2023年10月14日

極限境界線 救出までの18日間   原題:交渉 교섭 英題:The Point Men

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(C)2023 PLUS M ENTERTAINMENT, WATERMELON PICTURES, ALL RIGHTS RESERVED.

監督:イム・スルレ
出演:ファン・ジョンミン、ヒョンビン、カン・ギヨン

アフガニスタンの山岳地帯の土獏をバスで行く韓国人23名が、タリバンに拉致される。彼らの要求は駐屯中の韓国軍の撤退と、刑務所に収監されているタリバン戦士23名の釈放。人質殺害までのタイムリミットは24時間。韓国政府は直ちに外交官のチョン・ジェホ(ファン・ジョンミン)を派遣、ジェホはアフガニスタン外務省にタリバン戦士の釈放を要請するが拒絶される。国家情報院も動き出し、パキスタンで暗躍していた工作員パク・デシク(ヒョンビン)が、実質アフガニスタンの問題を解決する「部族長会議(ジルガ)」と交渉することになる。デシクが通訳のカシム(カン・ギヨン)を連れ、部族長に挨拶していると、ジェホが現れ無理矢理合流する。ジェホは、イラクでの拉致事件の際に人質一人を殺されてしまったデシクを信用してなかったのだ。不本意ながら手を組んだ二人の命をかけた交渉の結末は?

2007年に起きたタリバンによる韓国人23人拉致事件の実話に基づき、イム・スルレ監督がリアルにこだわって製作。とはいえ、アフガニスタンでの撮影は困難で、監督がロケ地に選んだのはヨルダン。アフガニスタンには残念ながら行きそびれているので、どれほど似ているのかは想像するしかないのですが、『アラビアのロレンス』の撮影地として有名なヨルダンのワディラムには行ったことがあるので、さすがにワディラムとわかる瞬間が一度だけありました。それ以外の部分は、それなりにアフガニスタンだと感じさせてくれる出来栄え。タリバンの話すパシュトー語にもこだわっています。イスラームが大事にするおもてなしの様子も描いています。
拉致された韓国人はクリスチャンで、アフガニスタンへは布教の為に行ったとのこと。イスラーム教徒が大半を占める国に、布教はちょっと無理があるのではと驚きます。布教と知られては解放が難しくなるので、ボランティアで訪れたことにして交渉しているのに、布教にきたクリスチャンだと報道されてしまいます。
熱血漢溢れるファン・ジョンミンと、冷静沈着なヒョンビン。タイプの違う二人の交渉術をはらはらしながら見守りました。(咲)


実際に起こったタリバンによる拉致事件から着想を得て作られた作品とのこと。外交官と秘密工作員。迫るタイムリミット、身代金狙いの詐欺師、国民より国家ファーストの政府、進まない解放交渉。「部族長会議」で交渉することになり、「韓国政府の代表」を自負するチョンとアウトローなパク、対立する2人は不本意ながら手を組むことに。
人質救出の交渉役として派遣された厳格な外交官チョン・ジェホには、『ワイキキ・ブラザース』『国際市場で逢いましょう』『哭声/コクソン』のファン・ジョンミン。トラウマを抱え、人命を救うためには手段を選ばない工作員パク・デシクには、「愛の不時着」のヒットで空前のブームを巻き起こしたヒョンビン。ことごとく反目するが、人として最も大切にしていることが同じだと気づき、友情と絆を深めていく。
監督は韓国の女性監督の草分けである『ワイキキ・ブラザース』『私たちの生涯最高の瞬間』『リトル・フォレスト 春夏秋冬』のイム・スルレ。約2か月に及ぶヨルダンでの撮影を敢行。22年前の『ワイキキ・ブラザース』(2001)で新人のファン・ジョンミンを採用している。今や韓国を代表するような2大俳優を使い、手に汗握る壮大な作品を作ってしまうなんてすごい!
シネマジャーナルではイム・スルレ監督には過去2回インタビューしています。去年3月に21年前の作品『ワイキキ・ブラザース』がJAIHOで配信されることになりオンラインインタビューした時、この新作について語っていましたが、「すでに撮り終わっているけど、コロナ禍で劇場公開が難しくて、公開できるのを待っているところ」と語っていました。今年(2023)3月に公開され、NO1ヒットになったようです(暁)。


●シネマジャーナルHP イム・スルレ監督インタビュー記事
『ワイキキ・ブラザース』韓国公開から21年  
JAIHO配信にあたり、イム・スルレ監督に思いを聞く 
2022年03月11日
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/485954856.html

真!韓国映画祭『飛べ、ペンギン』ム・スルレ監督インタビュー
2010年 2月27日
http://www.cinemajournal.net/special/2010/penguin2/index.html

2023年/韓国/109分/カラー/シネスコ/5.1chデジタル
字幕翻訳:根本理恵
配給:ギャガ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/thepointmen/
★2023年10月20日(金) よりTOHOシネマズ日比谷他にて全国順次ロードショー



posted by sakiko at 04:42| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする