5月3日(金・祝)GWより新宿ピカデリー他、全国公開 公開劇場情報
監督・編集:川畑 耕平
撮影:池田 俊己
音楽:原 摩利彦
編集:レシア・ コルドーネッツ
プロデューサー:リントン貴絵ルース、吉岡フローレス亜衣子
出演:グエン・ドク、グエン・トゥエン、グエン・フーシー(フジ)、グエン・アンダオ(サクラ)
生きつづける、未来のために
昨年の日越外交関係樹立50周年と分離手術から35周年を記念して製作された。ベトナム戦争時(~1975)アメリカ軍が使用した枯葉剤の影響で、下半身が繋がった結合双生児として1981年に生まれたベトちゃんとドクちゃん。
1986年、兄のベトが高熱に襲われ意識を失った。急性脳症だった。ベトへの大量の投薬は、ドクにも影響を及ぼし、2人とも命を失いかねない状況だった。そこでベトナム赤十字社は、日本赤十字社に緊急支援を求めた。日赤は最初、支援に慎重だったが、日本の世論が日赤を動かし、二人は来日して広尾の日赤医療センターに約4か月入院。
その後もベトの具合はすぐれず1988年7歳の時、日本の支援を受け、ベトナムのツーズー病院で分離手術が行われた。しかし、兄ベトは2007年、26歳で亡くなった。ドクも決して健康というわけではなく、深刻な健康問題を抱えたまま、平和のアンバサダーとしての使命と共に生きている。
コンピュータを勉強し、ツーズー病院に勤務。2006年、トゥエンさんと結婚し、2009年に男の子と女の子の双子が生まれ、支援してくれた日本に敬意を示し、息子にはフジ、娘にはサクラと名付けた。子供たちは13歳になった(2022)。移動には三輪バイクを使い、子供たちの送り迎えも行っている。
現在43歳になったグエン・ドクさんは、結婚18年目の妻トゥエンさんと、フジくん、サクラちゃんと共に、夫として父親として暮らす。さらに闘病中の義母も同居。自身も入退院を繰り返す中、一家の唯一の稼ぎ手でもある。今も逆境の中、逞しく生きるドクちゃんの姿、家族の絆を映画は映し出す。
教科書の中の人、過去の人になりつつあるドクちゃんが、ベトナムで家族とともに懸命に生きている姿を伝える。
枯葉剤の影響を扱った映像は日本でも数々伝えられてきたが、「ベトちゃんとドクちゃん」は、その中でも広く知られてきた。1986年の来日時かなり報道され、日本中に知れ渡った。その時から38年、分離手術からでも35年もたった。分離手術を経て、今、どんな暮らしをしているのかとずっと気になっていた。残念ながらベトちゃんは亡くなってしまったけど、ドクちゃんは今もがんばって生きている。映像の中盤で「ベト、僕のために犠牲になって『今』を与えてくれたことを心から感謝してる。だから一生懸命ベトの分も生きているよ」と兄に語りかけるシーンでは涙が出た。
ちなみに枯葉剤の影響はベトナム人だけでなく、アメリカの軍人にも出ているが、ベトナム戦争に出兵した韓国でも大きな影響を与えている。延べ30万人が従軍し、そのうち枯葉剤の被害者団体の会員が14万人くらいいるという。敵であろうが味方であろうが、被害者を多く出した枯葉剤の影響を忘れてはならない(暁)。
枯葉剤の影響で、身体がつながった形で生まれた「ベトちゃんとドクちゃん」のことは、当時、日本で大きく報道されて、ベトナム戦争の功罪を強く感じたものです。分離手術に成功し、その後、ベトちゃんが亡くなられたことまでは知っていましたが、今回、ドクちゃんが結婚もして、元気に過ごしている姿を映画を通してみることができ、少しほっとしました。けれども、決して生活は楽ではなく、命も人より短いと認識して暮らしているドクちゃんのことを思うと、つらいものがありました。
ドクちゃんが、フジくんとサクラちゃんを連れて、枯葉剤の二次被害を受けて生まれた子供たちのところに行く場面がありました。二人は五体満足に生まれてきましたが、奥さんのトゥエンさんも、もしかしたら障がいのある子が生まれるかもしれないと不安を抱えての出産でした。フジくんとサクラちゃんも、障がいを持って生まれてきた小さな子供たちに接して、もしかしたら、自分たちも障がい児だったかもしれないと内心思っている様子が見て取れました。
枯葉剤被害者は、480万人ともいわれていて、アメリカは謝罪していません。これから生まれてくる子供たちにも、被害がおよぶかもしれません。ほんとうに残酷なことをしてくれたと涙が出ます。
「僕の命の半分は兄のもの」と、懸命にいきるドクちゃん。できるだけ長生きされることを祈るばかりです。(咲)
公式HP:https://dokuchan-movie.com/
2024 日本
製作 / 制作 Kingyo Films Pte. Ltd. / Ruff Films LLC
配給 ギグリーボックス
*参考資料
『記憶の戦争』イギル・ボラ監督インタビュー
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/483996221.html
2024年04月28日
人間の境界(原題:Zielona Granica)
監督:アグニエシュカ・ホランド
脚本:マチェイ・ピスク、Gabriela Łazarkiewicz-Sieczko、アグニエシュカ・ホランド
撮影:トマシュ・ナウミュク
音楽:フレデリック・ヴェルシュヴァル
出演:マヤ・オスタシェフスカ(ユリア)、ベヒ・ジャナティ・アタイ(レイラ)、ジャラル・アルタウィル(バシール)、モハマド・アル・ラシ(祖父)、ダリア・ナウス(アミーナ)、トマシュ・ヴウォソク(ヤン)
2021年、幼い子供を含む6人のシリア人家族が、ベラルーシ行きの飛行機に乗り込んだ。祖国から脱出し、ヨーロッパへの亡命を目指す彼らは、ベラルーシ当局の用意するルートでポーランド国境を安全に通過できるという案内を信じ、空港から協力者の車で国境へと向かう。しかし彼らを待ち受けていたものは、高額な金銭の要求と武装した国境警備隊だった…
英語題は「Green Border」。海に囲まれた日本ではピンとこないので、県境を想像しますが、陸続きの隣国との国境は川にそった自然な国境もあれば、定規で線引きしたような人為的な国境もあります。森の中の国境は鉄条網が張られ、ベラルーシ側では無理やり広げて難民を押し込み、ポーランド側は追い立てて戻します。自由になれると思ったのもつかの間、両国の人間兵器として非人道的に扱われます。祖父と孫を含む6人家族が強いられる過酷な日々は観るにたえないほどでした。実際に難民であったり、活動家の経験のある俳優たちを起用しているからか、ドキュメンタリーかと思うほどリアルなシーンが続きました。モノクロであるのがさらに拍車をかけます。
シリア人難民をモノ扱いする国境警察の要人、現場で働く若い警察官、その家族、と視点を変えての心情もつまびらかにしています。抗えない命令に心を病む人、救っても救っても救いきれず落ち込みながらも、また手を差し伸べに向かう活動家たち。
アグニエシュカ・ホランド監督のこれまでの映画も「真実よりも真実?」と言いたくなる痛切なものでしたが、この作品も例にもれません。監督が身の危険を感じるほど強硬だったというポーランド政府の姿勢。映画人が一丸となって監督の味方をしたというのを心強く思いました。
どんなに歴史を学んでも、人間は同じように欲に駆られ、獣になり(獣に悪いわ)、同じことを繰り返します。それでも、心が痛むうちは希望もあると思いたいです。(白)
「船じゃないから楽。溺れ死ぬ心配もない」というシリア人の家族。ベラルーシに向かうシリア人一家も、隣の席のアフガニスタン女性レイラも、飛行機に乗れる多少の余裕のある人たち。それでも、祖国を離れなければいけないのは余程の理由があってのこと。誰しも命の危険をおかしてまで、逃げたくはないはずです。
シリアの一家は、スウェーデンに既にいる親せきが、道中の手配をしてくれていてスマホは命綱。それなのに子供たちがゲームをして電池切れになってしまい、充電もままならない状態で、ハラハラさせられます。
人権活動家が必死になって難民を助けようとする一方で、ポーランドの国境警察が無慈悲に難民を追い返します。中には、難民を見つけても見逃す警察もいるのですが。
アグニエシュカ・ホランド監督が、本作を撮り終えたあとに、ロシアのウクライナ侵攻が勃発。ポーランドがウクライナの人たちを毎日何十万人単位で受け入れていることに、2021 年の秋、アフガニスタン、シリア、イラク、イエメン、コンゴなどからの難民受け入れを拒否し、ベラルーシに押し返したこととのダブルスタンダードを嘆いています。まさに、肌の色の違いによる差別だと。
英国政府が不法滞在者をルワンダに送ることを決定したというニュースにも驚きました。平穏な暮らしを求めて、命がけで国を逃れてきた人への血も涙もない仕打ち・・・
願わくは、難民にならない平和な世界になってほしいですが、現実は厳しい。せめて、そういう人たちを受け入れてほしいと思うのですが、そんなに難しいことなのでしょうか・・・ (咲)
★2023年ヴェネチア映画祭コンペティション部門審査員特別賞
ロッテルダム国際映画祭観客賞ほか受賞多数
2023年/ポーランド、フランス、チェコ、ベルギー合作/カラー/152分
配給:トランスフォーマー
(C)2023 Metro Lato Sp. z o.o., Blick Productions SAS, Marlene Film Production s.r.o., Beluga Tree SA, Canal+ Polska S.A., dFlights Sp. z o.o., Ceska televize, Mazovia Institute of Culture
https://transformer.co.jp/m/ningennokyoukai/
★2024年5月3日(金・祝)TOHOシネマズ シャンテ ほか全国ロードショー
青春18×2 君へと続く道
監督・脚本:藤井道人
原作:ジミー・ライ「青春18×2 日本慢車流浪記」
撮影:今村圭佑
音楽:大間々昂
主題歌:Mr.Children「記憶の旅人」(TOY'S FACTORY)
出演:シュー・グァンハン(ジミー)、清原果耶(アミ)、ジョセフ・チャン(リュウ)、道枝駿佑(幸次)、黒木華(由紀子)、松重豊(中里)、黒木瞳(裕子)
18年前の台南。高校三年生男子のジミーは、ときめく出会いを求めてバイトを始めた。ところが期待に反してお客はおじさん、おばさんばかり。がっかりしていたところに、バックパッカーの日本女性が働かせてください、とやってくる。旅をしながら絵を描いているというアミは4つ年上だった。明るいのにどこかミステリアスな彼女にジミーは恋してしまうが、どうやら日本に彼氏がいるらしい。意気消沈するも、アミとの毎日を楽しむジミーだった。アミがすっかり地域に溶け込んだころ、日本に戻る日も近づいていた。ちゃんと告白しようと決心したジミーに、アミはある提案をする。
現在。ジミーは打ち込んだ仕事で挫折、周囲に敵を作ってしまった。ジミーはアミからの葉書を手に、一人日本へ旅立つ。念願だった東京、鎌倉、長野、新潟への旅…様々な人に出逢った。そしてアミの故郷福島へと向かう。
なんとロマンチックで泣かせるストーリーでしょう。それもそのはず、原作のジミー・ライは日本映画『Love Letter』(1995/岩井俊二監督)のファン。この作品の中でもアミとジミーが劇場で並んで映画を観ているシーンがあります。ハンカチやティシュを忘れずに、ついもらい泣きしてしまいます。『Love Letter』を観直したくなりますよ~。
ジミーが台南の景勝地はじめ、様々なところにアミを案内しますので、観光客になったつもりでお楽しみください。そして大人になったジミーがアミのもとへ、遠回りしつつ近づく日本の旅。台湾も日本も美しいです。旅が進むにしたがいアミの隠していた秘密や心境が、霧が晴れていくように少しずつ明らかになっていきます。
台湾の俳優、チャン・チェン(張震)があたためていた企画を映画化、プロデューサーに名を連ねています。あの『牯嶺街少年殺人事件』(1991/エドワード・ヤン)の少年シャオスー(小四)です。(白)
台湾のカラオケ屋が出てきて懐かしかった。台湾には5回くらい行っているけど、2回目に行った時、友人と3人で台北のカラオケ屋で朝までいました。もっとも、私たちの場合は、カラオケ屋で歌うのではなく、日本では見ることができない香港や台湾の歌手やスターのミュージックビデオを見ていたのでした。この映画のカラオケ屋さんで働く仲間たち、まるでファミリーみたいでしたね。
この映画の舞台は台湾では台南がほとんどだったけど、最後、連れて行きたいところがあると言ってアミを連れて行ったのは台北より北にあるローカル線平溪線の十分(シーフェン)で行われている天燈上げ。私もこの十分での天燈上げに行きたくて、2020年に行きました。十数年前から行きたいと思っていたけど、コロナで海外旅行制限が始まる直前にやっと行けたのでした。十分のこの場所は、線路のすぐそばまで住居がせまっていて、台湾の映画に何度も出てきました。初めて行った時は八百屋さんもあってローカル感があったけど、すっかり観光地化してしまいましたね。日本でのランタン上げの場所はどこかなと思ったら、公式HPのロケ地案内では長岡のようでした。「新潟スカイランタンフェスティバル」が出ていて、2019年以来、何か所かで行われているようです。いつか行ってみようかな。
また、アミの出身地が只見になっていたけど、これは台湾での只見人気とと関係があるのかも。『霧幻鉄道 -只見線を300日撮る男-』を観た時、台湾からたくさんの観光客が只見に来るシーンがあって、台湾ではこんなに只見が人気あるんだと驚いたことがありました。もっとも、これはこのタイトルにもなっている只見線をずっと撮っていた星賢孝さんの素晴らしい写真の効果があって、台湾からたくさんの人が只見に来ているのだと思うけど。そして、「トンネルを抜けたら雪景色だった」が出てきましたね。台湾ではこれが受けると思います。アミ役の清原果耶さんの中国語の発音、結構いいなあと思いました。
藤井道人監督は、『新聞記者』の監督さんなんですね。この映画も素晴らしかったです。監督の祖父が台湾の台南出身で、台湾にも留学したことがあるようです。その縁がこの作品につながったのですね。また、撮影の今村圭佑さんは『燕(Yan)』で監督デビューをしている方。この作品も「生き別れた兄を探しに台湾に行く」という内容で、両作品とも日本と台湾の架け橋になるような台湾と関わりの深い作品でした(暁)。
2024年/日本・台湾/カラー/123分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(c)2024「青春18×2」Film Partners
公式サイト:https://happinet-phantom.com/seishun18x2
公式X・公式Instagram・公式TikTok:@seishun18x2
★2024年5月3日(金・祝)全国公開
*参照記事
●『霧幻鉄道 -只見線を300日撮る男-』 安孫子亘監督、星賢孝さんインタビュー
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/490123434.html
●台湾ロケ地めぐり 平渓線沿線『台北に舞う雪』公開記念 2010年
http://www.cinemajournal.net/special/2010/pingxi/index.html
2010年の十分の写真が掲載されています。
マイ・スイート・ハニー(原題:Honey Sweet)
監督:イ・ハン『無垢なる証人』
脚本:イ・ビョンホン『エクストリーム・ジョブ』
出演:ユ・ヘジン(チャ・チホ)、キム・ヒソン(イ・イルヒョン)、チャ・インピョ、チン・ソンギュ、ハン・ソナ
チャ・チホ45歳。天才的な味覚を持っている彼は、製菓会社の研究員。日々美味しいお菓子を研究・考案し、数々のヒット商品を世に出している。毎日決まったルーティンで出社、仕事、帰宅となんの楽しみも持っていない。人付き合いにも不慣れなチホは、ある日底抜けに明るいシングルマザーのイルヒョンと出逢った。イルヒョンは不器用なチホの優しさを知って、すっかりほれ込んでしまった。何かと理由を探してはチホと会う機会を作り出す。恋愛経験もなく、イルヒョンに押され気味のチホは、ドキドキする胸の高鳴りは心臓の病気かも、と薬局に駆け込む始末。この恋はどこへ行ってしまうのか?
