2024年03月20日

美と殺戮のすべて  原題:All the Beauty and the Bloodshed

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(C)2022 PARTICIPANT FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

監督・製作:ローラ・ポイトラス
出演・写真&スライドショー・製作:ナン・ゴールディン

アメリカの女性写真家ナン・ゴールディン。
1953年9月12日、ユダヤ人の中産階級の家に生まれる。
1970年代から80年代のドラッグカルチャー、ゲイサブカルチャー、ポストパンク/ニューウェーブシーン…… 当時過激とも言われた題材を撮影し、一躍時代の寵児となる。2023年には、イギリスの現代美術雑誌ArtReviewが発表するアート界で最も影響力のある人物の1位に選出されるなど今日に至るまで世界にインパクトを与え続けている。
2018年3月10日、ゴールディンは多くの仲間たちとニューヨークのメトロポリタン美術館を訪れる。目的の場所は「サックラー・ウィング」。製薬会社を営む大富豪サックラー家が多額の寄付をした展示スペース。そこにある池に、彼女たちは鎮痛剤「オキシコンチン」のラベルが貼られた容器を一斉に投げ込む。「サックラー家は人殺しの一族だ!」と口々に声を上げながら……。

本作は、ナン・ゴールディンが写真家となり、さらに活動家となった軌跡を描いたドキュメンタリー。
ナン12歳の時、18歳の姉が自殺。その後、実の親にも里親にも見捨てられ、ヒッピーのところに居つき、15歳の時に出会ったゲイのディヴィッドの影響でカメラが自身に存在価値を与えてくれることを知ったという彼女の生い立ち。
一方、ナンは、ドイツで手術後に処方された薬の中毒になり、その「オキシコンチン」が「オピオイド鎮痛薬」の一種で、全米で50万人以上が死亡する原因になっていることを知ります。さらに、「オキシコンチン」を製造する製薬会社を営むサックラー家が、収益の一部を各地の美術館に寄贈していることに声を上げ闘う決意をします。抗議団体「P.A.I.N」を設立し、先頭に立って闘う姿が凛々しいです。 
癌治療薬として処方される「オキシコンチン」の危険性をなかなか認めないサックラー家との闘い・・・ 合法的に処方された薬で麻薬中毒症状になるとは!と驚きました。(咲)


2022年・第79回ベネチア国際映画祭 金獅子賞受賞

2022年/アメリカ/英語/121分/16:9/5.1ch/R15+
配給:クロックワークス
公式サイト:https://klockworx-v.com/atbatb/
★2024年3月29日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋ほかにて全国公開
posted by sakiko at 01:30| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする