2024年03月24日

パスト ライブス 再会(原題:Past Lives)

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監督・脚本:セリーヌ・ソン
出演:グレタ・リー(ノラ)、ユ・テオ(ヘソン)、ジョン・マガロ(アーサー)

同級生のヘソンとノラ12歳。勉強面では競争相手でもあったが仲は良く、お互い初恋のような思いを抱いている。ノラの家族がソウルから海外へ移住することになり、二人はそれきり別れてしまった。24歳になったノラはニューヨークで作家になる夢を抱いている。SNSでヘソンが自分を探していたことを知り、オンラインで顔を合わせることができた。
さらに12年後、36歳のヘソンはノラを訪ねてニューヨークへ行く。ノラは作家のアーサーと結婚していたが、アーサーは13時間もかけてやってきたヘソンを歓迎する。

幼い思いを抱いたまま別れ、24年間すれ違った二人がニューヨークで再会しました。36歳になった二人の恋の行方は?
かつての光景をフラッシュバックさせながら、しみじみとした大人の会話が続きます。初めてニューヨークを訪れたヘソンを、ノラはあちこちへと案内、観客も一緒に美しい風景を見せてもらえます。子どもだった二人はすっかり大人になって、笑顔を交わしながら歩きます。互いの視線がしっかりと相手に届いているのも良いです。
とても印象に残るセリフがありました。「見知らぬもの同士が道ですれ違い、袖が偶然ふれあったらそれは8000層もの”縁(イニョン)が結ばれたということ」。日本にも「袖振り合うも多生の縁」ということばがあります。「多生」とは輪廻のこと、仏教用語なのでしょう。
ノラがいう「8000層の縁」と大きな数字は”とにかくたくさん”ということでしょう。「白髪三千丈」の中国から回ってきたのかもしれません。袖振り合うだけでなく、出会って友人になり、伴侶となり、子どもを得て、となればどれだけの縁が重なり、結ばれたのかわかりません。思わず自分の家族や友人を思いました。どうぞあなたの周りの方々を大切に。(白)


2023年/アメリカ・韓国/カラー/シネスコ/106分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
Copyright 2022 (C) Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved

★2024年4月5日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 14:31| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ラブリセット 30日後、離婚します(原題:30일 英語題:Love Reset)

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監督:ナム・デジュン
脚本:パン・ギチョル、ナム・デジュン
出演:カン・ハヌル(ノ・ジョンヨル)、チョン・ソミン(ホン・ナラ)、チョ・ミンス(ナラの母ボベ)、キム・ソニョン(ジョンヨルの母スクチョン)、ユン・ギョンホ(ギベ)

ノ・ジョンヨルは自称イケメンで完璧な弁護士、ホン・ナラは名家の出身で映画のプロデューサーをしているバリキャリウーマン。二人は出会い、ドラマのような熱烈な恋に落ちて結婚した。しかしいつしかロマンスはホラーに代わり、互いの欠点だけがアップで見えてくる。大喧嘩の末に離婚調停に進み、熟慮して30日後に離婚することになった。帰りの車の中でも口喧嘩を続け、大型車に気づかず激突。
病院で目覚めたとき、ジョンヨルとナラの記憶は綺麗さっぱりなくなっていた。夫婦だったの?!周囲を巻き込んで失った記憶を取り戻そうと試みるが。

美男美女の二人は一目ぼれしての結婚ですが、実生活に入ってみればジョンヨルはヘタレxセコイ。ナラは破天荒で酒乱気味。理想の結婚生活はガラガラと崩れていきます。コメディ映画だから、そこんとこがオーバーに描かれていて大笑いできます。しかし、現実はそんなものと多くの既婚者が頷くでしょう。結婚はゴールではなくって、他人だった人との新たなスタートなのですよ。
別れる直前に、いいことも悪いことも全ての記憶がなくなったら、さて、もう一度一目ぼれするのでしょうか??芸達者な脇の俳優たちが主演を支えてさらに盛り上げてくれます。(白)


2023年/韓国/カラー/119分
配給:松竹
(C)CINEMA WOOLLIM, TH STORY AND MINDMARK
https://www.rakuten-ipcontent.com/lovereset/
★2024年3月29日(金)丸の内ピカデリーほかにて全国公開
posted by shiraishi at 14:15| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

RHEINGOLD ラインゴールド   原題:Rheingold

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©2022 bombero international GmbH & Co. KG/Palosanto Films Srl/Rai Cinema S.p.A/Lemming Film/corazón international GmbH & Co. KG/Warner Bros. Entertainment GmbH
Photo© 2022 Bombero Int. _ Warner Bros. Ent. _ Gordon Timpen

監督・脚本:ファティ・アキン(『クロッシング・ザ・ブリッジ 〜サウンド・オブ・イスタンブール〜』『女は二度決断する』
出演:エミリオ・ザクラヤ、カルド・ラザーディ、モナ・ピルザダ、アルマン・カシャニ、フセイン・トップ、ソゴル・ファガーニ

クルド人のラッパー&音楽プロデューサーXatar(カター)の破天荒な人生

Xatarカター
1981年12月24日イラン北部クルディスタン州のサナンダジュ生まれ。
本名ジワ・ハジャビ(Giware Hajabi)。愛称はG。カターはクルド語で「危険」を意味する。
1985年 家族でドイツのボンに亡命。
ラッパー、音楽プロデューサー、レストラン経営者など様々な顔を持つ。
2015年に出版した自伝「Alles oder Nix: Bei uns sagen man, die Welt gehört dir(オール・オア・ナッシング:世界はお前のもの)」をベースに『RHEINGOLD ラインゴールド』は作られた。

イラン革命でイスラーム政権となり音楽が禁じられ、クルド人の音楽家の両親は命からがら演奏会場から逃げ出す。反体制運動をする最中、母はジワを出産。一家は逮捕され、ジワの最初の記憶は刑務所の中だ。数年後、出国し、滞在中のイラクで父が有名な音楽家であることから保護され、パリ経由、ドイツのボンに亡命する。
1996年、父が作曲した曲のコンサートが開かれ、家族は晴れがましい思いだったが、父は愛人を作って家を出ていく。その頃、歌がうまいパレスチナ人のサミーと出会う。クスリの売人になるが、不良たちにクスリを盗まれ、復讐のためにボクシングジムで戦い方を覚え、Xatar(カター:危険)と呼ばれるようになる。クスリを売っていたクラブでラップに出会い、作曲やキーボード演奏を楽しむようになるが、クスリの密売容疑で少年刑務所に。
出所後、オランダで音楽マネジメントを学ぶ。ボンに帰り資金稼ぎのために金塊強盗をし、国際手配され、シリアで8か月拘束された後、ドイツに送還され8年の禁固刑が言い渡される。見張りの目を盗んでレコーディングし、アルバムを完成させる。獄中から発売したアルバムはヒット、“ギャングスタ・ラッパー”として、さらに音楽プロデューサーとしても、その名を轟かせていく・・・

トルコ移民の両親のもと、ドイツで生まれたファティ・アキン監督が紡いだ壮大なXatar(カター)の物語。彼の自伝を読み、様々なことが描けると確信。カターにインタビューを重ね、大胆に脚色した脚本に。カターについて知らない観客やドイツのヒップホップに興味のない観客にもわかるストーリー、さらにカターのファンにも納得のいくものを心掛けたとのこと。撮影現場でカターからアドバイスを受け、カター自身も納得のいく作品になっているようです。
本作は、ファティ・アキン監督の亡き父に捧げられていますが、カターが父親と語る場面が味わい深く、印象に残っています。
1986年、オペラハウスでワーグナーの「ラインの黄金」のリハーサルを聴きながら、父が「ラインの黄金は不滅。掴んだ者は手放さない」とジワに語る場面。そして、刑務所に父が面会に来た時の会話。収監されている時間も活用するという父の言葉に、カターは作曲しCDまで作ってしまうのです。

イラン好きの私には、イラン生まれのカターに興味津々。革命後、クラシック音楽のコンサート会場に、ターバン姿の聖職者と革命防衛隊が押し入ってくる場面は、ちょっとオーバーかなと思いましたが、あり得ないことでもないなぁと。
ジワの母を演じたモナ・ピルザダも、ジワの妻となるシーリンを演じたソゴル・ファガーニも、ドイツで活躍するイラン人の女優さん。どんな経緯で、今ドイツにいらっしゃるのかも気になります。1979年の革命後、どれだけ多くの人たちが、世界各地に散らばってしまったことでしょう。そんな移民の思いも込められた作品です。(咲)



2022年/ドイツ・オランダ・モロッコ・メキシコ/ドイツ語、クルド語、トルコ語、オランダ語、英語、アラビア語/140分/1.85:1 *ペルシア語部分もありました(咲)
日本語字幕:吉川美奈子 
配給:ビターズ・エンド
公式サイト: https://www.bitters.co.jp/rheingold/
★2024年3月29日㈮より、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次ロードショー!




posted by sakiko at 00:33| Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする