2024年06月20日

WALK UP  原題:탑 

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© 2022 JEONWONSA FILM CO. ALL RIGHTS RESERVED. 

監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽:ホン・サンス 
出演:クォン・ヘヒョ、イ・ヘヨン、ソン・ソンミ、チョ・ユニ、パク・ミソ、シン・ソクホ

映画監督のビョンスは、インテリア関係の仕事を志望する娘のジョンスを連れて、インテリアデザイナーとして活躍する旧友ヘオクの所有するアパートを訪れる。まずは一通り中を案内してもらう。1階はレストラン、2階は料理教室、3階は賃貸で外国帰りの若いカップルが暮らしている。そして4階は芸術家向けのアトリエで広いテラスがある。地下はヘオクの作業場。 3人でワインを飲みながら語らい、ビョンスはそこにあったギターで弾き語りする。そこへ仕事の連絡が入り、ビョンスはすぐ裏だからと出かけていく。ヘオクがジョンスに「有名な映画監督を父に持つのは、どんな気分?」と尋ねると、「外では有名だけど家では違う。臆病で子供っぽい。外に女性が出来て、もう10年くらい別居」と娘のジョンス。「皆、家の中と外では違うものよ」とヘオク・・・

こうして始まる物語。いつしか時が経ち、舞台は2階、3階、4階へと移ろい、ビョンスは階が変わるごとに一緒にいる女性が違います。ホン・サンス作品常連のクォン・ヘヒョが、浮気者でありながら、小心者でどこか臆病な映画監督を体現しています。4階で暮らしている場面では、付き合っている不動産業者のジヨンが入り浸りなのですが、演じているのは、クォン・ヘヒョの実際の奥様であるチョ・ユニ。彼女がドキッとする言葉を発するのですが、ホン・サンス監督のいたずら心?
公開を前に、主演のクォン・ヘヒョが緊急来日し、上映劇場の一つ、ヒューマントラストシネマ有楽町で6月6日(木)19:00回上映後にトークイベントが開かれたのですが、その中で、出演をオファーされた時に、「ソウルの江南に面白い建物を見つけた。ここで撮影したら面白い物語ができそうだ」と言われたと語っていました。その日に撮影する分だけの台本をホン・サンス監督は毎日書いて、撮影の1時間程前に俳優に渡すというスタイル。完璧に覚えてアドリブなしでの撮影。話の展開がどうなるのか、毎日、驚くばかりだったそうです。笑いに満ちたトークの様子をぜひお読みください。(咲)


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映画『WALK UP』主演クォン・ヘヒョ登壇トークイベント報告 (咲)


映画『WALK UP』主演クォン・ヘヒョ登壇トークイベント Facebookアルバム
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.993600336100885&type=3


2022年/韓国/韓国語/97分/モノクロ/16:9/ステレオ 
字幕:根本理恵 
配給:ミモザフィルムズ
公式サイト:https://mimosafilms.com/hongsangsoo/
★2024年6月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺、Strangerほか全国ロードショー






posted by sakiko at 20:05| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

初めての女

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(C)TRYDENT PICTURES 2024

監督・脚本:小平哲兵
脚本:桑江良佳・羽石龍平
原作:瀧井孝作「俳人仲間」(新潮社) 原作協力:小町谷新子
出演:髙橋雄祐 芋生悠 三輪晴香
藤江琢磨 ジャン・裕一 保坂直希 籾木芳仁 大地泰仁
谷口恵太 永瀬未留 石原久 西興一朗

明治末期の高山。瀧井孝作は、父の事業が失敗し、母も病没し、12歳の時に魚屋に丁稚奉公に出される。窮屈な日々を過ごす中、臨家の文学青年の手ほどきで始めた俳句が心の拠り所だった。ある日、意を決して行った西洋料理屋「ひさごや」で、そこで働く玉という美しい年上の女性に心を惹かれる。
“堤長き 並松月夜 涼み行く”
孝作は、心からの玉への気持ちを句にしたためた。
玉との距離は縮まるが、次第に玉の言動や噂から不信が募っていく。そんな折、玉と訪れた店で三味線芸者の鶴昇(加藤菊)と出会う。鶴昇の端麗でどこか悲しげな姿に心奪われ、玉が孝作の元から去った後、鶴昇にのめり込んでいく。孝作は、次第に俳句からも遠ざかってしまう・・・

高山市文化協会70周年記念として制作した映画
高山市出身で、芥川賞の選考委員を創設以来46年間務めた俳人・小説家 瀧井孝作氏の代表作「俳人仲間」(日本文学大賞受賞作品)の第3篇「初めての女」を原作に映画化。
「初めての女」をしたためたのは、晩年のこと。半世紀も前の青春時代の忘れられない切ない思い出。
明治末期から大正初期にかけての出来事ですが、高山に残る古い町並みのお蔭で、しっとりとその時代を描き出しています。ロケ地は、松本家住宅、かみなか旅館、宮地家、喫茶店「バグパイプ」、日枝神社など。瀧井孝作が暮らしているのは、2階の天井の低い部屋。高山を訪れた時に泊まった宿も、2階で天井が低かったのを思い出しました。
印象的だったのは、冒頭近く、東京から高山にやってきた河東碧悟桐から、俳句仲間と共に指導を受ける場面。その経験が、その後の人生を決める大きな動機になったのだと思いました。(咲)



◆イベント◆
6月22日(土) 10:45の回上映後 初日舞台挨拶
ゲスト:髙橋雄祐さん(瀧井孝作役)、芋生悠さん(玉役)、三輪晴香さん(加藤菊役)、小平哲兵監督

6月23日(日) 10:45の回上映後 トークイベント
ゲスト:髙橋雄祐さん(瀧井孝作役)、小平哲兵監督

6月24日(月) 11:10の回上映後 舞台挨拶
ゲスト:道田里羽さん(本作題字)、小平哲兵監督


2024年/日本/カラー/113分/シネマスコープ
助成:こだまーれ2019市民提案プロジェクト
製作:一般社団法人 高山市文化協会
制作協力:ニューシネマワークショップ
配給:TRYDENT PICTURES
公式サイト:https://www.palomapro.com/hajimetenoonna
★6月22日(土)渋谷ユーロスペースにて公開





posted by sakiko at 16:12| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする