2024年04月07日

劇場版 再会長江 原題:再会長江 英題:The Yangtze River

4月12日(金)より角川シネマ有楽町他全国順次公開 上映劇場

©2024『劇場版 再会長江』/ワノユメ

長江源流、最初の一滴を求める6300キロの旅を描く、驚きと感動のドキュメンタリー

監督:竹内亮
ナレーション:小島瑠璃子
プロデューサー:趙萍、張楠 助監督:王可可 
撮影:徐亮 編集:蘇焕 

製作期間10年。6300キロの旅で見えた激動中国の変化
フォロワー数1000万人の日本人監督が撮った長江をめぐる最初の一滴を求める旅を描く

第28回中国ドキュメンタリー長編映画ベストテン選出、第12回中国ドキュメンタリー・アカデミー賞ノミネートをしたドキュメンタリー映画『再会長江』は、中国全土で旋風を巻き起こした話題作。
監督の竹内亮が10年前(2011)にNHKの番組(「長江 天と地の大紀行」)で長江を撮影した際、北極・南極に次ぐ「地球第3の極地」と呼ばれるチベット高原にある「長江源流の最初の一滴」を撮影できなかった後悔から端を発して制作された。

中国の母なる大河・長江。上海、南京、武漢、重慶、雲南、香格里拉(シャングリラ)、チベット高原まで、広大な中国大陸を横断する全長6300キロのアジア最大の大河。
2013年に中国人の妻・趙萍と共に中国南京市に移住し「長江沿いの民」になった竹内監督は、2021年から2年をかけて、再び、長江6300キロをたどる旅に出発。道中、10年前に撮影した人たちを探し、再会しながら旅を進める。長江を通して中国の10年の変化を見つめ、今度こそ「最初の一滴」を記録するべく長江源流を目指す。
この『再会長江』を新たに再編集したのが、『劇場版 再会長江』。

本作を手掛けた竹内亮監督は、個人及び関連の総SNSフォロワー数は約1000万人を超え、中国全土でナンバー1のインフルエンサー(Weibo旅行関連※)として活躍し、リアルな中国を映し続ける日本人で、日々、中国全土に向けて情報を発信し続けている。そんな竹内監督が母なる大河・長江を題材に2年に渡り撮り続けた渾身の一本。
ナレーションはタレントの小島瑠璃子が担当。
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長江(揚子江)を描いた映画や番組をこれまでたくさんみてきた。竹内監督のNHKのTV番組「長江 天と地の大紀行」もたぶん見たと思う。長江を遡るドキュメンタリーは数多くあると思うけど、ほとんどの作品が三峡ダムのあたりまで。この『再会 長江』は最上流部を目指して進む。この作品を観て印象的だったのは、やはり上流部の光景。広大な幅を持つ大河長江とはいえ、さすがに最上流部は1滴のしたたりから。でもあの1滴があんなに大きな河になるとはびっくりです。
中学生の頃読んだ「失われた地平線」(ジェームズ・ヒルトン著)の中にチベットのどこかにある桃源郷シャングリラという架空の場所が出てきたけど、そこからモジった香格里拉(シャングリラ)という地名が長江沿いにあるということを知った。なんでも雲南省西北部の中甸という街が2002年5月に香格里拉と改名したそう。そこに民宿を作った女性が出てくる。ここに行ってみたいと思った。
そして、かなりきれいになった長江の流れ。河口もそうだけど、重慶あたりの水の流れは、どの映像を観ても汚かった。10年前とくらべ、各段に綺麗になった長江の流れを映し出していた。そのことが印象に残った(暁)。

*参照
2017年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された徐辛(シュー・シン)監督の『長江の眺め』(2017)というドキュメンタリー作品は、長江を上海から宜賓まで遡っていく過程で出会う人たちを撮っていたが、汚泥にまみれた長江の流れや川岸の姿が映しだされていて、長江の環境に警鐘を鳴らす作品だった。 

製作:ワノユメ 
配給:KADOKAWA 2024『劇場版 再会長江』/ワノユメ
宣伝:大﨑かれん 本谷智子
公式サイト:https://www.saikaichoko.com/


posted by akemi at 20:51| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コザママ♪ うたって!コザのママさん!!

kozamama.jpg

監督:中川陽介
脚本:中川陽介 、山田優樹
撮影:砂川幸太
音楽:沢田穣治
出演:上門みき(金城ななえ)、畠山尚子(嘉敷リカ)、新垣美竹(宮城真澄)、jimama(由紀子)、ジョーイ大鷲、山内千草、田島龍、仲座健太、ゆっきー(きゃん×きゃん)、K ジャージ、玉城清、ジョニー宜野湾

沖縄市コザで人気を集めた女子高生4人組R&Bバンド「銀天ガールズ」。20年を経てそれぞれ家庭を持つ彼女たちが、地元の商店街「銀天街」の街おこしのため「銀天ママサンズ」として再結成することになった。街の不況や子どもたちの貧困などさまざまな事情を抱えながらも、青春と人生を取り戻してコザに活気を取り戻すべく奮闘する彼女たちだったが……。

高校を卒業してプロに挑戦する道を選びたかった1人、選ばなかった3人。わだかまりが残っていましたが、音楽はまた4人を結び付けます。好きなことをやれた高校時代と違って、20年経った今はそれぞれに家庭があり生活があります。
沖縄の歌は優しくて、包み込むようです。悲しい時も嬉しい時も歌うこと、踊ることで「大丈夫、やって行ける」と心満タンにしたんじゃないかな。なんくるないさ、って。
予告編に「夢を追う人を笑うな、夢を信じてる人を笑うなよ」というセリフがあります。暮らしでいっぱいいっぱいでも、その先に夢があれば。足元が暗くても前に見えるその灯りを頼りに歩いていける気がします。
沖縄には2022年に2度出かけて、コザのライブハウスや銀天街のペイントも見ました。次は昼間でなく、夜に行って歌を聞きたいものです。なかなか行けない方もこの映画で沖縄の歌にしびれてください。(白)


ベトナム戦争の頃、歓楽街だったコザの胡屋地区は白人街、照屋地区は黒人街とエリアが分かれていたとのこと。照屋地区の銀天街で活躍した高校生の「銀天ガールズ」がR&Bを歌ったのは自然の流れでした。20年後、寂れてしまった銀天街の街おこしのため、「銀天ママサンズ」を再結成した時、ママとなった3人の夫たちの対応がそれぞれ違って、人間性が出るなぁ~と思いました。中でも、「音楽で金を稼ごうと思わないからいいものが出来る」という言葉は心に残りました。歌や踊りの好きな沖縄の人たちを感じることのできる映画です。(咲)

今年の2月(2024)、47年ぶりに沖縄に行きました。一番の目的は佐喜眞美術館に行くことでした。丸木伊里・俊夫妻の「沖縄戦の図」全14部が佐喜眞美術館で公開されているというので、思い切ってこの機会に行ったのです。いつもは3,4作づつ展示しているらしいのですが、去年(2023)、この作品の製作過程を記録したドキュメンタリー『丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図 全14部』が公開され、それを記念して全作品が公開されていたのです。佐喜眞美術館は普天間基地の片隅にあるのですが、「沖縄戦の図」を展示するために地主の佐喜眞道夫さんが米軍から土地を返してもらって1994年に建てたのです。美術館の屋上からは普天間基地が見渡せます。
*詳しくは下記インタビュー記事をごらんください。
『丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図 全14部』河邑厚徳監督インタビュー

そしてそれ以外にも『歌えマチグヮー』で知った、「生活の柄」という店にも行ってみたかったのです。「生活の柄」というのは沖縄出身の詩人山之内獏の詩のタイトルですが、フォークシンガーの高田渡が曲をつけて歌っていて、彼の代表曲でもあります。この店のオーナーはこの詩と高田渡のファンというのがこの映画の中で描かれていたので、ぜひ行ってみたいと思っていたのです。
『歌えマチグヮー』は那覇の栄町市場の再生を描いたドキュメンタリーですが、この『コザママ♪ うたって!コザのママさん!!』と同じように、活気がなくなってしまった市場を「音楽」をキーワードに市場の再生を目指すという話でした。その中心にいたのが「栄町おばぁラッパーズ」。市場を元気にするためラップの練習に明け暮れる3人の姿を追っていました。こちらは元気なおばぁたちの話でしたが、『コザママ♪ うたって!コザのママさん!!』を観て、どこも同じような問題をかかえているんだなと思いました。
監督の「沖縄で歌ったり踊ったり三線を弾くのは稼ぐためではなく人生を楽しむため。商業的でないからこそ芸を突き詰められる」という言葉に沖縄芸能の豊かさを納得。
今回、コザ(沖縄市)のライブハウスやシアタードーナツ・オキナワにも行きたかったのですが、ライブ情報、宿泊情報が間に合わず行けなかったのが残念。この映画を観て、次回沖縄に行った時は絶対コザ「銀天街」に行ってみたいと思いました。
今回の沖縄行きは9日間だったのですが、そのうち那覇で6泊宿泊したホテルサンパレス琉球館の名前が最後に出てきてびっくり。もしかして那覇での撮影の時は、このホテルを使ったのかな。とても便利なところにあるので、次回も那覇に行ったらここに泊まりたいと思ったホテルでした(暁)。

シネマジャーナルHP参照記事
●スタッフ日記 高田渡さんとのエピソード
●作品紹介 『歌えマチグヮー』

2022年/日本/カラー/シネスコ/116分
配給:ミカタ・エンタテインメント
(C)YOSUKE NAKAGAWA / SOUTHEND PICURE
https://kozamama.nice-movie.jp/
★2024年4月12日(金)UPLINK 吉祥寺、5/31金~栃木県シネコン小山シネマロブレにてロードショー!
コザママ♪サントラCD発売中!
劇中歌jimama「青鳩の島」Youtubeで公開中です!こちら
ジョニー宜野湾「燃える街」はこちら

posted by shiraishi at 02:37| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

