監督・脚本:レベッカ・ミラー
音楽:ブライス・デスナー(『カモンカモン』『レヴェナント: 蘇えりし者』)
撮影:サム・レヴィ(『レディ・バード』『フランシス・ハ』)
出演:アン・ハサウェイ(『プラダを着た悪魔』『レ・ミゼラブル』)、ピーター・ディンクレイジ(『シラノ』『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズ)、マリサ・トメイ(『いとこのビニー』『スパイダーマン』シリーズ)
ニューヨーク、ブルックリン。精神科医のパトリシア(アン・ハサウェイ)は、スランプに陥っていた現代オペラ作曲家のスティーブン(ピーター・ディンクレイジ)と担当医として知り合い、結婚。いまだに作曲できないでいる夫を、治療の一環として愛犬と行く当てのない散歩に送り出す。スティーブンは、真っ昼間からバーでウィスキーを飲み、曳船の船長カトリーナ(マリサ・トメイ)と出会う。彼女の船に案内され、恋愛依存症だと打ち明けられ、誘いに乗ってしまう。想定外の出来事に、大慌てで船を降りるが、突然、オペラのアイディアが湧いてくる。
一方、パトリシアが大学2年生の時に産んだ18歳になる息子ジュリアン(エヴァン・エリソン)は、16歳のテレザ(ハーロウ・ジェーン)と恋愛中。テレザの母マグダレナ(ヨアンナ・クリーク)は、パトリシアが雇っている家政婦だった。マグダレナのパートナーで法廷速記者のトレイ(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)は、未成年の娘を犯した罪でジュリアンを訴えると言い出す・・・
スティーブンには誰しもが羨む魅力的な妻がいるのに、降って湧いたような出会いのカトリーナに既婚者だと言い出せません。ちょっとがさつな船長に、次第に惹かれるスティーブンが可愛いです。
義父のトレイが、恋人を訴えると息巻いているのをかわすには、結婚するしかないと、若い二人は決意します。16歳のテレザは、ニューヨークでは結婚出来ず、近くの州だとデラウェア州なら結婚できるとわかります。(賭博が州によって合法か違法か話題になっていますが、中絶や結婚も、アメリカでは州によって法律が違うのですね・・・)
さて、若い二人は無事結婚できるのか。そして、スティーブンと船長の恋の行方は? と、コメディタッチでオペラに乗せて、人生の行方を見せてくれます。(咲)
オペラの作曲家、曳船の船長など、なかなかこれまでの映画の主人公としては出てこなかった役の設定が面白い。しかも、物語の意外性と展開にまたびっくり。まさか船で逃走するという発想につながるとは。そのために曳船の船長という設定を作ったのかと、最後に納得。それにしても、いくらスランプだったからといって、自分が経験したことをそのまま歌劇にしてしまうとは…。安易じゃない? それでいいのと思ってしまったけど、それだけユニークな展開だったからよしとしよう。(暁)。
監督・脚本・プロデューサー
レベッカ・ミラー
© Leo Veira
1962年9月15日、米コネチカット州ロックスベリー生まれ。アメリカを代表する劇作家アーサー・ミラーを父に持ち、夫は元俳優のダニエル・デイ=ルイス。イェール大学で絵画と文学を専攻。ドイツで数年を過ごした後、1987年にニューヨークのニュースクール大学で映画を専攻。卒業後は女優として舞台や映画で活躍していたが、1995年に監督デビューした『アンジェラ』で、サンダンス映画祭においてフィルムメーカーズ・トロフィーと撮影賞、ゴッサム賞でオープンパーム賞を受賞。その後『Personal Velocity:Three Portraits』(02・原題)でサンダンス映画祭審査委員大賞、撮影賞と、インディペンデント・スピリット賞のジョン・カサヴェテス賞に輝いた。その他の監督作には『50歳の恋愛白書』(10)、『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』(15)、ドキュメンタリー映画『Arthur Miller: Writer』(17・原題)など。小説家としても活躍しており、本作の原案となった短編小説「She Came to Me」が収録されている「Total」を含む5冊の本を執筆している。(公式サイトより)
第81回ゴールデングローブ賞歌曲賞ノミネート
第73回ベルリン国際映画祭オープニング作品
2023年/アメリカ/英語/102分/ビスタ/カラー/5.1ch
日本語字幕:高内朝子
配給:松竹
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/BrooklynOpera
★2024年4月5日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネリーブル池袋 他全国公開