個性的で演技巧者のユ・ヘジン主演作。『梟ーフクロウー』では冷徹な国王、『コンフィデンシャル 国際共助捜査』では田舎の刑事、何を演じても印象に残るユ・ヘジンですが、”ロマンチック”・コメディ主演は初めてなんだとか。コメディはあるんですけどね。
これまで体験しなかった感情の揺れにアタフタするチホがなんともおかしく、ほろっとさせます。全く似ていないひどい兄をチャ・インピョ、イルヒョンの娘にハン・ソナ。チホの相談にのる薬局の薬剤師がヨム・ヘランと適材適所なキャスト陣。チホとイルヒョンが幸せになりますように、とつい祈りたくなるのは私だけではないはず。
本作でユ・ヘジンは、第28回春史国際映画祭の審査委員特別賞(俳優部門)を受賞。(白)
2023年/日本/カラー/118分
配給:松竹
(C)MINDMARK Inc. & MOVIEROCK ALL RIGHT RESERVED
https://www.rakuten-ipcontent.com/mysweethoney/
★2024年5月3日(金・祝)ロードショー
バジーノイズ
監督:風間太樹
原作:むつき潤「バジーノイズ」
撮影:片村文人
音楽:坂本秀一、
出演:川西拓実(海野清澄)、桜田ひより(岸本潮)、井之脇海(速水航太郎)、柳俊太郎(大浜陸)、円井わん(内海岬)、奥野瑛太(洋介)、天野はな(千尋)、駒井蓮、薩川愛美(亜弓)
マンションの管理人の清澄は、誰とも関わらずに好きな音楽だけと暮らしている。DTM(Desk Top Music/PCで行う音楽制作の総称)で頭に浮かんだ音を打ち込み形にしていく。作曲と演奏に没頭しているところに、マンションの住人の潮がいきなりやってくる。「寂しくって暖かい」清澄の音楽が好きだと言われ、人に届いていたことに驚く。潮が演奏動画をアップしたことから、清澄の日常が一変した。仲間ができてバンドを組んだ直後、潮が姿を消してしまった。
ビッグコミックスピリッツの人気連載漫画の実写映画化。メガホンをとったのは、テレビドラマ「silent」、『チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の風間太樹監督です。どちらも大人気でしたね。おばちゃんにはなじみの薄いDTMとやら、今はこれで曲が生まれるのね。一人こつこつと作るだけで満足していた清澄ですが、潮の出現(!)で思ってもみなかった方向に人生が動いていきました。こういう出会いはコミックに限らず、なさそうでありそうです。
主演の川西拓実さんはオーディション番組からうまれたJO1(ジェイオーワン)という男性アイドルグループのメンバー。いったん就職したものの夢をあきらめきれずに挑戦したのだとか。青洲ドラマになりそうな経歴です。ライブの動画を観ましたが、まあ!あの人見知りでシャイな子はどこにもいません。キラキラでした。俳優業でも躍進していくのでしょう。
潮の寂しさを体現した桜田ひよりさん、可愛かったです。バンド仲間役の柳俊太郎さん、円井わんさんが楽器に挑戦。俳優さんはマルチに頑張らないといけないのねと感心しました。(白)
2024年/日本/カラー/119分
配給:ギャガ
(C)むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会
https://gaga.ne.jp/buzzynoise_movie/
★2024年5月3日(金・祝)公開
ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ 原題:Rabiye Kurnaz gegen George W. Bush 英題:Rabiye Kurnaz vs. George W. Bush
(C)2022 Pandora Film Produktion GmbH, Iskremas Filmproduktion GmbH, Cinema Defacto, Norddeutscher Rundfunk, Arte France Cinema
監督:アンドレアス・ドレーゼン(『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』)
脚本:ライラ・シュティーラー
出演:メルテム・カプタン、アレクサンダー・シェア、チャーリー・ヒューブナー、ナズミ・キリク
2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ。そのひと月後、ドイツのブレーメンに暮らすトルコ移民のクルナス一家の母ラビエのもとに、19歳の長男ムラートからパキスタンに行くと電話が入る。トルコから妻を呼び寄せる前にイスラム教の信仰を確かにしたいからだという。その後、ムラートはパキスタンでタリバンとの関係を疑われて拘束され、キューバのグアンタナモ湾にある米軍の収容所に移送されたことが判明する。ラビエは息子を救うため奔走するが、赤十字もアムネスティも行政も動いてくれない。藁にもすがる思いで、電話帳で見つけた人権派弁護士ベルンハルトの元を訪れる。弁護士から、ブッシュ大統領はグアンタナモ収容者の権利を認めないので、ホワイトハウスで請願書を手渡ししてマスコミにアピールしようと勧められる。人権団体の支援を受けて、ラビエは弁護士と共にワシントンに飛ぶ・・・
アンドレアス・ドレーゼン監督が、プロデューサーからムラート・クルナスの著書「Five Years of My Life: An Innocent Man in Guantanamo」(私の5年間/グアンタナモに収容された無実の男/2007年出版)を渡されたのが、本作の始まりでした。ムラートが主人公の物語を想定して、ブレーメンでムラートと会った折に、監督は母ラビエとベルンハルト弁護士と食事を共にする機会があり、この二人を主人公にした映画にしようというアイディアが浮かんだそうです。
★公式サイトの監督インタビューをぜひお読みください。
映画のエンドロールに、実物のラビエとベルンハルト弁護士の写真が出てきますが、演じた二人がそっくりです。ラビエは天真爛漫で、ユーモアがあって、それでいて、息子のためならばどんな遠くにでも行くという勇気を持った女性。人権派弁護士のベルンハルトはお金も受け取らず、親身になって動く人物。
それでもムラートが釈放されてドイツに戻ってくるまでに、1786日もの歳月が流れました。政治的理由で解放が遅れた証拠を後に調査委員会が見つけていますが、ムラートの名誉回復も、その後の保障も得られませんでした。
同時多発テロ後、ブッシュ大統領の「テロとの戦い」で、世界中で誤認逮捕が行われたことは、ほんとうに憂うべきことでした。
『モーリタニアン 黒塗りの記録』(21)は、不当に逮捕されグアンタナモに14年2か月も収監されたモーリタニア人のモハメドゥ・ウルド・スラヒの手記に基づく映画でした。司法手続きなしに厳しい尋問や拷問が行われたことが描かれていました。
グアンタナモ収容所には、少なくとも 15 人の子どもを含む約 780 人が各地から連行され収監されました。世界各地の彼らの家族が、本作のラビエと同じ思いで解放を待ちわびたと思うと胸が痛みます。
本作では、ドイツに移民したトルコ人の家族のことも垣間見ることができ、興味深かったです。ラビエは、息子が収監されたと聞いて、「ドイツの国籍を取れと言ったのに・・・」とつぶやいています。一方、トルコ政府は、兵役に行ってないからと対応が冷たいです。
ラビエの家での会話は、トルコ語がまじるドイツ語。おそらく、子どもたちは学校でドイツ語を学んでいるのでドイツ語の方が楽なのでしょう。ドイツに馴染もうとしているラビエですが、作る料理は故郷トルコのもの。美味しそうな料理やケーキを作りながら、遠く離れたところに収監されている息子に食べさせてあげたいというラビエの思いが切なかったです。(咲)
ベルリン国際映画祭 銀熊賞(主演俳優賞 / 脚本賞) 2冠
ドイツ映画賞 作品賞〈銀賞〉 主演女優賞 助演男優賞受賞
ドイツ映画祭 HORIZONTE 2023上映タイトル 『クルナス母さんVS.アメリカ大統領』
2022年/ドイツ・フランス/ドイツ語、トルコ語、英語/119分/カラー/2.39:1/5.1ch
字幕翻訳:吉川美奈子
配給:ザジフィルムズ
後援:ゲーテ・インスティトゥート東京
公式サイト:https://www.zaziefilms.com/kurnaz/
★2024年5月3日(金・祝)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
2024年04月24日
革命する大地 原題:La Revolución Y La Tierra
監督:ゴンサロ・ベナべンテ・セコ
出演:フェデリコ・ガルシア(映画監督)、フランシスコ・モラレス・ベルムデス(元ペルー大統領)/ほか
1968年の「ペルー革命」を軸に、スペイン人による征服以来のペルーの歴史を記録したドキュメンタリー
1960年代の政治・経済・社会全般の危機を背景に、1968年10月3日、フアン・ベラスコ・アルバラード将軍率いる軍部がクーデターで実権を掌握。革命政府のベラスコ大統領は、米国資本の石油会社接収、農地改革による大土地所有の解体、重要産業の国有化、ケチュア語(先住民族の言語の一つ)の公用語化等、社会を一変させる施策を次々にとった。外交面では当時の社会主義諸国と国交を結び、非同盟運動に活発に加わった。しかし、農地改革後の農業生産性も期待されたほど向上しなかった。ベルムデスによる軍内部のクーデターでベラスコが失脚し、革命は道半ばで途絶えた・・・
「農民よ、もはや地主たちが諸君らの貧しさを食い物にすることはない」という言葉とともに農地改革を行ったベラスコ大統領。先住民や農民に寄り添った政策は、逆に既得権を持った人たちにとっては不都合なものでした。
立場によって、ベラスコ大統領を英雄とみる人と、独裁者とみる人と二分。半世紀以上経った今も、ペルー革命の功罪について議論が続いています。
『革命する大地』は、1982年生まれで、1968年のペルー革命の時代を知らないゴンサロ・ベナべンテ・セコ監督が、「歴史」を記録し検証するために製作したもの。
スペイン人がペルーを征服し、先住民支配を行った時代に遡り、農地改革の背景を丁寧に追います。数多くの映画の場面も取り入れて説明していて、ペルー映画史の一端を知ることもできました。
2019年にペルー本国で公開され、9万人以上を動員する大ヒット。2021年の大統領選挙の1週間前にテレビ放映が予定されていたところ、この映画が大衆に及ぼす影響を恐れた保守派の圧力で放送が中止されたとのこと。映画は放映されませんでしたが、無名の農民が初めて大統領選に勝利。結果を逆転させようとする寡頭支配層との戦いが始まりました。そんな社会だからこそ、志半ばでつぶされてしまった革命の時代を、ペルーの人たちは本作を通じて知ることが重要だと思いました。
私にとっても、ペルーでこんな革命があったことは知りませんでした。普遍的なこととして、知るべき歴史だと思いました。(咲)
2019年/ペルー/111分/スペイン語・英語
日本語字幕:比嘉世津子
後援:在日ペルー大使館 日本ペルー協会
配給:ブエナワイカ(『マタインディオス、聖なる村』、『アンデス、ふたりぼっち』、ペルー映画祭)
公式サイト:https://www.buenawayka.info/re-tierr
★2024年4月27日より新宿K's cinemaほか全国順次公開
エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命 原題:Rapito
監督:マルコ・ベロッキオ
脚本:マルコ・ベロッキオ、スザンナ・ニッキャレッリ
出演:パオロ・ピエロボン、ファウスト・ルッソ・アレジ、バルバラ・ロンキ、エネア・サラ、レオナルド・マルテーゼ
1858年、ボローニャ。ユダヤ人のモルターラ家に、教皇直属の兵士たちが押し入る。枢機卿の命で、もうすぐ7歳になる息子エドガルドを連れ去るのが目的だった。エドガルドは生後6か月のころ、キリスト教徒の使用人アンナから洗礼を授けられていたことから、異端審問所でカトリック教育を受けさせなければならないというのだ。
エドガルドの父モモロは、息子を奪還するべくユダヤ人組織の協力を仰ぐ。教会による非人道的なエドガルド・モルターラ誘拐の報は世界中に広がる。
だが、教皇ピウス9世は、洗礼を受けたエドガルドは永遠にカトリック教徒だとして親元への返還には応じない。そんな中、エドガルドは司祭からのカトリック教徒としての教育を受け入れていく・・・
わが子を取り戻そうと奔走する両親と、権力強化のため決して返還に応じようとしない教会側の争いは、イタリアをはじめ、時の皇帝ナポレオンやロスチャイルド家ら、全世界を巻き込んだ論争となりました。スティーヴン・スピルバーグが映画化に向けて書籍の原作権を押さえていましたが、映画化を実現したのはイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオでした。これまでイタリアの史実をベースに描き続けてきたマルコ・ベロッキオ監督だからこそ描けたものと感じます。
1870年9月、イタリア王国軍がローマのピア門を破り入場した時、青年になったエドガルドを兄が迎えに来るという場面がありました。
中世以降、小国に分裂していたイタリアが、統一したイタリア王国として建国されたのは、1861年。ローマなどの教皇領が1870年に普仏戦争に乗じて併合され、イタリア半島はほぼ統一されたという歴史を今さらながら知りました。
本作からは、何より宗教が人間に及ぼす力を突き付けられました。キリスト教徒の使用人アンナは、赤ちゃんが瀕死の状態にあると思い込んで、リンボ(辺獄)に行かせない為にと洗礼を授けたのです。このことで思い出したのですが、私の知人が癌で余命数日の時に、家族が洗礼を受けさせました。本人はすでに意識不明だったそうで、よもやカトリック教徒として葬られることになるなどと思っていなかったと思います。家族の信仰を押し付けるのはいかがなものでしょう。
エドガルドの父モモロは、息子を返す条件は、家族が改宗することと言われますが、決して改宗することはありませんでした。信仰心のない私にも、宗教の力を感じさせてくれるエピソードでした。(咲)
東京国際映画祭2023年上映タイトル:KIDNAPPED(英題)
2023/イタリア、フランス、ドイツ/カラー/イタリア語/134分
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館
配給:ファインフィルムズ
公式サイト:https://mortara-movie.com/
★2024年4月26日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
2024年04月21日
悪は存在しない
監督・脚本:濱口竜介
音楽:石橋英子
撮影:北川喜雄
美術:布部雅人
出演:大美賀均、西川玲、小坂竜士、渋谷采郁、菊池葉月、三浦博之、鳥井雄人、山村崇子、長尾卓磨、宮田佳典、田村泰二郎
自然豊かな高原に佇む長野県水挽町。巧(大美賀均)は薪を割ったり、せせらぎで水を汲んだりの暮らし。小学生の娘・花(西川玲)を迎えに行く時間をつい忘れて、いつも花はすでに歩いて帰途についたといわれる。林の中で花を見つけ、木の名前や、野生の鹿の水場を教える。自然と共にある暮らし。
そんな町に、東京の芸能事務所がグランピング場を作る計画が持ち上がる。住民を集めての説明会が開かれる。キャンプブームで遠方からの客を期待できるし、地元の方にも愛されるものを目指しているという。だが、地元の者にとっては汚染水や焚火の不始末など不安要素が多く、すぐには賛成できない。巧は、建設予定地が野生の鹿の通り道なのも心配だ・・・
『ドライブ・マイ・カー』(21)で音楽を担当した石橋英子さんから、濱口監督に提案された映像制作の新たな試み。映像に音楽をつけるのでなく、映画と音楽のセッション。
冒頭、美しい林の映像に、心を掻き立てるような音楽。けれども、映画全体に音楽が流れているわけではなく、日々の営みや、説明会の場面はあくまで映像中心。
そして、『ハッピーアワー』(2015年)と同様、出演者の方たちは名前をみても顔の浮かばない方たち。主演の巧を演じた大美賀均さんは、濱口監督作品には『偶然と想像』で初めて制作部の一員として入り、今回も当初スタッフとして参加していたところ、主役に抜擢されたという経緯に驚きます。
芸能事務所の説明会には、エキストラの方たちも参加しているのですが、それぞれの人物背景がしっかり設定されていたとのこと。
グランピング場は、コロナ禍で業績の落ち込んだ芸能事務所が、政府からの補助金を得て計画したもの。説明会に赴く芸能事務所の二人の会話が、人間臭くて面白いものでした。
芸能人のマネージャーとして17年働いてきた男性は、なぜ自分が住民に説明する立場にならなければならないのかと最初は不満たらたら。巧のところで薪割りをさせてもらって、スパッと割れた時の快感から、グランピング場の管理人もいいかなと思い始めます。芸能事務所とは真逆の業種から転職してきた女性も、このままでいいのかとつぶやきます。人生の岐路に立たされた時の思いにも寄り添った物語。
大人たちが、それぞれの立場で自分の思いを吐き出す中で、小学生の花が森の自然や野生の鹿を見つめる目はとてもピュア。写真でしか出てこない母親は亡くなったのか、離別したのか・・・ いろいろ想像を巡らす中、驚きのラストを迎えました。あ~ なんという映画なのでしょう! (咲)
第80回ヴェネチア国際映画祭 銀獅子賞(審査員グランプリ)受賞
2023年/106分/日本
配給:Incline 配給協力:コピアポア・フィルム
公式サイト:https://aku.incline.life/
★2024年4月26日(金).Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シモキタ - エキマエ - シネマ『K2』ほか全国順次公開
越後奥三面 山に生かされた日々
監督:姫田忠義
出演:奥三面(おくみおもて)のみなさま
日本各地の生活や民族の伝統を数多くの映像作品として送り出した、姫田忠義監督。1976年民族文化映像研究所を設立し、1980年からダム計画によって、消えていく新潟県北部の奥三面という山村の取材を始めた。そこには消えつつある伝統の暮らしが驚くほど継承され、残っていた。4年をかけて映像をとりためた。集落は1985年に廃村、2000年にはダムの底に沈んだ。
1984年9月21日に日本初公開された作品が、40年を経てデジタルリマスター版でリバイバル公開です。
八百万の神はそこにもここにもいらっしゃいます。折りあればこうべをたれ、手を合わせます。自然を敬い、厳しい自然と折り合って暮らす人々が映像に残されています。ちんまりと座るおばあちゃん、毛皮を着て山に入る男性。なんだか自分の祖父母を見ているようです。育ったところは違うのですが、空気やたたずまいが似ています。頼み込んで狩猟に同行する監督のわくわく感も伝わってきます。子どもたちも仕事を分担し、親を助けてよく働きます。犬や猫にもちゃんと役割があります。
「山、山、山…」と繰り返す村の人の声になんだか泣けてきました。山で生まれ、山で育ち、心の中から身体のすみずみまで「山」が詰まっているんですね。
ここに映っている子どもたちは、すっかり大人になり、高齢の方々はすでに彼岸へと旅立たれたでしょう。姫田忠義監督も2013年に亡くなられています。この集落はダムの水面下に消えていきましたが、記録はこうやって残りました。記録は記憶になると映像作家の方が言われました。行ったことのない土地、会ったことのない人たちなのにどこか懐かしく思うのは、自分の記憶と少しでも重なるところがあるからです。感情もいっしょに上書き保存されて、新しい記憶となりました。(白)
1984年/日本/カラー/145分
配給:民族文化映像研究所
(C)民族文化映像研究所
https://minneiken.wixsite.com/okumiomote
民映研 X(旧Twitter)はこちら
★2024年4月27日(土)よりポレポレ東中野にてロードショー、全国順次公開
ラジオ下神白 あのとき あのまちの音楽から いまここへ
監督・撮影・編集:小森はるか
編集:福原悠介
整音:福原悠介
出演:下神白(しもかじろ)団地の住民さん、アサダワタル、榊裕美、鈴木詩織、江尻浩二郎、伴走型支援バンド
福島県いわき市に、復興公営住宅・下神白団地がある。ここには2011年の福島第一原発事故の後、浪江町・双葉町・大熊町・富岡町から避難してきた人々が暮らしている。
2016年から住民を応援するプロジェクト「ラジオ下神白」が始まった。一人一人を訪ね、町の思い出と懐かしい曲にまつわるエピソードを聞いて、最後にCDに仕上げてプレゼントしている。2019年には「伴走型支援バンド」を結成した。バンドの生演奏で歌える「歌声喫茶、ミュージックビデオ制作など音楽を通じた支援活動を、小森はるか監督が追いかけて撮影した。
小森はるか監督作品は『息の跡』(2016)『空に聞く』(2018/公開2020)『二重のまち/交代地のうたを編む』(2021)などがあり、シネジャでもご紹介しています。
小森監督はその土地に住み、住民の一人となって震災後の東北の人々と風景を記録してきました。
この音楽活動は文化活動家のアサダワタルさんが中心となっています。2018年から小森監督が参加して記録したことで、映画が始まりました。大好きな一曲を生の演奏つきで朗々と歌う方、思い出を事細かに話す方、どの方もとても嬉しそうです。
住民のお話を聞くのは、孫くらいの年齢の女性たちです。とても親身に応対しているのに胸が熱くなりました。引っ越し予定の方は、別れを惜しんで寂しいと涙しています。故郷の老母の話をこんなに優しく聞いていないわ、と自分を振り返って反省しきりでした。「寄り添う」という言葉だけではない、目に見える行動をする人たちがここにいます。(白)
2023年/日本/カラー/70分
配給:ラジオ下神白
(C)KOMORI Haruka + Radio Shimo-Kajiro
公式サイトURL:https://www.radioshimokajiromovie.com/
公式X(旧Twitter): @shimokajiro
★2024年4月12日(金)よりフォーラム福島で先行上映、
4月27日(土)よりポレポレ東中野ほかにて全国順次公開ロードショー
夜明けへの道(原題:Rays of Hope)
監督・脚本・撮影・音楽:コ・パウ
音楽:コ・ピョウ
出演:コ・パウ
2021年2月1日、軍事クーデターが勃発。10年前、市民が手に入れた自由と平穏な生活は再び取り上げられた。軍は民主派政権の幹部を拘束し非常事態を宣言する。市民たちの抗議デモが繰り返され、コ・パウ監督はデモを先導したとして指名手配される。危険を感じた監督は、安全のためヤンゴンの家族と離れ、民主派勢力の地域へ逃れていく。いつ見つかるかもしれない、追われる恐怖の日々の中、撮影し続けたセルフドキュメンタリー。
コロナ禍で外出が制限されていたとき、コ・パウ監督が家族で作った動画が冒頭に流れます。俳優でもある監督が面白おかしいショートフィルムを作り、SNSに投稿して人々を元気づけていました。クーデター後はデモに参加し、軍の圧政に抗議を続ける姿勢を崩しませんでした。指名手配を受け、妻や子供たちに影響がないように、一人で逃亡する決心をします。家族の顔を見られるのは携帯での動画だけ、厳しい表情だった監督が、このときだけは優しいお父さんの顔に変わります。双方、どんなにか会いたいだろうと、想像するだけで胸が痛みます。
監督は自由を取り戻すまで、この戦いはやめない、と決心しています。しかし、クーデターから3年の時が過ぎ、世界の関心は新しいニュースに移っていきます。当事者の苦しみは終わっていないのに、世界中から無関心でいられることは足の下に何もないような感覚でしょう。これを「最後の闘いにしたい」と、大きな代償をはらっている人たちが、大勢います。コ・パウ監督たちが家族との平和な暮らしを取り戻せますように。そのために祈るだけでなく、形ある支援、行動を伴った支援をしなくてはと思います。(白)
2023年/ミャンマー/カラー/101分
配給:太秦
(C)Thaw Win Kyar Phyu Production
https://yoake-myanmar.com/
★2024年4月27日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開
■本作の興行収入より映画館への配分と、配給・宣伝経費を差し引いた配給収益の一部は支援金とし、コ・パウ監督らを通じてミャンマー支援にあてられます。[配給: 太秦株式会社]
マリウポリの20日間(原題:20 Days in Mariupol)
監督・脚本・撮影:ミスティラフ・チェルノフ
2022年2月、AP通信取材班は、東部のマリウポリが戦略的に重要な地点となると判断して車で向かう。到着1時間後に本当に戦争が始まった。民間人を攻撃しないとの期待はすぐに裏切られる。戒厳令がしかれ、戦場となったマリウポリに残った取材班は命がけで撮影を続けた。逃げ場もない市民は、少しでも安全に思える地下に駆け込む。住宅地にミサイルが撃ち込まれ、病院の産科も被害に遭う。何もかも足りない中、重傷者は増え続ける。病院の医師たちは休むまもなく救助活動にあたっているが、設備は破壊され、薬も人手もなくなるばかりだ。取材班は電波の良いところを探して、世界へ映像を送り続ける。
容赦ない砲撃を受ける住宅地、みるみるうちに崩れて街の姿はなくなっていきます。水や電気、通信網が破壊され、情報が遮断されます。逃げ場所もないと泣く女性、遺体が増えていく惨状も撮影します。霊安室もいっぱいになり、遺体は作業室にまで並べられます。細長く掘られた穴が仮の埋葬場所、係の男性は「戦争を始めたヤツらはみんなくたばれ!」と吐き捨てます。
ロシア側がマスコミの追及に「あのニュース映像は俳優が演じているフェイクだ!」と返す映像もあります。報道もまた戦争の最前線、重責を思います。周りの人たちも「真実を知らせて」「捕まったらフェイクニュースと言わされる」と口々に希望を託します。
Zマークの戦車が街に入ってきます。「映像を世界に送ってもらいたい」と軍人たちに支援され、取材班は赤十字の車列に追いつき脱出できました。しかし、街に残るしかない人たちを置いてきたことで自責の念にかられます。マリウポリは侵攻から86日目に陥落、死者は25000人以上にのぼりました。(白)
アカデミー賞(長編ドキュメンタリー賞)授賞式でのミスティラフ・チェルノフ監督挨拶(HPより)。
「この作品はウクライナ映画史上初めてアカデミー賞を受賞しました。
しかし、おそらく私はこの壇上で、こんな映画が作られなければよかった、などと言う最初の監督になるだろう。このオスカー像を、ロシアがウクライナを攻撃しない、私たちの街を占領しない姿と交換できれば、と願っています。ロシアは私の同胞であるウクライナ人を何万人も殺している。私は、彼らがすべての人質たち、国を守るために戦うすべての兵士たち、刑務所にいるすべての民間人たちを解放することを願っています。しかし、歴史を変えることはできません。過去を変えることもできません。私はあなた方に、世界で最も才能のあるあなた方に呼びかけます。私たちは、歴史を正しく記録し、真実を明らかにし、マリウポリの人々や、命を捧げた人々が決して忘れ去られないようにすることができます。なぜなら、映画は記憶を形成し、記憶は歴史を形成するからです」
2023年/ウクライナ・アメリカ合作/カラー/97分
配給:シンカ
https://synca.jp/20daysmariupol/
★2024年4月26日(木)TOHOシネマズ日比谷ほか全国緊急公開
一生売れない心の準備はできてるか
監督:當間早志
プロデューサー:奈須重樹 平良竜次
ライブ撮影:野田尚之 牧野裕二 當間早志
出演:やちむん刺激茄子(奈須重樹、育、長谷川淑生、さとうこうすけ、比嘉正一郎、ヤギフミトモ)、関島岳郎、島田篤、有田康信、和田充弘、ローリー、知念保、本村実篤、金城千賀子、赤嶺志麻子、内間晶子、ジーナ、新良幸人
沖縄発のバンド「やちむん刺激茄子」のリーダー奈須重樹は2021年、音楽活動30周年を迎えた。これまで小ヒットが一曲のみ。それでもめげずに活動を続け、今は流しを中心に日銭を稼ぎながら精力的に新曲を発表している。そんなイマイチ“売れない男”が、バンド結成25周年記念で18人編成のビッグ・バンドライブに臨んだ。会場は沖縄最古の映画館《首里劇場》。満員の聴衆を前に天衣無縫なパフォーマンスを繰り広げ、熱く華やかな空気で包み込んだ。
奈須重樹さんは延岡出身ですが、沖縄の大学進学を機に沖縄に住み早や42年。すっかり“しまんちゅ”です。カメラマンの仕事をしていたのに、タイトルのように心の準備ができたのか、いつのまにかミュージシャンが本業になってしまいました。沖縄は街も人も暖かくて暮らしていけるのでしょう(北国は寒くて大変)。何より歌っているのが心底楽しそうです。売れない覚悟は準備万端、覚悟を決めた人は強いのでしょう。この映画を観た後、タイトルの「一生売れない~♪」のフレーズが頭をぐーるぐる。すっかりしみ込んでしまいました。返事は「全然できてない♪」なんですが。(白)
沖縄のバンド、やちむん刺激茄子のリーダー奈須重樹を追ったライブドキュメンタリー。「やちむん刺激茄子」のバンド結成25周年記念ライブを首里劇場で行った貴重な記録でもある。そして奈須さんの30年に渡る歌が流れる。
私は奈須さんのことを知らなかったけど『パイナップル・ツアーズ』(1992年公開)の3パートのうち、この映画の監督でもある當間早志監督が担当したパートでカメラを担当していたというので、その映像は観ている。この映画には、当時シネマジャーナルのスタッフだったIさんとOさんが助っ人に入っていた。私にとっては初めて試写に行った作品でもある。それに、今は閉館してしまった首里劇場(2022年に閉館)でのライブというのも貴重な記録である。さらに、この2月に47年ぶりに沖縄に行ったのでぜひ観たいと思った。
そうしたら驚いた! 奈須さんは「今は流しを中心に日銭を稼いでいる」と語り、最後はその流しをしている那覇、国際通りの「のれん街」のビルがバックに見える場所で語っていたけど、なんとそこは、私が沖縄に行った初日に入った所。このビルの中の海鮮料理の店で食事をし、そこにギターを抱えた流しの若者がきたという経験をしていた。残念ながら奈須さんではなかったけど、今時、ギターの流しがいる商店街は珍しいと思っていたら、奈須さんもここで「流し」をしていたんですね。ここで奈須さんに会いたかったな。
それに、「生活の柄」(栄町市場にある居酒屋)で、横に座った人が気持ちよさそうにしていたので「さあふうふう」という歌を作ったといって、歌っていたのにもびっくり。実は今回、私も「生活の柄」に行き、同じような経験をしたので。『歌えマチグワー』という作品で、この店のことを知り、ぜひ行きたいと思っていたのだけど、私が行った日、他にもこの店が気になって来たという人(この人も東京から)がいて、その人もここでの会話を楽しんでいた。他の日にもそういうような人がいて、その感じを歌にしたんだと知って嬉しかった。
この『一生売れない心の準備はできてるか』は、奈須さんの生きてきた道を表したドキュメンタリー映画でもある(暁)。
2022年/日本/カラー/121分
配給:シネマラボ突貫小僧
(C)Shige&Hayashi
https://dekiteruka.com/
★2024年4月26日(金)よりアップリンク吉祥寺にて上映!
■2024年4月26日(金)〜5月2日(木)
※全ての回で主演・奈須重樹の舞台挨拶とミニLIVEを開催
※26日(金)27日(土)28日(日)は監督・當間早志も登壇。舞台挨拶を行います!!
■4月26日(金)夜〜
「world kitchen BAOBAB」(東京都武蔵野市吉祥寺南町2-4-6 B1F)にて奈須重樹LIVE開催予定。
システム・クラッシャー 原題:Systemsprenger 英題:System Crasher
© 2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG (haftungsbeschränkt), ZDF
監督・脚本:ノラ・フィングシャイト
撮影:ユヌス・ロイ・イメール
音楽:ジョン・ギュルトラー
出演:ヘレナ・ツェンゲル、アルブレヒト・シュッフ、リザ・ハーグマイスター、ガブリエラ=マリア・シュマイデ
9歳の少女ベニーは、一見普通の女の子。だけど、いったん怒りの感情に火がつくと、あたり構わず暴力をふるって手がつけられなくなる問題児。里親の家庭、グループホーム、特別支援学校・・・と、問題を起こすたびにたらい回し。学校にも行かずに過ごしている。ベニーは、顔を触られることが大嫌い。赤ちゃんの頃、父親が顔にオムツを押し付けたことがトラウマになっていて、触られるとパニック発作を起こすのだ。ママ以外、誰にも顔を触らせない。心を許せるのはママと、社会福祉課のマリア・バファネの二人だけ。またトラブルを起こしたベニーの為に、マリアが新しい通学付添え人としてミヒャを連れてくる。彼の役目はベニーの通学に付き添うことだけど、ベニーは学校へ行く気などさらさらない。グループホームで包丁を振り回し、病院に連れていかれる始末。ミヒャが「森で3週間、1対1で世話をする。水も電気もない環境で」と提案。最初は、何もしたくないと素っ気なかったベニーが、親身に相手をしてくれるミヒャにだんだん心を開いていく・・・
システム・クラッシャーとは、あまりに乱暴で行く先々で問題を起こし、施設を転々とする制御不能で攻撃的な子供のこと。助けることができない子供たちを指す言葉。
本作が長編映画デビュー作となるノラ・フィングシャイトは、教育支援学校、緊急収容センター、児童精神科病棟など綿密に取材を重ね、現場を体験しながら5年間のリサーチを経て脚本を執筆し、映画化。
ベニーを演じたヘレナ・ツェンゲルの破壊的な怒りの演技がすごいです。これが地だったら、ほんとに手に負えなくて、親も周りも大変。でも、実際にこういう子供はいるのですよね。だから私は子育てしたくなかったのだと変に納得してしまいました。もちろん育てやすい子もいるのでしょうけど。先日、バスの中で泣きわめいてはた迷惑な女の子がいて、母親が何も言わないのが解せなかったのですが、思えば、あそこで母親が何か言ったとしても泣き止まないのを経験上わかっているからなのですね。あ~子育ては大変!(咲)
☆ヘレナ・ツェンゲルはドイツ映画賞の主演女優賞を歴代最年少で受賞
2019年/ドイツ/ドイツ語/カラー/125分/ビスタ
日本語字幕:上條葉月
後援:ゲーテ・インスティトゥート東京
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ サクセション
配給:クレプスキュール フィルム
公式サイト:http://crasher.crepuscule-films.com
★2024年4月27日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
2024年04月19日
ラ・カリファ 原題:LA CALIFFA
2024年4月19日 新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー 劇場情報
©1970 RTI
91年の生涯で、500作品以上もの映画・TV作品の音楽を手がけた映画音楽界の巨匠、エンニオ・モリコーネ(1928-2020)
必聴!必見!モリコーネの名曲がスクリーンに甦る!!
映画『モリコーネ 映画が恋した音楽科』(21)でも取り上げられた、名匠エンニオ・モリコーネが手がけた名曲映画2作品の特選上映。
昨年(2023)劇場公開されたジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)での大きな感動と称賛を経て、3/22(金)から彼の出世作であり代表作の『荒野の用心棒』(64)『夕陽のガンマン』(65)『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(66)の“ドル3部作”が4K劇場リバイバルされるなど、いま再びモリコーネ・リスペクト、再評価の動きが高まっている。
これらの動きに連動するかたちで、4/19(金)より『モリコーネ 映画が恋した音楽家』でも取り上げられた『死刑台のメロディ』(71)の4Kリマスター版と、日本初公開となる『ラ・カリファ』(70)の2作品を、『永遠のフィルム・マエストロ エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2』として上映。
『ラ・カリファ』
監督・脚本:アルベルト・ベヴィラクア 撮影:ロベルト・ジェラルディ 音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ロミー・シュナイダー、ウーゴ・トニャッツィ、マリーナ・ベルティ、マッシモ・ファネッリ、ロベルト・ビサッコ
★1971年度カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品
★1971年度デヴィッド・ディ・ドナテッロ賞主演男優賞受賞(ウーゴ・トニャッツィ)
モリコーネの甘美なメロディが心に沁みる─。
最盛期のロミー・シュナイダーが許されぬ恋におちる女性を体当たりで演じた社会派メロドラマが、待望の日本初公開!
ストライキでイタリアが混乱する中、イレーネの夫は殺害され、彼女は亡き夫に変わって労働者たちの情熱的な先導者となった。 イレーネはかつて同じ仲間だった工場経営者のドベルドと対立するが、聡明なドベルトの考え方に共鳴するうち、いつしか彼にひかれていく。互いの立場の違いを抱えながらもふたりは逢瀬を重ねていくが、やがて悲劇が彼らを襲う。
かつての仲間だった工場長とストライキの女性リーダーが恋におちてゆく社会派メロドラマ。32歳の女盛りを迎えた凛々しいロミー・シュナイダーと、『Mr.レディ Mr.マダム』シリーズのウーゴ・トニャッツィが禁断の恋を演じる。本作のテーマ曲は、数あるモリコーネのスコアの中でも人気の高い曲として知られているが、映画自体は日本では劇場未公開だった。今回ファン待望の日本初公開が実現する。監督は脚本家出身で、本作で監督デビューを飾ったアルベルト・ベヴィラクア。
「ルートヴィヒ」「夕なぎ」などに出演しヨーロッパ映画界で人気を誇った女優ロミー・シュナイダーが、許されざる恋に落ちた女性を体当たりで演じた1970年製作の社会派メロドラマ。
亡き夫の遺志を継いでストライキのリーダーとなった女性が、かつての仲間であった工場長の男性と対立しながらも次第にひかれ合っていく姿を、巨匠エンニオ・モリコーネの甘美なメロディに乗せて描き出す。「Mr.レディMr.マダム」シリーズのウーゴ・トニャッツィが工場長を演じ、イタリアの脚本家アルベルト・ベビラクアが長編初メガホンをとった。
モリコーネによるテーマ曲は数ある彼の作品の中でも特に人気が高いことで知られるが、映画自体は日本では長らく未公開のままだった。2024年4月、特集企画「エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2」にて日本初公開。
公式HP https://www.morricone-ss.com/
1970年/イタリア・フランス合作/91分
カラー/ビスタサイズ/DCP/イタリア語モノラル
配給:キングレコード
©1970 RTI
91年の生涯で、500作品以上もの映画・TV作品の音楽を手がけた映画音楽界の巨匠、エンニオ・モリコーネ(1928-2020)
必聴!必見!モリコーネの名曲がスクリーンに甦る!!
映画『モリコーネ 映画が恋した音楽科』(21)でも取り上げられた、名匠エンニオ・モリコーネが手がけた名曲映画2作品の特選上映。
昨年(2023)劇場公開されたジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)での大きな感動と称賛を経て、3/22(金)から彼の出世作であり代表作の『荒野の用心棒』(64)『夕陽のガンマン』(65)『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(66)の“ドル3部作”が4K劇場リバイバルされるなど、いま再びモリコーネ・リスペクト、再評価の動きが高まっている。
これらの動きに連動するかたちで、4/19(金)より『モリコーネ 映画が恋した音楽家』でも取り上げられた『死刑台のメロディ』(71)の4Kリマスター版と、日本初公開となる『ラ・カリファ』(70)の2作品を、『永遠のフィルム・マエストロ エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2』として上映。
『ラ・カリファ』
監督・脚本:アルベルト・ベヴィラクア 撮影:ロベルト・ジェラルディ 音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ロミー・シュナイダー、ウーゴ・トニャッツィ、マリーナ・ベルティ、マッシモ・ファネッリ、ロベルト・ビサッコ
★1971年度カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品
★1971年度デヴィッド・ディ・ドナテッロ賞主演男優賞受賞(ウーゴ・トニャッツィ)
モリコーネの甘美なメロディが心に沁みる─。
最盛期のロミー・シュナイダーが許されぬ恋におちる女性を体当たりで演じた社会派メロドラマが、待望の日本初公開!
ストライキでイタリアが混乱する中、イレーネの夫は殺害され、彼女は亡き夫に変わって労働者たちの情熱的な先導者となった。 イレーネはかつて同じ仲間だった工場経営者のドベルドと対立するが、聡明なドベルトの考え方に共鳴するうち、いつしか彼にひかれていく。互いの立場の違いを抱えながらもふたりは逢瀬を重ねていくが、やがて悲劇が彼らを襲う。
かつての仲間だった工場長とストライキの女性リーダーが恋におちてゆく社会派メロドラマ。32歳の女盛りを迎えた凛々しいロミー・シュナイダーと、『Mr.レディ Mr.マダム』シリーズのウーゴ・トニャッツィが禁断の恋を演じる。本作のテーマ曲は、数あるモリコーネのスコアの中でも人気の高い曲として知られているが、映画自体は日本では劇場未公開だった。今回ファン待望の日本初公開が実現する。監督は脚本家出身で、本作で監督デビューを飾ったアルベルト・ベヴィラクア。
「ルートヴィヒ」「夕なぎ」などに出演しヨーロッパ映画界で人気を誇った女優ロミー・シュナイダーが、許されざる恋に落ちた女性を体当たりで演じた1970年製作の社会派メロドラマ。
亡き夫の遺志を継いでストライキのリーダーとなった女性が、かつての仲間であった工場長の男性と対立しながらも次第にひかれ合っていく姿を、巨匠エンニオ・モリコーネの甘美なメロディに乗せて描き出す。「Mr.レディMr.マダム」シリーズのウーゴ・トニャッツィが工場長を演じ、イタリアの脚本家アルベルト・ベビラクアが長編初メガホンをとった。
モリコーネによるテーマ曲は数ある彼の作品の中でも特に人気が高いことで知られるが、映画自体は日本では長らく未公開のままだった。2024年4月、特集企画「エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2」にて日本初公開。
公式HP https://www.morricone-ss.com/
1970年/イタリア・フランス合作/91分
カラー/ビスタサイズ/DCP/イタリア語モノラル
配給:キングレコード
死刑台のメロディ 4Kリマスター・英語版 原題:SACCO E VANZETTI
2024年4月19日 新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー 劇場情報
©UNIDIS JOLLY FILM
91年の生涯で、500作品以上もの映画・TV作品の音楽を手がけた映画音楽界の巨匠、エンニオ・モリコーネ(1928-2020)
必聴!必見!モリコーネの名曲がスクリーンに甦る!!
映画『モリコーネ 映画が恋した音楽科』(21)でも取り上げられた、名匠エンニオ・モリコーネが手がけた名曲映画2作品の特選上映。
昨年(2023)劇場公開されたジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)での大きな感動と称賛を経て、3/22(金)から彼の出世作であり代表作の『荒野の用心棒』(64)『夕陽のガンマン』(65)『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(66)の“ドル3部作”が4K劇場リバイバルされるなど、いま再びモリコーネ・リスペクト、再評価の動きが高まっている。
これらの動きに連動するかたちで、4/19(金)より『モリコーネ 映画が恋した音楽家』でも取り上げられた『死刑台のメロディ』(71)の4Kリマスター版と、日本初公開となる『ラ・カリファ』(70)の2作品を、『永遠のフィルム・マエストロ エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2』として上映。
『死刑台のメロディ 4Kリマスター・英語版』
モリコーネの音楽とバエズの歌が心を撃つ─。
カンヌ国際映画祭男優賞受賞の名作実話ドラマが4Kリマスター・英語版で待望の劇場リバイバル!
監督・脚本:ジュリアーノ・モンタルド
撮影:シルヴァーノ・イッポリティ
音楽:エンニオ・モリコーネ
歌:ジョーン・バエズ
出演:ジャン・マリア・ヴォロンテ、リカルド・クッチョーラ、ミロ・オーシャ、シリル・キューザック、ロザンナ・フラテッロ
1920年、イタリア移民への差別と労働問題が叫ばれていたボストン。靴職人のニコラ・サッコと魚行商人のバルトロメオ・ヴェンゼッティは、運悪く護身用のピストルを携帯していた廉(かど)で警察に逮捕される。全くの事実無根にもかかわらず、イタリア移民のアナーキストという理由だけで、ふたりは身に覚えのない製靴会社の現金強盗殺人事件の容疑者にされてしまう。だが、裁判での証言・証拠はことごとく、彼らが犯人であることを示していた。やがて彼らに有罪の判決が下るが…。
1920年代のアメリカで実際に起こった悪名高き冤罪事件“サッコ=ヴァンゼッティ事件”。その人種的、思想的差別と偏見に満ちた裁判の一部始終を、ジュリアーノ・モンタルド監督が冷徹に映画化。サッコ役のリカルド・クッチョーラが迫真の演技で、1971年度カンヌ国際映画祭男優賞を受賞した。エンニオ・モリコーネが音楽を手がけ、本作に賛同した活動家で歌手のジョーン・バエズが主題歌(「勝利への讃歌」)と挿入歌(「サッコとヴァンゼッティのバラード」)の2曲を歌っている。
エンニオ・モリコーネ プロフィール HPより
1928年ローマ生まれ。幼少の頃からトランペットを習い、その後サンタ・チェチーリア音楽院で作曲を学ぶ。卒業後はイタリアRCAレコードの看板アレンジャーとして活躍し、61年『ファシスト』(未)で映画音楽家デビューを飾った。セルジオ・レオーネ監督の“ドル3部作”(64~66)で注目を集め、『天国の日々』(78)でアカデミー賞作曲賞にノミネートされ、世界的地位と名声を確立した。
その後も『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84)『ミッション』(86)『アンタッチャブル』(87)『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)『バグジー』(91)『海の上のピアニスト』(98)『マレーナ』(00)など数々の名作でその才を発揮。アカデミー賞作曲賞に6度ノミネートされ、『ヘイトフル・エイト』(15)でついに受賞を果たす。91年の生涯で500本以上もの映画・テレビ音楽を手がけた。2020年ローマで死去。
2023年には愛弟子で親友のジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)が公開され、話題を呼んだ。
公式HP https://www.morricone-ss.com/
1971年/イタリア/125分/カラー/ビスタサイズ/DCP/英語モノラル
1972年5月5日 日本初公開
配給:キングレコード
©UNIDIS JOLLY FILM
91年の生涯で、500作品以上もの映画・TV作品の音楽を手がけた映画音楽界の巨匠、エンニオ・モリコーネ(1928-2020)
必聴!必見!モリコーネの名曲がスクリーンに甦る!!
映画『モリコーネ 映画が恋した音楽科』(21)でも取り上げられた、名匠エンニオ・モリコーネが手がけた名曲映画2作品の特選上映。
昨年(2023)劇場公開されたジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)での大きな感動と称賛を経て、3/22(金)から彼の出世作であり代表作の『荒野の用心棒』(64)『夕陽のガンマン』(65)『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(66)の“ドル3部作”が4K劇場リバイバルされるなど、いま再びモリコーネ・リスペクト、再評価の動きが高まっている。
これらの動きに連動するかたちで、4/19(金)より『モリコーネ 映画が恋した音楽家』でも取り上げられた『死刑台のメロディ』(71)の4Kリマスター版と、日本初公開となる『ラ・カリファ』(70)の2作品を、『永遠のフィルム・マエストロ エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2』として上映。
『死刑台のメロディ 4Kリマスター・英語版』
モリコーネの音楽とバエズの歌が心を撃つ─。
カンヌ国際映画祭男優賞受賞の名作実話ドラマが4Kリマスター・英語版で待望の劇場リバイバル!
監督・脚本:ジュリアーノ・モンタルド
撮影:シルヴァーノ・イッポリティ
音楽:エンニオ・モリコーネ
歌:ジョーン・バエズ
出演:ジャン・マリア・ヴォロンテ、リカルド・クッチョーラ、ミロ・オーシャ、シリル・キューザック、ロザンナ・フラテッロ
1920年、イタリア移民への差別と労働問題が叫ばれていたボストン。靴職人のニコラ・サッコと魚行商人のバルトロメオ・ヴェンゼッティは、運悪く護身用のピストルを携帯していた廉(かど)で警察に逮捕される。全くの事実無根にもかかわらず、イタリア移民のアナーキストという理由だけで、ふたりは身に覚えのない製靴会社の現金強盗殺人事件の容疑者にされてしまう。だが、裁判での証言・証拠はことごとく、彼らが犯人であることを示していた。やがて彼らに有罪の判決が下るが…。
1920年代のアメリカで実際に起こった悪名高き冤罪事件“サッコ=ヴァンゼッティ事件”。その人種的、思想的差別と偏見に満ちた裁判の一部始終を、ジュリアーノ・モンタルド監督が冷徹に映画化。サッコ役のリカルド・クッチョーラが迫真の演技で、1971年度カンヌ国際映画祭男優賞を受賞した。エンニオ・モリコーネが音楽を手がけ、本作に賛同した活動家で歌手のジョーン・バエズが主題歌(「勝利への讃歌」)と挿入歌(「サッコとヴァンゼッティのバラード」)の2曲を歌っている。
エンニオ・モリコーネ プロフィール HPより
1928年ローマ生まれ。幼少の頃からトランペットを習い、その後サンタ・チェチーリア音楽院で作曲を学ぶ。卒業後はイタリアRCAレコードの看板アレンジャーとして活躍し、61年『ファシスト』(未)で映画音楽家デビューを飾った。セルジオ・レオーネ監督の“ドル3部作”(64~66)で注目を集め、『天国の日々』(78)でアカデミー賞作曲賞にノミネートされ、世界的地位と名声を確立した。
その後も『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84)『ミッション』(86)『アンタッチャブル』(87)『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)『バグジー』(91)『海の上のピアニスト』(98)『マレーナ』(00)など数々の名作でその才を発揮。アカデミー賞作曲賞に6度ノミネートされ、『ヘイトフル・エイト』(15)でついに受賞を果たす。91年の生涯で500本以上もの映画・テレビ音楽を手がけた。2020年ローマで死去。
2023年には愛弟子で親友のジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)が公開され、話題を呼んだ。
公式HP https://www.morricone-ss.com/
1971年/イタリア/125分/カラー/ビスタサイズ/DCP/英語モノラル
1972年5月5日 日本初公開
配給:キングレコード
青春 原題:青春(春)英題:Youth(Spring)
4月20日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開 劇場情報
© 2023 Gladys Glover - House on Fire - CS Production - ARTE France Cinéma - Les Films Fauves - Volya Films – WANG bing
監督:王兵(ワン・ビン)
上海を中心に広がる「長江デルタ地域」。
地方から出稼ぎに来ている若者たちが働く縫製工場。彼らはミシンで子供服を縫っている。手持ちカメラによって捉えられた雑然とした作業場では若い男女が猛烈なスピードで子供服をミシンで縫っている。決まった時間に何枚縫えるか競争までしている。そのような作業をしながら、彼らはその反復労働に慣れて、手を動かしている間でも、同僚同士で活発な会話を続けている。あちこちで言い争いも起こる。また、カップルもいる。
ワン・ビン監督の新作は、中国の10代後半から20代の若い世代を、衣料品製造の中心地である浙江省湖州市の織里鎮という町での彼らの青春と反復労働の日々に焦点を当てた作品。
カメラはあくまで観察的な姿勢で、若者たちの劣悪な労働環境や、彼らの人生や恋愛、賃金交渉にどのように対処しているかを淡々と捉える。若者たちの多くにより良い未来が待っているようには思えないが、今ここを楽しもうとする彼らの楽観主義的な姿が印象に残る。
彼らのような若者も、実は長江デルタの経済を支えている一員であることを認める人はほとんどいない。世界は彼らに注目しない。しかし、ここには驚くほどにみずみずしい青春がある。自分がやるべき仕事は「世界から見えない人たちの生を記録すること」と語る王兵監督。
王兵(ワン・ビン)WANG BING HPより
1967年11月17日、中国陝西省西安生まれ。
街で生まれたが、飢饉のため幼少時に農村に移り住む。父は出稼ぎに行き、母・妹・弟と暮らした。14歳のとき、父が病死し、当時の「接班」政策により父の仕事を受け継ぐことになり、父の職場だった「建設設計院」に職を得て、14歳から24歳まで一家の大黒柱として働く。職場で知り合った建築士らの影響で学問と写真に興味を持つようになり、1991年、人の紹介を得て、瀋陽にある魯迅美術学院で学び始める。翌92年、正規の試験を受けて写真学科に入学。3年間学んだのち、95年から1年間は北京電影学院撮影科で学ぶ。97年に魯迅美術学院に復学し、卒業するが、当時は仕事がなく、新聞映画撮影所に入り、1年半ほど知人の監督の手伝いなどをして過ごしたが、1999年、その生活に見切りをつけ瀋陽に戻り、1999年から中古のデジタルカメラひとつで、『鉄西区』の撮影に着手。2002年に5時間ヴァージョンの『鉄西区』がベルリン国際映画祭フォーラム部門で上映され、世界に衝撃を与える。その後、再編集し、2003年に9時間を超える画期的なドキュメンタリーとして完成させた。同作品は山形国際ドキュメンタリー映画祭最高賞はじめリスボン、マルセイユの国際ドキュメンタリー映画祭、ナント三大陸映画祭などで最高賞を獲得するなど国際的に高い評価を受ける。続いて、「反右派闘争」の時代を生き抜いた女性の証言を記録した『鳳鳴―中国の記憶』(2007年)で2度目の山形国際ドキュメンタリー映画祭最高賞を獲得。2010年には、同じく「反右派闘争」時代の飢餓を題材に、初の長編劇映画となった『無言歌』を発表。初めて日本で劇場公開され、キネマ旬報の外国映画監督賞にも選ばれた。2012年には雲南省に暮らす幼い姉妹の生活に密着したドキュメンタリー『三姉妹〜雲南の子』を発表し、ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門グランプリなど数々の国際賞に輝く。
2013年には本作の配給であるムヴィオラが製作出資した『収容病棟』を発表。中国・雲南省の精神病院を撮影し、収容された一人一人が愛を求める姿を感動的に描き、ナント三大陸映画祭銀の気球賞などを受賞。2016年にはミャンマー内戦により中国国境に逃れて来た中国系のタアン族を描いた『TA'ANG』、浙江省の出稼ぎ労働者を題材にした『苦い銭』、2017年には『ファンさん』と国際映画祭で話題作が続いたが、2018年、カンヌ国際映画祭でついにこれまで記録し続けた題材、「反右派闘争時代の飢餓」の集大成となる8時間越えの大作『死霊魂』を発表。3度目の山形国際ドキュメンタリー映画祭最高賞の栄誉に輝いた。
また、ワン・ビン監督の場合、映画作品と美術作品のフィールドが交差しているが、傑作『名前のない男』(2010)をはじめギャラリーや美術祭の委嘱作品も多い。2014年には現代アートの殿堂であるパリのポンピドゥー・センターにて1カ月以上にわたる回顧展、2017年にはドイツのドクメンタ14に招聘。2021年には、パリのル・バルで「The Walking Eye」と題した展覧会が開催され、フランス・シネマテークでは映画のレトロスペクティヴも行われた。2023年にはドイツに住む中国人亡命作曲家・王西麟(ワン・シーリン)を描くビデオアート『黒衣人』を発表し、東京フィルメックスでも上映されて話題を呼んだ。
最初に彼らが出てくるときには、出身地と名前が出てくるがほとんどが近県の出身。しかも10代後半から20代前半がほとんど。作業場のすぐ並びに宿泊施設もある。そんな、2,30人規模の工場が通り沿いにたくさんあり、たくさんの若者が働いている。季節が冬に向かっているのか、彼らが製作していたのは冬用の子供服。こんな風に服は作られているのだなと、制作過程を知った。
最初、これまでの王兵監督の作品とは
「春」という言葉があるけど、これはまだ途中だそう。この作品は215分だけど、最終的に9時間くらいになるらしい。3時間半でも長いのに、9時間かとため息。前作『死霊魂』も8時間を超える作品だった。
2023/フランス、ルクセンブルグ、オランダ/215分
配給:ムヴィオラ
© 2023 Gladys Glover - House on Fire - CS Production - ARTE France Cinéma - Les Films Fauves - Volya Films – WANG bing
監督:王兵(ワン・ビン)
上海を中心に広がる「長江デルタ地域」。
地方から出稼ぎに来ている若者たちが働く縫製工場。彼らはミシンで子供服を縫っている。手持ちカメラによって捉えられた雑然とした作業場では若い男女が猛烈なスピードで子供服をミシンで縫っている。決まった時間に何枚縫えるか競争までしている。そのような作業をしながら、彼らはその反復労働に慣れて、手を動かしている間でも、同僚同士で活発な会話を続けている。あちこちで言い争いも起こる。また、カップルもいる。
ワン・ビン監督の新作は、中国の10代後半から20代の若い世代を、衣料品製造の中心地である浙江省湖州市の織里鎮という町での彼らの青春と反復労働の日々に焦点を当てた作品。
カメラはあくまで観察的な姿勢で、若者たちの劣悪な労働環境や、彼らの人生や恋愛、賃金交渉にどのように対処しているかを淡々と捉える。若者たちの多くにより良い未来が待っているようには思えないが、今ここを楽しもうとする彼らの楽観主義的な姿が印象に残る。
彼らのような若者も、実は長江デルタの経済を支えている一員であることを認める人はほとんどいない。世界は彼らに注目しない。しかし、ここには驚くほどにみずみずしい青春がある。自分がやるべき仕事は「世界から見えない人たちの生を記録すること」と語る王兵監督。
王兵(ワン・ビン)WANG BING HPより
1967年11月17日、中国陝西省西安生まれ。
街で生まれたが、飢饉のため幼少時に農村に移り住む。父は出稼ぎに行き、母・妹・弟と暮らした。14歳のとき、父が病死し、当時の「接班」政策により父の仕事を受け継ぐことになり、父の職場だった「建設設計院」に職を得て、14歳から24歳まで一家の大黒柱として働く。職場で知り合った建築士らの影響で学問と写真に興味を持つようになり、1991年、人の紹介を得て、瀋陽にある魯迅美術学院で学び始める。翌92年、正規の試験を受けて写真学科に入学。3年間学んだのち、95年から1年間は北京電影学院撮影科で学ぶ。97年に魯迅美術学院に復学し、卒業するが、当時は仕事がなく、新聞映画撮影所に入り、1年半ほど知人の監督の手伝いなどをして過ごしたが、1999年、その生活に見切りをつけ瀋陽に戻り、1999年から中古のデジタルカメラひとつで、『鉄西区』の撮影に着手。2002年に5時間ヴァージョンの『鉄西区』がベルリン国際映画祭フォーラム部門で上映され、世界に衝撃を与える。その後、再編集し、2003年に9時間を超える画期的なドキュメンタリーとして完成させた。同作品は山形国際ドキュメンタリー映画祭最高賞はじめリスボン、マルセイユの国際ドキュメンタリー映画祭、ナント三大陸映画祭などで最高賞を獲得するなど国際的に高い評価を受ける。続いて、「反右派闘争」の時代を生き抜いた女性の証言を記録した『鳳鳴―中国の記憶』(2007年)で2度目の山形国際ドキュメンタリー映画祭最高賞を獲得。2010年には、同じく「反右派闘争」時代の飢餓を題材に、初の長編劇映画となった『無言歌』を発表。初めて日本で劇場公開され、キネマ旬報の外国映画監督賞にも選ばれた。2012年には雲南省に暮らす幼い姉妹の生活に密着したドキュメンタリー『三姉妹〜雲南の子』を発表し、ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門グランプリなど数々の国際賞に輝く。
2013年には本作の配給であるムヴィオラが製作出資した『収容病棟』を発表。中国・雲南省の精神病院を撮影し、収容された一人一人が愛を求める姿を感動的に描き、ナント三大陸映画祭銀の気球賞などを受賞。2016年にはミャンマー内戦により中国国境に逃れて来た中国系のタアン族を描いた『TA'ANG』、浙江省の出稼ぎ労働者を題材にした『苦い銭』、2017年には『ファンさん』と国際映画祭で話題作が続いたが、2018年、カンヌ国際映画祭でついにこれまで記録し続けた題材、「反右派闘争時代の飢餓」の集大成となる8時間越えの大作『死霊魂』を発表。3度目の山形国際ドキュメンタリー映画祭最高賞の栄誉に輝いた。
また、ワン・ビン監督の場合、映画作品と美術作品のフィールドが交差しているが、傑作『名前のない男』(2010)をはじめギャラリーや美術祭の委嘱作品も多い。2014年には現代アートの殿堂であるパリのポンピドゥー・センターにて1カ月以上にわたる回顧展、2017年にはドイツのドクメンタ14に招聘。2021年には、パリのル・バルで「The Walking Eye」と題した展覧会が開催され、フランス・シネマテークでは映画のレトロスペクティヴも行われた。2023年にはドイツに住む中国人亡命作曲家・王西麟(ワン・シーリン)を描くビデオアート『黒衣人』を発表し、東京フィルメックスでも上映されて話題を呼んだ。
最初に彼らが出てくるときには、出身地と名前が出てくるがほとんどが近県の出身。しかも10代後半から20代前半がほとんど。作業場のすぐ並びに宿泊施設もある。そんな、2,30人規模の工場が通り沿いにたくさんあり、たくさんの若者が働いている。季節が冬に向かっているのか、彼らが製作していたのは冬用の子供服。こんな風に服は作られているのだなと、制作過程を知った。
最初、これまでの王兵監督の作品とは
「春」という言葉があるけど、これはまだ途中だそう。この作品は215分だけど、最終的に9時間くらいになるらしい。3時間半でも長いのに、9時間かとため息。前作『死霊魂』も8時間を超える作品だった。
2023/フランス、ルクセンブルグ、オランダ/215分
配給:ムヴィオラ
赤い糸 輪廻のひみつ 原題:月老 Till We Meet Again ★4/19再ロードショー
監督・脚本:ギデンズ・コー
出演:クー・チェンドン、ビビアン・ソン、ワン・ジン、マー・ジーシアン
落雷で命を落とし冥界に連れてこられた青年・孝綸(シャオルン)。生前の記憶をすっかり失くしていた。 同じく若くして命を落とし冥界にやってきた女性ピンキーとともに、〈 月老ユエラオ 〉として現世で人々の縁結びをすることになる。
ある日、ふたりの前に1頭の犬が現れ、 シャオルンは失っていた記憶を取り戻す。それは初恋の 小咪(シャオミー)に、果たせないままに終わってしまった“ある約束”だった・・・
月老(ユエラオ)の法則
その1.ジェンダーもセクシュアリティも何物も愛を妨げない
その2.赤い糸で結ばれると、愛が実るまで命が尽きることはない
『あの頃、君を追いかけた』のギデンズ・コー監督が、再び、クー・チェンドンとタッグを組んだ映画『赤い糸 輪廻のひみつ』。
2011年の東京国際映画祭で『あの頃、君を追いかけた』を観て、間違いなくこの年一番の映画と確信するほど気に入って、その後、何度か観た大好きな映画。
『あの頃、君を追いかけた』で、高校生役を演じたクー・チェンドンが、10年経って、どんな姿を見せてくれるのかと、昨年、12月22日に『赤い糸 輪廻のひみつ』が公開された時に、絶対観たいと思ったのですが、シネマート新宿での上映時間が私の予定と合わなくて、見損ねてしまったのでした。
この度、下北沢トリウッドと、塚口サンサン劇場での再ロードショーが決まり、拝見させていただくことができました。
クー・チェンドンは、すっかり大人になりましたが、ふっと見せる、してやったり~という表情や、不良っぽい雰囲気がたまりません。 かと思えば、生前の自分への反省からか涙することも。
ビビアン・ソン演じるシャオミーも、実にキュート。
またまたギデンズ・コー監督にしてやられました!
(公式サイトに掲載されている山崎貴監督のコメントと期せずして同じような表現になってしまいました!)
見逃していた方、もう一度観たい方、ぜひこの機会にご覧ください。(咲)
『赤い糸 輪廻のひみつ』 2023年12月22日公開時の紹介
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/501822320.html
『あの頃、君を追いかけた』2013年9月14日公開時の紹介
http://www.cinemajournal.net/review/2013/index.html#anokoro_kimiwo
2021年/台湾/128分/カラー/シネスコ/5.1ch
後援:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
配給:台湾映画社、台湾映画同好会
公式サイト:https://taiwanfilm.net/yuelao/
★2024年4月19日(金)より下北沢トリウッドにて再ロードショー
兵庫県・塚口サンサン劇場: 5/3(金・祝)~5/9(木)
2024年04月18日
異人たち(原題:All of Us Strangers)
監督・脚本:
原作:山田太一
撮影:ジェイミー・D・ラムジー、SASC
音楽:エミリー・ルヴィエネーズ=ファルーシュ
出演:アンドリュー・スコット(アダム)、ポール・メスカル(ハリー)、ジェイミー・ベル(アダムの父)、クレア・フォイ(アダムの母)
ロンドンのマンションに住む脚本家アダムの両親は、彼が12歳のときに交通事故で他界している。両親の思い出を脚本に生かそうと郊外の実家に行ってみると、無人のはずが30年前と変わらない両親がそこにいた。夢か幻か目を疑うアダムだが、両親は大喜び。これまでの歳月を埋めるように、アダムは足しげく通う。
失うことを恐れ、人と深くかかわらずに来たアダムの元を、別の階に住むハリーが訪ねてくる。一度は拒んだアダムだったが、いつしか恋に落ちる。
日本で映画化された『異人たちとの夏』(1988/大林信彦監督)では、片岡鶴太郎さんと秋吉久美子さんが風間杜夫さんの両親役、下町の夫婦がとても魅力的でした。幽霊譚というより家族の話として観て、再会や別れに涙していました。本作も両親が事故死してから孤独に生きた息子が、若い両親と幸福な時間をすごすファンタジー色は変わりません。大きく違うのは、原作では女性だったもう一人の主要人物を、ゲイの男性に変えたこと。二人の恋愛ドラマは、底知れない寂しさを抱えたハリーの存在でより哀切になりました。すっかり大人になった息子をすぐに受け入れた母親ですが、息子のカミングアウトにはやっぱり戸惑います。父親(ジェイミー・ベル!)とは30年前のわだかまりを解消することができました。
アダムを演じたアンドリュー・スコットは、テレビドラマ「シャーロック SHERLOCK」の宿敵モリアーティ教授役が印象に残っています。舞台、映画にと活躍中。ハリー役のポール・メスカルは、『aftersun アフターサン』で若いパパを演じていました。96年生まれでまだ20代、先が楽しみです。(白)
2023年/イギリス/カラー//105分
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
https://www.searchlightpictures.jp/movies/allofusstrangers
★2024年4月19日(金)ロードショー
2024年04月14日
あまろっく
監督・原案・脚本:中村和宏
脚本:西井史子
撮影:関照男
音楽:林ゆう、山城ショウゴ
出演:江口のりこ(近松優子)、中条あやみ(近松早希)、笑福亭鶴瓶(近松竜太郎)、松尾諭(若き竜太郎)、中村ゆり(近松愛子)、中林大樹(南雲広樹)、鮎川太一(駿河太郎)
巨大な閘門(こうもん)“あまろっく”によって水害から守られている街・尼崎。近松優子は理不尽なリストラで失業し、この街に戻ってきた。
父親は一人暮らしのところに戻ってきた娘を大歓迎。39歳でニートな日々を送っていても文句も言わない。「人生に起こることはなんでも楽しまな」が口グセの能天気な父だ。突然再婚すると言い出し、つれて来たのが、なんと20歳の早希!ずっと孤独で「夢は家族だんらん」という早希。娘ほど年下の“母”の登場に戸惑う優子。波乱のの共同生活はどうなってゆくのかっ??
鶴瓶さんが再婚、それも中条あやみちゃんと。いやいや、映画の中のお話です(どうしても孫にしか見えん)。娘が憮然とするのも無理はありません。この人たちがどうやって家族になってゆくのか、というのが見どころです。江口さんは「わが道を行く」タイプの役多いですが、似合います。こちらも見ているだけで楽しめる「ソロ活女子のススメ」もシリーズ4です。
優子の旧友でなにかと優子を気に掛ける太一の駿河太郎さん、鶴瓶さんの息子さんですが、若き日を演じるのは松尾諭さん。お二人の役を取り換えてもいけそうです。
タイトルの「あまろっく」は「尼崎閘門」のことで海抜0mの地区を守っているのだそうです。この映画で初めて知りました。詳しい説明はこちら。「あまろっく」は普段は気づかないけれど、「ここというときに頼りになるお父ちゃん」のことでもあったか…もういない実父を思い出しました。(白)
「あまろっく」というタイトルから、音楽のロックの話かと思ったら、「尼崎閘門」の通称でした。閘門は、英語でLock Gate。
冒頭、白鳥ボートで家族3人が、のどかに「あまろっく」を通っていきます。お父ちゃんが小学生の娘に海抜ゼロメートル地帯の尼崎を救うために出来たと説明しています。この家族団らんが、1994年のこと。となれば、この翌年の1995年1月17日に阪神淡路大震災がこの地域を襲ったことが、きっとこの物語に出てくると頭をよぎりました。
この時の少女・優子が、大人になって、「白鳥総合研究所」所員として、会社から表彰される程の功績をあげながら、リストラされて尼崎の実家に戻ってきたのが、2015年。優子は、それからずっと家でゴロゴロしていて、お父ちゃんが再婚宣言したのは、8年後。初めて会った時、思わず「連れ子?」と聞くほど若い再婚相手。20歳にして優子の継母となった早希が、優子のためにお見合いの話を持ってくるのですが、これまた素敵なエピソードが満載。お見合い相手の南雲は、優子と同じ京大で、優子がボート部で活躍していたのもちゃんと知っていました。江口のりこさんは、ボート選手に見える様に練習を重ねたそうです。ボートから落ちた時に水が臭かったとか。
キャスト全員関西出身で、関西弁も本物。もっとも、地域によって関西弁にも微妙な違いはあるのですが、ほんわかとした雰囲気は全員関西人だからこそ出せるもの。人と人の繋がりって素敵だなぁ~と思わせてくれる物語です。(咲)
2023年/日本/カラー/119分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2024 映画「あまろっく」製作委員会
https://happinet-phantom.com/amalock/
★2024年4月12日(金)兵庫県先行、4月19日(金)新宿ピカデリー他 全国公開
2024年04月07日
劇場版 再会長江 原題:再会長江 英題:The Yangtze River
4月12日(金)より角川シネマ有楽町他全国順次公開 上映劇場
©2024『劇場版 再会長江』/ワノユメ
長江源流、最初の一滴を求める6300キロの旅を描く、驚きと感動のドキュメンタリー
監督:竹内亮
ナレーション:小島瑠璃子
プロデューサー:趙萍、張楠 助監督:王可可
撮影:徐亮 編集:蘇焕
製作期間10年。6300キロの旅で見えた激動中国の変化
フォロワー数1000万人の日本人監督が撮った長江をめぐる最初の一滴を求める旅を描く
第28回中国ドキュメンタリー長編映画ベストテン選出、第12回中国ドキュメンタリー・アカデミー賞ノミネートをしたドキュメンタリー映画『再会長江』は、中国全土で旋風を巻き起こした話題作。
監督の竹内亮が10年前(2011)にNHKの番組(「長江 天と地の大紀行」)で長江を撮影した際、北極・南極に次ぐ「地球第3の極地」と呼ばれるチベット高原にある「長江源流の最初の一滴」を撮影できなかった後悔から端を発して制作された。
中国の母なる大河・長江。上海、南京、武漢、重慶、雲南、香格里拉(シャングリラ)、チベット高原まで、広大な中国大陸を横断する全長6300キロのアジア最大の大河。
2013年に中国人の妻・趙萍と共に中国南京市に移住し「長江沿いの民」になった竹内監督は、2021年から2年をかけて、再び、長江6300キロをたどる旅に出発。道中、10年前に撮影した人たちを探し、再会しながら旅を進める。長江を通して中国の10年の変化を見つめ、今度こそ「最初の一滴」を記録するべく長江源流を目指す。
この『再会長江』を新たに再編集したのが、『劇場版 再会長江』。
本作を手掛けた竹内亮監督は、個人及び関連の総SNSフォロワー数は約1000万人を超え、中国全土でナンバー1のインフルエンサー(Weibo旅行関連※)として活躍し、リアルな中国を映し続ける日本人で、日々、中国全土に向けて情報を発信し続けている。そんな竹内監督が母なる大河・長江を題材に2年に渡り撮り続けた渾身の一本。
ナレーションはタレントの小島瑠璃子が担当。
WEIBO旅行関連インフルエンサーランキングNO.1(22年12月時点)
長江(揚子江)を描いた映画や番組をこれまでたくさんみてきた。竹内監督のNHKのTV番組「長江 天と地の大紀行」もたぶん見たと思う。長江を遡るドキュメンタリーは数多くあると思うけど、ほとんどの作品が三峡ダムのあたりまで。この『再会 長江』は最上流部を目指して進む。この作品を観て印象的だったのは、やはり上流部の光景。広大な幅を持つ大河長江とはいえ、さすがに最上流部は1滴のしたたりから。でもあの1滴があんなに大きな河になるとはびっくりです。
中学生の頃読んだ「失われた地平線」(ジェームズ・ヒルトン著)の中にチベットのどこかにある桃源郷シャングリラという架空の場所が出てきたけど、そこからモジった香格里拉(シャングリラ)という地名が長江沿いにあるということを知った。なんでも雲南省西北部の中甸という街が2002年5月に香格里拉と改名したそう。そこに民宿を作った女性が出てくる。ここに行ってみたいと思った。
そして、かなりきれいになった長江の流れ。河口もそうだけど、重慶あたりの水の流れは、どの映像を観ても汚かった。10年前とくらべ、各段に綺麗になった長江の流れを映し出していた。そのことが印象に残った(暁)。
*参照
2017年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された徐辛(シュー・シン)監督の『長江の眺め』(2017)というドキュメンタリー作品は、長江を上海から宜賓まで遡っていく過程で出会う人たちを撮っていたが、汚泥にまみれた長江の流れや川岸の姿が映しだされていて、長江の環境に警鐘を鳴らす作品だった。
製作:ワノユメ
配給:KADOKAWA 2024『劇場版 再会長江』/ワノユメ
宣伝:大﨑かれん 本谷智子
公式サイト:https://www.saikaichoko.com/
©2024『劇場版 再会長江』/ワノユメ
長江源流、最初の一滴を求める6300キロの旅を描く、驚きと感動のドキュメンタリー
監督:竹内亮
ナレーション:小島瑠璃子
プロデューサー:趙萍、張楠 助監督:王可可
撮影:徐亮 編集:蘇焕
製作期間10年。6300キロの旅で見えた激動中国の変化
フォロワー数1000万人の日本人監督が撮った長江をめぐる最初の一滴を求める旅を描く
第28回中国ドキュメンタリー長編映画ベストテン選出、第12回中国ドキュメンタリー・アカデミー賞ノミネートをしたドキュメンタリー映画『再会長江』は、中国全土で旋風を巻き起こした話題作。
監督の竹内亮が10年前(2011)にNHKの番組(「長江 天と地の大紀行」)で長江を撮影した際、北極・南極に次ぐ「地球第3の極地」と呼ばれるチベット高原にある「長江源流の最初の一滴」を撮影できなかった後悔から端を発して制作された。
中国の母なる大河・長江。上海、南京、武漢、重慶、雲南、香格里拉(シャングリラ)、チベット高原まで、広大な中国大陸を横断する全長6300キロのアジア最大の大河。
2013年に中国人の妻・趙萍と共に中国南京市に移住し「長江沿いの民」になった竹内監督は、2021年から2年をかけて、再び、長江6300キロをたどる旅に出発。道中、10年前に撮影した人たちを探し、再会しながら旅を進める。長江を通して中国の10年の変化を見つめ、今度こそ「最初の一滴」を記録するべく長江源流を目指す。
この『再会長江』を新たに再編集したのが、『劇場版 再会長江』。
本作を手掛けた竹内亮監督は、個人及び関連の総SNSフォロワー数は約1000万人を超え、中国全土でナンバー1のインフルエンサー(Weibo旅行関連※)として活躍し、リアルな中国を映し続ける日本人で、日々、中国全土に向けて情報を発信し続けている。そんな竹内監督が母なる大河・長江を題材に2年に渡り撮り続けた渾身の一本。
ナレーションはタレントの小島瑠璃子が担当。
WEIBO旅行関連インフルエンサーランキングNO.1(22年12月時点)
長江(揚子江)を描いた映画や番組をこれまでたくさんみてきた。竹内監督のNHKのTV番組「長江 天と地の大紀行」もたぶん見たと思う。長江を遡るドキュメンタリーは数多くあると思うけど、ほとんどの作品が三峡ダムのあたりまで。この『再会 長江』は最上流部を目指して進む。この作品を観て印象的だったのは、やはり上流部の光景。広大な幅を持つ大河長江とはいえ、さすがに最上流部は1滴のしたたりから。でもあの1滴があんなに大きな河になるとはびっくりです。
中学生の頃読んだ「失われた地平線」(ジェームズ・ヒルトン著)の中にチベットのどこかにある桃源郷シャングリラという架空の場所が出てきたけど、そこからモジった香格里拉(シャングリラ)という地名が長江沿いにあるということを知った。なんでも雲南省西北部の中甸という街が2002年5月に香格里拉と改名したそう。そこに民宿を作った女性が出てくる。ここに行ってみたいと思った。
そして、かなりきれいになった長江の流れ。河口もそうだけど、重慶あたりの水の流れは、どの映像を観ても汚かった。10年前とくらべ、各段に綺麗になった長江の流れを映し出していた。そのことが印象に残った(暁)。
*参照
2017年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された徐辛(シュー・シン)監督の『長江の眺め』(2017)というドキュメンタリー作品は、長江を上海から宜賓まで遡っていく過程で出会う人たちを撮っていたが、汚泥にまみれた長江の流れや川岸の姿が映しだされていて、長江の環境に警鐘を鳴らす作品だった。
製作:ワノユメ
配給:KADOKAWA 2024『劇場版 再会長江』/ワノユメ
宣伝:大﨑かれん 本谷智子
公式サイト:https://www.saikaichoko.com/
コザママ♪ うたって!コザのママさん!!
監督:中川陽介
脚本:中川陽介 、山田優樹
撮影:砂川幸太
音楽:沢田穣治
出演:上門みき(金城ななえ)、畠山尚子(嘉敷リカ)、新垣美竹(宮城真澄)、jimama(由紀子)、ジョーイ大鷲、山内千草、田島龍、仲座健太、ゆっきー(きゃん×きゃん)、K ジャージ、玉城清、ジョニー宜野湾
沖縄市コザで人気を集めた女子高生4人組R&Bバンド「銀天ガールズ」。20年を経てそれぞれ家庭を持つ彼女たちが、地元の商店街「銀天街」の街おこしのため「銀天ママサンズ」として再結成することになった。街の不況や子どもたちの貧困などさまざまな事情を抱えながらも、青春と人生を取り戻してコザに活気を取り戻すべく奮闘する彼女たちだったが……。
高校を卒業してプロに挑戦する道を選びたかった1人、選ばなかった3人。わだかまりが残っていましたが、音楽はまた4人を結び付けます。好きなことをやれた高校時代と違って、20年経った今はそれぞれに家庭があり生活があります。
沖縄の歌は優しくて、包み込むようです。悲しい時も嬉しい時も歌うこと、踊ることで「大丈夫、やって行ける」と心満タンにしたんじゃないかな。なんくるないさ、って。
予告編に「夢を追う人を笑うな、夢を信じてる人を笑うなよ」というセリフがあります。暮らしでいっぱいいっぱいでも、その先に夢があれば。足元が暗くても前に見えるその灯りを頼りに歩いていける気がします。
沖縄には2022年に2度出かけて、コザのライブハウスや銀天街のペイントも見ました。次は昼間でなく、夜に行って歌を聞きたいものです。なかなか行けない方もこの映画で沖縄の歌にしびれてください。(白)
ベトナム戦争の頃、歓楽街だったコザの胡屋地区は白人街、照屋地区は黒人街とエリアが分かれていたとのこと。照屋地区の銀天街で活躍した高校生の「銀天ガールズ」がR&Bを歌ったのは自然の流れでした。20年後、寂れてしまった銀天街の街おこしのため、「銀天ママサンズ」を再結成した時、ママとなった3人の夫たちの対応がそれぞれ違って、人間性が出るなぁ~と思いました。中でも、「音楽で金を稼ごうと思わないからいいものが出来る」という言葉は心に残りました。歌や踊りの好きな沖縄の人たちを感じることのできる映画です。(咲)
今年の2月(2024)、47年ぶりに沖縄に行きました。一番の目的は佐喜眞美術館に行くことでした。丸木伊里・俊夫妻の「沖縄戦の図」全14部が佐喜眞美術館で公開されているというので、思い切ってこの機会に行ったのです。いつもは3,4作づつ展示しているらしいのですが、去年(2023)、この作品の製作過程を記録したドキュメンタリー『丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図 全14部』が公開され、それを記念して全作品が公開されていたのです。佐喜眞美術館は普天間基地の片隅にあるのですが、「沖縄戦の図」を展示するために地主の佐喜眞道夫さんが米軍から土地を返してもらって1994年に建てたのです。美術館の屋上からは普天間基地が見渡せます。
*詳しくは下記インタビュー記事をごらんください。
『丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図 全14部』河邑厚徳監督インタビュー
そしてそれ以外にも『歌えマチグヮー』で知った、「生活の柄」という店にも行ってみたかったのです。「生活の柄」というのは沖縄出身の詩人山之内獏の詩のタイトルですが、フォークシンガーの高田渡が曲をつけて歌っていて、彼の代表曲でもあります。この店のオーナーはこの詩と高田渡のファンというのがこの映画の中で描かれていたので、ぜひ行ってみたいと思っていたのです。
『歌えマチグヮー』は那覇の栄町市場の再生を描いたドキュメンタリーですが、この『コザママ♪ うたって!コザのママさん!!』と同じように、活気がなくなってしまった市場を「音楽」をキーワードに市場の再生を目指すという話でした。その中心にいたのが「栄町おばぁラッパーズ」。市場を元気にするためラップの練習に明け暮れる3人の姿を追っていました。こちらは元気なおばぁたちの話でしたが、『コザママ♪ うたって!コザのママさん!!』を観て、どこも同じような問題をかかえているんだなと思いました。
監督の「沖縄で歌ったり踊ったり三線を弾くのは稼ぐためではなく人生を楽しむため。商業的でないからこそ芸を突き詰められる」という言葉に沖縄芸能の豊かさを納得。
今回、コザ(沖縄市)のライブハウスやシアタードーナツ・オキナワにも行きたかったのですが、ライブ情報、宿泊情報が間に合わず行けなかったのが残念。この映画を観て、次回沖縄に行った時は絶対コザ「銀天街」に行ってみたいと思いました。
今回の沖縄行きは9日間だったのですが、そのうち那覇で6泊宿泊したホテルサンパレス琉球館の名前が最後に出てきてびっくり。もしかして那覇での撮影の時は、このホテルを使ったのかな。とても便利なところにあるので、次回も那覇に行ったらここに泊まりたいと思ったホテルでした(暁)。
シネマジャーナルHP参照記事
●スタッフ日記 高田渡さんとのエピソード
●作品紹介 『歌えマチグヮー』
2022年/日本/カラー/シネスコ/116分
配給:ミカタ・エンタテインメント
(C)YOSUKE NAKAGAWA / SOUTHEND PICURE
https://kozamama.nice-movie.jp/
★2024年4月12日(金)UPLINK 吉祥寺、5/31金~栃木県シネコン小山シネマロブレにてロードショー!
コザママ♪サントラCD発売中!
劇中歌jimama「青鳩の島」Youtubeで公開中です!こちら
ジョニー宜野湾「燃える街」はこちら
プリシラ(原題:Priscilla)
監督・脚本:ソフィア・コッポラ
原作:プリシラ・プレスリー サンドラ・ハーモン
撮影:フィリップ・ル・スール
音楽監修:ランドール・ポスター
衣装:ステイシー・バタット
出演:ケイリー・スピーニー(プリシラ)、ジェイコブ・エロルディ(エルヴィス・プレスリー)、ダグマーラ・ドミンスク(アン・ボーリュー)、アリ・コーエン(キャプテン・ボーリュー)、ティム・ポスト(ヴァーノン・プレスリー)
14歳のプリシラは、軍人の父が駐留するドイツで、部下だったエルヴィス・プレスリーと出会った。すでにレコードが大ヒットしてスーパースターとなっていたエルヴィスだったが、孤独でシャイな様子の彼にすっかり心奪われる。やがて誰もが憧れる彼の「特別」になった。プリシラは若すぎると心配する両親の反対を押し切って、エルヴィスの大邸宅で一緒に暮らし始める。初恋から夢のような世界に足を踏み入れ、彼が望む色に染まり、そばで支えることが全てと思っていた。
2022年の『エルヴィス』では、マネージャーだったパーカー大佐が彼をスーパースターに押し上げていく様が描かれていました。本作はプリシラの自伝本を元にソフィア・コッポラがプリシラの視線から描きました。エルヴィスと出会った一人の少女が、特別な環境で大人の女性に成長していく過程が丁寧に辿られています。ケイリー・スピーニーがプリシラを繊細に演じてベネチア国際映画祭最優秀女優賞を受賞。
家でのエルヴィスはマザコンで承認欲求の塊で、妻を思い通りに作り上げたい男性(光源氏か)、舞台で熱唱するスーパースターとは違った顔を見せます。10代のプリシラは、彼の好みのメイクをし、選ばれたドレスを素直に着て、エルヴィスの不在も我慢します。しかし、いつまでもそのままではいられません。
少女たちが夢見た暮らしを手にいれたプリシラが、その後どうしたかはすでに知られています。当時を再現した美術や衣装、変わっていくプリシラのファッションも女性にはツボでしょう。エルヴィスファンも、自立する女性になりたい映画ファンもどうぞ。(白)
ケイリー・スピーニー演じる14歳のプリシラが、まだ少女のあどけなさを残すピュアな雰囲気で、母を亡くしたばかりの時に徴兵で故郷から遠く離れた地に来ていたエルヴィスが心惹かれたのも納得させられました。一緒にいたい、いつかは結婚したいとエルヴィスは思いつつ、まだ10代のプリシラを思いやって、グレースランドの邸宅に祖母も父も一緒だからとプリシラの両親を説得して同居。プリシラはそこからカソリックの学校に通います。「エルヴィスの彼女よ」と噂されながらの学校生活。スーパースターの彼女という立場って、どんな気持ちだろう・・・と、思い巡らしてしまいましたが、たまたま出会って惹かれ合った人が有名人というだけ。逆に、目立ってはいけないとか、ツアーに出た時には寂しい思いもするし、共演者とのロマンスの噂が報道されれば静観するしかないと気苦労も多そうです。若くして結婚したプリシラが、だんだん自我に目覚め、自分の人生を歩みたいと思うに至る過程を、ソフィア・コッポラは丁寧に描いています。映画一家という有名家族に育ったソフィア・コッポラだからこそ、プリシラの思いに寄り添うことも出来た面があるのではと感じました。(咲)
芸能人のプライベートには興味がないので、エルヴィスの妻プリシラという名前くらいは聞いたことがあるけど、わずか14歳の時に西ドイツで知り合ったというのはこの映画で知った。プレスリーの元で大人に成長したというけど、いくら世間からみれば憧れの生活とはいえ、囲われている状態だったのだなと感じ、プレスリー色に染められていくのをみてイライラしてしまった。
それにしても徴兵で本国でないところに勤務ということがアメリカではあるんだ。高校卒業前に、プレスリーの家に入ったということも驚き。プレスリーはロリコンだったのか。プレスリーの曲は大好きだったけど、やっぱり1950年代のアメリカ女性に対する態度というのはこうだったのか。プリシラが、のちに自分の人生を取り戻したのを知りホッとした。今回、プレスリーの曲を使わせてもらえなかったのがとても残念。
「恋と孤独で着飾っていた」言葉が印象に残った。(暁)
2023年/アメリカ、イタリア/カラー/ビスタ/113分
配給:ギャガ
(C)The Apartment S.r.l All Rights Reserved 2023
https://gaga.ne.jp/priscilla/
★2024年4月12日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
2024年04月05日
フロマージュ・ジャポネ ~ ザ・ドリーム・オブ・日本チーズ フランス語:Fromage Japonais
4月12日(金)~18日(木)恵比寿ガーデンシネマで毎日19時から、6月14日(金)~20日(木)までフォーラム那須塩原にて公開予定
日本には日本のチーズがある
日本のチーズの物語
監督:NORIZO
出演者:チーズ製造メーカー、チーズ工房の製造者
雪印メグミルク株式会社、株式会社明治、森永乳業株式会社、タカナシ乳業株式会社、共働学舎新得農場、十勝品質事業協同組合、TOYO Cheese Factory、幸せチーズ工房、美瑛放牧酪農場、チーズ工房タカラ、ニセコチーズ工房、渋谷チーズスタンド、那須ナチュラルチーズ研究会、アトリエ・ド・フロマージュ、チーズ工房【千】sen、クルックフィールズ、三良坂フロマージュ、木次乳業、ナカシマファーム、さとむら牧場、チーズ王国、その他、日本のチーズに関わる様々な方々が登場します。
「日本には、日本のチーズがある」ということを、国内外の方に発信することを目的としたドキュメンタリー。日本には340を超えるチーズ工房があるが、そんなにたくさんあるとは知られていないということがこの映画を作ったきっかけという。日本のチーズの味わいや品質、個性などの魅力を伝えるため、下記のような構成で製作。
・日本のチーズの歴史
日本のチーズの成り立ちから現在まで。当時を知る開発者に語ってもらい、日本のチーズのたどってきた道をたどる。
・日本のプロセスチーズ
チーズの種類、ナチュラルチーズからプロセスチーズを作る工程を紹介。世界に誇る日本のプロセスチーズ製造における技術を紹介。
・日本のナチュラルチーズ
たくさんのチーズ工房の作り手たちに取材し、クオリティの高いチーズを生み出す職人たちのこだわりを引き出す。地域協力による日本チーズの開発とブランド化なども取材。
・これからのチーズ業界の未来を担う人たちの活躍
国内外で日本のチーズを紹介し続ける人たちを取材することによって、日本のチーズの広がりを伝える。
2023年6月から2ヶ月間クラウドファンディングを実施。約250名の皆さんが支援したそうです。
【監督・製作 NORIZO】
〜Message〜
昨年(2022)公開の映画『Vin Japonais(ヴァン・ジャポネ)〜the story of NIHON WINE』に引き続き、本作も監督と製作を担当させていただきます。
日本ワイン同様、日本のチーズについても、その高いクオリティや技術は、まだまだ知られていません。私自身も、撮影を通して、日本のチーズの素晴らしさに感動する日々です。
日本が誇る日本のチーズの魅力を、映像を通じて皆様にしっかりとお届けできるよう、今回も全力で撮影に挑んでいます。
『日本のワインには、やはり日本のチーズがあう。』
公式HP https://nihoncheese.jp/
フロマージュ・ジャポネ 制作実行委員会
前作『Vin Japonais(ヴァン・ジャポネ)〜the story of NIHON WINE』でNORIZO監督のことを知りましたが、この作品は日本のワイナリーや、レストランなどを訪ね、日本ワインの歴史や日本ではどのようにワインをつくってきたかということと、これからの日本ワインの展開などについての考察などを語ったドキュメンタリーでした。ここには30以上のワイナリーが出てきましたが、映画を観た後、ここに出てきたワイナリーを5か所くらい訪ね歩き、今まで買ったこともない3000円以上もするワインを5本くらい買ってきてしまいました(笑)。1年くらいかけて、やっと飲み終わったところで、今度は日本のチーズつくりを紹介するドキュメンタリー『フロマージュ・ジャポネ』ができました。
この作品でもチーズを作っている製造所を何か所も訪ね、日本各地でいろいろな種類のチーズが作られていることを紹介しています。この中に出てきた「アトリエ・ド・フロマージュ」「チーズ王国」には行ったことがあるけど、行ってみたいと思っていた「共働学舎新得農場」「三良坂フロマージュ」「渋谷チーズスタンド」「クルックフィールズ」も出ていたので、またあとで行ってみたいと思います。
そういえば不思議なことがありました。この『フロマージュ・ジャポネ』の試写を観た前の日に、「昼めし旅」というTV東京の番組の録画を偶然観たのですが、その中で長野県東御市にあるチーズ料理の店「アトリエ・ド・フロマージュ」が出てきました。そしたら、次の日観たこの映画にも「アトリエ・ド・フロマージュ」が出てきて、しかも同じ人(チーズ職人)が、『フロマージュ ジャポネ』にも出ていました(笑)。それに、試写を観る数日前に荻窪のチーズ販売店「チーズ王国」(輸入品がほとんど)で、唯一置いてある日本製のチーズを買って来たのですが、それが、この映画の「チーズ王国」の商品紹介のところでも写っていました! そのチーズは、この会社に勤めていた人が北海道滝上で作っているチーズで、何度も買っているのですが、まさか、そのチーズが映し出されるとはとわれながらびっくり(笑)。7回くらい買っているのだけど、なかなか食べきれず、3回くらいまでは半分くらいダメにしていました。もったいなかった。思えば、このチーズに限らず、高いチーズを買っても、すぐには食べきらずだめにしてしまうことが多かった。この映画を観て、おいしいチーズを買ったらもったいないと思わず、どんどん食べようと思いました(暁)。
参考記事
*シネマジャーナルHP 作品紹介
『Vin Japonais(ヴァン・ジャポネ)〜the story of NIHON WINE』
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/493686145.html
*シネマジャーナルHP スタッフ日記
11月、12月にワイン映画が5本も公開!(暁)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/494033795.html
日本には日本のチーズがある
日本のチーズの物語
監督:NORIZO
出演者:チーズ製造メーカー、チーズ工房の製造者
雪印メグミルク株式会社、株式会社明治、森永乳業株式会社、タカナシ乳業株式会社、共働学舎新得農場、十勝品質事業協同組合、TOYO Cheese Factory、幸せチーズ工房、美瑛放牧酪農場、チーズ工房タカラ、ニセコチーズ工房、渋谷チーズスタンド、那須ナチュラルチーズ研究会、アトリエ・ド・フロマージュ、チーズ工房【千】sen、クルックフィールズ、三良坂フロマージュ、木次乳業、ナカシマファーム、さとむら牧場、チーズ王国、その他、日本のチーズに関わる様々な方々が登場します。
「日本には、日本のチーズがある」ということを、国内外の方に発信することを目的としたドキュメンタリー。日本には340を超えるチーズ工房があるが、そんなにたくさんあるとは知られていないということがこの映画を作ったきっかけという。日本のチーズの味わいや品質、個性などの魅力を伝えるため、下記のような構成で製作。
・日本のチーズの歴史
日本のチーズの成り立ちから現在まで。当時を知る開発者に語ってもらい、日本のチーズのたどってきた道をたどる。
・日本のプロセスチーズ
チーズの種類、ナチュラルチーズからプロセスチーズを作る工程を紹介。世界に誇る日本のプロセスチーズ製造における技術を紹介。
・日本のナチュラルチーズ
たくさんのチーズ工房の作り手たちに取材し、クオリティの高いチーズを生み出す職人たちのこだわりを引き出す。地域協力による日本チーズの開発とブランド化なども取材。
・これからのチーズ業界の未来を担う人たちの活躍
国内外で日本のチーズを紹介し続ける人たちを取材することによって、日本のチーズの広がりを伝える。
2023年6月から2ヶ月間クラウドファンディングを実施。約250名の皆さんが支援したそうです。
【監督・製作 NORIZO】
〜Message〜
昨年(2022)公開の映画『Vin Japonais(ヴァン・ジャポネ)〜the story of NIHON WINE』に引き続き、本作も監督と製作を担当させていただきます。
日本ワイン同様、日本のチーズについても、その高いクオリティや技術は、まだまだ知られていません。私自身も、撮影を通して、日本のチーズの素晴らしさに感動する日々です。
日本が誇る日本のチーズの魅力を、映像を通じて皆様にしっかりとお届けできるよう、今回も全力で撮影に挑んでいます。
『日本のワインには、やはり日本のチーズがあう。』
公式HP https://nihoncheese.jp/
フロマージュ・ジャポネ 制作実行委員会
前作『Vin Japonais(ヴァン・ジャポネ)〜the story of NIHON WINE』でNORIZO監督のことを知りましたが、この作品は日本のワイナリーや、レストランなどを訪ね、日本ワインの歴史や日本ではどのようにワインをつくってきたかということと、これからの日本ワインの展開などについての考察などを語ったドキュメンタリーでした。ここには30以上のワイナリーが出てきましたが、映画を観た後、ここに出てきたワイナリーを5か所くらい訪ね歩き、今まで買ったこともない3000円以上もするワインを5本くらい買ってきてしまいました(笑)。1年くらいかけて、やっと飲み終わったところで、今度は日本のチーズつくりを紹介するドキュメンタリー『フロマージュ・ジャポネ』ができました。
この作品でもチーズを作っている製造所を何か所も訪ね、日本各地でいろいろな種類のチーズが作られていることを紹介しています。この中に出てきた「アトリエ・ド・フロマージュ」「チーズ王国」には行ったことがあるけど、行ってみたいと思っていた「共働学舎新得農場」「三良坂フロマージュ」「渋谷チーズスタンド」「クルックフィールズ」も出ていたので、またあとで行ってみたいと思います。
そういえば不思議なことがありました。この『フロマージュ・ジャポネ』の試写を観た前の日に、「昼めし旅」というTV東京の番組の録画を偶然観たのですが、その中で長野県東御市にあるチーズ料理の店「アトリエ・ド・フロマージュ」が出てきました。そしたら、次の日観たこの映画にも「アトリエ・ド・フロマージュ」が出てきて、しかも同じ人(チーズ職人)が、『フロマージュ ジャポネ』にも出ていました(笑)。それに、試写を観る数日前に荻窪のチーズ販売店「チーズ王国」(輸入品がほとんど)で、唯一置いてある日本製のチーズを買って来たのですが、それが、この映画の「チーズ王国」の商品紹介のところでも写っていました! そのチーズは、この会社に勤めていた人が北海道滝上で作っているチーズで、何度も買っているのですが、まさか、そのチーズが映し出されるとはとわれながらびっくり(笑)。7回くらい買っているのだけど、なかなか食べきれず、3回くらいまでは半分くらいダメにしていました。もったいなかった。思えば、このチーズに限らず、高いチーズを買っても、すぐには食べきらずだめにしてしまうことが多かった。この映画を観て、おいしいチーズを買ったらもったいないと思わず、どんどん食べようと思いました(暁)。
参考記事
*シネマジャーナルHP 作品紹介
『Vin Japonais(ヴァン・ジャポネ)〜the story of NIHON WINE』
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/493686145.html
*シネマジャーナルHP スタッフ日記
11月、12月にワイン映画が5本も公開!(暁)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/494033795.html
フィシスの波文 英題:RIPPLES of PHYSIS
4/6(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開 劇場公開情報
遠く、深く、文様に導かれた旅。
京都に400年受け継がれる唐紙文様を起点に、太古から文様にかたどられたフィシス(あるがままの自然=古代ギリシャ語)を辿る。
時空を超えて、そのあわいに見えてくるものはー
監督・撮影・編集:茂木綾子
プロデューサー:河合早苗
サウンド:ウエヤマトモコ
音楽:フレッド・フリス
タイトル考案:中沢新一(人類学者)
宣伝美術:須山悠里
出演:
千田堅吉(唐長十一代目 唐紙屋長右衛門)
千田郁子(唐長)
鶴岡真弓(芸術人類学者)
ピエール=アレクシィ・デュマ(エルメス アーティスティック・ディレクター)
戸村 浩(美術家)
皆川 明(ミナ ペルホネン デザイナー)
門別徳司(アイヌ猟師)
貝澤貢男(アイヌ伝統工芸師)ほか
人はなぜ文様を描くのか?
古来から現代に至るまで、人と自然の関わりを映す文様を辿るドキュメンタリー
文様はいつの時代にも人の営みと共にあり、シンプルでいながら豊かな文様の世界は全世界共通の記憶と深く結びついている。無限に連なり広がる文様は古代と現在をつなぎ、さらに世界をつなぐ人類普遍の思想のネットワーク。
京都の唐紙工房「唐長」は、和紙に文様を手摺りする唐紙を400年間継承してきた。その手仕事の現場から本作は始まる。植物の文様、雲や星を表す天象文様、渦巻きや波文様などが刻まれた江戸時代の板木を使い、泥絵具や雲母で和紙に文様を刷っていく。その反復(繰り返し)によって生み出される唐紙の美しさ。あるがままの自然から伝わる形、動き、リズム、色合いをカメラは丁寧に追う。
葵祭や祇園祭、寺社や茶事の際に使われる文様。1万年余り前のイタリアの線刻画や古代ローマの聖堂を飾るモザイク模様。北海道のアイヌの暮らしに受け継がれている独特な文様。文様に導かれ、時空を超えて旅は繋がっていく。
芸術人類学者の鶴岡真弓は京都の祭礼にインドやケルトなどユーラシア文明から伝わった文様が用いられてきたこと、北と南の文明の出会いによって生まれた動物文様の陣羽織を豊臣秀吉が身につけていたことなどにも触れ、「人々に生命力を与えるのも文様の使命」と語る。唐長十一代目の千田堅吉は「主役はあくまでも文様。思い入れを入れてはいけない仕事」と、日々作業を続ける。唐紙に注目するエルメスのアーティスティック・ディレクター・ピエール=アレクシィ・デュマは、「工芸によって形を変える行為は、混沌の中に宇宙を見出すこと」と語り、デザイナーの皆川明(ミナ ペルホネン)、美術家の戸村浩は、自然からのインスピレーションと、自らの創作について語る。密やかに行われ、伝承されてきたアイヌの儀式や山の神への祈りは、人と自然とアイヌ文様との関係性を浮きあがらせる。多様に拡がる文様を巡る旅の記録が、人類の古くからの文様の歴史を語る。
茂木綾子監督は「世界中の様々な暮らしの中にある文様は、ずっとそこにありながら、実はとても不思議な存在に感じられます。きっと遠い昔から、人が自然を神々として捉え、その美と力に近づこうと文様の原型が生まれたのではないでしょうか。私も同様に、自然の完璧な美に常に感動し、太古から続く自然を愛する人々の営みに対する共感とともに、この作品を制作しました」と語る。
河合早苗プロデューサーは「京都の唐紙屋・唐長の文様と出会ったのがこの映画製作の始まりです。初めて見る650もの唐紙は息を呑むほど美しく、同時にどこか異国の香りを放っていました。ケルト文様やイタリアの古代遺跡の文様などを思い起こしたのです。この文様はどこから来たのか、なぜユーラシア大陸の東の果ての京都に、これほどまでの文様が400年間残っているのか。
この謎を追っていけば、人類の創造の源流にたどり着けるかもしれない。文様の不思議に惹かれ、その謎を追い、記録に残したいと思ったのが映画製作のきっかけです。言葉、国境、文化を軽々と越えていく文様のように、あらゆるボーダーを超えて映画を通した出会いの軌跡が、美しい文様となって世界に広がっていくことを願っています」と語っている。
HPより
茂木綾子 監督・撮影・編集
写真家、映像作家。92 年キャノン写真新世紀荒木賞受賞。
97 年よりミュンヘン、06 年よりスイスのラ・コルビエールにて活動。
09 年淡路島へ移住し、アーティストコミュニティ「ノマド村」の活動を展開。
写真集『travelling tree』(赤々舎)、映画『島の色 静かな声』(2008)、『幸福は日々の中に。』(2015)、『zen for nothing』(2015)など。
河合 早苗 プロデューサー
映画プロデューサー。SASSO CO., LTD.代表取締役 。インテリア・プロダクトデザイナー
Michele De Lucchi 建築設計事務所(イタリア・ミラノ)に勤務、STUDIO SANAE KAWAI 設立(プロダクトデザイン、店舗・住宅設計)「京都、唐紙屋長右衛門の手仕事」 (NHK出版 生活人新書) 企画参加。SASSO CO., LTD.を設立し、映像・デジタルコンテンツの企画製作・配給、出版・セミナーの企画を行う。古代から現代まで世界各国の「文様」をテーマにしたドキュメンタリー映画「フィシスの波文」を企画・製作。
模様をめぐるさまざまな状況が映し出される。その中でも最初に出てきて、このドキュメンタリーのかなりの部分を占める唐紙ができるまでの映像が印象的だった。和紙を作るところ、江戸時代から使われてきた様々な文様の板木を使って和紙に文様を刷るシーンが映し出され、文様というのは刷りの繰り返しであると知った。シンプルな板木に彫られた文様を、何度も何度も和紙に刷ることで模様が広がる様が感動的だった。また、アイヌ文様について子供の頃から興味があったので、古老が文様を子供達に伝え子供たちが囲炉裏の灰に文様を繰り返し描き練習するという伝承方法になるほどと思った。そして、アイヌの民族衣装の刺繍や木彫りの文様は、祈りのかたちだったり、民族の誇り、生活や歴史を伝えているものだと知った(暁)。
2023年/85分/日本/カラー・モノクロ/1.90:1/ステレオ
公式HP https://physis-movie.com/
企画・製作・配給:SASSO CO., LTD.
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会
遠く、深く、文様に導かれた旅。
京都に400年受け継がれる唐紙文様を起点に、太古から文様にかたどられたフィシス(あるがままの自然=古代ギリシャ語)を辿る。
時空を超えて、そのあわいに見えてくるものはー
監督・撮影・編集:茂木綾子
プロデューサー:河合早苗
サウンド:ウエヤマトモコ
音楽:フレッド・フリス
タイトル考案:中沢新一(人類学者)
宣伝美術:須山悠里
出演:
千田堅吉(唐長十一代目 唐紙屋長右衛門)
千田郁子(唐長)
鶴岡真弓(芸術人類学者)
ピエール=アレクシィ・デュマ(エルメス アーティスティック・ディレクター)
戸村 浩(美術家)
皆川 明(ミナ ペルホネン デザイナー)
門別徳司(アイヌ猟師)
貝澤貢男(アイヌ伝統工芸師)ほか
人はなぜ文様を描くのか?
古来から現代に至るまで、人と自然の関わりを映す文様を辿るドキュメンタリー
文様はいつの時代にも人の営みと共にあり、シンプルでいながら豊かな文様の世界は全世界共通の記憶と深く結びついている。無限に連なり広がる文様は古代と現在をつなぎ、さらに世界をつなぐ人類普遍の思想のネットワーク。
京都の唐紙工房「唐長」は、和紙に文様を手摺りする唐紙を400年間継承してきた。その手仕事の現場から本作は始まる。植物の文様、雲や星を表す天象文様、渦巻きや波文様などが刻まれた江戸時代の板木を使い、泥絵具や雲母で和紙に文様を刷っていく。その反復(繰り返し)によって生み出される唐紙の美しさ。あるがままの自然から伝わる形、動き、リズム、色合いをカメラは丁寧に追う。
葵祭や祇園祭、寺社や茶事の際に使われる文様。1万年余り前のイタリアの線刻画や古代ローマの聖堂を飾るモザイク模様。北海道のアイヌの暮らしに受け継がれている独特な文様。文様に導かれ、時空を超えて旅は繋がっていく。
芸術人類学者の鶴岡真弓は京都の祭礼にインドやケルトなどユーラシア文明から伝わった文様が用いられてきたこと、北と南の文明の出会いによって生まれた動物文様の陣羽織を豊臣秀吉が身につけていたことなどにも触れ、「人々に生命力を与えるのも文様の使命」と語る。唐長十一代目の千田堅吉は「主役はあくまでも文様。思い入れを入れてはいけない仕事」と、日々作業を続ける。唐紙に注目するエルメスのアーティスティック・ディレクター・ピエール=アレクシィ・デュマは、「工芸によって形を変える行為は、混沌の中に宇宙を見出すこと」と語り、デザイナーの皆川明(ミナ ペルホネン)、美術家の戸村浩は、自然からのインスピレーションと、自らの創作について語る。密やかに行われ、伝承されてきたアイヌの儀式や山の神への祈りは、人と自然とアイヌ文様との関係性を浮きあがらせる。多様に拡がる文様を巡る旅の記録が、人類の古くからの文様の歴史を語る。
茂木綾子監督は「世界中の様々な暮らしの中にある文様は、ずっとそこにありながら、実はとても不思議な存在に感じられます。きっと遠い昔から、人が自然を神々として捉え、その美と力に近づこうと文様の原型が生まれたのではないでしょうか。私も同様に、自然の完璧な美に常に感動し、太古から続く自然を愛する人々の営みに対する共感とともに、この作品を制作しました」と語る。
河合早苗プロデューサーは「京都の唐紙屋・唐長の文様と出会ったのがこの映画製作の始まりです。初めて見る650もの唐紙は息を呑むほど美しく、同時にどこか異国の香りを放っていました。ケルト文様やイタリアの古代遺跡の文様などを思い起こしたのです。この文様はどこから来たのか、なぜユーラシア大陸の東の果ての京都に、これほどまでの文様が400年間残っているのか。
この謎を追っていけば、人類の創造の源流にたどり着けるかもしれない。文様の不思議に惹かれ、その謎を追い、記録に残したいと思ったのが映画製作のきっかけです。言葉、国境、文化を軽々と越えていく文様のように、あらゆるボーダーを超えて映画を通した出会いの軌跡が、美しい文様となって世界に広がっていくことを願っています」と語っている。
HPより
茂木綾子 監督・撮影・編集
写真家、映像作家。92 年キャノン写真新世紀荒木賞受賞。
97 年よりミュンヘン、06 年よりスイスのラ・コルビエールにて活動。
09 年淡路島へ移住し、アーティストコミュニティ「ノマド村」の活動を展開。
写真集『travelling tree』(赤々舎)、映画『島の色 静かな声』(2008)、『幸福は日々の中に。』(2015)、『zen for nothing』(2015)など。
河合 早苗 プロデューサー
映画プロデューサー。SASSO CO., LTD.代表取締役 。インテリア・プロダクトデザイナー
Michele De Lucchi 建築設計事務所(イタリア・ミラノ)に勤務、STUDIO SANAE KAWAI 設立(プロダクトデザイン、店舗・住宅設計)「京都、唐紙屋長右衛門の手仕事」 (NHK出版 生活人新書) 企画参加。SASSO CO., LTD.を設立し、映像・デジタルコンテンツの企画製作・配給、出版・セミナーの企画を行う。古代から現代まで世界各国の「文様」をテーマにしたドキュメンタリー映画「フィシスの波文」を企画・製作。
模様をめぐるさまざまな状況が映し出される。その中でも最初に出てきて、このドキュメンタリーのかなりの部分を占める唐紙ができるまでの映像が印象的だった。和紙を作るところ、江戸時代から使われてきた様々な文様の板木を使って和紙に文様を刷るシーンが映し出され、文様というのは刷りの繰り返しであると知った。シンプルな板木に彫られた文様を、何度も何度も和紙に刷ることで模様が広がる様が感動的だった。また、アイヌ文様について子供の頃から興味があったので、古老が文様を子供達に伝え子供たちが囲炉裏の灰に文様を繰り返し描き練習するという伝承方法になるほどと思った。そして、アイヌの民族衣装の刺繍や木彫りの文様は、祈りのかたちだったり、民族の誇り、生活や歴史を伝えているものだと知った(暁)。
2023年/85分/日本/カラー・モノクロ/1.90:1/ステレオ
公式HP https://physis-movie.com/
企画・製作・配給:SASSO CO., LTD.
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会