2023年10月01日

イコライザー THE FINAL   原題:THE EQUALIZER 3

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監督:アントワーン・フークア(『トレーニング デイ』『エンド・オブ・ホワイトハウス』『マグニフィセント・セブン』『イコライザー』シリーズ)
脚本:リチャード・ウェンク(『イコライザー』シリーズ)
出演:デンゼル・ワシントン(『トレーニング デイ』『フライト』『デンジャラス・ラン』)、ダコタ・ファニング(『アイ・アム・サム』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)、デヴィッド・デンマン

元CIAトップエージェントのロバート・マッコール。19秒で世の悪を完全抹消する闇の[仕事]請負人(通称:イコライザー)として名を馳せた彼も、シチリアでの事件で負傷し、肉体的にも精神的にも限界を感じる。アマルフィ海岸沿いの静かな田舎町に辿り着いた彼は、地元の人たちから優しく受け入れられ、ここを安住の地と心に誓う。しかし、街の人たちが次々と凄惨な事件に遭うのを見て、マッコールは再び[仕事]を再開する。やがて事態はイタリア全土を巻き込む爆破テロ事件へと拡大してゆく・・・

これまでのイコライザーシリーズは観ていないのですが、すんなり話についていくことができました。シチリア、ナポリ、そしてアマルフィという風光明媚な街を舞台に繰り広げられる物語。イタリア語の響きも心地よく、聖母マリア像を担いで町を静かに回る祭りが映画のラストを盛り上げてくれました。(咲)

これまでのイコライザーシリーズでは、街で目だたない仕事をしながら「必殺仕事人」のように、警察や司法の及ばない復讐仕事をしていましたが、今回は最初からアクションモード全開。しかもバイオレンスともいうべき闘いの連続。はたして正義ならここまでやっていいのか?という思いも。理不尽な弱いものいじめに対して、人はどこまで仕返ししていいのか、できるのか。他に方法はないのか。様々なことを考えました。監督は、1998年、チョウ・ユンファ主演のアクション『リプレイスメント・キラー』で監督デビューしたアントワーン・フークア。デンゼル・ワシントンと組むのは5作目とのこと(暁)。

☆9月1日(金)に全米公開され、<3日間で3,450万ドル(約50億円)>を記録。
<全米初登場1位>の大ヒットスタート!
これは、近年のレイバー・デー(労働の日)週末において、マーベルシリーズ『シャン・チー/テン・リングスのデンゼル』(2021)に次ぐ、歴代2位の好成績。シリーズ最終章にして新たな記録を打ち立てました。

2023年/アメリカ/109分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
公式サイト:https://www.equalizer.jp/
★2023年10 月 6 日(金)全国の映画館で公開!
posted by sakiko at 20:04| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

リバイバル69~伝説のロックフェス~(原題:Revival69: The Concert That Rocked the World)

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監督:ロン・チャップマン
出演:ジョン・ブラウワー、シェップ・ゴードン、ロビー・クリーガー、ジョン・レノン、オノ・ヨーコほか

1969年9月13日(土)、カナダ トロント大学構内にあるヴァーシティ・スタジアムで音楽フェスティバルが開催された。その構想、準備から始まり、紆余曲折の末開催にこぎつけるまでの舞台裏が明かされる。企画・運営したのは弱冠23歳のケン・ウォーカーと22歳のジョン・ブラウワーだ。フォークソング全盛のときに、ロックン・ロールのレジェンドたちに人気の若手、シカゴやドアーズを加えたこれまでにないフェス「トロント・ロックンロール・リバイバル」!観客は数万人を予定。大評判になるはずが、チケットが売れない。出資者たちが手を引いていくのをなんとか止めなければ!これまでの人脈を駆使して、導かれたアイディアは「ジョン・レノンを呼ぼう!」。なぜならジョン・レノンはチャック・ベリーやリトル・リチャードのファンだから。 
残された1時間弱のドキュメンタリー映像に、当時の関係者のインタビューを加えてドキュメンタリーが完成した。

ドタバタの舞台裏はもう綱渡りの連続、当事者の心中を思って胃が痛くなりそうでした。
トロントをめがけて続々と集まってくる新旧ロックファンたち。大観衆を前にした、大御所たちのステージは圧巻です。全盛期からしばらく経っていますが、かつてのライバルたちとの共演で本気度が伝わってきます。懐かしいヒット曲をたくさん聞けました。この人が歌っていたのか!と嬉しい映像です。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)で、消滅の危険を脱したマーティがギターをかき鳴らし歌っていたのがチャック・ベリーの曲です。
まだ無名のロッカーだったアリス・クーパーほか、バックバンドを担った若いミュージシャンたちの映像が残っています。舞台の上のスターたちも会場もほんとに楽しそうですが、運営側はジョン・レノンの到着を今か今かと冷や汗かきつつ待っています。
鳴り物入りの登場とよくいいますが、この場面も必見。ビートルズの面々と離れてヨーコと穏やかに暮らしていたジョンは、このときまだ28歳。長髪と伸ばした髭でずいぶんと大人と思っていましたが、ヨーコを守り守られる繊細な青年でした。緊張している彼を初めて観ました。
ロック青年たちには超貴重な映像満載、お見逃しなく。(白)


「カナダのウッドストック」とも呼ばれているロック・フェスだそうです。
チケットが売れず、開催直前にジョン・レノンに参加のOKを貰うも、当日の朝、気分が悪いから花を贈って!とは、ジョン・レノンも自分の存在意義を認識していない?? そのジョン・レノンをベッドから飛び起きさせた人物とは?(どうぞ劇場でご確認を!)
このところ60年代の音楽シーンを扱った映画が多くて、中でも大好きだったビートルズ関連は、当時の様々な裏側を知ることができて面白いです。
ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実
コンサート・フォー・ジョージ
ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル トラヴェリン・バンド

戦地で多くの人が死んでいるのに、「ベトナム戦争反対!」とは舞台で言えない時代で、それでもオノ・ヨーコが断末魔のような叫びで平和を訴え、引いた人も多かったとか。
このロックフェスを懐かしく思い出す黒人の女性が、観客はほとんどが白人で、逆に怖かったと語っていました。60年代末のカナダは、そんな状況だったのですね。
いろんな意味で、とても興味深い映画でした。(咲)



2022年/カナダ、フランス/カラー/97分
配給:STAR CHANNEL MOVIES
(C)ROCK N' ROLL DOCUMENTARY PRODUCTIONS INC., TORONTO RNR REVIVAL PRODUCTIONS INC., CAPA PRESSE (LES FILMS A CINQ) 2022
https://revival69-movie.com/
★2023年10月6日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 18:38| Comment(0) | カナダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

白鍵と黒鍵の間に

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監督:冨永昌敬
原作:「白鍵と黒鍵の間に -ジャズピアニスト・エレジー銀座編」南博著
脚本:冨永昌敬監督、高橋知由
撮影:三村和弘
音楽:魚返明未
出演:池松壮亮(南、博)、仲里依紗(千香子)、森田剛(あいつ)、高橋和也(三木)、クリスタル・ケイ(リサ)、松尾貴史(熊野)、松丸契(K助)、川瀬陽太(曽根)、杉山ひこひこ(門松)、中山来未(Y子)、佐野史郎(宅見)、洞口依子(母親)

昭和63年、年の瀬の銀座。キャバレーの酔客を前にピアノを弾く博は、ふらりと入って来た客に『ゴッドファーザー』のテー曲をリクエストされた。その曲だけはダメと同僚に注意されるが、なぜかわからない。実は銀座界隈を牛耳る熊野会長だけがリクエストしていい曲、しかも演奏するのは、会長お気に入りのピアニストの南だけという暗黙の了解があった。

原作者の南博氏がモデルの主人公を、ジャズピアニストの夢を追っている若い"博"と、すでに夢など見失ってしまったベテランの”南”の二人に分けて登場させています。原作では一人の人物、生きる時間も違う二人を池松壮亮さんが演じ分けているのが見どころ。ピアノも猛特訓されたそうです。ご期待あれ。
夜の仕事にどっぷりつかった三木を演じるのは高橋和也さん。『新聞記者』での苦悩する役が記憶に残っています。刑務所から出て来たばかりの男に森田剛さん。有村架純さんと共演した『前科者』が浮かびます。本作では禁断の曲をリクエストして、博の行く道に影響を与えてしまいます。高橋和也さん、森田剛さんともアイドルだった若い時から観ていますが、今哀愁も自然ににじみ出る年代になりました。
ところどころで、サックスを吹く男性が登場して”耳”がひきつけられます。この人は誰?と思ったら松丸契(まつまるけい)さんというプロのサックス奏者の方でした。クリスタル・ケイさんの歌もたっぷり聞けます。
背景の昭和63年は昭和天皇が病床にあり、毎日ニュースで報告されて、この年の瀬は特別でした(年明けた1月7日に崩御。昭和64年は7日間でした)。そんなことなど思い出しながら、拝見した作品。(白)


2023年/日本/カラー/シネスコ/94分
配給:東京テアトル
(C)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
https://hakkentokokken.com/
★2023年10月6日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 13:51| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シアター・キャンプ(原題:Theater Camp)

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監督:ニック・リーバーマン&モリー・ゴードン
脚本:ノア・ガルヴィン, モリー・ゴードン, ニック・リーバーマン, ベン・プラット
音楽:
出演:モリー・ゴードン(『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』)
ベン・プラット(『ディア・エヴァン・ハンセン』『ピッチ・パーフェクト』)
ノア・ガルヴィン(『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』)ほか

アディロンド・アクトは人気の演劇スクール。しかし開校を目前にして校長が倒れて、こん睡状態に陥ってしまった。急遽ピンチヒッターにやってきた息子は、スクールが経営危機に陥っていることを初めて知った。
そんな中でも、毎年舞台に立つのを夢見るこどもたちがキャンプに集まってきた。歌や演技の指導をするのは変わり者の教師たち。3週間のャンプの終わりには、みんなで作ったとびきり楽しいミュージカルをお披露目することになっている。校長不在の隙をついて商売敵も接近してきた。果たしてミュージカルは無事完成するのか?

サンダンス映画祭 とサウス・バイ・サウスウエストが熱狂した、子どもたちのミュージカルができるまでを追う作品。
出だしで指導役がいきなり歌い始め、子どもたちも歌で応えるのにあっけにとられます。あ、そういう形式なのね、とわかると後は「どこで何を歌うのだろう」と楽しみになってきます。指導にあたるレベッカとエイモスも実はこのスクールの出身。このスクールの教師たちは古株も新人も変人ばかりですが、舞台にかける情熱は誰にも負けません。ミュージカルに親しみのある人もない人も、どこまでが演出かわからないほど自然な子どもたちと教師のやりとりを楽しめます。(白)


2022年/アメリカ/カラー/シネスコ/95分
配給:ディズニー
(C)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
https://www.searchlightpictures.jp/movies/theatercamp
https://twitter.com/SearchlightJPN
予告編 https://www.youtube.com/watch?v=fYsGP9RV2Bk
★2023年月日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 13:27| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

オクス駅お化け(原題:The Ghost Station)

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監督:チョン・ヨンギ
脚本:高橋洋、イ・ソヨン
脚本協力:白石晃士
出演:キム・ボラ(ナヨン)、キム・ジェヒョン(ウウォン)、シン・ソユル(オヒ)

ウェブニュース記者のナヨンは、駆け出しでまだこれといった結果を出せていない。アクセス数を稼ぐために、ボーイフレンドのウウォンを助手にオクス駅で起きた人身事故の取材を始めた。きっかけとなった事故のほかに、線路内に子どもがいたなど、いくつもの目撃談が出てくる。ナヨンとウウォンが調べていくと、次々と奇妙な事件が起こり、怪死が続く。

ポスターだけでも怖いので、どうしようと思いながら試写に参戦。韓国のホラー作品では、急に挿入される音に飛び上がりそうになるので、構えつつ観ました。お試しに公式サイトの予告編をご覧ください。
主な舞台になるオクス駅は実際にある駅で、おどろおどろしいシーンのあった廃駅も現存するそうです。映画のようなことがあったわけではないのですが、ホラー好きな人が探検したくなるような雰囲気です。私は映画だけで夢に出てきそうです。(白)


2022年/韓国/カラー/シネスコ/80分
配給:松竹ODS事業室
(C)2023, MYSTERY PICTURES & ZOA FILMS, ALL RIGHTS RESERVED
https://obake-movie.com/
https://twitter.com/obake_movie
★2023年10月6日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 13:20| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

旅するローマ教皇   原題:In Viaggio

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(C)2022 21Uno Film srl Stemal Entertainment srl


脚本・監督:ジャンフランコ・ロージ(『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』『国境の夜想曲』

第266代ローマ教皇フランシスコ
本名:ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ
1936年12月17日、イタリアからの移民の子として、アルゼンチンのブエノスアイレスで生まれる。

教皇フランシスコは 9年で37回 旅に出た。
53か国を歴訪し 重要な問題について発言した。
連帯と尊厳 貧困と難民を語り 戦争を非難した。

本作は2013年のイタリア、ランペドゥーサ島から始まり、2022年の新型コロナウイルスのパンデミック下のマルタの訪問で終わる。難民問題、紛争に苦しむ中東やアフリカ、アメリカでは平和について語り、世界で唯一の被爆国である日本では黙とうを捧げる。森林火災、台風など自然災害を受けた土地を訪れ環境問題を語り、イスラム教や正教会の指導者と会見し融和を訴える。カトリック教会で起きた性的虐待については謝罪する・・・。

ローマ教皇と共に世界各地を巡り、様々な問題を知る83分。
印象深い言葉や場面がいくつもあります。イスラエルを訪れた時には、上空から見える分離壁と入植地に圧倒され、パレスチナ側で高く立ちはだかる分離壁に手を置き祈る姿にじ~んとさせられました。アルメニアで、1915年に起きたアルメニア人虐殺について語ったことから、トルコのエルドアン大統領との間に気まずい沈黙の時が流れます。
2019年のアラブ首長国連邦訪問は、ローマ教皇として初めてのイスラーム発祥の地であるアラビア半島入り。2021年のイラクでは、シーア派最高権威シスタニ師を訪問しますが、ここでも沈黙の時。こうした他宗教との対話を積極的にはかる姿を、他者とは融和をはかろうとしない人たちに見てほしいものです。(咲)


世界中を旅するローマ教皇を通して、世界で今何が起きているのかを知り、旅を通して見えてくる世界の痛み、未来への希望。「戦争は狂気です 貪欲と非寛容 そして権力欲は戦争を決断させる動機になります。戦争は貧困しか生みません。兵器は死そのものです。共に未来を築かなければ私たちに未来はないのです。夢を見続けましょう」と語る教皇。フランシスコ教皇の言葉は現在の世界情勢を映し出し、私たちの心を揺さぶる(暁)。

第79回ヴェネチア国際映画祭 アウト・オブ・コンペティション部門 正式出品

2 0 2 2 年/イタリア/カラー/ 1 :1 . 8 5/5.1 c h /8 3 分/イタリア語、スペイン語、英語
日本語字幕:鈴木昭裕
資料監修:土肥秀行
カトリック中央協議会 広報推薦
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:https://www.bitters.co.jp/tabisuru/
★2023年10月6日(金)よりBunkamuraル・シネマ渋谷宮下、新宿武蔵野館ほかで全国ロードショー
posted by sakiko at 04:04| Comment(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする