2024年07月21日

幸せのイタリアーノ  原題:Corro da te

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(C)2020 WILDSIDE-VISION DISTRIBUTION

監督:リッカルド・ミラー二 
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ミリアム・レオーネ、ピエトロ・セルモンティ、ヴァネッサ・スカレーラ、ピラール・フォリアティ、アンドレア・ペンナッキ、カルロ・デ・ルッジエーリ、ジュリオ・バーゼ、ピエラ・デッリ・エスポスティ(友情出演)、ミケーレ・プラチド(特別出演)

よこしまな“恋”は“嘘”のはじまり…

成功したスポーツシューズメーカーの経営者ジャンニは、独身で女たらしの49歳。ある日、亡き母のアパートで母の車椅子に座っていると、若く美しいアレッシアが引越しの挨拶にやってくる。彼を車椅子が必要な人だと勘違いした彼女から、実家での食事に招かれる。いそいそと出かけていくと、事故で車椅子が必要になった姉キアラを紹介される。アレッシアにはめられたと思いつつ、美しいヴァイオリニストのキアラと一夜を共にできるか仲間と賭けをする。健常者であることを隠して、車椅子でデートするジャンニ。やがて、障がいを受け入れ前向きに生きる彼女に本当に恋をしてしまう…。

「魅力的な女性をみたら、とにかく声をかける」がイタリア男性のイメージ。本作の主人公ジャンニは、まさにそんな男。ひょんなことから車椅子が必要な人と勘違いされてしまったジャンニが、今さら違うとも言えず、車椅子生活を装う姿が笑いを誘います。障がい者に対して、憐みの気持ちを持っていた彼が、障がいを持つ人も心は健常者と同じと気づく姿に、私も学ばされました。
フランス映画『パリ 嘘つきな恋』(18)のリメイクの本作。イタリアの風情もたっぷり描かれています。ジャンニのランニングコースに、ローマ南部のデヴェレ川沿いやサンタンジェロ城。キアラがヴァイオリンのソリストとしてオーケストラと共演するのは、トリノの古いオペラハウスの一つレッジョ劇場。
奇跡を求めてフランスのルルドに行く場面は、コロナ禍で本場での撮影は叶わず、トリノに作ったセットで撮ったとのこと。
原題のCorro da teは、「あなたのもとに駆けつける」という愛する人が自分を必要としていたら誰もが口にする言葉なのだとか。(咲)


★イタリア映画祭2023上映作品
★ナストロ・ダルジェント賞(イタリア映画記者組合賞)コメディ女優賞受賞

2022年/イタリア/イタリア語/113分/カラー/1:2.35/5.1ch
字幕:関口英子
配給:オンリー・ハーツ
後援:イタリア大使館/イタリア文化会館
公式サイト:http://cdt.onlyhearts.co.jp/
★2024年7月26日(金)よりシネスイッチ銀座他にて全国順次公開




posted by sakiko at 21:54| Comment(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

帰って来たドラゴン 2Kリマスター版(原題:神龍小虎闖江湖 英題:CALL ME DRAGON)

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製作・監督:ウー・シーユエン
(『死亡の塔』監督、『ドランクモンキー/酔拳』製作)
アクション監督:ブルース・リャン
主演:ブルース・リャン、倉田保昭、マン・ホイ、ウォン・ワンシー、ハン・クォツァイ、ディーン・セキ

清朝末期。麻薬や人身売買など、あらゆる犯罪と暴力が渦巻く悪の魔窟、金沙村(ゴールド・サンド・シティ)。悪辣なボス、イム・クンホーが支配するその街を目指す男がいた。巷にはびこる悪を懲らしめながら流浪の旅を続ける正義の好漢、その名もドラゴン。彼にはある目的があった。
旅の途中、ドラゴンは2人組の盗賊リトル・マウスとブラック・キャットに襲われる。鮮やかな機転と華麗なクンフー技でそれを退け、逆に2人の盗賊はドラゴンに弟子入りして旅を共にしていた。3人が金沙村に到着したころ、女格闘家イーグルと、非情な殺人空手の使い手ブラック・ジャガーもやってくる。チベットの寺院から盗まれた秘宝”シルバー・パール”を巡る争いが始まった。

倉田保昭さんが香港映画界に飛び込んで、お得意の空手で大活躍した50年前の作品。ブルース・リャンとの一騎打ちに香港の観客も驚愕したはずです。マスターネガの損傷により再上映やHD化が不可能といわれ、長らく幻の作品となっていましたが、監督のウー・シーユエンが「倉田保昭日本凱旋50周年」のため、現存する最良の99分完全版マスターから2K化して復活!!このたび劇場で公開することになりました。50年前ですから俳優さんみな若い!かっこいい!!
CGもワイヤーもなしのハードなアクションに刮目せよ!!
倉田保昭さんには12年前に取材させていただきました。出演作がちょうど100本になったときです。浦川留さんと一緒に倉田プロへお邪魔してお話を伺いました。2012年夏の85号本誌に3pの記事があります。取材後、いち香港映画ファンに戻ってサインをいただきました(いつもはしません)。今も現役で、新作を送り出すほどお元気なのが嬉しいです。
可愛いリトル・マウス役のマン・ホイ(孟海)は2023年に、今回出演シーンが復元されたディーン・セキ(石天)は2021年にそれぞれ病気で亡くなられていました(合掌)。映画館で若い彼らに再会してくださいませ。(白)


なんとも懐かしい! 
2Kで復活した本作を観て、50年前に観ていたわけじゃないのに、真っ先にそう思いました。1980年代半ばあたりから観るようになった香港のカンフー映画。倉田保昭さんのお名前は、香港で活躍する日本人として轟いていました。今もお元気なのが嬉しいです。
チベットに近い金沙村での、秘宝の大きな真珠を巡る争奪戦。大勢の男たちの中で、女格闘家イーグルの活躍が光ります。ハチャメチャな中にユーモアもあって、あ~これぞかつての香港映画! 堪能しました。(咲)


1974年/香港/カラー/ビスタサイズ/DCP/99分
協賛:アートポートインベスト
提供:倉田プロモーション
配給:エデン
(c)1974SEASONAL FILM CORPORATION All Rights Reser
https://kuratadragon50.jp/

☆舞台挨拶をほぼ書き起こしました。こちらです。

☆最新作の短編も週替わりで併映します
『夢物語』(2023年・15分)
主演・製作総指揮:倉田保昭
出演・監督:中村浩二
田中平蔵は定年退職した元公務員。妻は数年前に旅立ち独り暮らし。最近、平蔵は自分が経験した事のない不思議な夢を見るようになる。ある日、平蔵は夢で大勢の忍者に襲われ・・・間一髪のところで目を覚ます。

『夢物語その2』(2024年・15分)
主演・製作総指揮:倉田保昭
昼寝をしていた老人が夢を見る。老人は孫と庭で遊んでいたが、孫は老人がトイレに行っている間に、何者かに連れ去られてしまう。老人は孫を助けるべく、命がけでアジトを捜し出し、格闘の末、孫を救い出す。

★2024年7月26日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開

posted by shiraishi at 19:45| Comment(0) | 香港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

お隣さんはヒトラー?  原題:My Neighbor Adolf

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(C)2022 All rights resrved to 2-Team Productions (2004) Ltd and Film Produkcja

監督:レオン・プルドフスキー
音楽:ウカシュ・タルゴシュ
出演:デヴィッド・ヘイマン、ウド・キア、オリヴィア・シルハヴィ

1960年、南米・コロンビア。人里離れた地に建つ2軒の古びた家。そのうちの1軒で暮らすポーランド系ユダヤ人のポルスキー。ホロコーストで家族を失い、ただ一人生き延びた彼にとって、妻が好きだった黒薔薇を育てるのが唯一の慰めだった。そんなある日、隣家にドイツ人のヘルツォークが越してくる。彼の飼い犬に黒薔薇をへし折られ、怒り心頭のポルスキーは文句を言いにいくが、間近で見た隣人は56歳で死んだはずのアドルフ・ヒトラーに酷似していた。ユダヤ人団体に出向いて隣人はヒトラーだと訴えるが信じてもらえない。カメラを購入し、証拠を掴もうと監視を始める。庭で絵を描く姿をみて、正体を暴こうと筆跡を手に入れようとしたことから、二人はチェスを指す仲になる。二人の距離が縮まったころ、ポルスキーはヘルツォークがヒトラーだと確信する場面を目撃してしまう…。

アルゼンチンで逃亡生活を続けていたアドルフ・アイヒマンが拘束されたという新聞記事が映し出されて、ヒトラーの南米逃亡説もほんとうかも?と思わせる導入部分が出色です。
敷地の境界線が間違っていて黒薔薇が植えてあるのは、隣家の敷地だといわれ、塀の位置が変えられてしまって、黒薔薇に水をやるには塀を越えなければならなくなるというあたりから、思わず笑わせられます。さらに、チェスを指したり、肖像画を描いてもらったりの仲になって、恨むべきヒトラーではと疑う人とそんな関係に?と。
ブラックユーモア満載ですが、戦争に翻弄された人たちの人生にほろりとさせられました。(咲)


2022年/イスラエル・ポーランド/英語・独語・スペイン語・ヘブライ語/96分/シネマスコープ/カラー/5.1ch
字幕翻訳:長澤達也.
配給:STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト:https://hitler-movie.com/
★2024年7月26日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開




posted by sakiko at 04:25| Comment(0) | イスラエル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする