7月5日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開 その他劇場情報
美しい台湾南部の風景、そこに生きる鉄道員とその家族たち、険しい自然と人間の諦めない戦い、この土地に残る人々の記憶
監督:簫菊貞(シャオ・ジュイジェン)
プロデューサー:陳博文(チェン・ボーウェン)、沈邑頴(シェン・イーイン)
音楽:陳明章/陳明章音楽工作有限公司(チェン・ミンジャン)、謝韻雅/MIA(シェ・ユンヤー)
編集:陳博文(チェン・ボーウェン)/陳昱璁(チェン・ユーツォン)
音響:杜篤之(ドゥ・ドゥーチー)/謝青㚬(シェ・チンジュン)
日本語字幕:樋口裕子
台湾南部の鉄道路線「南廻線」。「南廻線」を支える鉄道員とその家族、そして同線を愛する人々の想いを記録した台湾初の鉄道文化ドキュメンタリー作品『郷愁鉄路~台湾、こころの旅~』。
屏東県枋寮駅から台東県台東駅までを結ぶこの路線は、パイナップル畑や、線路の近くまで迫る海など大自然の中をSLやディーゼル列車がのんびりと走り抜ける旅情豊かな路線だったそうですが、2020年に全線電化され、その模様は変化を遂げました。
台湾でドキュメンタリー監督として活躍し、山形ドキュメンタリー映画祭にも出品経験のあるシャオ・ジュイジェン監督が4年の歳月をかけ、失われていく沿線の原風景と鉄路をカメラにおさめ、鉄道員やその家族、「南廻線」を愛する人々の想いを記録として残しています。
台湾には5回行ったけど、台北以北しか行ったことがない。九份へ行くのに台北から電車で行ったこともあるし、そこからさらに平溪線に乗り、『台北に舞う雪』の舞台である平溪線終点の菁桐駅まで行ったこともある。そして、いつか台北以南の列車の旅にも行ってみたいと思っていた。台湾一周もしたいと思っていたけど、バスで行くか列車で行くのがいいのか、漠然と考えてはいた。そんな時、この映画を観たので、これは断然列車での一周だなと思った。
この「南廻線」というのは、旅情豊かな路線だと思ったし、それを支えてきた人々の思いがひしひしと伝わってきた。日本もそうだけど、電化されたことで早く行けたり、便利にはなっただろうけど、人情とか旅情は変わってしまったかもしれない。でも、この映画で沿線の景色を見たら、いつか行ってみたいと思った(暁)。
公式サイトアドレス:https://on-the-train-movie.musashino-k.jp/
製作:Pineal Culture Studio(上善醫文化工作室)
2023年/台湾/106分/DCP/
翻訳協力:小田急電鉄株式会社/G
配給:武蔵野エンタテインメント
6月1日にはシャオ・ジュイジェン監督が来日しての上映会とトークショーが行われた。
*参照記事
シネマジャーナルHP 特別記事 2010年
台湾ロケ地めぐり 平渓線沿線 『台北に舞う雪』公開記念
http://www.cinemajournal.net/special/2010/pingxi/index.html
シネマジャーナルHP スタッフ日記 2024年
台湾映画・台湾関連映画を5本も観た1週間(暁) 『春行』『中村地平』『狼が羊に恋をするとき』『村と爆弾』『郷愁鉄路』
http://cinemajournal.seesaa.net/article/503671145.html
2024年07月04日
潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 原題:Comandante
監督:エドアルド・デ・アンジェリス
CAST
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ: サルヴァトーレ・トーダロ艦長役
マッシミリアーノ・ロッシ: ヴィットリオ・マルコン副長役
ヨハン・ヘルデンベルグ: ヴォーゲル艦長役(ベルギー人)
アルトゥーロ・ムゼッリ: ダニロ・スティエポヴィッチ役
ジュゼッペ・ブルネッティ: ジジーノ・マグニフィコ役
ジャンルカ・ディ・ジェンナーロ: ヴィンチェンツォ・ストゥンポ役
ヨハネス・ヴィリックス: ジャック・レクレルク役(ベルギー人)
ピエトロ・アンジェリーニ: イヴァーノ・レアンドリ役
マリオ・ルッソ: サルヴァトーレ・ミンニーティ役
セシリア・ベルトッツィ: アンナ役
パオロ・ボナチェッリ: ベッティ役
シルヴィア・ダミーコ: リナ・トーダロ役
実話を基に描いた、海の男たちの誇りと絆の戦争秘話
1940 年 10 月、イタリア海軍潜水艦コマンダンテ・カッペリーニは、イギリス軍への物資供給を断つために地中海からジブラルタル海峡を抜けて大西洋に向かっていた。その途中、船籍不明の貨物船に遭遇する。艦砲を装備し、戦争地帯で灯火管制をしての航行であったためこれを撃沈。だがそれは中立国であるはずのベルギー船籍の自衛武装を備えた貨物船カバロ号だった。“イタリア海軍一無謀な少佐”サルヴァトーレ・トーダロ艦長は「ナチなら見殺しにするだろうが、我々は人間は助ける」と、海に放り出された乗組員たち26人を救助し、彼らを最寄りの安全な港まで運ぶ決断を下す。狭い潜水艦の艦内に無理矢理彼らを収容し、潜航するのもあきらめ、自らの危険も覚悟のうえで、無防備状態のままイギリス軍の支配海域を航行していく・・・
助けたベルギー船の若き乗組員ジャック・レクレルクは、イタリア語だけでなくフランス語、ポルトガル語、英語、ラテン語、古代ギリシャ語も出来る語学の達人。彼のお陰で意思疎通を図ることができたのでした。
そも、イタリアの北から南までが統一されたのはそれほど古い話でなく、トーダロ艦長が、「(北の)リヴォルノと(南の)シチリアでは、言葉も文化も気候もかけ離れている」と語る場面がありました。
潜水艦の料理人ジジーノは、イタリアのどこの料理も作れるのが自慢です。予定外に26人も乗せた為、材料も底をついてきます。それでも、ベルギーの国民食は?と、彼らのために懐かしい料理を作ります。教えてもらいながら作ったのは、なんとポテトフライ! ハンバーガーについてくるお馴染みのポテトフライです。(少し太めらしいです)ベルギーの国民食だとは知らなったので、ちょっと驚き。
ベルギーの乗組員たちを助けた勇気あるサルヴァトーレ・トーダロ艦長ですが、2年後に戦死。従軍中に生まれた娘に会えないまま亡くなられたのですが、助けられたジャック・レクレルクはじめ数名が、奥様と娘さんに会いにいったというその後の話に涙。
エンドロールで流れるのは、最初は愛を歌った曲ですが、そのあとはイタリア料理の名前が延々と語られます。途中から字幕が無くなりますが、マカロニやスパゲッティなどお馴染みの単語が聴こえてきました。潜水艦の中の息苦しさを、最後に吹き飛ばしてくれました。
世界の各地で戦火の絶えない今、人権を重んじたトーダロ艦長に思いを馳せていただければと思います。(咲)
2023年ヴェネツィア国際映画祭オープニング作品
2023年/イタリア・ベルギー/イタリア語・オランダ語・英語/シネマスコープ/121分
字幕翻訳:岡本太郎
後援:イタリア文化会館
配給:彩プロ
公式サイト:https://comandante.ayapro.ne.jp/
★2024年7月5日(金)より、TOHOシネズ日比谷ほか全国公開