でアクション監督を担っていたのですが、今回は監督に!全体に目を配りつつ、もちろんアクションに力を入れたはずです。マ・ドンソクとの息もぴったり。観るたびに身体が大きくなっている感じがするマブリー、ワンパンチで吹っ飛ばされる相手には申し訳ないですが、なにかと閉塞感のあるこのごろ、溜飲さがること請け合います。(白)
2024年/韓国/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題:범죄도시4/英題:The Roundup: Punishment/109分/PG-12/字幕翻訳:根本理恵
(C) 2024 ABO Entertainment Co.,Ltd. & BIGPUNCH PICTURES & HONG FILM & B.A.ENTERTAINMENT CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED.
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト: https://happinet-phantom.com/hanzaitoshi4
X:@hanzaitoshi4 #犯罪都市 #マ・ドンソク #マブリー
私は憎まない 原題:I Shall Not Hate
監督:タル・バルダ
脚本:タル・バルダ、ジェフ・クライン、サスキア・デ・ボア
プロデューサー:ポール・カデュー、マリーズ・ルイヤー、イザベル・グリッポン、タル・バルダ
製作総指揮:マヤ・カデュー=ルイヤー、マルタン・カデュー=ルイヤー、マリーズ・ルイヤー
映画撮影:ハンナ・アブ・アサド
編集: ジェフ・クライン
音楽:ロベール・マルセル=ルパージュ
サウンドデザイン:マルタン・カデュー=ルイヤー
登場人物:イゼルディン・アブラエーシュ、クリスティアン・アマンプール、シュロミ・エルダー 他
医療でイスラエルとパレスチナの分断に橋を架ける
3人の愛娘を殺されてもなお共存の可能性を信じ、ヒューマニティに基づき行動するガザ地区出身の医師、アブラエーシュ博士に迫るドキュメンタリー
ガザ地区の貧困地域、ジャバリア難民キャンプ出身の医師で、パレスチナ人としてイスラエルの病院で働く初の医師となったイゼルディン・アブラエーシュ博士は産婦人科でイスラエル人とパレスチナ人両方の赤ちゃんの誕生に携わってきた。「ユダヤ教徒、イスラム教徒、キリスト教徒の赤ちゃんの違いは? みんな同じく生まれたての赤ちゃんだ」と、共存が可能であることを自らの医療で体現してきた。彼は、ガザからイスラエルの病院に通いながら、病院で命が平等なように、外の世界でも同じく人々は平等であるべきだと、分断に医療で橋を架けようとする。しかし、両者の共存を誰よりも望んできた彼の赦しと和解の精神が、究極の試練にさらされる。
「暴力に暴力で対処しても問題は解決しない」
2009年1月、アブラエーシュ博士の自宅がイスラエル軍の戦車の砲撃を受け、3人の娘と姪が殺害されてしまうという悲劇が彼を襲う。砲撃直後、博士の涙の叫びの肉声はイスラエルのテレビ局が生放送され、イスラエル中に衝撃と共に伝わった。翌日、テレビカメラの前で、博士は突然憎しみではなく、共存について語りだす。その後、正義を求めてイスラエル政府を訴え、娘の死の責任を追求するも、決して復讐心や憎しみを持たない彼の赦しと和解の精神は、世界中の人々に感動を与え、数え切れないほどの賞を受賞し、“中東のガンジー、マンデラ、キング牧師"とも呼ばれる存在となる。自伝『それでも、私は憎まない』は世界的ベストセラーとなった。しかし、2023年10月7日のハマスのイスラエルへの攻撃、それ以降のガザへの攻撃を経て、彼の信念は再び試されることになる。
今は、カナダのトロントで暮らすアブラエーシュ医師。娘に息子が生まれ、パレスチナのルーツは忘れさせないと語ります。両親は、南パレスチナのフージ村の名高い一族。すぐに戻るつもりで村を離れた後、村は破壊されてしまいました。家、土地、財産を奪われた両親の苦しみをアブラエーシュ医師は受け継ぎました。ジャバリア難民キャンプで生まれ、悲惨な生活から抜けるには教育しかないと悟ります。11歳の時に入院し、いつか医者になると決意し、意思を貫いたのです。検問所を行き来しイスラエル側の病院に通った彼は、ガザに住み続け、あげく、イスラエルの砲撃で多くの家族を失いました。謝罪を求めて訴訟を起こしますが、イスラエルは攻撃したのはハマスの兵器が置かれていたからなどとし、決して謝罪しません。昨年10月7日に始めたイスラエルのガザ攻撃も、ハマスのテロ行為への報復と正当化しています。ホロコーストの恨みを向ける矛先はパレスチナの人々ではないはず。そも、1948年のイスラエル建国時に、パレスチナの人たちを追い出したことに端を発するのに・・と部外者の私も憤るのに、当事者のアブラエーシュ医師は「私は憎まない」と冷静でいらっしゃることに頭がさがります。(咲)
10月7日のせいで今の状況があるのではない!
「私は憎まない」の公開(10月4日アップリンク吉祥寺)にあわせ、カナダからガザ地区の難民キャンプ出身のアブラエーシュ博士が来日。
10月4日(金)日本記者クラブ 10階ホールにて、記者会見が行われました。
昨年の10月7日、イスラム組織ハマスの急襲を機に、イスラエルの容赦ないガザ攻撃が始まって、ちょうど1年。
アブラエーシュ博士は、「昨年10月7日、なぜあのようなことが起こったのか。10月7日のせいで今の状況があるのではない。1948年イスラエル建国からの継続した問題。10月7日は、我々にとって人生の中の一日でしかない」と強調されました。
「私は医師として、患者の病歴を聞きます。今の事態がなぜあるのかを知るためです。それは戦争にもいえます。戦争は避けることができるもの。原因を解明しないと解決しません」
2024年/カナダ・フランス/92分/ドキュメンタリー
制作: Filmoption 配給:ユナイテッドピープル
公式サイト:http://www.unitedpeople.jp/ishall
★2024年10月4日(金)アップリンク吉祥寺 他にて全国順次ロードショー
忘れない、パレスチナの子どもたちを 原題:ELEVEN DAYS IN MAY
監督:ムハンマド・サウワーフ&マイケル・ウィンターボトム
撮影監督:サラ・アルハウ
音楽: マックス・リヒター(『戦場でワルツを』『サラの鍵』『少女は自転車にのって』『めぐり逢わせのお弁当』)
ナレーション:ゾーイ・ウェイツ(英語版)、坂本美雨(日本語版)
2021年5月の11日間。少なくとも67人のガザの子供たちがイスラエルの空爆により亡くなりました。
当時、ニュースを見たイギリス人映画監督のマイケル・ウィンターボトムは、パレスチナ人映画監督のムハンマド・サウワーフと協力し、若い犠牲者を追悼する映画を作ろうと決意しました。そしてその攻撃からわずか1か月後、撮影を開始しました。
サウワーフは約100時間分の映像をウィンターボトムに送り、ウィンターボトムはロンドンの編集室でマックス・リヒターの音楽、ゾーイ・ウェイツのナレーションを加え映画を完成させました。
冒頭、ラマダン月の最終金曜日にエルサレムの神殿の丘にある岩のドームとアル・アクサー・モスクに集まる数万人の人々をスマホで撮ったらしい映像。圧巻です。
続いて、モスクに落とされる爆弾。集団礼拝に集った人々を狙うイスラエル・・・
2021年5月の空爆はこうして始まったことを知りました。
亡くなった子どもたちの家族たちが悲しみをこらえながら語る子どもたちのこと・・・
薬学を目指していた少女
真実を伝えるためジャーナリストになりたかった少女
レアルマドリードが好きだった少年
それぞれに夢がありました。
ロケット弾が落ちてきて、兄弟や友だちが目の前で亡くなる姿を目撃した少年。
亡くなった子が夢に出てくるのを待つ母。
「安全なところに行きたい」という少女。
一人一人の言葉が胸にささります。
そして、昨年10月7日に、ハマスのテロ行為に対する報復という口実で始まったイスラエルの攻撃は激しさを増すばかりで停戦の兆しも見えません。壁で包囲されて逃げ場もないガザの人たち。犠牲者は増えるばかりです。その半数近くは、子どもたち。イスラエルは、パレスチナの人たちを根絶やしにしたいのだとしか思えません。
どうしたら、世界はイスラエル政府の暴挙を止めることができるのでしょウ・・・ (咲)
2022年/イギリス/英語・アラビア語/84分/DCP/カラー
日本語字幕翻訳:M.Nakamura 幕監修:師岡カリーマ・エルサムニー
配給・宣伝:アップリンク
公式サイト:https://www.uplink.co.jp/palestine/
★2024年10月4日(金)アップリンク吉祥寺・アップリンク京都ほか全国順次公開
☆映画料金のうち100円をガザの子どもたちに寄付されます。
2024年09月22日
サウンド・オブ・フリーダム 原題:Sound of Freedom
2024年9月27日から TOHOシネマズシャンテ、kino cinema新宿、kino cinema立川髙島屋S.C.館ほか全国公開 劇場情報
児童人身売買の闇に挑む捜査官。実体験を基にした衝撃の社会派サスペンス
監督・共同脚本:アレハンドロ・モンテベルデ
共同脚本:ロッド・バール、アレハンドロ・モンテベルデ
製作:エドゥアルド・ベラステーギ
製作総指揮:デイヴ・アダムス、カルロス・アルヴァレス・ベルメヒヨ
メル・ギブソン
撮影:ゴルカ・ゴメス・アンドリュー
音楽:ハビエル・ナバレテ
編集:ブライアン・スコフィールド
プロダクション・デザイン:カルロス・ラグナス
CAST
ティム・バラード:ジム・カヴィーゼル
バンピロ:ビル・キャンプ
パブロ:エドゥアルド・ベラステーギ
キャサリン:ミラ・ソルヴィノ
ロシオ:クリスタル・アパリチ
ホルヘ:ハビエル・ゴディーノ
ロベルト:ホセ・ズニーガ
児童誘拐、人身売買、性的虐待といった国際的犯罪の数々。その規模は年間約1,500億ドルと言われている。それらの犠牲となった少年少女を救い出すために過酷なミッションに挑んだ実在の人物、ティム・バラードの闘いを基に製作された衝撃の作品。
性犯罪組織に誘拐された少年少女を追跡捜査していたアメリカ安全保障省の捜査官ティムは、上司から特別な捜査許可を得、事件の温床となっている南米コロンビアに単身潜入。ワケアリの前科者、資金提供を申し出た資産家、さらに地元警察と手を組み大規模なおとり作戦を計画。
犯罪者に連れ去られた少女、姉の救出を求める弟の無垢な瞳と家族の願いを聞き、「子どもは売り物じゃない」と死を覚悟で闇の組織に近付いていく。医師団を名乗り、危険区域に潜入。マフィアの巣窟へと乗り込んでゆく。
一人の人間として尊い命を救うため、ティムが自らの命をかけ壮絶な闘いに挑んでいくさまが、緊張感たっぷりに映し出される。子供を売買する犯罪組織vs連邦捜査官の手に汗握る壮絶な闘いが描かれる。
『モンテ・クリスト伯』や『パッション』で知られるジム・カヴィーゼルがティム・バラードを演じ、ティムの職務に同行して役作りに励み、肉体的トレーニングも重ねて完璧な格闘アクションを披露。
監督と共同脚本を務めるアレハンドロ・モンテベルデが児童人身売買の底知れぬ非道さに真正面から斬り込み、心に突き刺さるハイグレードな映画として完成させた。アメリカでの公開時には賛否両論が巻き起こる中、異例の大ヒットを記録し、「23年全米映画興収トップ10」に堂々のランクイン。
今の時代に、こんなにも多くの人身売買が行われているとはびっくりしました。それにしても、事件解決のために捜査していた人物の実際の行動を映画にしてしまうとは。過酷な現実があることを知らせてくれた映画だった(暁)
公式HP https://www.hark3.com/freedom/
2023年/アメリカ/英語・スペイン語/131分/カラー/5.1chデジタル/スコープサイズ
字幕翻訳:石田泰子 配給:ハーク 配給協力:FLICKK
一人でも多くの方に見ていただきたいという思いから、現在本作では、日本初となる新しい形のチケットプレゼントシステム《ペイ・イット・フォワードキャンペーン》を実施しています。このキャンペーンは、映画の趣旨に共感する人たちによる寄付金から、誰もが無料で映画のチケットを購入できるシステムです。全世界での取り組みに倣い、日本でも映画の世界配給権を持つAngel Studios主導のもとキャンペーンを導入しています。
下記リンク先のサイトに詳細がのっています。
*公式特設サイト: https://hark3.com/freedom/payitforward.html
児童人身売買の闇に挑む捜査官。実体験を基にした衝撃の社会派サスペンス
監督・共同脚本:アレハンドロ・モンテベルデ
共同脚本:ロッド・バール、アレハンドロ・モンテベルデ
製作:エドゥアルド・ベラステーギ
製作総指揮:デイヴ・アダムス、カルロス・アルヴァレス・ベルメヒヨ
メル・ギブソン
撮影:ゴルカ・ゴメス・アンドリュー
音楽:ハビエル・ナバレテ
編集:ブライアン・スコフィールド
プロダクション・デザイン:カルロス・ラグナス
CAST
ティム・バラード:ジム・カヴィーゼル
バンピロ:ビル・キャンプ
パブロ:エドゥアルド・ベラステーギ
キャサリン:ミラ・ソルヴィノ
ロシオ:クリスタル・アパリチ
ホルヘ:ハビエル・ゴディーノ
ロベルト:ホセ・ズニーガ
児童誘拐、人身売買、性的虐待といった国際的犯罪の数々。その規模は年間約1,500億ドルと言われている。それらの犠牲となった少年少女を救い出すために過酷なミッションに挑んだ実在の人物、ティム・バラードの闘いを基に製作された衝撃の作品。
性犯罪組織に誘拐された少年少女を追跡捜査していたアメリカ安全保障省の捜査官ティムは、上司から特別な捜査許可を得、事件の温床となっている南米コロンビアに単身潜入。ワケアリの前科者、資金提供を申し出た資産家、さらに地元警察と手を組み大規模なおとり作戦を計画。
犯罪者に連れ去られた少女、姉の救出を求める弟の無垢な瞳と家族の願いを聞き、「子どもは売り物じゃない」と死を覚悟で闇の組織に近付いていく。医師団を名乗り、危険区域に潜入。マフィアの巣窟へと乗り込んでゆく。
一人の人間として尊い命を救うため、ティムが自らの命をかけ壮絶な闘いに挑んでいくさまが、緊張感たっぷりに映し出される。子供を売買する犯罪組織vs連邦捜査官の手に汗握る壮絶な闘いが描かれる。
『モンテ・クリスト伯』や『パッション』で知られるジム・カヴィーゼルがティム・バラードを演じ、ティムの職務に同行して役作りに励み、肉体的トレーニングも重ねて完璧な格闘アクションを披露。
監督と共同脚本を務めるアレハンドロ・モンテベルデが児童人身売買の底知れぬ非道さに真正面から斬り込み、心に突き刺さるハイグレードな映画として完成させた。アメリカでの公開時には賛否両論が巻き起こる中、異例の大ヒットを記録し、「23年全米映画興収トップ10」に堂々のランクイン。
今の時代に、こんなにも多くの人身売買が行われているとはびっくりしました。それにしても、事件解決のために捜査していた人物の実際の行動を映画にしてしまうとは。過酷な現実があることを知らせてくれた映画だった(暁)
公式HP https://www.hark3.com/freedom/
2023年/アメリカ/英語・スペイン語/131分/カラー/5.1chデジタル/スコープサイズ
字幕翻訳:石田泰子 配給:ハーク 配給協力:FLICKK
一人でも多くの方に見ていただきたいという思いから、現在本作では、日本初となる新しい形のチケットプレゼントシステム《ペイ・イット・フォワードキャンペーン》を実施しています。このキャンペーンは、映画の趣旨に共感する人たちによる寄付金から、誰もが無料で映画のチケットを購入できるシステムです。全世界での取り組みに倣い、日本でも映画の世界配給権を持つAngel Studios主導のもとキャンペーンを導入しています。
下記リンク先のサイトに詳細がのっています。
*公式特設サイト: https://hark3.com/freedom/payitforward.html
西湖畔(せいこはん)に生きる 原題:草木人間 英題:Dwelling by the West Lake
2024年9月27日(金)より新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開 劇場情報
『春江水暖~しゅんこうすいだん』のグー・シャオガン監督の山水映画第二弾
監督・脚本:顧暁剛(グー・シャオガン)
撮影監督:郭達明(グオ・ダーミン)
音楽:梅林茂
出演:
目蓮/ムーリエン役:呉磊(ウー・レイ)
苔花/タイホア役:蒋勤勤(ジアン・チンチン)
老銭/チェンさん役:陳建斌(チェン・ジエンビン)
万晴/ワン・チン役:王佳佳(ワン・ジアジア)
浙江省杭州の西湖畔。最高峰の中国茶・龍井(ロンジン)茶の生産地として有名な西湖の沿岸に暮らす母と息子の関係を軸に、マルチ商法など経済環境の変化の中で揺れる家族の姿を美しい風景の中に描いた。10年前に父が行方不明になり、母の苔花と生きて来た青年目蓮。父を探すためにこの地で進学。卒業を控えて、今は求職活動をしている。
息子と生活するため、杭州にやって来た母の苔花は茶摘みで生計を立てていたが、茶商の錢と恋仲に。しかし、家族や仲間に知られてしまい、茶摘みの仕事ができなくなり、苔花は同郷の友人 金蘭に誘われ、彼女の弟が取り仕切るイベントに参加。マルチ商法に取り込まれ、詐欺まがいの仕事に参加するようになってしまった。
この仕事にのめりこみ、お金を稼ぐようになった母は自信を持つようになり、活発に。息子の目蓮は母に、だまされていると言うが、苔花は聞く耳持たず。
2019年の東京フィルメックスで、審査員特別賞を受賞した顧暁剛監督のデビュー作『春江水暖〜しゅんこうすいだん』を観て感動。まだ若いのに熟練の監督作のような映画を作った監督に感心した。フィルメックスでの上映の時、引き続き第二弾を作ると言っていたので新作に期待していたが、これがその新作。1作目の『春江水暖〜しゅんこうすいだん』の表現方法とは違う方法で2作目を描いたが「様々な変化を迎える中国社会の中で精いっぱいに生きる家族の変遷」という、最初の作品への思いはこの作品の中でも生きている。
監督は東京国際映画祭の時のトークの中で原題について、「原題の『草木人間』は「茶」という字を分解したもの(草と木の間に人が入ると茶という字になる)、この映画では、お茶は作品の重要な要素です」と語っている。そして「この作品を作っている時、人というのは天と地の間の草木のようだと感じました。路傍にはえている草、自分が育つところも選べない小さな草木のよう。そんな草木でも太陽の方を向き生命の意義を見出す。草木は生きとし生けるものの象徴。庶民にとっての生活や努力に対する希望の象徴です。山水画の雰囲気を残しつつ、マルチ商法のような社会の問題をどう描くかは挑戦でした」と語っていた。
中国には「目連救母」という言葉があります。地獄に落ちた母を息子目連が救い出そうとする話です。その「目連救母」を題材に、地獄をマルチ商法に変え、人の世とどう結びつけるかを描いたそうです(暁)。
配給:ムヴィオラ、面白映画
2023年|中国映画|118分
『春江水暖~しゅんこうすいだん』のグー・シャオガン監督の山水映画第二弾
監督・脚本:顧暁剛(グー・シャオガン)
撮影監督:郭達明(グオ・ダーミン)
音楽:梅林茂
出演:
目蓮/ムーリエン役:呉磊(ウー・レイ)
苔花/タイホア役:蒋勤勤(ジアン・チンチン)
老銭/チェンさん役:陳建斌(チェン・ジエンビン)
万晴/ワン・チン役:王佳佳(ワン・ジアジア)
浙江省杭州の西湖畔。最高峰の中国茶・龍井(ロンジン)茶の生産地として有名な西湖の沿岸に暮らす母と息子の関係を軸に、マルチ商法など経済環境の変化の中で揺れる家族の姿を美しい風景の中に描いた。10年前に父が行方不明になり、母の苔花と生きて来た青年目蓮。父を探すためにこの地で進学。卒業を控えて、今は求職活動をしている。
息子と生活するため、杭州にやって来た母の苔花は茶摘みで生計を立てていたが、茶商の錢と恋仲に。しかし、家族や仲間に知られてしまい、茶摘みの仕事ができなくなり、苔花は同郷の友人 金蘭に誘われ、彼女の弟が取り仕切るイベントに参加。マルチ商法に取り込まれ、詐欺まがいの仕事に参加するようになってしまった。
この仕事にのめりこみ、お金を稼ぐようになった母は自信を持つようになり、活発に。息子の目蓮は母に、だまされていると言うが、苔花は聞く耳持たず。
2019年の東京フィルメックスで、審査員特別賞を受賞した顧暁剛監督のデビュー作『春江水暖〜しゅんこうすいだん』を観て感動。まだ若いのに熟練の監督作のような映画を作った監督に感心した。フィルメックスでの上映の時、引き続き第二弾を作ると言っていたので新作に期待していたが、これがその新作。1作目の『春江水暖〜しゅんこうすいだん』の表現方法とは違う方法で2作目を描いたが「様々な変化を迎える中国社会の中で精いっぱいに生きる家族の変遷」という、最初の作品への思いはこの作品の中でも生きている。
監督は東京国際映画祭の時のトークの中で原題について、「原題の『草木人間』は「茶」という字を分解したもの(草と木の間に人が入ると茶という字になる)、この映画では、お茶は作品の重要な要素です」と語っている。そして「この作品を作っている時、人というのは天と地の間の草木のようだと感じました。路傍にはえている草、自分が育つところも選べない小さな草木のよう。そんな草木でも太陽の方を向き生命の意義を見出す。草木は生きとし生けるものの象徴。庶民にとっての生活や努力に対する希望の象徴です。山水画の雰囲気を残しつつ、マルチ商法のような社会の問題をどう描くかは挑戦でした」と語っていた。
中国には「目連救母」という言葉があります。地獄に落ちた母を息子目連が救い出そうとする話です。その「目連救母」を題材に、地獄をマルチ商法に変え、人の世とどう結びつけるかを描いたそうです(暁)。
配給:ムヴィオラ、面白映画
2023年|中国映画|118分
Viva Niki タロット・ガーデンへの道
2024年9月25日より東京写真美術館ホール、9月27日よりシネスイッチ銀座ほか
全国順次公開 劇場情報
彫刻庭園「タロット・ガーデン」を巡るドキュメンタリー
監督・撮影・脚本:松本路子
ナレーション:小泉今日子
編集:池田剛 音楽監修:青柳いづみこ
オリジナルエンディング曲:黒猫同盟(上田ケンジと小泉今日子)
「ナナ」シリーズなど、カラフルでエスプリあふれる女性像で知られるフランス生まれのアーティスト、ニキ・ド・サンファル(1930-2002)。
70年代に女性解放運動の女性たちや第一線で活動する石岡瑛子、オノ・ヨーコ、草間彌生をはじめ女性アーティストの肖像も撮り、「のびやかな女たち」(1978)という写真集を出版した写真家の松本路子さん。世界で活躍する女性アーティストに目を向け、80年代、スウェーデンで制作された巨大な女性像「ホーン」のことを知り、ニキ・ド・サンファルに出会ったのは1981年。
既成の価値観と闘い続けた20世紀最初のフェミニスト・アーティストとも呼ばれるニキ・ド・サンファルに魅了された松本さんは、ニキの大胆にして繊細、何よりも自由な発想と遊び心に魅せられ写真撮影を続け、1986年には写真集「ニキ・ド・サンファール」(パルコ出版)を出版。以来10数年にわたり、ヨーロッパ各地で作家と作品を撮影しつづけていた。
そんな松本さんが、「人生でやり残したことは何だろう?」と考えたとき、「ニキが構想を語ってくれたタロット・ガーデンの完成した姿を観ていない」ということを思い出し、本作品を製作した。2018年から始め、途中、コロナ禍で中断したが、今年完成。二人のたどってきた道が交差し、過去から現代、そして未来に向けての歴史をつなぎ、ニキ・ド・サンファルの軌跡を伝える作品ができた。
下記公式HPより
ニキ・ド・サンファルはフランス貴族の娘として誕生。女性としての様々な困難を怒りと共にアートに反映させてきた時代を経て、開放感に包まれた女性像「ナナ」シリーズを創作。20世紀のヴィーナスとも呼べるカラフルで陽気なナナは徐々に巨大化していく。さらに遊び心あふれる数々の野外彫刻や建造物を創り、その集大成として生まれたのが「タロット・ガーデン」である。イタリアはトスカーナのオリーブの森にあるこの彫刻庭園には、大アルカナのタロットカード22枚の寓意画が彫刻や建物として作られている。奇想天外で愉快なマジカルワールドは、だれもがワクワクする空間となっており、現在も多くのファンが訪れている。
私も1975年頃から女性解放運動の写真を撮り始め、運動に参加していました。松本さんは写真家として参加していたのでしょうが、私は運動に参加しながら記録として撮っていました。松本さんにも数回、出会いました。松本さんは1978年に「のびやかな女たち」を出しているので、私とはすれ違いだったと思います。私は1975年から1989年頃まで彼女たちのことを撮っていました。
「のびやかな女たち」のあと、何度か松本さんの写真展にも行き、ニキ・ド・サンファルのことを知りました。なんだか不思議な創造物を創る人だなと最初は思ったのですが、色彩の美さ、形、表現のユニークさにとても惹かれていきました。松本路子さんが、集大成であるこの映画を作ったと知り、これはどうしても観なくてはと思いました。ニキ・ド・サンファルのタロット・ガーデンについては、他にもドキュメンタリーで観たことはあるけど、20年かかって創ったニキ・ド・サンファルの仕事を、このタロット・ガーデンの構想から聞いていた松本さんの視点で描いたのは、また興味深い。それにニキだけでなく、娘さん、お孫さん、その他、ここの制作に関わった人達にも取材している。よりいっそうタロット・ガーデンの成り立ちについて知ることができる(暁)。
【公式サイト】https://nikifilm-project.com/
製作:ニキの映画を創る会
助成:ポーラ美術振興財団、クラウドファンディングPLAN GO、藤田晴子の会、上野千鶴子基金
後援:ニキアート財団 グラフィックデザイン:辛嶋陽子
配給・宣伝:ミモザフィルムズ 宣伝協力:クレスト
2024年/日本/日本語/76分/カラー&モノクロ/1.78:1/ステレオ
全国順次公開 劇場情報
彫刻庭園「タロット・ガーデン」を巡るドキュメンタリー
監督・撮影・脚本:松本路子
ナレーション:小泉今日子
編集:池田剛 音楽監修:青柳いづみこ
オリジナルエンディング曲:黒猫同盟(上田ケンジと小泉今日子)
「ナナ」シリーズなど、カラフルでエスプリあふれる女性像で知られるフランス生まれのアーティスト、ニキ・ド・サンファル(1930-2002)。
70年代に女性解放運動の女性たちや第一線で活動する石岡瑛子、オノ・ヨーコ、草間彌生をはじめ女性アーティストの肖像も撮り、「のびやかな女たち」(1978)という写真集を出版した写真家の松本路子さん。世界で活躍する女性アーティストに目を向け、80年代、スウェーデンで制作された巨大な女性像「ホーン」のことを知り、ニキ・ド・サンファルに出会ったのは1981年。
既成の価値観と闘い続けた20世紀最初のフェミニスト・アーティストとも呼ばれるニキ・ド・サンファルに魅了された松本さんは、ニキの大胆にして繊細、何よりも自由な発想と遊び心に魅せられ写真撮影を続け、1986年には写真集「ニキ・ド・サンファール」(パルコ出版)を出版。以来10数年にわたり、ヨーロッパ各地で作家と作品を撮影しつづけていた。
そんな松本さんが、「人生でやり残したことは何だろう?」と考えたとき、「ニキが構想を語ってくれたタロット・ガーデンの完成した姿を観ていない」ということを思い出し、本作品を製作した。2018年から始め、途中、コロナ禍で中断したが、今年完成。二人のたどってきた道が交差し、過去から現代、そして未来に向けての歴史をつなぎ、ニキ・ド・サンファルの軌跡を伝える作品ができた。
下記公式HPより
ニキ・ド・サンファルはフランス貴族の娘として誕生。女性としての様々な困難を怒りと共にアートに反映させてきた時代を経て、開放感に包まれた女性像「ナナ」シリーズを創作。20世紀のヴィーナスとも呼べるカラフルで陽気なナナは徐々に巨大化していく。さらに遊び心あふれる数々の野外彫刻や建造物を創り、その集大成として生まれたのが「タロット・ガーデン」である。イタリアはトスカーナのオリーブの森にあるこの彫刻庭園には、大アルカナのタロットカード22枚の寓意画が彫刻や建物として作られている。奇想天外で愉快なマジカルワールドは、だれもがワクワクする空間となっており、現在も多くのファンが訪れている。
私も1975年頃から女性解放運動の写真を撮り始め、運動に参加していました。松本さんは写真家として参加していたのでしょうが、私は運動に参加しながら記録として撮っていました。松本さんにも数回、出会いました。松本さんは1978年に「のびやかな女たち」を出しているので、私とはすれ違いだったと思います。私は1975年から1989年頃まで彼女たちのことを撮っていました。
「のびやかな女たち」のあと、何度か松本さんの写真展にも行き、ニキ・ド・サンファルのことを知りました。なんだか不思議な創造物を創る人だなと最初は思ったのですが、色彩の美さ、形、表現のユニークさにとても惹かれていきました。松本路子さんが、集大成であるこの映画を作ったと知り、これはどうしても観なくてはと思いました。ニキ・ド・サンファルのタロット・ガーデンについては、他にもドキュメンタリーで観たことはあるけど、20年かかって創ったニキ・ド・サンファルの仕事を、このタロット・ガーデンの構想から聞いていた松本さんの視点で描いたのは、また興味深い。それにニキだけでなく、娘さん、お孫さん、その他、ここの制作に関わった人達にも取材している。よりいっそうタロット・ガーデンの成り立ちについて知ることができる(暁)。
【公式サイト】https://nikifilm-project.com/
製作:ニキの映画を創る会
助成:ポーラ美術振興財団、クラウドファンディングPLAN GO、藤田晴子の会、上野千鶴子基金
後援:ニキアート財団 グラフィックデザイン:辛嶋陽子
配給・宣伝:ミモザフィルムズ 宣伝協力:クレスト
2024年/日本/日本語/76分/カラー&モノクロ/1.78:1/ステレオ
2024年09月15日
本日公休 原題:本日公休 英題:Day Off
9/20(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開 劇場情報
変わらないハサミの音、シャボンの香り、
ここは、アールイさんのちいさな理髪店。
監督・脚本:傅天余(フー・ティエンユー)
製作:呉念真(ウー・ニェンチェン)、呉明憲(ウー・ミンシェン)
撮影:チャン・シータン
音楽:ジョン・シンミン
主題歌:洪佩瑜(ホン・ペイユー)
アールイ:陸小芬(ルー・シャオフェン)
チュアン:傅孟柏(フー・モンボー)
シン:陳庭妮(アニー・チェン)
リン:方志友(ファン・ジーヨウ)
ナン:施名帥(シー・ミンシュアイ)
農家の若者:陳柏霖(チェン・ボーリン)
アンディ:林柏宏(リン・ボーホン)
フー・ティエンユー監督が、自分の母親をモデルに書き上げた脚本を元に、台中にある実家の理髪店で撮影、3年の月日をかけて完成させた作品。ノスタルジックだけど、理髪店を利用する常連客とのやりとり、家族間の微妙な関係、時の流れとともに「老い」の訪れがあり、それでも理髪店を続ける母を暖かい目で見つめます。
台中の町はずれで40年にわたり理髪店を営む店主のアールイ(ルー・シャオフェン)。今日も、いつものように店に立ち、常連客相手にハサミの音を響かせている。息子の卒業式に出席するために整髪にやって来た紳士、夢枕に立った亡き妻に「髪は黒いほうが良い」と言われ、初めて白髪染めにやって来る老人、親に内緒で流行りのヘアスタイルにして欲しいとやってきた中学生など、けっこう忙しい。時が止まったように見える店も、少しづつ季節は巡る。
3人の子どもたちはすでに家を出て、それぞれの道を歩んでいるがアールイの心配は尽きない。台北でスタイリストをしている長女シン(アニー・チェン)、次女リン(ファン・ジーヨウ)は街のヘアサロンで美容師、長男ナン(シー・ミンシュアイ)は定職に就かぬまま一攫千金を夢見ている。子供たちは実家の店にはなかなか顔を見せず、頼りになるのは近くで自動車修理店を営む次女の元夫チュアン(フー・モンボー)だけ。
娘や息子に「理髪店は時代遅れ」と言われても、40年続けた店と常連客を大切にし、アールイは充実した日々を送っている。そんなある日、離れた町から通ってくれていた常連客の「先生」が病の床に伏し、理髪店に通えなくなったことを知り、アールイは、店に「本日公休」の札を掲げ、愛用の理髪道具を持ち、古びた愛車で「先生」の住む町へ向かう。
その日実家を訪れた長女のシンは、母が店を休んでいることを知り、ナンやリンに理由を聞くが誰も知らない。スマホは食卓に置きっぱなしで連絡も取れず、車もなく、3人は母を案じていた。
アールイは車で出かけたものの、久しぶりの運転で慣れず、アクシデントに見舞われ、それでもいろいろな人に助けられ、「先生」の家にたどり着き、散髪をすることができた。
主演は、本作で24年ぶりに銀幕復帰を果たした『客途秋恨』(アン・ホイ監督/90)で母親役を演じたルー・シャオフェン。「こんな脚本をずっと待っていた」と出演を即決し、約4か月間ヘアカットの猛特訓を積んで撮影に臨んだ。本物の理髪師さながらのハサミ捌きと、ブランクを感じさせない演技で、台北電影奨主演女優賞、大阪アジアン映画祭 薬師真珠賞(俳優賞)を受賞。作品は観客賞も受賞。アールイに反発的な次女リンを演じたファン・ジーヨウが台湾金馬奨 助演女優賞、次女の元夫で心優しいチュアンを演じたフー・モンボー(『返校 言葉が消えた日』19)が台北電影奨 助演男優賞を受賞した。『藍色夏恋』(02)のチェン・ボーリン、『僕と幽霊が家族になった件』(22)のリン・ボーホンが、特別出演しています。
プロデュースは、ホウ・シャオシェン監督『悲情城市』(89)、『恋恋風塵』(87)の共同脚本で知られ、エドワード・ヤン監督『ヤンヤン 夏の想い出』(00)の主演で知られる台湾ニューシネマの重鎮ウー・ニェンチェンが担当。
遠方に住む顧客の1人が病気になり理髪店に通えなくなったことを知り、店に「本日公休」の札を下げ、道具を持って車で自らそこまで出向こうとする主人公。途中でいろいろなことがあり、出会いもあり、人の助けも借りて顧客の家にたどりつき、病床の常連客の髪を切る。そして家に戻る。そんな一日を描いていたが、なんとも心にしみる作品だった。病床で髪を切るシーンでは、思わず涙が出た。子供たちとの関係、常連客との関係、助けてくれる次女の元夫。途中で出会った農民役?のチェン・ボーリンとの話も面白い。畑のど真ん中で、散髪する光景は圧巻だった。そして、仕事が終わり、理髪店に戻って、日常がまた始まる。でも、それまでとちょっと違うような日常のような気がした(暁)。
公式HPはこちら
2023年製作/106分/G/台湾
配給:ザジフィルムズ、オリオフィルムズ
協力:大阪アジアン映画祭
後援:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
変わらないハサミの音、シャボンの香り、
ここは、アールイさんのちいさな理髪店。
監督・脚本:傅天余(フー・ティエンユー)
製作:呉念真(ウー・ニェンチェン)、呉明憲(ウー・ミンシェン)
撮影:チャン・シータン
音楽:ジョン・シンミン
主題歌:洪佩瑜(ホン・ペイユー)
アールイ:陸小芬(ルー・シャオフェン)
チュアン:傅孟柏(フー・モンボー)
シン:陳庭妮(アニー・チェン)
リン:方志友(ファン・ジーヨウ)
ナン:施名帥(シー・ミンシュアイ)
農家の若者:陳柏霖(チェン・ボーリン)
アンディ:林柏宏(リン・ボーホン)
フー・ティエンユー監督が、自分の母親をモデルに書き上げた脚本を元に、台中にある実家の理髪店で撮影、3年の月日をかけて完成させた作品。ノスタルジックだけど、理髪店を利用する常連客とのやりとり、家族間の微妙な関係、時の流れとともに「老い」の訪れがあり、それでも理髪店を続ける母を暖かい目で見つめます。
台中の町はずれで40年にわたり理髪店を営む店主のアールイ(ルー・シャオフェン)。今日も、いつものように店に立ち、常連客相手にハサミの音を響かせている。息子の卒業式に出席するために整髪にやって来た紳士、夢枕に立った亡き妻に「髪は黒いほうが良い」と言われ、初めて白髪染めにやって来る老人、親に内緒で流行りのヘアスタイルにして欲しいとやってきた中学生など、けっこう忙しい。時が止まったように見える店も、少しづつ季節は巡る。
3人の子どもたちはすでに家を出て、それぞれの道を歩んでいるがアールイの心配は尽きない。台北でスタイリストをしている長女シン(アニー・チェン)、次女リン(ファン・ジーヨウ)は街のヘアサロンで美容師、長男ナン(シー・ミンシュアイ)は定職に就かぬまま一攫千金を夢見ている。子供たちは実家の店にはなかなか顔を見せず、頼りになるのは近くで自動車修理店を営む次女の元夫チュアン(フー・モンボー)だけ。
娘や息子に「理髪店は時代遅れ」と言われても、40年続けた店と常連客を大切にし、アールイは充実した日々を送っている。そんなある日、離れた町から通ってくれていた常連客の「先生」が病の床に伏し、理髪店に通えなくなったことを知り、アールイは、店に「本日公休」の札を掲げ、愛用の理髪道具を持ち、古びた愛車で「先生」の住む町へ向かう。
その日実家を訪れた長女のシンは、母が店を休んでいることを知り、ナンやリンに理由を聞くが誰も知らない。スマホは食卓に置きっぱなしで連絡も取れず、車もなく、3人は母を案じていた。
アールイは車で出かけたものの、久しぶりの運転で慣れず、アクシデントに見舞われ、それでもいろいろな人に助けられ、「先生」の家にたどり着き、散髪をすることができた。
主演は、本作で24年ぶりに銀幕復帰を果たした『客途秋恨』(アン・ホイ監督/90)で母親役を演じたルー・シャオフェン。「こんな脚本をずっと待っていた」と出演を即決し、約4か月間ヘアカットの猛特訓を積んで撮影に臨んだ。本物の理髪師さながらのハサミ捌きと、ブランクを感じさせない演技で、台北電影奨主演女優賞、大阪アジアン映画祭 薬師真珠賞(俳優賞)を受賞。作品は観客賞も受賞。アールイに反発的な次女リンを演じたファン・ジーヨウが台湾金馬奨 助演女優賞、次女の元夫で心優しいチュアンを演じたフー・モンボー(『返校 言葉が消えた日』19)が台北電影奨 助演男優賞を受賞した。『藍色夏恋』(02)のチェン・ボーリン、『僕と幽霊が家族になった件』(22)のリン・ボーホンが、特別出演しています。
プロデュースは、ホウ・シャオシェン監督『悲情城市』(89)、『恋恋風塵』(87)の共同脚本で知られ、エドワード・ヤン監督『ヤンヤン 夏の想い出』(00)の主演で知られる台湾ニューシネマの重鎮ウー・ニェンチェンが担当。
遠方に住む顧客の1人が病気になり理髪店に通えなくなったことを知り、店に「本日公休」の札を下げ、道具を持って車で自らそこまで出向こうとする主人公。途中でいろいろなことがあり、出会いもあり、人の助けも借りて顧客の家にたどりつき、病床の常連客の髪を切る。そして家に戻る。そんな一日を描いていたが、なんとも心にしみる作品だった。病床で髪を切るシーンでは、思わず涙が出た。子供たちとの関係、常連客との関係、助けてくれる次女の元夫。途中で出会った農民役?のチェン・ボーリンとの話も面白い。畑のど真ん中で、散髪する光景は圧巻だった。そして、仕事が終わり、理髪店に戻って、日常がまた始まる。でも、それまでとちょっと違うような日常のような気がした(暁)。
公式HPはこちら
2023年製作/106分/G/台湾
配給:ザジフィルムズ、オリオフィルムズ
協力:大阪アジアン映画祭
後援:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
ぼくが生きてる、ふたつの世界
監督:呉美保
原作:五十嵐大「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」
「ぼくが生きてる、ふたつの世界」と改題して7月に再販 (幻冬舎文庫 い 74-1)
脚本:港岳彦
撮影:田中創
出演:吉沢亮(五十嵐大)、忍足亜希子(五十嵐明子)、今井彰人(五十嵐陽介)、ユースケ・サンタマリア(河合幸彦)、烏丸せつこ(鈴木広子)、でんでん(鈴木康雄)
宮城県の小さな港町で暮らす、五十嵐家に男の子が誕生した。大と名付けられて優しい両親や祖父母に愛情いっぱいに育てられる。祖父母はきこえるが、両親は二人とも耳がきこえない。きこえる大は大好きな母の通訳をすることが喜びで「普通」のことだった。しかし、小学生になるとほかの子の母親と違うことがわかり、参観日のお知らせも見せないまま捨ててしまう。中学生から母と距離をとるようになり、高校進学のときに母に不満や怒りをぶつけてしまう。
無為な日々を過ごしながら20歳になり、父の後押しもあって上京する。バイト先のパチンコ屋でめっぽう明るいろう者のおばさん智子に出逢った。誘われた手話のサークルで「きこえない親の子どもをコーダ(*)と呼び、日本に2万数千人もいること」を知る。
*コーダ(CODA, Children of Deaf Adults)とは、きこえない・きこえにくい親をもつきこえる子どものことを指す
『そこのみにて光輝く』(2014)『きみはいい子』(2015)呉美保(お みぽ)監督9年ぶり長編監督作。出産と子育てのため、長編映画の制作から遠ざかっていましたが、プロデューサーからの声かけで復帰。呉監督が一貫して撮り続けている家族がテーマです。今回はろう者の両親とコーダの一人息子の28年間の物語。
きこえない人は外から見てわかりません。後ろから来た車がクラクションを鳴らしても気づきません。幼い大が車道側を歩く母をひっぱるシーンがあります。母親は息子を守って車道側にいるわけで、この守り守られが映画の進行と一緒に変化していきます。
両親はじめ、ろう者役はすべてろう者の俳優をキャスティング。これからも出番が増えるといいですね。主演の吉沢亮さんは手話を一から学びましたが、表現を抑えめにしてきたこれまでの演技と違い、伝わること第一の手話は身振りや表情を大きく動かします。一つひとつに意味があって戸惑ったそうです。住んでいる地域、家庭など立場によっても微妙に異なる手話を、演技と共にとてもナチュラルに表現していたと指導された方も絶賛。中学生から大人になるまでの成長ぶりにもどうぞご注目ください。
手話が登場するドラマや映画がヒットすると、しばらくの間関心が高まり学ぶ人が増えるようです。もう一つの日本語として「手話と点字」を学校や公共の施設などで学べたならもっと広まるのになぁ。(白)
2024年/日本/カラー/105分
配給:ギャガ
(C)五十嵐大/幻冬舎 (C)2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会
https://gaga.ne.jp/FutatsunoSekai/
★2024年9月20日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次ードショー
SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース(英題:Fedrelandet)
監督:マルグレート・オリン
出演:ヨルゲン・ミクローエン、マグンヒルド・ミクローエン
ノルウェーの渓谷「オルデダーレン」にヨルゲン・ミクローエン、マグンヒルド・ミクローエンという老夫婦が静かに暮らしている。娘であるマルグレート・オリン監督は、どこへでもいく84歳の父の姿と言葉をカメラに留めていく。父は美しい渓谷を案内しながら、これまでの人生、最愛の妻、ここで生きて来た何世代もの人々について語る。
壮大なオルデダーレン渓谷の景観は一度実際に見てみたいと思わせます。迫力がありながら何もかも包み込むような懐の深さと優しさも感じます。こういうところで暮らすとこんなに穏やかな老夫婦になれるのかもしれない、とうらやましくなるようなお二人です。
監督は両親の越し方を聞きながら、行く末にも思いを馳せます。
太古からの氷河が近年急速に変化していることを様々な現象が知らせています。昆虫や鳥が減少し、森林火災・洪水が増えていること、気候変動はノルウェーに限らず世界中で起こっているのはご存じのとおり。日本も例外ではありません。「SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース」=地球の歌(声)に耳を澄ませて、地球の自然=私たちの家を大切にしましょうーと、老夫婦の生き方を通して監督が語りかけます。
この素晴らしい景観をぜひぜひ大きなスクリーンでごらんください。
ヴィム・ヴェンダース 監督と女優、監督でもあるリヴ・ウルマンが制作総指揮にあたっています。(白)
2023年/ノルウェー/カラー/分
配給:トランスフォーマー
(C)Speranza Film AS 2023
https://www.transformer.co.jp/m/songofearth/
★2024年9月20日(金)TOHOシネマズシャンテ、シネマート新宿ほか全国ロードショー
ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー(原題:High & Low -John Galliano)
監督・プロデューサー:ケヴィン・マクドナルド
出演:ジョン・ガリアーノ、ケイト・モス、シドニー・トレダノ、ナオミ・キャンベル、ペネロペ・クルス、シャーリーズ・セロン、アナ・ウィンター、エドワード・エニンフル、ベルナール・アルノー
2011年2月、ジョン・ガリアーノが反ユダヤ主義的暴言を吐く動画が拡散された。ヨッパライの世迷言では片づけられない、ひどい内容だった。クリスチャン・ディオールのデザイナーとしてファッション界で天才ともてはやされていた彼は逮捕、ディオール、自らの名を冠したブランドから解雇され、全てを失ってしまった。
『ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実』(1999)『モーリタニアン 黒塗りの記録』(2021)のケヴィン・マクドナルド監督は、ジョン・ガリアーノに何があったのか、彼の内面へとせまっていく。13年たって本人の口から語られるのは??
ブランド音痴の筆者でも知っているジバンシー、ディオールなどのハイ・ブランドで次々とショーを成功させ、トップに君臨していた人がなぜ?と誰しも思います。トップに上り詰めれば、維持しなければなりません。その重圧に加え、年に32回ものショーという超人的な仕事量。疲労は積み重なっていったでしょう。ジョン・ガリアーノの栄光の軌跡を示す貴重なアーカイブ映像、モデルや評論家など業界の人々のコメントも紹介されます。魅力的な人の波乱万丈の人生にはいくつものドラマがありました。
カメラの前のジョン・ガリアーノは絶頂期のギラギラとしたパワーは消え、長い旅路を歩いてきた穏やかな表情をうかべています。一人の人間の光と影、歓喜と苦悩、美しさと醜さ、聡明なのに愚かでもある…ケヴィン・マクドナルド監督は相反するものをとらえて提示し、観客にひとつの種を蒔きました。天才の栄枯盛衰を凡人の幸せを思いつつ、拝見。(白)
2023年/イギリス/カラー/116分
配給:キノフィルムズ
c 2023 KGB Films JG Ltd
https://jg-movie.com/
★2024年9月20日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラスト有楽町ほか全国ロードショー
パリの小さなオーケストラ 原題:Divertimento
監督・脚本:マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール(『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』)
出演:ウーヤラ・アマムラ、リナ・エル・アラビ、ニエル・アレストリュプ
<ディヴェルティメント・オーケストラ>を立ち上げたアルジェリア系の少女と仲間たちの物語
パリ近郊の音楽院でヴィオラを学んできたアルジェリア系の少女ザイア・ジウアニ。パリ市内の名門音楽院に最終学年で編入が認められ、指揮者になりたいという夢を持つ。だが、女性で指揮者を目指すのはとても困難な上、クラスには指揮者を目指すエリートのランベールがいる。超高級楽器を持つ名家の生徒たちに囲まれアウェーの中、ランベールの仲間たちには田舎者とやじられ、指揮の練習の授業では指揮台に立っても、真面目に演奏してもらえず、練習にならない。しかし、特別授業に来た世界的指揮者に気に入られ、指導を受けることができるようになり、道がわずかに拓き始める・・・
女性で、アルジェリア系という立場ながら、指揮者になるという夢を叶え、貧富の格差なく誰もが楽しめるよう、パリ市内の上流家庭出身の生徒たちと移民の多いパリ近郊の地元の友人たちによるオーケストラを結成したザイアの物語に勇気づけられました。
本作の2023年フランス公開によって存在が注目され、ザイア・ジウアニは2024年パリ・オリンピックの聖火ランナーを務め、さらに閉会式では大会初の女性指揮者として、ディヴェルティメント・オーケストラによるフランス国歌“ラ・マルセイエーズ”演奏の指揮を務めています。
ジェンダー、人種差別、階級の不平等に立ち向かい夢を叶えたザイアが素敵です。(咲)
『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』
マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2016/kiseki/index.html
2022年/フランス/フランス語/114分/PG12/カラー/ビスタサイズ
配給:アットエンタテインメント
公式サイト:https://parisorchemovie.com/
★2024年9月20日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほかにて全国公開
画家ボナール ピエールとマルト 原題:BONNARD, Pierre et Marthe
監督:マルタン・プロヴォ(『セラフィーヌの庭』)
出演:セシル・ドゥ・フランス、ヴァンサン・マケーニュ、ステイシー・マーティン、アヌーク・グランベール、アンドレ・マルコン
1893年、ピエールとマルトは画家とモデルとしてパリで出会う。ブルジョア出身のピエールは謎めいて型破りなマルトに強く惹かれ、二人はともに暮らし始める。田舎に家を見つけ社交的な世界から遠ざかり、クロード・モネなど限られた友人との交流を除いては半ば隠遁生活の中で絵画制作に励むピエール。マルトをモデルにした赤裸々な絵画は評判となりピエールは展覧会で大成功をおさめる。1914年第一次世界大戦が始まった夏、仕事で毎週パリに赴くピエールに不安がつのるマルト、終戦間近にはパリのアトリエでピエールのモデルになっている美術学校生ルネと出くわす。なぜかマルトはルネを気に入り3人の関係は複雑なものに…。
ピエールが生涯で描いた2000点もの作品の3分の1は、マルトを描いたもの。それほどまでに愛していたはずなのに、若いルネに惹かれ、マルトを裏切ったピエール。まったく~と唸りますが、マルトは思いもかけない3人の関係の構築します。あっぱれです。苦悩を抱えながら、堂々と振る舞うマルトをセシル・ドゥ・フランスが体現しています。
セシルとお会いしたのは、『モンテーニュ通りのカフェ』(06)が横浜フランス映画祭で上映された時のことでした。若くてはつらつとしたセシルでした。本作では、20代から70代までのマルトを演じ切り、円熟した姿を見せてくれました。絵のモデルになるだけでなく、自らも筆をとったマルトを生き生きと演じています。
今後、ピエール・ボナールが描いたマルトを観るときには、セシルの姿が思い浮かびそうです。(咲)
*横浜フランス映画祭2024 観客賞受賞
*第76回カンヌ国際映画祭 カンヌ・プルミエール正式出品
2023 年/123 分/フランス/配給:オンリー・ハーツ
⽇本語字幕:松岡葉⼦
配給:オンリー・ハーツ
後援:在⽇フランス⼤使館、アンスティチュ・フランセ
公式サイト:https://bpm.onlyhearts.co.jp/
★2024年09月20日(金)よりシネスイッチ銀座他にて全国順次公開
2024年09月13日
あなたのおみとり
製作・監督・撮影・編集:村上浩康
出演:村上壮 村上幸子
家での最期を希望した父と、看取りを決意した母。
息子のカメラが映し出す、戸惑いと焦燥、驚きと喜び、感謝と労い…。
生と死に向き合う日々をありのままにみつめたドキュメンタリー。
「うちに帰りたい」。末期癌で入退院を繰り返していた父の言葉で、母は家での看取りを決意した。介護ベッドを置き、ヘルパーさんや訪問看護師さんが出入りする自宅で始まった父と母の新しい生活。ベッドから動けない父は何かと世話を焼く母に「ありがとう」と口にするようになり、母はできる限り父の近くで時間を過ごすようになった。少しずつ食事が摂れなくなり、痩せ、目を瞑る時間が増えていく父。持病の悪化で自身の健康にも不安を抱えることになった母。ヘルパーさんたちは毎日父の元を訪れ、丁寧にケアを行い、時に母の相談相手にもなってくれている。閉じていく命の前で広がっていく人と人のつながり。生と死のあわいに訪れる、夢のようなひととき。
ほとんど意識のなくなってしまったお父さんにお母さんがかける言葉に、思わず笑ってしまう場面もあって、看取りを記録した映画なのに、重い気持ちにならずにすみました。次々に童謡を歌って聞かせるお母さんに、お父さんもいい人生の最後を送ったと思いました。
家での看取りの日々は40日。訪問介護やヘルパーさんの助けがあってこそ出来た家での看取り。私の母は、入院して40日後に旅立ちました。毎日、病院に通いましたが、家で看取ることができたならと今でも思います。
お父さんの海に遺灰を撒いてほしいとの遺言で、松島湾で海洋葬を行われた場面も映し出されました。遊覧船の会社が手配してくださるそうで、5組一緒なら、7万円と言われたけれど、さすがに撮影するので30万円で貸切にされたとのこと。喪服は目立つので、普通の服装でと言われたそうです。遺灰を撒いたあとは、島巡り1時間。晴れやかな気持ちで帰ることができたと村上監督。 1周忌には、お母様と二人で松島湾遊覧船に乗って偲ばれたそうです。
本作は、お父様の最期の日々を映し出したものですが、同時にお母様の姿も映し出したものになっていて、どちらかというとお母様が主役にも見えました。お母様がいつか旅立たれてしまったとき、この映画は監督にとって大事な宝物になることと羨ましいです。(咲)
2024年/ 日本/ 95分
配給・宣伝:リガード
公式サイト:https://www.omitori.com/
★2024年 9月14日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開
2024年09月12日
ヒューマン・ポジション 原題:A Human Position
監督・脚本・編集:アンダース・エンブレム
撮影:マイケル・マーク・ランハム 音楽:エイリク・スリニング
製作:スティアン・スキャルタッド、アンダース・エンブレム
出演:アマリエ・イプセン・ジェンセン、マリア・アグマロ、ラース・ハルヴォー・アンドレアセン
ノルウェー、フィヨルドに囲まれた港町オーレスン。パステルカラーのアールヌーボー建築の家並みが美しい静かな町。夏を迎え、今は白夜の季節。アスタは病気療養のため、しばらく地元新聞社の記者の仕事から離れていたが、臨時雇いながら復帰する。
アスタが一緒に暮らすのは、癒しをくれる小猫一匹と、自宅を職場に、古くなった椅子のリペアを手掛ける若い女性ライヴ。彼女との他愛のない会話は、病み上がりのアスタにとって、心安らぐものだ。
アスタは記者として、地元のホッケーチーム、アールヌーボー建築を保存するための小さなデモやクルーズ船の景気など地元の人々を取材する。
ある日、ライヴが新聞に掲載されていた『労働法違反で難民申請者が強制送還へ』という小さな記事に目を留める。気になったアスタは翌日、執筆した記者に連絡をとる。わかったのは強制送還された彼の名はアスラン、そして勤めていた水産加工工場の連絡先…。
ゆっくりと時が流れるノルウェーの静かな港町での物語。
そんなのどかな町にも、移民や難民の問題が潜んでいるのを、しっとりと教えてくれました。
アスタの心の支えになっているライヴも浅黒い肌ですが、彼女の出自については詳しく語られません。アスタが、ライヴに「ノルウェーの一番いい点は?」と問うと、「なんだろう、山?」と言いながら「不満を言う立場にない。批判を許されない」とつぶやきます。移民として認められたら、文句は言えないということでしょうか。
アスタはアスランのことを調べに市役所に行きますが、難民申請は移民局の担当と言われます。市は受け入れ後の定住支援。 移民局の受け入れセンターは、一人一部屋に冷蔵庫があって、共同スペースもとても綺麗。 アスランがどんな理由で強制送還されたのかは結局わからないのですが、受け入れられれば、それなりの快適な暮らしができるのが見て取れました。
興味深かったのは、監督の日本趣味。アスタが柔道着、ライヴが浴衣を着て、湯飲み茶碗でお茶を飲みながら囲碁をする場面がありました。テレビからは、♪スミレの花咲く頃~♪と宝塚の曲が流れていて、映画『お茶漬の味』(1952)とのこと。
アスタとライヴがくつろぐ部屋の隅では、黒猫が一生懸命エサを食べていて、あ~ここには猫の居場所もしっかりあるなぁ~と、しみじみ。(咲)
2022年/ノルウェー/ノルウェー語/カラー/ヴィスタ/78分
日本語字幕:西村美須寿
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ サクセション 配給:クレプスキュール フィルム
公式サイト:https://position.crepuscule-films.com/
★2024年9月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
2024年09月07日
ジガルタンダ・ダブルX 原題:Jigarthanda Double X
監督・脚本:カールティク・スッバラージ
音楽:サントーシュ・ナーラーヤナン
キャスト:
アリアス・シーザー、またの名をアリヤン:ラーガヴァー・ローレンス
キルバカラン、またの名をキルバイ、レイ・ダース:S・J・スーリヤー
マラヤラシ:ニミシャ・サジャヤン (『グレート・インディアン・キッチン』)
ラトナ警視:ナヴィーン・チャンドラ
ドゥライ・パーンディ:サティヤン
クリント・イーストウッドとサタジット・レイが南インドの森で出会う
1970 年代前半のマドラス(現在のチェンナイ)。警察官採用試験に受かったキルバイは、血を見ると 気を失うこともある小心者。着任を間近にしたある日、不可解な殺人事件に居合わせ、殺人の罪で牢に 繋がれてしまう。彼は、政界に強いコネクションを持つ悪徳警視ラトナに脅されて、無罪放免・復職と引 き換えにマドゥライ地方のギャングの親分シーザーを暗殺することを命じられる。ラトナは、西ガーツ山脈のコ ンバイの森に派遣された特別警察の指揮官で、冷酷非道な男。その兄のジェヤコディは、タミル語映画界のトップスターにして、次期州首相の候補と噂されている。一方シーザーは、「ジガルタンダ極悪連合」という 組織のトップで、地元出身の野心的な有力政治家カールメーガムの手足となって象牙の違法取引から殺人まで、あらゆる非合法活動を行っている。 シーザーに近づくために、キルバイはサタジット・レイ門下の映像作家と身分を偽り、シーザーを主演にした映画の監督の公募に名乗りを上げる。クリント・イーストウッドの西部劇が大好きなシーザーは、キルバイを抜擢しレイ先生と呼ぶようになる。そこから2人の運命は思いもよらない方向に転がり始め、西ガーツ山脈 を舞台にした森と巨象のウエスタンの幕が上がる・・・
さすが、タミル語映画、濃いです。
森で象が殺され、民も容赦なく殺されます。
武器を持った警官たちが民ではなく、支配者の味方。これでは安心して暮らせません。
キルバイは、ヒーロー映画を撮るという名目で、その実態を撮るのです。
映画が正義を証明してくれる。
武器で森と民を征する支配者を弾糾する。
出来上がった映画が、大きな象牙が掲げられた映画館で上映されます。 さて、それはどんな映画?
「戦争に勝者はいない」という言葉も、ずっしり心に響きます。
冒頭に、クリント・イーストウッド、ラジニカーント、マニラトラムの名前が掲げられた映画愛に溢れた巨編です。(咲)
2023 年/インド/タミル語/PG12/172 分
字幕:矢内美貴 加藤豊/協力:ラージャー・サラヴァナン
配給:SPACEBOX
宣伝:フルモテルモ
公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/jdx/
★2024年9月13日(金)より 新宿ピカデリーほかにて全国ロードショー
シュリ デジタルリマスター
監督・脚本:カン・ジェギュ
撮影:キム・ソンボク
音楽:
アクション監督:チョン・ドゥホン
出演:ハン・ソッキュ(ユ・ジュンウォン)、ソン・ガンホ(イ・ジャンギル)、キム・ユンジン(イ・ミョンヒョン)、チェ・ミンシク(パク・ムヨン)
1998 年9月のソウル。2002年のサッカーW杯に向け、南北朝鮮統一チームが結成され、その選手選抜を兼ねた南北交流試合が行わるというニュースに沸いていた。要人暗殺事件を捜査中の韓国情報部員、ユ・ジュンウォンと相棒のイ・ジャンギルは、犯人と目される北朝鮮の女性工作員イ・バンヒを追跡している。情報部員であることは恋人のミョンホンにも明かしていない。
国防科学研究所が開発した強力な破壊力を持つ液体爆弾が強奪され、監視カメラの映像から北朝鮮の特殊部隊の仕業とわかる。以前の爆破テロの犯人パク・ムヨンが関与していた。液体爆弾を用いたテロの脅威が迫っている―。
1999年2月13日の韓国の公開から25周年(日本初公開は2000年1月22日)を迎えます。日本でも大ヒットしましたが、その後再度の上映も配信もなされないままでした。カン・ジェギュ監督自身が権利の交渉を重ね、このたび4Kデジタル修復作業を経て美しい映像で待望の再上映です。現在は映画界の重鎮となっている主要キャストたちが30代と若く、しゅっとしてハンサムなソン・ガンホについ顔が緩んでしまいました。これがデビュー作となったキム・ユンジンは20代です。
南北朝鮮問題、祖国への忠誠と個人の想い、南北精鋭の情報部員と特殊部隊の攻防、刻々と迫るテロの脅威など、中身は盛りだくさんなのにぐいぐいと映像に引っ張られていきます。それまで観ていた韓国映画は文芸ものか歴史ものだったので、ハリウッド映画に負けないアクションやストーリー運びのうまさ、俳優の演技にくぎ付けになりました。
すでにトップスターだったハン・ソッキュ、この後次々と出演作がヒットしたチェ・ミンシク、ソン・ガンホの3人が顔をそろえているほか、まだ売れる前のファン・ジョンミンが端役で出演しています。当時は名前も知りませんでしたが、出演作を何本も見ている今、すぐに気づいて「あ!」。セリフもあるので、先に声でわかりました。後のほうですよ。
主役級の俳優がそろったこんな作品、出演料が莫大でもう作られないでしょうね。スマホがない時代の違いだけで、今見ても全く古くありません。(白)
『シュリ』を観たのが、もう四半世紀も前だということに、感慨深いものがあります。とても印象に残っていて、恐らく2~3回観ていて、初めて観たのは、1999年の東京国際映画祭。ハン・ソッキュが『八月のクリスマス』とは違う印象で、まず驚き、相棒もハン・ソッキュ同様、いかにも朝鮮人のお顔だなぁ~と。(それがソン・ガンホだったと認識したのは、『反則王』を観てからでした。) 一番印象に残ったのは、チェ・ミンシク演じる武力で南北統一を成し遂げようとする北のリーダー。「北の民は飢えで苦しみ土まで食べてる」と吐き捨てるように言う姿が強烈でした。もう一人、印象に残ったのが、コネ入社とからかわれながら熱帯魚の世話をしていた若い情報部員。その時には名前も覚えていませんでしたが、パク・ヨンウという俳優さん。でも、その後の作品では目に留まることはありませんでした。(すみません!)
今回、デジタルリマスター版を観るにあたって、あらためて出演者を見てみたら、チェ・ミンシク演じるパク・ムヨン率いる特殊8軍団の中に、イ・ピルモやイ・ジョンヒョクといったその後ドラマでよく観る方も。大好きなイ・ピルモは一瞬しか確認できませんでしたが、イ・ジョンヒョクは冒頭の場面から結構目立ってます。
ファン・ジョンミンが出てくる尋問場面には、チャン・ヒョンソンもいます。
ハン・ソッキュたちの上司である局長を演じているユン・ジュサンも、ドラマでよく見るお顔。この四半世紀、どれだけ韓国ドラマや映画を観てきたことかと!
『シュリ』以降、それまでのプロパガンダと違った南北分断をテーマにした映画が作られるようになったとのこと。それにしても、『シュリ』が作られて四半世紀経っても、南北統一は成されず、夢のまた夢という感じがします。(咲)
1999年/韓国/カラー/125分
配給:ギャガ
(C)Samsung Entertainment
https://gaga.ne.jp/shuri4K/
★2024年9月13日(金)ほか全国ロードショー
ザ・ブレイキン(原題:Breaking Point)
監督:ダニア・パスクィーニ&マックス・ギーワ
原案:レイチェル・ヒロンズ
脚本:サリー・コレット
撮影:ステファン・ヤップ
振付:ニーク・トラア
出演:カラム・シン(トレイ)、ケルビン・クラーク(ベンジー)、ハナ・ジョン=カーメン、エミリー・キャリー、ジルー・ラスール、エリオット・コーワン、ルシアン・ムサマティ、アリス・イヴ
トレイとベンジーは仲の良い兄弟で、ブレイキンのパートナーでもあった。ところが子どものころの事故の後から、対立して口も利かなくなった。トレイは大学を目指して勉強に励むが、ブレイキンに夢中のベンジーは父と折り合わず家にも戻らなくなった。父の誕生日を家族で祝おうとベンジーを連れ戻しにいったトレイは、ベンジーの誘いにのりブレイキンで決着をつけることになった。2人の動画がSNSで拡散され、世界選手権のイギリス代表選考会に招かれる。降ってわいた大きなチャンスにかける2人。
公園などで見かけたことのあるダンス、オリンピックの種目になってびっくりでした。競技なんですね。出演者の見事な技に目が丸くなります。それもそのはず、兄弟役のカラム・シンとケルビン・クラークは世界的に評価されたブレイカー、周りをかためる人たちもほんもののブレイカーなのだそうです。家族の絆や同じ目標を持った仲間との友情やあつれきも描かれて、青春時代から遠くへきてしまった私にも楽しめました。
作品中に日本勢も出演しています。2005年に結成された「BODYCARNIVAL」の面々、先日のオリンピックでも活躍していました。競技の前に公開だったらもっと良かったですね。いやいや、初の種目で金メダルを獲った興奮の余韻をもういちど味わってください。(白)
2023年/イギリス/102分/DCP/5.1ch/カラー/シネマスコープ/字幕:平井かおり/G
提供:楽天
配給:松竹
© FAE FILM BP LTD 2023 ALL RIGHTS RESERVED
https://www.rakuten-ipcontent.com/thebreakin/
★2024年9月13日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー<2週間限定>
シサム
監督:中尾浩之
脚本:尾崎将也
撮影:小川ミキ
主題歌:中島みゆき「一期一会」
出演:寛一郎(高坂孝二郎)、三浦貴大(高坂栄之助)、和田正人(善助)、坂東龍汰(シカヌサシ)、平野貴大(アクノ)、サヘル・ローズ(リキアンノ)、藤本隆宏(イカシコトシ)、山西惇(伊助)、佐々木ゆか(ヤエヤムノ)、古川琴音(みつ)、要潤(平助)、富田靖子(高坂まき)、緒形直人(大川)
江戸時代前期の松前藩。アイヌとの交易の窓口となり、収益が藩の財政と直結するため次第に支配力を強めていった。高坂栄之助と孝二郎の兄弟は亡くなった父の仕事を受け継ぎ、孝二郎は初めてアイヌの住む蝦夷地へと向かう。ある晩、栄之助が使用人の善助に襲われ殺されてしまった。なぜこんなことに? 怒りに震える孝二郎は兄の仇討ちを心に誓い、逃げた善助の後を追っていく。怪我をした孝二郎はアイヌの集落で手厚く看病された。アイヌの人々とその暮らしにふれた孝二郎は、アイヌの言葉や文化をもっと知ろうとする。
コロナを挟んで5年かかって完成したというこの映画は、日本先住民のアイヌの暮らしや考え方を細かに描いています(主に北海道、ほかに樺太、千島列島、東北に住み独自の言語を持つ)。アイヌは自然を敬い、与えられるものに感謝し、採りすぎることをせずカムイ(神)と共に生きて来た民族です。争わず、話し合いで解決し、互いに助け合います。和人に虐げられたアイヌたちが蜂起し、制圧した松前藩と双方に多くの死傷者が出たのも実際にあったことです。アイヌの歴史と文化を知る良い入門編になり、今生きている私たちにも響きます。
アメリカやオーストラリアにも先住民がいました。後からやってきた人たち(西欧の列強国)は、驚くほど同じやりかたで我がものとしていきます。新天地の開拓と称して入り込み、豊かな資源を買い取ったり、交換したりしますが、公平でしょうか。激しい差別に不満は積もり、耐えかねた人々が立ち上がります。圧倒的な人数や武器をもって住みよい土地から先住民を追い出しにかかります。この一連の動きも同じです。争いの種は、今も昔も同じ過程を経て育つものですね。知らないものは畏怖となります。抑え込むのでなく理解しようとしなければ。その一歩が「知ること」です。言うは易く行うのは難し…。孝二郎は踏み出しました。後に続く人が一人二人と増えますように。
町をあげて撮影に協力した様子が白糠町のnoteで読めました。(白)
☆「シサム」はアイヌ語で隣人、アイヌ以外の人のこと(正しい表記は「ム」が小文字になります)。
ここ数年、アイヌのことを画いた映画がいくつか公開されています。今年は、口承で伝えられてきたアイヌ民族の叙事詩ユーカラを日本語訳し「アイヌ神謡集」を完成させた知里幸恵さんの実話がベースになった『カムイのうた』、明治末期の北海道を舞台にアイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた『ゴールデンカムイ』。また、1986年に北海道の美幌峠で執り行われたアイヌ民族の祭祀「チロンヌプカムイ イオマンテ(キタキツネの霊送り)」の記録を基にしたドキュメンタリー『チロンヌプカムイ イオマンテ』を今年観ました。
そしてこの『シサム』は、江戸時代前期の話。松前藩藩士とアイヌの交流と、和人に虐げられたアイヌたちが蜂起し多くの死傷者が出た史実にもとづいた物語。蝦夷地に赴き、怪我をしたことでアイヌに助けられ、異なる文化や風習に触れ、アイヌの持つ精神性や自然に対する考え方に共鳴してゆく武家の若者の成長物語でもある。過去の歴史を描いた作品であるけど、相手のことを知ること、寛容の必要性など、文化の違いを乗り越えて人は共に生き歩んでいかなくてはという、現代に通じることも描いている。
ところで、中島みゆきの「一期一会」が主題歌と聞いていたので、どこに流れるのだろうかと思っていたけど、どこで流れたのかわからなかった。劇場版では流れるのだろうか。劇場にも観に行ってみよう。この映画のために作られた歌ではなく2007年にCD発売された曲ですが、この映画の内容を的確に表した詩だと思うので下記に記します(暁)。
一期一会
歌 : 中島みゆき
作詞・作曲 : 中島みゆき
見たこともない空の色 見たこともない海の色
見たこともない野を越えて 見たこともない人に会う
急いで道をゆく人もあり
泣き泣き 道をゆく人も
忘れないよ遠く離れても 短い日々も 浅い縁も
忘れないで私のことより あなたの笑顔を 忘れないで
見たこともない月の下 見たこともない枝の下
見たこともない軒の下 見たこともない酒を汲む
人間好きになりたいために
旅を続けてゆくのでしょう
忘れないよ遠く離れても 短い日々も 浅い縁も
忘れないで私のことより あなたの笑顔を 忘れないで
一期一会の はかなさつらさ
人恋しさをつのらせる
忘れないよ遠く離れても 短い日々も 浅い縁も
忘れないで私のことより あなたの笑顔を 忘れないで
忘れないよ遠く離れても 短い日々も 浅い縁も
忘れないで私のことより あなたの笑顔を 忘れないで
あなたの笑顔を 忘れないで
中島みゆき「一期一会」フルVer使用|映画『シサム』特別予告編
https://www.youtube.com/watch?v=g2aiTobIXaM
2024年/日本/カラー/114分
配給:NAKACHIKA
©映画「シサム」製作委員会
https://sisam-movie.jp/
X (旧Twitter)https://x.com/Sisam_movie
★2024年9月13日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
ぼくのお日さま
監督・脚本・撮影・編集:奥山大史
音楽:佐藤良成
主題歌:ハンバート ハンバート「ぼくのお日さま」
出演:越山敬達(タクヤ)、中西希亜良(さくら)、若葉竜也(五十嵐)、山田真歩(三上真歩)、潤浩(コウセイ)、池松壮亮(荒川)
タクヤは吃音をもつアイスホッケーが苦手な少年。ホッケーのあと、フィギュアスケートの練習をする少女さくらに目が留まる。美しい姿勢となめらかな動きに見とれているタクヤにフィギュアコーチの荒川が気づいた。元選手の夢を諦めて、今は教える側となった。タクヤがホッケー靴のまま、ステップを真似て転んでばかりいるのを笑顔で見ている。自分の靴を貸して、一から指導することにした。
タクヤは親から「ホッケーかフィギュアかどっちかにしなさい」と言われている。さくらは荒川の指導を受け入れて、タクヤとペアでアイスダンスを始めた。3人の心が少しずつ近づいていく。
1作目の『僕はイエス様が嫌い』(2020年)奥山大史監督、待たれた2作目です。主題歌の「ぼくのお日さま」のぼくは、タクヤそのまま。この歌と監督のフィギュアスケートの思い出から生まれた作品。池松壮亮さんと知り合っていつか一緒に作品をとお互いに思っていたのが実現しました。
池松さんは制作過程から関わり、撮影が始まると主役が初めての越山くん、映画出演が初めての中西さんを映画の役と同じように見守ったようです。奥山監督は俳優から自然に生まれてくるものを重視し、子役には脚本を渡していないそうです。ベテランの池松さんの存在は大きかったでしょうね。
元選手でコーチ役の池松さんだけがスケートの経験がなく、撮影の半年前から特訓したとか。俳優さんはなんでもこなさなくてはいけないんです。画面で観るかぎり堂々としています。カメラも自ら持つ奥山監督は自分もスケートを履いて滑りながら撮影しています。
前作は小さなイエス様の登場にちょっと驚きましたが、静謐で品のある作品でした。今回はもうすこし多く人の感情が出ています。
タクヤとさくら、荒川の3人が冬の間だけ交差し、幸せな時間が流れます。この場面だけでひたひたと満たされたような気がしました。(白)
2023年/日本/カラー/90分
配給:東京テアトル
(C)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINEMAS
https://bokunoohisama.com/
★2024年9月13日(金)テアトル新宿、TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
ナミビアの砂漠
監督・脚本:山中瑶子
撮影:米倉伸
音楽:渡邊琢磨
出演:河合優実(カナ)、金子大地(ハヤシ)、筧一郎(ホンダ)、新谷ゆづみ(イチカ)、中島歩(東高明)、唐田えりか(遠山ひかり)、渋谷采郁(葉山依)、澁谷麻美(吉田茜)、倉田萌衣(瀬尾若菜)、伊島空(三重野)、堀部圭亮(林恒一郎)、渡辺真紀子(林茉莉)
世の中も、人生も全部つまらない。やり場のない感情を抱いたまま毎日を生きている、21歳のカナ。
優しいけど退屈なホンダから自信家で刺激的なハヤシに乗り換えて、新しい生活を始めてみたが、次第にカナは自分自身に追い詰められていく。もがき、ぶつかり、彼女は自分の居場所を見つけることができるのだろうか・・・?
『あんのこと』で過酷な人生を背負う杏を演じた河井優実さん、今度は自分ファーストで小気味いいほど自在に生きるカナ役です。出演作が続きますね。
山中瑶子監督は19歳で監督・脚本・撮影の『あみこ』を制作、PFFで観客賞を受賞しています。あみこが大人になってカナに?いやそんなに単純ではないか。
河合さんは、この『あみこ』を観たのをきっかけに山中監督に「監督の映画に出たいです」と伝え、後に俳優・河合優実さんが生まれたのだそうです。河合さんは今や多くの映画やドラマにひっぱりだこです。かつての願いが何年もたってようやく実現しました。ほんとに出会いは大切。
優しいけれどカナには退屈なホンダと別れ、刺激的なハヤシと暮らし始めます。女子たちが「ホンダ派」と「ハヤシ派」に分かれそうですが、あなたはどっち? カナはいっとき恋に落ちても、誰と暮らしても、遠くのまだ見ぬ砂漠に憧れ続ける気がします。(白)
2023年/日本/カラー/137分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2024「ナミビアの砂漠」製作委員会
https://happinet-phantom.com/namibia-movie/
★2024年9月6日(金)ほか全国ロードショー
とりつくしま
監督・脚本:東かほり
原作:東直子「とりつくしま」(筑摩書房刊)
撮影:古屋幸一
音楽:入江陽
出演:橋本紡(佐伯こはる)、櫛島想史(佐伯渉)、小川未祐(りお)、楠田悠人(樹)、中澤梓佐(涼子)、磯西真喜子(さゆり)、柴田義之(秋彦)、安宅陽子(小林環)、志村魁(小林陽一)、小泉今日子(とりつくしま係)
人生が終わってしまった人が、あの世に行く前に「とりつくしま係」に会って「この世の何かにとりついて戻ることができる」と聞きます。
4人がそれぞれ4つのモノにとりついてみた。
夫のお気に入りのマグカップになった妻、大好きなジャングルジムになった男の子、孫にあげたカメラになったおばあちゃん、息子が使う野球のロージンになった母、4つのお話。
東直子さんの小説を映画化した作品。東かほり監督は実の娘さんです。
この映画のように、先に逝った大切な人が見守ってくれていると思えたら心強いです。いや、へたなことはできないな。安心して逝ってもらいたい気持ちが半分。自分が死んだあとのことは想像できなけれど、「とりつくしま係」に会えたなら自分は何にとりつくだろう??いろいろ考えてみましたがやっぱり決められませんでした。できれば風になってあちこち廻るのが向いていそう。
原作では一番最初のお話の「ロージン」が映画では最後になっていました。ロージンというのは、野球のピッチャーがマウンドで使う滑り止めの粉が入った袋です。ピッチャーが投球前にポンポンと手にするたび、粉が舞ってだんだんと減っていきます。どの物語も先に逝かねばならなかった人の気持ちが想像できるのですが、これが最後のシメになって余韻と涙が残りました。
とりつくしま係が小泉今日子さんで、そのお部屋が学校の教室みたいで、手にしているのが(過去帳?)紙の綴りというのもいいです。(白)
2024年/日本/カラー/90分
配給:ENBUゼミナール
(C)ENBUゼミナール
http://toritsukushima.com/
★2024年9月6日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開
石がある
監督・脚本:太田達成
撮影:深谷祐次
音楽:王舟(おうしゅう)
編集:大川景子
出演:小川あん、加納土(かのう つち)
稲垣創太、稲垣裕太、秀、瀬戶山晃輔、山下光琉、五頭岳夫
旅行会社の仕事で郊外の町を訪れた主人公は、川辺で水切りをしている男と出会った。相手との距離を慎重に測っていたが、いつしか二人は上流へ向かって歩きだしていた――
川べりでたまたま出遭った二人がなんとなく一緒に歩き、石を探したりする、それだけのお話です。名乗るでもなく、別れてそれぞれの日常に戻っていきます。それなのに、充実した時間を過ごした気になるのは見ている私がいつも何かしらやって、せかせか暮らしているからでしょう。出会ったらすぐ名乗って握手をかわす文化の国では生まれない映画です。二人とも相手を気にしながら踏み込まない、ちょっとした緊張感もあります。太田監督と友人が石拾いをして、帰り道でなくした体験からできた作品。「石がある」というタイトルに、石ばかり、石しかない河原で唖然としたという監督の顔が見えるようで、ふふっと笑えます。
小川あんさんは『あいが、そいで、こい』(2018)、『スウィートビターキャンディ』(2022)、『彼方のうた』(2023)で外へ向かって主張するわけでもないのに印象に残る人だなぁと感じていました。
加納土さんは、ドキュメンタリー映画『沈没家族 劇場版』(2018)の監督さんです。大きな身体ですが言葉はぽつりぽつりと出るだけ、悪い人じゃなさそう、と思わせる雰囲気がありました。小田原の酒匂川(さかわがわ)がロケ地だそうです。歌川広重の「東海道五十三次」に渡しの場面が残っています。もっと涼しくなったら私も河原で石探しをしたいな。(白)
2022年/日本/カラー/スタンダード/104分
配給:inasato
(C)inasato
https://ishi-ga-aru.jp/
★2024年9月6日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開
2024年09月05日
熱烈 原題:熱烈 英題:One and Only
2024年9月6日 TOHOシネマズ日比谷、日本橋、新宿、シネマート新宿、アップリンク吉祥寺ほか全国ロードショー 上映劇場
監督:大鵬(ダー・ポン)
脚本:スー・ビョウ、ダー・ポン
撮影:ルイ・ジョン
チーフプロデューサー・陳祉希(チェン・ジーシー)
出演:王一博(ワン・イーボー)、黄渤(ホアン・ボー)、リウ・ミンタオ、シャオ・シェンヤン、ラレイナ・ソン、ワン・フェイフェイ ]
今年(2024)のパリオリンピックで採用され話題になったブレイキン。
中国・杭州で活動するブレイキンプロダンスチーム「感嘆符!」は、ブレイキン全国大会でトップを目指すひたむきな青年たちを描いた作品。様々な妨害に合い、挫折しながらも夢に向かって突き進む青春映画。夢、希望、裏切り、最後は、仲間との熱い友情でダンスバトルに挑む姿が爽やか。
「感嘆符!」では、社長の一人息子で“カリスマダンサー”のケビンが練習にも出ずやりたい放題。コーチ(ホアン・ボー)も形だけで口は出せず、チームは振りだけの代役を探さなければいけなくなった。コーチはかつてオーディションでいい成績を出したのにチームには参加できなかった青年、陳爍(チェン・シュオ)=(ワン・イーボー)のことを思い出し、声をかけた。陳爍は全国大会優勝の夢を持ってチームに加わり、仲間たちと練習を続け友情を築いていく。しかし、全国大会を目前にケビンは戻ってきた。様々な試練が降りかかるが、果たして陳爍は「感嘆符!」の仲間とは全国大会に出場し、勝利することができるのだろうか。
主人公、陳爍(チェン・シュオ)を演じるのは、王一博(ワン・イーボー)。アイドルグループUNIQのメインダンサー、リードラッパーとして活躍。2019年のドラマ「陳情令」で主役を演じて大ブレイクした俳優。2024年にはトニー・レオンとW主演した『無名』(5月3日公開)、パイロットを演じたスカイ・アクション大作『ボーン・トゥ・フライ』(6月28日公開)が公開され、9月6日には本作『熱烈』と主演3作品が公開されるという大活躍。大ブレイク。
コーチ役は黄渤(ホアン・ボー)。2012年「101回目のプロポーズ SAY YES」と『ロスト・イン・タイランド』の爆発的なヒット、また、チャウ・シンチー監督『西遊記 はじまりのはじまり』(13)で孫悟空を演じ、中華圏きってのマネーメイキングスターとして活躍している。
監督は大鵬(ダー・ポン)。テレビ番組司会者から出発し、バラエティやドラマに出演、俳優、音楽制作とマルチな才能を発揮し、映画製作も。『熱烈』は監督として5作目。ワン・イーボーとは『無名』で俳優として共演している。
「ブレイキン」というダンスはもちろん知っていたけど、名前は知らなかった。あのストリートダンスをブレイキンと言うというのを、今年のパリオリンピックで知った。中国で、こんなにも「ブレイキン」が盛り上がっていて、プロチームがあったり、全国大会なんかもあるというのにびっくり。日本でそういうことが行われているかどうかも知らなかったけど、オリンピックの種目にもなったわけだから、世界中でブレイクしているのでしょうね。あんなにアクロバティックな踊り、よくできるなと思う。でも、これって踊りだと思うのに、なぜオリンピックというスポーツの祭典で採用されたんだろう。私は不思議に思う。ま、体操の床演技のような感じなのかな(暁)。
公式HP https://oneandonly.ayapro.ne.jp/
2023/中国/中国語/シネマスコープ1:2.35/124分/
字幕翻訳:神部明世/配給:彩プロ/映倫G
監督:大鵬(ダー・ポン)
脚本:スー・ビョウ、ダー・ポン
撮影:ルイ・ジョン
チーフプロデューサー・陳祉希(チェン・ジーシー)
出演:王一博(ワン・イーボー)、黄渤(ホアン・ボー)、リウ・ミンタオ、シャオ・シェンヤン、ラレイナ・ソン、ワン・フェイフェイ ]
今年(2024)のパリオリンピックで採用され話題になったブレイキン。
中国・杭州で活動するブレイキンプロダンスチーム「感嘆符!」は、ブレイキン全国大会でトップを目指すひたむきな青年たちを描いた作品。様々な妨害に合い、挫折しながらも夢に向かって突き進む青春映画。夢、希望、裏切り、最後は、仲間との熱い友情でダンスバトルに挑む姿が爽やか。
「感嘆符!」では、社長の一人息子で“カリスマダンサー”のケビンが練習にも出ずやりたい放題。コーチ(ホアン・ボー)も形だけで口は出せず、チームは振りだけの代役を探さなければいけなくなった。コーチはかつてオーディションでいい成績を出したのにチームには参加できなかった青年、陳爍(チェン・シュオ)=(ワン・イーボー)のことを思い出し、声をかけた。陳爍は全国大会優勝の夢を持ってチームに加わり、仲間たちと練習を続け友情を築いていく。しかし、全国大会を目前にケビンは戻ってきた。様々な試練が降りかかるが、果たして陳爍は「感嘆符!」の仲間とは全国大会に出場し、勝利することができるのだろうか。
主人公、陳爍(チェン・シュオ)を演じるのは、王一博(ワン・イーボー)。アイドルグループUNIQのメインダンサー、リードラッパーとして活躍。2019年のドラマ「陳情令」で主役を演じて大ブレイクした俳優。2024年にはトニー・レオンとW主演した『無名』(5月3日公開)、パイロットを演じたスカイ・アクション大作『ボーン・トゥ・フライ』(6月28日公開)が公開され、9月6日には本作『熱烈』と主演3作品が公開されるという大活躍。大ブレイク。
コーチ役は黄渤(ホアン・ボー)。2012年「101回目のプロポーズ SAY YES」と『ロスト・イン・タイランド』の爆発的なヒット、また、チャウ・シンチー監督『西遊記 はじまりのはじまり』(13)で孫悟空を演じ、中華圏きってのマネーメイキングスターとして活躍している。
監督は大鵬(ダー・ポン)。テレビ番組司会者から出発し、バラエティやドラマに出演、俳優、音楽制作とマルチな才能を発揮し、映画製作も。『熱烈』は監督として5作目。ワン・イーボーとは『無名』で俳優として共演している。
「ブレイキン」というダンスはもちろん知っていたけど、名前は知らなかった。あのストリートダンスをブレイキンと言うというのを、今年のパリオリンピックで知った。中国で、こんなにも「ブレイキン」が盛り上がっていて、プロチームがあったり、全国大会なんかもあるというのにびっくり。日本でそういうことが行われているかどうかも知らなかったけど、オリンピックの種目にもなったわけだから、世界中でブレイクしているのでしょうね。あんなにアクロバティックな踊り、よくできるなと思う。でも、これって踊りだと思うのに、なぜオリンピックというスポーツの祭典で採用されたんだろう。私は不思議に思う。ま、体操の床演技のような感じなのかな(暁)。
公式HP https://oneandonly.ayapro.ne.jp/
2023/中国/中国語/シネマスコープ1:2.35/124分/
字幕翻訳:神部明世/配給:彩プロ/映倫G