プリシラ(原題:Priscilla)

priscilla.jpg

監督・脚本:ソフィア・コッポラ
原作:プリシラ・プレスリー サンドラ・ハーモン
撮影:フィリップ・ル・スール
音楽監修:ランドール・ポスター
衣装:ステイシー・バタット
出演:ケイリー・スピーニー(プリシラ)、ジェイコブ・エロルディ(エルヴィス・プレスリー)、ダグマーラ・ドミンスク(アン・ボーリュー)、アリ・コーエン(キャプテン・ボーリュー)、ティム・ポスト(ヴァーノン・プレスリー)

14歳のプリシラは、軍人の父が駐留するドイツで、部下だったエルヴィス・プレスリーと出会った。すでにレコードが大ヒットしてスーパースターとなっていたエルヴィスだったが、孤独でシャイな様子の彼にすっかり心奪われる。やがて誰もが憧れる彼の「特別」になった。プリシラは若すぎると心配する両親の反対を押し切って、エルヴィスの大邸宅で一緒に暮らし始める。初恋から夢のような世界に足を踏み入れ、彼が望む色に染まり、そばで支えることが全てと思っていた。

2022年の『エルヴィス』では、マネージャーだったパーカー大佐が彼をスーパースターに押し上げていく様が描かれていました。本作はプリシラの自伝本を元にソフィア・コッポラがプリシラの視線から描きました。エルヴィスと出会った一人の少女が、特別な環境で大人の女性に成長していく過程が丁寧に辿られています。ケイリー・スピーニーがプリシラを繊細に演じてベネチア国際映画祭最優秀女優賞を受賞。
家でのエルヴィスはマザコンで承認欲求の塊で、妻を思い通りに作り上げたい男性(光源氏か)、舞台で熱唱するスーパースターとは違った顔を見せます。10代のプリシラは、彼の好みのメイクをし、選ばれたドレスを素直に着て、エルヴィスの不在も我慢します。しかし、いつまでもそのままではいられません。
少女たちが夢見た暮らしを手にいれたプリシラが、その後どうしたかはすでに知られています。当時を再現した美術や衣装、変わっていくプリシラのファッションも女性にはツボでしょう。エルヴィスファンも、自立する女性になりたい映画ファンもどうぞ。(白)


ケイリー・スピーニー演じる14歳のプリシラが、まだ少女のあどけなさを残すピュアな雰囲気で、母を亡くしたばかりの時に徴兵で故郷から遠く離れた地に来ていたエルヴィスが心惹かれたのも納得させられました。一緒にいたい、いつかは結婚したいとエルヴィスは思いつつ、まだ10代のプリシラを思いやって、グレースランドの邸宅に祖母も父も一緒だからとプリシラの両親を説得して同居。プリシラはそこからカソリックの学校に通います。「エルヴィスの彼女よ」と噂されながらの学校生活。スーパースターの彼女という立場って、どんな気持ちだろう・・・と、思い巡らしてしまいましたが、たまたま出会って惹かれ合った人が有名人というだけ。逆に、目立ってはいけないとか、ツアーに出た時には寂しい思いもするし、共演者とのロマンスの噂が報道されれば静観するしかないと気苦労も多そうです。若くして結婚したプリシラが、だんだん自我に目覚め、自分の人生を歩みたいと思うに至る過程を、ソフィア・コッポラは丁寧に描いています。映画一家という有名家族に育ったソフィア・コッポラだからこそ、プリシラの思いに寄り添うことも出来た面があるのではと感じました。(咲)

芸能人のプライベートには興味がないので、エルヴィスの妻プリシラという名前くらいは聞いたことがあるけど、わずか14歳の時に西ドイツで知り合ったというのはこの映画で知った。プレスリーの元で大人に成長したというけど、いくら世間からみれば憧れの生活とはいえ、囲われている状態だったのだなと感じ、プレスリー色に染められていくのをみてイライラしてしまった。
それにしても徴兵で本国でないところに勤務ということがアメリカではあるんだ。高校卒業前に、プレスリーの家に入ったということも驚き。プレスリーはロリコンだったのか。プレスリーの曲は大好きだったけど、やっぱり1950年代のアメリカ女性に対する態度というのはこうだったのか。プリシラが、のちに自分の人生を取り戻したのを知りホッとした。今回、プレスリーの曲を使わせてもらえなかったのがとても残念。
「恋と孤独で着飾っていた」言葉が印象に残った。(暁)
 

2023年/アメリカ、イタリア/カラー/ビスタ/113分
配給:ギャガ
(C)The Apartment S.r.l All Rights Reserved 2023
https://gaga.ne.jp/priscilla/
★2024年4月12日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 02:06| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする