2023年08月27日

鯨のレストラン

2023年 9 月2 日(土)新宿Kʼs cinema にてロードショー 全国順次公開

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(C)2023 YAGI Film Inc.


「食」としての鯨と「科学」としての鯨を語る

監督・プロデューサー:八木景子
撮影:猪本雅三
録音:伊藤裕規
編集協力:浜口文幸記念スタジオ
CAST
谷光男(鯨屋の大将)
鮎川捕鯨の皆様
ユージン・ラポワント(ワシント条約元事務局長)
ジュヌビエーヴ・デスポーテス(NAMMCO事務局長・科学者)
加藤秀弘(東京海洋大学名誉教授)
八木信行(東京大学教授)
樋口真嗣(『シン・ゴジラ』監督)

 鯨を巡る世界的な論争を描いた『ビハインド・ザ・コーヴ』(BEHIND THE COVE)の八木景子監督による8年越しの最新作。“鯨”という題材をさらに深く探索し、「地球の環境問題」にまで向きあった。
 全盛期の消費量と比べて現在では衰退した日本の鯨産業。1972年、アメリカ主導による「海洋哺乳類保護法」が成立し半世紀以上が経過。外国による圧力で、日本が縄文時代から縁起ものの食材として大切にしてきた食文化は全盛期から1%までに落ち込んでいる。最も影響力があったのは「愛護団体による脅し」。そんな中、神田にある「一乃谷」の大将、谷光男は、あえて「くじら料理専門店」を開いている。
 本作では鯨料理の魅力だけではなく、科学的な見地から「タンパク源」のバランス問題にも向き合う。現代における環境問題を起因としたヴィーガンブームや、森林伐採、持続可能な開発目標=SDGs等。
自然資源のルールを決める国際会議とは無縁の大将と、国際会議の主要人物の証言により、多角的な視点から鯨食について考える事が出来る。消えそうな鯨食文化、映画を通して多くの方に伝えられたらという思いが込められている。かつて日本の高度成長期の時代、日本人のタンパク源のトップは鯨だった。牛や豚、鳥よりも鯨が多く食べられていた。鯨は今では輸入に依存しているが、当時は「輸出」までしていた。
 現在では「鯨専門店」は数軒になってしまったが、「一乃谷」は全国の鯨店からも一目おかれている。大将が東北から上京して東京・神田に「一乃谷」という店を構えたのは、宮城県・石巻市で東日本大震災が起こる1年前の2010年。石巻市は国内では最大の捕鯨基地である。



公式HP https://www.whalerestaurant.jp/
2023年/日本/77分/HD/16:9
配給:八木フィルム

上映情報  映画館   電話番号   公開予定日
東京 新宿K’s cinema 03-3352-2471 2023年9月2日(土)〜
東京 UPLINK吉祥寺 0422-66-5042 2023年9月15日(金)〜
神奈川 ジャック&ベティ 045-243-9800 2023年10月21日(土)〜
愛知 ミッドランドスクエアシネマ 052-527-8808 2023年11月3日(金)〜
大阪 第七藝術劇場 06-6302-2073 2023年9月30日(土)〜
兵庫 元町映画館 078-366-2636 2023年10月28日(土)〜
沖縄 桜坂劇場 098-860-9555 公開日調整中


posted by akemi at 20:35| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

PATHAAN/パターン  原題:Pathaan 

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監督・脚本:シッダールト・アーナンド(『バンバン!』『WAR ウォー!!』)
出演:シャー・ルク・カーン(『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』)、ディーピカー・パードゥコーン(『トリプルX:再起動』)、ジョン・エイブラハム(『ディシューム』)

2019年8月、パキスタンの将軍カーディルはインド政府がジャンムー・カシミール州の自治権を剥奪したことを知り、インドへの攻撃を計画。元インド諜報機関RAW所属の最強のエージェントのジムと手を組みテロ攻撃を企てる。
2020年、インド諜報機関所属のパターンは、ジムが計画するテロ攻撃を阻止するためにJOCRというRAWの内部組織を立ち上げる。
2022年、パターンはついにジムがデリー上空を飛行中の航空機に生物兵器を仕掛けたことを知る。残された時間はわずか6分。この絶体絶命の状況で、インド最高のエージェント、パターンは母国を救うことが出来るのか!?

シャー・ルク・カーン待望の4年ぶりの主演作! 
第一報をシャー・ルクの熱烈ファンの友人Mさんから聞いたのは昨年10月末のことでした。1965年11月2日生まれのシャー・ルクが57歳の誕生日を迎える直前のことでした。内容を知って、もはやロマンチックヒーローじゃなくて、アクションのスーパースターに転身か?と話題にしたものです。
そして、今年の1月末、インドで公開されると、記録破りの大ヒットとMさんから続報。
男性だけじゃなくて女性たちも何十人も集団で映画館に足を運んでお祭り騒ぎする動画を送ってくれました。シャー・ルク・カーンがインドの人たちに愛されている!と、嬉しくなったものです。(私も、『ラジュー出世する』(1992年、監督:アジズ・ミルザー)が、1997年に日本で公開された時に観て以来の大ファン♪)

インドでの公開当時のことは、こちらに書いています。
シャー・ルク・カーン復活作『Pathaan』  インドで大ヒット公開中! (咲)

早く日本語字幕付きで観たい!と待ちわびて、わくわくしながらオンライン試写を拝見。なのですが、最初に観た時には、アクションに次ぐアクションが目まぐるしく展開し、スケールの大きな映画がどちらかというと苦手な私は、ちょっと引いてしまったのです。
シャー・ルク・カーンも、それなりに年を重ね、渋いけれど、昔の甘さはないなぁ~と思ってしまったのですが、ちゃんと物語の筋を飲み込もうと、もう一度観てみました。
話の展開がわかってくると、やっぱり面白い!  シャー・ルクも渋いだけじゃなくて、ディーピカー演じるパキスタンの女医ルビナ・モフシとの絡みでは、そこはかとない色気も醸し出しているじゃないですか。

パキスタンのラホールに始まり、アフリカ某所、デリー、ドバイ、スペインのマヨルカ島、アフガニスタン、モスクワ、パリ、シベリアのバイカル湖等々、舞台も魅力たっぷり。(実際のロケ地は??)
見どころはたくさんありますが、ゲスト出演のサルマーン・カーン登場シーンは中でも必見! 崖っぷちを走る列車の上で敵と対決していた二人が、鉄橋が爆破されて、落ちて行く列車の屋根を駆けて這い上がるという凄技。サルマーン・カーンが助っ人「タイガー」として登場するのは、1時間14分あたりから6分程。最後の最後、2時間18分頃にも、もう一度登場して、ベテラン二人ならではの会話でクスッと笑わせてくれます。歳を重ね、さらに深みのある演技で私たちを楽しませてくれそうです。

さて、「パターン」は、諜報機関RAWでのコードネームですが、映画の中でパターンと呼ばれるようになったエピソードが出てきます。2002年、初任務で米軍と共にアフガニスタンに行った折、爆弾テロから子どもたちを救おうとして倒れ、意識不明になった彼を1か月にわたって見守っていたのが、パシュトゥーン(パターン)の家族。目が覚めて、「あなたもパシュトゥーン」と、それ以来、犠牲祭を共に祝うようになったのです。実際、シャー・ルク・カーンの父はパシュトゥーン。*パターンはイギリス人たちがパシュトゥーンのことを呼んだ名前です。

そして、敵ジムを演じたジョン・エイブラハムの母親はグジャラート州出身のパールシー (ゾロアスター教徒)で、イランに21人ものいとこがいるのだそうです。悪役でしたが、気になる存在です。 (咲)


2023年/インド/ヒンディー語/146分
字幕:藤井美佳
配給:ツイン
公式サイト:https://pathaan-movie.com/
★2023年9月1日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
posted by sakiko at 20:32| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

福田村事件

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監督:森達也
脚本:佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦
撮影:桑原正
音楽:鈴木慶一
出演:井浦新(澤田智一)、田中麗奈(澤田静子)、永山瑛太(沼部新助)、東出昌大(田中倉蔵)、コムアイ(島村咲江)、木竜麻生(恩田楓)、松浦祐也(井草茂次)、向里祐香(井草マス)、杉田雷麟(藤岡敬一)、カトウシンスケ(平澤計七)、ピエール瀧(砂田伸次朗)、水道橋博士(長谷川秀吉)、豊原功補(田向龍一)、柄本明(井草貞次)

大正12年(1923年)、9月1日11時58分、南関東を中心に巨大地震発生、甚大な被害をもたらした。2日には東京府下に戒厳令が施行され、次々と近隣の市町村へと広がっていく。「朝鮮人が暴動をおこし、放火、井戸へ毒を入れた」など噂が飛び交い、多くの人々は恐怖から疑心暗鬼にかられていく。混乱に乗じて官憲による社会主義者の弾圧も行われていった。
震災から5日後、利根川沿いの村で香川県から訪れた薬の行商人たち15人が自警団によって、足止めを食う。方言を話す彼らを朝鮮人と疑った末、幼児や妊婦を含む9人が殺害された。

関東大震災による、死者・行方不明者は推定10万5千人。お昼前だったことから火を使っている家庭も多く、火事による犠牲者が多数。災害によるものだけでなくデマによって殺された人もいました。「朝鮮人が暴動を画策」という情報は、初め内務省からの通達にあったもの。それが震災後の秩序の崩壊で混乱している巷にあっというまに拡散されていったようです。
本作ではのどかな村で暮らしていた人々が流言飛語に踊らされ、家族や村を守るという正義感のもと暴徒と化していく顛末が描かれています。これが福田村ばかりでなく、震災後、各地で起こったというのが恐ろしいです。恐怖は人心を操るのに、最も効果があるそうです。自分がならないとは言い切れません。当事者が口をつぐんでしまった加害の歴史にもつながります。
井浦新さん演じる澤田にも、明かさなかった苦い思い出がありました。カトウシンスケさん演じる運動家への弾圧も、形は変わっても根絶してはいないでしょう。昔の話と片付けられません。
関東大震災からちょうど100年経った今年、森達也監督によって映画となった本作、満を持して9月1日に公開されます。(白)


2023年/日本/カラー/シネスコ/137分
配給:太秦
(C)「福田村事件」プロジェクト 2023
https://www.fukudamura1923.jp/
★2023年9月1日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 16:50| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

バカ塗りの娘

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監督:鶴岡慧子
原作:髙森美由紀「ジャパン・ディグニティ」
脚本:鶴岡慧子 小嶋健作
撮影:髙橋航
照明:秋山恵二郎
録音:髙田伸也
美術:春日日向子
音楽:中野弘基
出演:堀田真由(青木美也子)、小林薫(青木清史郎)、坂東龍汰(青木ユウ)、宮田俊哉(鈴木尚人)、木野花(吉田のばっちゃ)、坂本長利(青木清治)

青森県弘前市。青木美也子は高校卒業後、特にやりたいこともなくスーパーで働きながら、津軽塗職人の父清史郎の仕事を手伝っている。祖父は文部科学大臣賞を受賞したこともある津軽塗の名匠だったが、父は注文が減っていくばかりの現状に頭を悩ませている。母は仕事優先の父に愛想をつかして出て行ってしまった。兄のユウは家業を継ぐのを嫌い美容師の道に進み、家族はバラバラになった。
寡黙な父と二人きりの作業場は、仕事の音だけが響く。人付き合いが苦手な美也子は、こうやって作業するのが性に合っている。しかし、津軽塗の仕事をしたい、とはっきり口に出せずにいた。

好評だった「ジャパン・ディグニティ」を原作に、津軽塗の伝統を守り続け、つないでいくことの難しさや喜び職人の家族を芯に描いています。生まれて初めての作業をしながら、津軽弁で話すというチャレンジをした堀田真由さんと小林薫さん、不器用な父と引っ込み思案な娘のやりとりがほほえましいです。表に出ることばの何倍もが胸の中にあるのに、うまく話せないもどかしさに共感します。我慢も限界、と出て行く母、わが道を行く兄が2人の反対側に配されています。
青森には母方の親戚がいて、何十年来の友人も住んでいます。言葉にも津軽塗にもなじみと親しみがあるので、作業の様子を興味津々で見守りました。何度も漆を塗り重ねては研ぎ、を繰り返す津軽塗は何色も重ねられた色が模様になって浮き出て美しく、しかも堅牢です。我が家にもいつから使い始めたか定かでない箸が残っています。手間暇かかるが故に高価ですが、この作業を目にすると無理もない値段だと納得します。安価なものを使い捨てるのではなく、人の手でこんな風に作られたものを大切に使い続けたいものです。
メイキング映像で、鶴岡監督は「漆アレルギーだとこの映画に携わって判明した」と知りました。以後完全防備で撮影に臨んで作り上げた監督、ご苦労さまでした。(白)


2022年/日本/カラー/シネスコ/118分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会
https://happinet-phantom.com/bakanuri-movie/
★2023年9月1日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 16:14| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウェルカム トゥ ダリ(原題:Daliland)

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監督:メアリー・ハロン
脚本:ジョン・C・ウォルシュ
撮影:マルセル・ザイスキンド
プロダクションデザイナー:イゾナ・リゴー
衣裳:ハンナ・エドワーズ
出演:ベン・キングズレー(サルバドール・ダリ)、バルバラ・スコヴァ(ガラ)、クリストファー・ブライニー(ジェームズ)、パート・グレイヴス(ムーア大佐)、アンドレア・ペジック(アマンダ)、スキ・ウォーターハウス(ジネスタ)、エズラ・ミラー(若き日のダリ)

1974年、ニューヨーク。ダリに憧れる青年ジェームズは、デュフレーヌ画廊で働き始めた。個展を開くダリのアシスタントを務めることになり、胸躍らせる。ダリと妻のガラに気に入られ、想像の枠を超えたダリ・ワールドに足を踏み入れた。
個展は迫っているのに、ダリはパーティ三昧で作品は一枚も仕上がっていない。業を煮やしたガラが怒り出し、ダリは勢いで作品を完成させた。ジェームスは個展終了後もダリの元で働き、ダリの故郷ポルト・リガトへ同行する。

メアリー・ハロン監督の始まりは音楽ライター。後にドキュメンタリー制作に関わり、劇映画『アメリカン・サイコ』(00)『チャーリー・セズ/マンソンの女たち』(18)などを発表してきました。社会医的に成功をおさめた人の裏側や殺人犯の視点から見た映画をブラックな笑いを込めて描いています。
この作品では、天才ダリの名声に吸い寄せられる人々との連日の狂気じみたパーティ、ダリとガラの関係、隠されたダリの内側がジェームズの目を通して語られます。ベン・キングズレー扮するダリは、世間が期待するダリでいること、作品を生み続ける苦しさを吐露します。
ダリに描き続けろと迫るガラは『ハンナ・アーレント』(12)のバルバラ・スコヴァ、今回はタバコでなく美青年を手放さず、いつもそばに侍らせています。その昔、人妻だったガラと知り合う美青年ダリをエズラ・ミラーが演じていて、ベン・キングズレーと似ているんだと知らされました。絵を描くところはあまり登場しませんが、衣裳と美術にもご注目ください。(白)


2022年/アメリカ、フランス、イギリス/カラー/ビスタ/97分
配給:キノフィルムズ
(C)2022 SIR REEL LIMITED
https://dali-movie.jp/
★2023年9月1日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほかロードショー
posted by shiraishi at 14:43| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アステロイド・シティ(原題:Asteroid City)

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監督・脚本:ウェス・アンダーソン
撮影:ロバート・イェーマン
美術:アダム・ストックハウゼン
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:ジェイソン・シュワルツマン、スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス、ジェフリー・ライト、ティルダ・スィントン、エドワード・ノートン、エイドリアン・ブロディ、マーゴット・ロビーほか

1955年、アメリカ南西部の砂漠にあるアステロイド・シティは、人口わずか87人の小さな街。唯一の観光名所は、隕石が落下してできた巨大なクレーターだ。科学賞の授賞式がここで開催されることになり、天才的な子どもたち5人とその家族が招かれた。母親が亡くなったことを子どもたちに伝えられない父親、シングルマザーの有名女優、それぞれの家族が複雑な問題を抱えたまま、授賞式の幕があがった。

豪華スターがエキストラのように山ほど出演していて書ききれません。『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(21)もそうでしたが、ウェス・アンダーソン監督作ならば、と誰もが嬉々として集まったのではないでしょうか。
アステロイド・シティのロケセットはスペインのマドリッドの郊外に作られました。巨大な岩があちこちに点在するポップで可愛らしい建物の並ぶこの街は、宇宙人がやってきてもおかしくない不思議空間です。空は抜けるような青じゃなくて、水色に緑が混じったペパーミントグリーン、黄色っぽい地面の色と合わせてよけい作り物感が出ています。それは監督の狙い。
『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)、アニメーションの『犬ヶ島』(18)でもチームだったアダム・ストックハウゼン(美術)、アレクサンドル・デスプラ(音楽)の名前が並んでいます。ウェス・アンダーソンワールドを作るのに欠かせない人たち。監督はスタッフ、キャストにも恵まれていますね。(白)


2023年/アメリカ/カラー/シネスコ/104分
配給:パルコ
(C)2022 Pop. 87 Productions LLC
https://asteroidcity-movie.com/#modal
★2023年9月1日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 14:42| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

復讐の記憶   原題: 리멤버(リメンバー) 英題:REMEMBER

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(C)2022 ACEMAKER MOVIEWORKS & MOONLIGHT FILM ALL RIGHTS RESERVED.

監督: イ・イルヒョン(『華麗なるリベンジ』)
出演: イ・ソンミン、ナム・ジュヒョク、チョン・マンシク、ユン・ジェムン、ソン・ヨンチャン

80を越えたピルジュは、ファミリーレストランで勤続17年を迎えた最高齢アルバイト。同僚の20 代の青年インギュとは「フレディ」「ジェイソン」と呼び合う親しい仲だ。
認知症に見舞われ、自分の記憶が長くは続かないと悟ったピルジュは、バイトを辞め、60年前から計画していた復讐殺人を決行すべく銃を手にする。日本植民地時代、ピルジュは家族すべてを親日派の為に失ったのだ。標的の5人の名前を忘れないよう指にタトゥーで刻む。赤いポルシェを買い、インギュを1週間の約束で運転手に雇う。何も知らないインギュは、最初の復讐現場で監視カメラに映っていたことから第一容疑者にされてしまう。ピルジュの復讐計画を知ったインギュは、警察に追われながらもピルジュを制止しようと同行する・・・

日本植民地時代、ピルジュの父は濡れ衣で捕まり、拷問の末に亡くなり、母は後を追って自死。兄は強制徴用された日本の炭鉱で亡くなり、姉は慰安婦として従軍後、故郷に帰り命を絶っています。家族を死に追いやるも生き続けている「親日派」が、ピルジュの復讐の対象。当時、先頭に立って創氏改名に応じ、日本の手先となったキム・チドク。ピルジュの姉の許嫁でもあったのですが、ピルジュに責められ、「あの時代を生きただけ」と言い放ちます。親日派になることが生きる術だったことに思いが至ります。

本作の原作は、クリストファー・プラマー、ブルーノ・ガンツ共演のカナダ・ドイツ合作映画『手紙は憶えている』(2015年 監督:アトム・エゴヤン、脚本:ベンジャミン・オーガスト)。 アウシュビッツ収容所の生存者である主人公が、家族を殺したナチス兵士が身分を偽り、今も生きていることを知り復讐の旅に出るという物語。韓国の歴史や社会を背景にして、大胆にリメイクしています。

まだ50代前半のイ・ソンミン(1968年生まれ)が、特殊メイクとはいえ、80代の高齢者に見えてびっくりさせられます。ドラマ「未生~ミセン~」(2014年)、映画『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』(2018年)、『KCIA 南山の部長たち』(2020年)等々と共に名優ぶりが印象に残る作品です。
若い相棒インギュ役のナム・ジュヒョク、親日派キム・チドク役パク・クニョン、二人を追うカン刑事を演じたチョン・マンシクも好演です。

復讐に燃えるピルジュですが、最後の5人目の標的「清原」の正体を知った時、胸が震えました。戦争が人の心の奥深くに傷を残すこと、そして、それは誰にも言えないことなのだと。(咲)


2019年/韓国/128分/カラー/スコープサイズ/5.1ch
配給:ハーク 配給協力:FLICKK
公式サイト:https://fukushu.jp/
★2023年9月1日(金)シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国公開




posted by sakiko at 14:39| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月26日

私たちの声  原題:Tell It Like a Woman

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(C)2022 ILBE SpA. All Rights Reserved.


非営利映画製作会社【We Do It Together(WDIT)】の企画により、世界の映画業界で活躍する女性監督と女優が集結し製作された、7つのショートストーリー。

We Do It Together(WDIT)とは?
「女性に関する、女性による、みんなのために作られた(about women, by women, created for everyone)」メディア・コンテンツや映画の製作を通して、社会の中でジェンダーの平等を作るという目的を持つ、非営利の映画製作会社。2015年に、監督・プロデューサーであるキアラ・ティレシによって設立され、2016年に国連でスタートを切る。WDITが掲げる目標は、業界内で男女共に働き、メディアや映画で描かれる女性の在り方を変えていくこと。かつて男社会だった業界で難しい立場にある女性たちをサポートするためのプロジェクトを企画、発信している。


1.『ペプシとキム』  原題:Pepcy & Kim
監督:タラジ・P・ヘンソン
出演:ジェニファー・ハドソン
薬物使用で逮捕されたキムは、幼い娘に会いたい一心で、薬物中毒を克服するためのリハビリを受ける。リハビリに取り組むうちに、キムの壮絶な過去とその過程で生まれた”ペプシ”という、もう一人の人格が露わになっていく。
Time for Change Foundationを立ち上げたKim Carterさんの実話をもとにした物語。最後に、現在のキムさんが登場。


2、『無限の思いやり』  原題:Elbows Deep
監督:キャサリン・ハードウィック(『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』)
出演:マーシャ・ゲイ・ハーデン、カーラ・デルヴィーニュ
コロナ禍でロックダウンされたロサンゼルスで、休業に追い込まれたホテルの客室を路上生活者のシェルターにして感染拡大を防ぐ<プロジェクト・ルームキー>が発足。プロジェクトの担当医スーザンは、皆から疎まれている若い女性ホームレス、ヴァルの世話を頼まれる。食べ散らかしたごみを片付け、何枚も重ね着している衣服を脱がしていく。
最後に医師スーザン本人の姿が映し出される。


3.『帰郷』  原題:Lagonegro
監督:ルシア・プエンソ
出演:エヴァ・ロンゴリア
ロンドンで建築家として活躍するアナは、妹が亡くなりイタリアの美しい島に帰郷する。問題を抱えていた家族と疎遠だったアナは、帰郷して初めて妹に幼い娘レナがいることを知る。唯一の血縁であるアナがレナを引き取るべきだと言われる。自分は島を出て、子どもも作らなかったのにと理不尽な思いが募る・・・


4.『私の一週間』  英題:A Week In My Life
監督:呉 美保(『きみはいい子』)
出演:杏
シングルマザーのユキは、アヤとトワの2人を育てるために、毎日休みなく働く。
朝食を作り、洗濯をし、掃除機をかけ、アヤを小学校へ送り出した後にトワを保育園へ送り届け、経営するお弁当屋に。夕方、子どもたちを迎え、習い事に連れて行く。夕食が終わると、子どもたちをお風呂に入れ寝かしつけ、新しいお弁当のメニューを考え、日が変わった頃に眠りにつく・・・ 


5.『声なきサイン』  原題:Unspoken
監督:マリア・ソーレ・トニャッツィ『はじまりは5つ星ホテルから』
出演:マルゲリータ・ブイ
獣医として忙しい毎日を送るダイアナ。ある夜勤の日、娘と映画を見る約束を忘れて落ち込んでいたダイアナのもとに、若い夫婦が足を怪我した犬を連れてくる。応急処置を施すが、ダイアナは怯えるような目で何かを訴えようとしている妻の姿に気づく。夫から暴力を受けていることがわかり、ダイアナは妻を保護する。


6.『シェアライド』  原題:Sharing A Ride
監督:リーナ・ヤーダヴ
出演:ジャクリーン・フェルナンデス
インドのムンバイで形成外科医として成功を収めている女性ディヴィヤ。ある雨の夜、男を振り切って乗ったオートリキシャは珍しく女性の運転手。この先で予約の客を乗せると言われ、相乗りを了承する。派手な服を着たトランスジェンダーの女性を連れた男が乗ってくる。しばらくして、トランスジェンダーの女性に差別的な視線を向けタクシーを下りてしまう。翌日の昼間、その⼥性が通りの真ん中で婦人警官として交通整理をしている姿を見る・・・


7.『アリア』  原題:.ARIA
監督:ルチア・ブルゲローニ、シルヴィア・カロッビオ
黒くて小さな生物・アリアは狭く暗い部屋の中で毎日女性としての振る舞いを学んでいる。当たり前のように女性として行動するアリアだが、ある日、突然部屋の壁に穴が空き、そこから差し込む暖かな光によって、アリアは自我に目覚めていく・・・


薬物依存、ホームレス、子どもを作らなかった女性、シングルマザー、DVに苦しむ女性、トランスジェンダー、自我に目覚める女性と、テーマは世界の女性たちが抱えている普遍的な問題ばかり。
一番印象に残ったのは、インドのムンバイを舞台にした『シェアライド』。 女医のディヴィヤは男をモノともせず堂々とし、オートリキシャの女性運転手も「SNSでいいね!が何万もついてるのよ」とカッコいい。男性として生を受けたトランスジェンダーも、夜は男の相手をし、昼間は警官。なんという生き様でしょう! (咲)



主題歌「Applause」は、第95回アカデミー賞歌曲賞にノミネート。
アメリカ音楽界のヒットメーカーで、2001年にソングライターの殿堂入りを果たしたダイアン・ウォーレンが作詞・作曲を務め、歌手/女優としてマルチに活躍するソフィア・カーソンが歌唱を担当している。


2022 年/イタリア、インド、アメリカ、日本/英語、イタリア語、日本語、ヒンディー語/112 分/カラー
配給:ショーゲート
公式サイト:http://watashitachinokoe.jp/
★2023年9月1日(金)、新宿ピカデリーほか 全国ロードショー


posted by sakiko at 20:42| Comment(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月20日

君は行く先を知らない  原題:Jadde Khaki  英題:HIT THE ROAD 

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(C)JP Film Production, 2021

監督・脚本:パナー・パナヒ   
製作:パナー・パナヒ、ジャファル・パナヒ
出演:モハマド・ハッサン・マージュニ、パンテア・パナヒハ、ヤラン・サルラク、アミン・シミアル

イランの巨匠ジャファル・パナヒの息子パナーの長編デビュー作。
(2021年 東京フィルメックスで『砂利道』のタイトルで上映)

車で旅に出る4人家族と1匹の犬。後部座席で、大はしゃぎする幼い弟。その隣で父親は足を怪我してギブスをして、渋い顔をしている。押し黙って車を運転する兄。助手席で母親は場を明るくしようと、革命前の歌謡曲にあわせて身体を揺らしている。
ウルミエ湖が見えてくる。「昔は泳げたのに、今は砂浴びしかできない」と父。
携帯を持ってくるなと言い聞かせていたのに、弟が隠し持っていたのを母親が岩陰に隠す。
自転車レースの一団が来る。自転車選手に声をかけたら転んでしまって、車に乗せる。
どこか張り詰めたような車の中の雰囲気が少し和らぐ。
自転車選手を下ろし、いよいよ目的地に近づく・・・

「家も車もあの子を送り出すために失った」という言葉などから、両親が長男を密出国させようとしていることがわかります。約束の場所にいくと、羊を選ぶように言われます。白は目立つからダメというので、それを被って山越えするのでしょう。必要なのは羊の皮だけなのに、羊一頭分の値段というのが世知辛いです。ウルミエ湖のそばを通ったので、山越えしてイラクに行くのか、トルコに行くのか・・・
途中で乗せた自転車選手に、母親が胡瓜をどうぞと差し出します。(イランでは胡瓜は果物屋にも売っていてオヤツ感覚)  その彼が複雑な話になった時に、「ペルシア語で説明するのは難しい。トルコ語じゃないと」と語っています。ウルミエ湖のあたりは、トルコ系のアゼリーや、クルドの人たちの多いところ。
葡萄が名産で、紀元前の昔からワインが作られていたところですが、イスラーム政権になってからワイン醸造は禁止されました。加えて、ダム開発などでウルミエ湖が干上がってきていて、農業にも支障をきたしています。

さて、両親は幼い弟に、兄がいなくなることをどう話すか案じていて、「花嫁と駆け落ちしたって言おう」と話しています。
なぜ兄が密出国するのかの理由は、映画を観る私たちにも実は明かされていません。フィルメックスでの上映後にリモートで行われた監督とのQ&Aで、そのワケも明かされました。

東京フィルメックス 『砂利道』(イラン) パナー・パナヒ監督Q&A(咲)

もう別れが近くなった時、父親が国を出る息子に言い聞かせます。「ゴキブリを殺してもトイレに流すのはやめろ。ゴキブリだって、両親が希望を託して外の世界に送りだしたのだから」 こんな風に、自分の思いを語るなんて!

それにしても、幼い弟がうるさいくらいにはしゃぎ過ぎ。こういうキャラクターの子を探してると言ったら、テレビドラマに出ているあの子がいいと教えてくれたのがラヤン・サルアクだそうです。6歳半で、本読みはできないので、母親がセリフを読んで、それを全部覚えて現場に来たとのこと。映画の最後、この幼い弟が歌う場面に、あっと驚かされます。
随所に流れるピアノ曲(バッハ)が切ないです。 全体に音楽が素敵だと思ったら、やはりペイマーン・ヤズダニアンが音楽を担当していました。(咲)


☆トークイベント
8月26日(土)14:50の回上映後

新宿武蔵野館
登壇者
杉森 健一さん(イランの良さを伝える人/PERSIAN TAG 代表)
村山 木乃実さん(宗教学、ペルシア文学研究者)


2021年/イラン/ペルシャ語/1.85:1/5.1ch/カラー/93分   
日本語字幕:大西公子、字幕監修:ショーレ・ゴルパリアン
後援:イラン・イスラム共和国大使館イラン文化センター
提供・配給:フラッグ
宣伝:FINOR
公式サイト:https://www.flag-pictures.co.jp/hittheroad-movie/
★2023年8月25日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開




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イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K、ドキュメンタリー映画『イ・チャンドン アイロニーの芸術』

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©MOVIE DA PRODUCTIONS & PINEHOUSE FILM CO., LTD., 2022


韓国の巨匠イ・チャンドン初の特集上映
「イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K」


配給:JAIHO
公式サイト:https://leechangdong4k.com/
★2023年8月25日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

長編デビュー作『グリーンフィッシュ』から『バーニング 劇場版』までの6作品は4K上映となり、レストア作業はイ・チャンドン監督自らが指揮を執っています。

【上映作品】
『イ・チャンドン アイロニーの芸術』
『バーニング 劇場版 4K』
『ポエトリー アグネスの詩 4K レストア』
『シークレット・サンシャイン 4K レストア』
『オアシス4K レストア』
『ペパーミント・キャンディー4K レストア』
『グリーンフィッシュ 4K レストア』



『イ・チャンドン アイロニーの芸術』   原題:Lee Chang-dong: The art of irony
監督:アラン・マザール 『THE STRANGE CASE OF ATOM EGOYAN』(2010年・未)
出演:イ・チャンドン、ムン・ソングン、ソル・ギョング、ソン・ガンホ、チョン・ドヨン、ムン・ソリ、ユ・アイン
2022年/フランス・韓国/韓国語/カラー./ビスタ/5.1ch/99分

イ・チャンドン作品に魅了されたフランスのドキュメンタリー監督アラン・マザールの脚本を元に、被写体であるイ・チャンドン自らがこれまでに制作した映画と人生を語る。

教鞭を執る傍ら、小説家として活動し幾つかの著書も出版したイ・チャンドン。43歳の時に、『グリーンフィッシュ』で監督デビュー。続く『ペパーミント・キャンディー』では現在から過去へ時間を遡る方法で、1人の男の人生をエモーショナルに描き、韓国のみならず海外でも上映され、世界中でその名を知られるようになる。『オアシス』では、男女の究極の愛を描き、ヴェネチア国際映画祭で監督賞、主演のムン・ソリは新人女優賞に輝いた。2002年、韓国文化観光部の長官に就任する。その後、『シークレット・サンシャイン』を発表。過酷な運命に翻弄される主人公を演じたチョン・ドヨンは、カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞する。その後、『ポエトリー アグネスの詩』がカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞、『バーニング 劇場版』が同映画祭で国際批評家連盟賞他、多数の賞を受賞。
本作では、監督作全6作品を現在から過去へと辿り、ゆかりの地に自ら足を運ぶ“聖地巡礼”で振り返る。

『ペパーミント・キャンディー』のごとく、現在から過去に遡って、イ・チャンドンが映像作家となった原点を探る旅。イ・チャンドン自身が、映画ごとに作った時の思いや背景を語り、俳優たちが撮影当時のことを振り返ります。『バーニング 劇場版』のユ・アイン、『シークレット・サンシャイン』のソン・ガンホとチョン・ドヨン、『オアシス』のムン・ソリとソル・ギョング、続いて『ペパーミント・キャンディー』でもソル・ギョング。そして、初監督作品『グリーンフィッシュ』。それぞれの映画に、そんな意味があったのかと、あらためて映画を見直したくなりました。
新作が出来るたびに、ソウル劇場で初お披露目して映画人が集い祝う習わしだったのに、そのソウル劇場もシネコンに押されてなくなる運命と寂しそうに語るイ・チャンドン。
さらに映画監督となる前に遡って、独裁時代に自分の思いを小説に綴ったこと、小学校の頃から物語を書いて、友達に読んでもらっていたことが語られます。通っていた小学校で映画『あの空にも悲しみが』の撮影が行われ、お願いして出演させてもらったのが、映画との初めての出会い。何かに導かれるように、イ・チャンドンはなるべくして映画監督になったのだと思いました。
韓国の人たちの人生には、日本の植民地支配、朝鮮戦争、軍事独裁政治、光州事件等々、さまざまな苦難を経験したことが背景に横たわっていることも、あらためて認識させられました。
思えば、イ・チャンドン監督に初めてお会いしたのは、『ペパーミント・キャンディー』が赤坂の国際交流基金フォーラムでのアジア・フィルム・フェスティバルで上映された時のことでした。私の座っているすぐ脇を通って入場されたのですが、とても素敵で、「ご自分で主演をされた方がよかったのでは」などと、ソル・ギョングに失礼なことを思ったのでした。ソル・ギョングも、あの映画で初めて観たので、名優との認識がなかった次第です。(咲)


posted by sakiko at 18:05| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

卒業 Tell the World I Love You

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監督:脚本:ポット・アーノン
撮影:ティワ・モエイサイソン
音楽:ジャイアント・ウェーブ
出演:スラデット・ピニワット(ケン)、タナポン・スクムパンタナーサーン(ボン)、シラホップ・マニティクン(タイ)、クナティップ・ピンプラダブ(ニック)

高校生のケンは母親と生き別れ、身寄りがなく同級生のタイの家に居候中。タイの兄は食堂を切り盛りして弟を養っている。成績優秀なケンは、奨学金で中国留学し、母親を探すつもりだ。たまたま数人に囲まれて袋叩きにあっている青年を助けた。薬の密売組織から足を洗いたいボンが制裁を受けていたところで、逃げるのに手を貸したケンも一緒に追われる羽目になってしまった。タイの家にも追手がやってきて、店をめちゃめちゃにしていった。タイに迷惑をかけたことを詫び、ケンはボンの元へいく。ボンとケンは、ボンの祖母の家に隠れ住むことにした。留学資格試験のために登校したケンは見張っていた密売組織に捕まり、大けがを負ってしまう。

タイの青春ものには欠かせない綺麗な男の子たちがたくさん登場します。ケンは顔も頭も良くて、モテモテ。しかし好いた好かれたの甘いBLものではなく、密売組織や貧困、学校でのいじめなど社会問題も盛りこまれています。高校生にこんなに問題が降りかかっていいのか、と思ってしまうのは、ぬるま湯の日本に慣れてしまっているせいかも。
ケンに頼ってほしいタイですが、自分も兄に養われている身。ケンがボンと親しくなって行くのを歯がみしつつ見守っています。ケンを目の敵にするニックもハンサムで、タイは美男美女率が高いのでしょうか??この長さに、都会や郊外の村の生活のようすに加えて、銃撃戦やカーチェイスまで入っています。3人それぞれの思いがどう帰結するのか、スクリーンでご覧ください。(白)


男の子たちも綺麗がいっぱいですが、監督がこだわったのが、バンコクの街の美しさ。チャオプラヤー川や、大きな仏像がさりげなく背景に映し出されています。追っ手が、ケンたちの潜むボンの祖母の家にもやってくるのですが、お祖母ちゃんは追っ手4人を家の中に招き入れた上に、お茶まで出すのです。狭いところに密着して隠れているケンとボン、ひそひそ話すのでハラハラ。 監督が2016年にメガホンをとったコメディ映画『Joking Jazz 4G(原題)』はその年のタイ国内興行収入1位の大ヒット。コメディ映画を期待していた観客へのサービス場面!? (咲)

2022年/タイ/カラー/シネスコ/107分
配給:ギャガ
(C)2021 FLIM GURU CO. LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
https://gaga.ne.jp/telltheworldiloveyou/
★2023年8月25日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 10:05| Comment(0) | タイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

春に散る

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監督:瀬々敬久
原作:沢木耕太郎
脚本:瀬々敬久 星航
撮影:加藤航平
音楽:田中拓人
主題歌:AI「Life Goes On」
出演:佐藤浩市(広岡仁一)、横浜流星(黒木翔吾)、橋本環奈(広岡佳菜子)、山口智子(真田令子))、窪田正孝(中西利男)、片岡鶴太郎(佐瀬健三)、哀川翔(藤原次郎)、坂東龍汰(大塚俊)、松浦雄一郎(山下裕二)、尚玄(郡司)、奥野瑛太(原田)、坂井真紀(黒木和美)、小澤征悦(翼会長)

元ボクサーの広岡仁一は、40年ぶりに故郷に戻った。不公平な判定負けをして引退を決め、アメリカで事業を興して成功したものの、心の中はくすぶったままだった。所属したジムに挨拶し、かつての仲間に会いに行く。家族もない佐瀬健三と藤原次郎に同居しないかと声をかける。
黒木翔吾は広岡と同じように判定負けし、ボクシングをやめて荒れた生活を送っていた。酔客に絡まれた広岡の鮮やかな技に、自分も挑んでみるが一発で気を失ってしまった。
翔吾は広岡の居場所を探し出し、「今しかない!指導してほしい!」と懇願する。広岡が根負けして粗削りの翔吾を鍛え直すうちに、夢など諦めていた周りの人々にも熱意が伝染していく。

原作は沢木耕太郎氏。朝日新聞に2015年4月1日から2016年8月31日まで連載されていました。毎日読んだはずがすっかり忘れてしまっていて、新鮮な気持ちで映画を拝見しました。
夢破れた元ボクサー、広岡が主役なのですが、どうしても今ボクサーとしてリングに上がる若者たちに目が引きつけられます。流星さんは実際にプロテストに挑戦して合格したそうですし、細マッチョな窪田正孝さんと同じく、シックスパットくっきりの筋肉も美しいです。どれほどトレーニングしたのでしょう。その成果が表れた試合がもうすごくリアルです。顔を打たれるところは「顔はやめて~」と言いたくなるし、音もバスバス入っているし(効果音足している?)痛そうで見ていられません。格闘技ファンはきっと血が沸き立つんでしょうね。
若い頃、広岡と同じ夢を見た仲間の健三と次郎の、尾羽うち枯らした姿。今が盛りと上り詰めてゆく若い人たち。明らかに順位があり、トップに立てるのはただ一人の勝負の世界に挑むことの難しさ、厳しさ。全力を尽くして敗れた側も、納得のゆく判定ならば潔く引くことができます。結果に納得のいかなかった2人が出会ったことで、それぞれの花道ができました。
youtubeのギャガ公式チャンネルで、元チャンピオンに指導を受けている動画が公開されています。こちら。ボクシング指導でおなじみ松浦雄一郎さん(出演も)と坂東龍汰さんも後ろで見守っています。(白)


2023年/日本/カラー/シネスコ/133分
配給:ギャガ
(C)2023映画「春に散る」製作委員会
https://gaga.ne.jp/harunichiru/
★2023年8月25日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 10:04| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シーナ&ロケッツ 鮎川誠 ~ロックと家族の絆~

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監督:寺井到
ナレーション:松重豊
出演:鮎川誠 、シーナ、鮎川陽子、鮎川純子、鮎川知慧子、唯子、浅井健一、石橋凌

優しいことは、こんなにもカッコいい。
バンドも家族との時間も、底抜けに優しい人柄も―
その生き様こそがロックンロール。

日本のロックシーンに大きな足跡を残したバンド、”シーナ&ロケッツ”。そのギタリストとして最期までステージにこだわった鮎川誠は、最高のロックギタリストであると同時に、妻と3人の娘たちと過ごす時間を何より大切にする優しい家庭人でもあった。
「生活とロックはイコールという世界に、シーナが引き込んでくれた」と話す鮎川だったが、15年に妻でありバンドのヴォーカルのシーナが死去。バンドはそこで止まるかとメンバーさえもが思ったが、鮎川は続行を決断。それまで以上に精力的にライブ活動を行い、やがて末娘がヴォーカルで正式加入すると、さらに活性化。22年に結成45周年を迎え、鮎川はまだまだ走り続けると誰もが思っていたが…。

2023年1月29日、”シーナ&ロケッツ”の鮎川誠さんがすい臓がんのため亡くなられました。長身にサングラス、愛用の黒いギター(レスポール)を抱えた姿がそりゃもうカッコよくて、熱いファンでもなかった私でさえ、はっきり記憶しています。若くして出会い、共にロックの道を進んできた愛妻・ヴォーカルのシーナさんは2015年にやはりがんで先立たれています。授かった3人の娘は、それぞれ両親を応援してきましたが、シーナさん亡きあと、末娘の知慧子さんがヴォーカルとして参加しました。
このドキュメンタリーには、鮎川さんが米軍勤務の父と福岡の母の間に生まれたときから、現在までの映像をまとめたものです。3月のTBSドキュメンタリー映画祭で上映されたものを元に、さらに未公開の映像を加えて再編集しています。
監督はもとより、鮎川さん♡ラブ♡な方々のコメントに、一度でいいから下北のライブに行きたかったなと思います。せめて映像で楽しみましょう。優しくてカッコいい鮎川さん、”シーナ&ロケッツ”がそこで元気にロックしています。(白)


40年くらい前、日比谷野外音楽堂でのライブで「シーナ&ロケッツ」を見たことがある。鮎川誠さんは大柄でサングラスをしていて強面だし、ギンギンのロックギター演奏から、なんだか怖い感じの人かもと思っていたけど、話だしたら優しい声だったのでびっくりした。
この映画で鮎川さんとシーナさん、娘さんたちの家族の日常姿を見て、ロック家族の生活も、私たちと同じだなと妙なところで感心した。
そして「シーナ&ロケッツ」と共に福岡の音楽シーンを支えてきた人たちのことも知ることができた。特に「ジューク・レコード」の松本康さんの存在が大きかったのだなと思った。寺井監督も「鮎川さんと家族との絆が大きなテーマだけど、福岡の街の音楽史としても見てもらえるように作った。福岡の音楽シーンにとってジューク・レコードという場があることが重要だった」と語っている。
この映画を観て、福岡にはいろいろな音楽シーンやライブハウスがあると知った。それに音楽フェスもけっこうあるみたい。私の大好きな糸島で行われるサンセットライブというのがあるらしい。これに行ってみたいと思った(暁)。

2023年/日本/カラー/98分
配給:KADOKAWA
(C)RKB
https://rokkets-movie.com/
★2023年8月11日(金・祝)、福岡先行ロードショー
8月25日(金)全国ロードショー

posted by shiraishi at 10:00| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月13日

ウルリケ・オッティンガー ベルリン三部作 『アル中女の肖像』『フリーク・オルランド』『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』

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ドイツの女性映画作家ウルリケ・オッティンガー。1942年6月6日、ドイツ南部、ボーデン湖畔の都市コンスタンツ生まれ。1962年から1969年初めまで、パリでアーティストとして活動。西ドイツに帰国し、1971年から1973年にかけて最初の映画『Laokoon und Söhne(ラオコーンと息子たち)』を監督。1973年、ベルリンに移る。1977年にZDFと共同制作した『Madame X - Eine absolute Herrscherin』が大きな反響を得る。続いて、「ベルリン三部作」と呼ばれる『アル中女の肖像』(1979)、『フリーク・オルランド』(1981)、『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』(1984)を発表。これらのフィクション作品は、荒廃した工業地帯など阻害された都市の風景の中で撮影された。
その後、オッティンガーの関心はアジアに向かう。モンゴルでは『Johanna d’Arc of Mongolia』(1989)、遊牧民の移動に同行した『Taiga』(1991-92)、日本では多和田葉子が制作に参加・出演した『Unter Schnee(雪に埋もれて)』(2011)など様々な国・地域で撮影を行っている。
フェミニズム映画やクィア映画の文脈で論じられるなど、従来の様々な規範を揺るがす先進性が再評価されているウルリケ・オッティンガー。これまで日本では紹介される機会が少なかったが、この度、「ベルリン三部作」が、製作から40年余りの時を超えて公開される。

配給:プンクテ
公式サイト:https://punkte00.com/ottinger-berlin/
★2023年8月19日(土)、渋谷ユーロスペースにて陶酔と攪乱のロードショー!


アル中女の肖像   原題:Bildnis einer Trinkerin  英題:Ticket of No Return
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Bildnis einer Trinkerin, Photo: Ulrike Ottinger (C) Ulrike Ottinger

監督・脚本・撮影・美術・ナレーション:ウルリケ・オッティンガー
音楽:ペーア・ラーベン
衣装:タベア・ブルーメンシャイン
歌:ニナ・ハーゲン
出演:タベア・ブルーメンシャイン、ルッツェ、マグダレーナ・モンテツマ、ニナ・ハーゲン、クルト・ラープ、フォルカー・シュペングラー、エディ・コンスタンティーヌ、ヴォルフ・フォステル、マーティン・キッペンバーガー
1979年/西ドイツ/カラー/108分

真っ赤なコートと帽子に白いハイヒールの美女。ある冬の日、町を去ることを決め、ベルリン・テーゲル行きの片道チケットを購入する。過去を忘れようと、酒を飲みながら、ベルリンの街を観光する計画を立てる。ベルリンに降り立った彼女は、タクシーでホテルに向かう。途中、タクシーが接触してしまったホームレスとおぼしき女性を彼女は誘い、衣装も用意して一緒にお酒を飲みに繰り出す・・・

「彼女」を演じているのは、西ベルリンのアート、ファッションシーンのアイコン的存在だったタベア・ブルーメンシャイン。奇抜なファッションは彼女自身が選んだもの。言葉はほとんど発しないのに、その日その日の衣装の色が気持ちを表しているよう。
対照的なのが、同じフライトで到着した女性3人組。「社会問題」「正確な統計」「良識」という名の彼女たちは、同じような地味なチェック柄の服装で、会話の端々から、国際会議に参加した学者とわかります。「彼女」とホームレスの女性が飲んだくれている隣の席で、アルコール依存症について語るなど、随所に現れます。もう一人、「彼女」とよくすれ違い親しげに語りかける「小人」の男。なんとも不思議な存在。
まさに飲みながら街を歩くという物語で、壁のあった時代の西ベルリンの街が隅々まで見られて興味津々。壁の近くの廃れた場所にトルコ語の看板が出てきて、人手不足を補うために受け入れたトルコ人たちが、街の端っこで暮らしていたらしいことに思いが至りました。
それにしても、タベア・ブルーメンシャインのぶっ飛びぶりがとにかく凄くて、強烈に印象に残る一作。 (咲)




フリーク・オルランド  原題:Freak Orlando
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Freak Orlando, Photo: Ulrike Ottinger (C) Ulrike Ottinger

監督・脚本・撮影・美術:ウルリケ・オッティンガー
音楽:ヴェルヘルム・D.ジーベル
衣装:ヨルゲ・ヤラ
出演:マグダレーナ・モンテツマ、デルフィーヌ・セリッグ、ジャッキー・レイナル、エディ・コンスタンティーヌ、フランカ・マニャーニ
1981年/西ドイツ/カラー/127分

ヴァージニア・ウルフの小説『オーランドー』を奇抜に翻案し、神話の時代から現代までが5つのエピソードで描かれる「小さな世界劇場」。ユニークな映像感覚の中に、ドイツロマン主義の伝統とブレヒトやアルトーなどの近現代演劇の文脈が息づく。



タブロイド紙が映したドリアン・グレイ  原題:Dorian Gray im Spiegel der Boulevardpresse
☆国内劇場初公開
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Dorian Gray im Spiegel der Boulevardpresse, Photo: Ulrike Ottinger (C) Ulrike Ottinger

監督・脚本・撮影・美術:ウルリケ・オッティンガー
音楽:ペーア・ラーベン、パトリシア・ユンガー
出演:ヴェルーシュカ・フォン・レーンドルフ、デルフィーヌ・セリッグ、タベア・ブルーメンシャイン、トーヨー・タナカ、イルム・ヘルマン、マグダレーナ・モンテツマ、バーバラ・ヴァレンティン
1984年/西ドイツ/カラー/151分

伝説的なスーパーモデル、ヴェルーシュカ主演。デルフィーヌ・セリッグ、タベア・ブルーメンシャインらが特異な存在感を持って脇を固める。国際的な巨大メディアグループのボスであるマブゼ博士の陰謀に巻き込まれたドリアン・グレイの物語を、独自の世界観で描く。

posted by sakiko at 16:14| Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シン・ちむどんどん

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©『シン・ちむどんどん』製作委員会


監督・出演:ダースレイダー(ラッパー)、プチ鹿島(時事芸人)
プロデューサー:大島 新(『なぜ君は総理大臣になれないのか』監督)
登場人物:ダースレイダー プチ鹿島 玉城デニー 佐喜真淳 下地幹郎 畠山理仁 ほか

『劇場版 センキョナンデス』第2弾

ロンドンで育ち海外メディアの情報に精通するラッパーのダースレイダー(東大 中退!)と、新聞 14 紙を毎日読み比べしている時事芸人のプチ鹿島(ニュース時事能力検定 1 級!)。この異色のコンビが毎週配信する YouTube番組『ヒルカラ ナンデス(仮)』のスピンオフとして立ち上げたのが選挙取材企画。前作『劇場版 センキョナンデス』では、参院選取材中に安倍元首相の銃撃事件が起こり、民主主義とは何かと問う旅を描くことに。
それから、半年、二人は復帰50年の節目となった昨年9月の沖縄県知事選に忖度なしの取材に赴く。3人の候補に、政策に加えて、当時放送中の朝ドラ「ちむどんどん」について質問することで、候補者の人物像を浮き彫りにしていく。
選挙戦の争点となった「辺野古新基地建設」の現場にも乗り込み、座り込み抗議がおよそ3000日続く米軍基地ゲート前で、ダースレイダーは即興のラップを披露。音楽と共に戦い続ける沖縄の人々との熱いコラボが実現した。そんな知事選取材の翌月に起こったのが、ひろゆき氏による「座り込み抗議」への冷笑ツイート騒動。「座り込みゼロの日もあるのに、3011日とは?」に大量の「いいね!」が付いたことを見過ごせないと考えた二人は、再び辺野古へ向かった…。

選挙戦でも、歌い踊る沖縄の人たち。ただ楽しいだけじゃない、苦しい思いを歌や踊りに託していると語る人。
辺野古埋め立てについての県民投票を、5市長が反対し、賛成・反対に加え、「どちらでもない」を入れることで了解を得て実施。反対 71.7%、賛成 19%、どちらでもない 8.7%の結果が出た翌日、「粛々と工事を進めます」と記者会見で語る菅官房長官。
「沖縄は日本であって、日本でない。復帰しても基地はなくならない」と嘆く沖縄の人。沖縄がまた「捨て石」にされることを、沖縄の人たちは確信しているのだと涙が出ます。
一方で、本作は沖縄を例にとって日本全体の話をしていることにも注目。日本で民主主義は機能しているのかと考えさせられました。(咲)


2023年/日本/ドキュメンタリー/98分
製作:『シン・ちむどんどん』製作委員会
配給:ネツゲン
公式サイト:http://shin-chimudondon.com
★2023年8月11日(金)~那覇・桜坂劇場にて先行公開&全世界同時配信
8月19日(土)~東京・ポレポレ東中野/シネマ・チュプキ・タバタにてロードショー




posted by sakiko at 16:08| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

高野豆腐店の春

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監督:脚本:三原光尋
撮影:鈴木周一郎
音楽:谷口尚久
出演:藤竜也(父・高野辰雄)、麻生久美子(娘・高野春)、中村久美(中野ふみえ)、徳井優(金森繁)、菅原大吉、山田雅人、日向丈、小林且弥、桂やまと

広島県尾道。職人気質の父・高野辰雄と、出戻ってきた一人娘・春は毎朝暗いうちから昔ながらの豆腐作りを続けている。辰雄は、病院で心臓の具合が良くないと告げられ、残していく春のことが急に気になってきた。自分が春の再婚相手を見つけよう、と親友たちに相談。2枚目のイタリアンのシェフとのお見合いの算段をするが、春にはすでに交際している男性がいると打ち明けられた。目論見が外れたうえ、相手が納品先のスーパーの店員・道夫と知って春に文句をぶつけてしまう。

いくつになっても、娘は娘なんだなぁと父と娘の愛情を感じた作品です。一本気な父は、娘のためにいい人を見つけたのに、自分の知らない間に娘が知り合いと交際していて腹を立ててしまいます。自分の先行きが不安なのも手伝っての口論だったのですが、売り言葉に買い言葉。不器用で言葉が足りない父親を藤竜也さんが演じて、はまり役。そこはかとなくにじみ出てしまう藤さんの色気は、病院で知り合ったふみえさんにも通じているようで、お二人お似合いです。
春の選んだ相手は、見た目ぱっとしなくとも(すみません)、父のように真面目な働き者です。春の頑固さも思えば父と似たところがあるのです。周りで応援したり冷やかしたりの仲間も、こんな友達がいたら老後も楽しいと思わせます。悪人もいなければ、事件もおきないまったりした家族の映画。それでもこの人たちが気になります。「こうやどうふ」でなく、高野(たかの)さんちの父と娘のこの先は、春らんまんとなりますか、いなや?(白)


2023年/日本/カラー/120分
配給:東京テアトル
(C)2023「高野豆腐店の春」製作委員会
https://takanotofuten-movie.jp/
★2023年8月18日(金)ロードショー


posted by shiraishi at 14:21| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ソウルに帰る(原題:Return to Seoul)

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監督・脚本:ダビ・シュー
撮影:トーマス・ファベル
出演:パク・ジミン(フレディ)、グカ・ハン(テナ)、オ・グァンロク(フレディの父)、キム・ソニョン(フレディの叔母)

韓国で生まれ、赤ん坊のときに養子縁組でフランスの両親に育てられたフレディは、来る予定のなかった韓国に初めてやってきた。泊まったゲストハウスで働くテナはフランス語が堪能で、言葉のわからないフレディを親身にサポートする。韓国の記憶が何もなく、言葉にも文化にもなじめないフレディだったが、テナの協力で、実の両親を探し始める。

フレディを育ててくれた養親は穏やかな人のようですが、彼女は反骨精神たっぷりで、人と違うことをするのが楽しそうです。怒りも納めることはしないで、爆発させます。そばにいると「ちょっと勘弁して」となりそうだけれど、正直なだけなんでしょう。
初めは生みの親を探す気はなかったのに、父に会い、会わないという母の返事を長いこと待ち続けます。過激なのに、繊細な部分も持ち合わせているフレディを演じたパク・ジミンは、俳優ではなく彫刻やインスタレーションを作るアーティストで、監督が出会って出演を願ったというのに驚きです。演技臭いところは一片もなく、てっきり女優さんだと思っていました。
朝鮮戦争の休止後、米軍兵士と韓国女性の間に生まれた子どもたちは、父が外国人だと韓国籍が取れませんでした。国も貧しく子どものための福祉政策もなかったことから、ハーフの子どもたちは養子縁組をしてアメリカへ渡ったそうです。それをきっかけに海外と養子縁組させる民間機関(アメリカ人のホルト氏が創設したホルト児童福祉会)などが中心となり、ヨーロッパの国も受け入れ先に加わりました。
血縁を重視する韓国内での養子縁組は少なく、戦後も長い間多くの子どもが海外へ送り出されました。詳しく調査確認しなかったために、受け入れ先で虐待に遭ったという負の側面も少なからず明らかになっているようです。そこまででなくとも、成長した子どもたちがフレディのように、自分のアイデンティティに悩むことはあるでしょう。生みの親は手放した罪悪感を一生背負い、わが子として長く育てた両親は、生みの親を探したいと言われたらやはり寂しいだろうと、複雑な思いに駆られます。(白)


『冬の小鳥』『はちみつ色のユン』『ブルー・バイユー』など、韓国での養子縁組を描いた映画は、ドキュメンタリーやドラマも含めていくつか日本で公開されてきた。朝鮮戦争(1950~53年)後の1960年代~70年代に、アメリカやフランス、ベルギーなど欧米諸国に養子として渡った子供たちは20万人ぐらいいるという。この映画は現代に近いから、その後も韓国から海外へと養子縁組で渡る子供は多いのだろうか。
主人公フレディは韓国の女性ぽくなく、フランス育ちというのもあり、まるでフランスの女性のような振る舞い。実は私は1996年、中国の北京語学学院に短期留学したことがあるのだけど、同室になった人はフランス育ちの中国人だった。彼女も中国人なのに、振る舞い、行動、着ている服などがフランス人ぽかった。
この作品を観て、やはり人は育った国の文化や周りの行動などの影響を受けるのだなと思った。それでも、フレディはパサパサした性格かもしれないと思いつつ、父親と会って自分の韓国人としてのアイデンティティが目覚めたかもと思った。フレディの韓国文化との出会いや戸惑い、父親に会えるまでの心の変化が描かれる(暁)。


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ダヴィ・シュー監督(2022年東京フィルメックスにて)撮影:宮崎暁美

第23回東京フィルメックス 審査員特別賞を受賞

2022年/フランス・ドイツ・ベルギー・カンボジア・カタール合作/119分/G
配給:イーニッド・フィルム
(C)AURORA FILMS/VANDERTASTIC/FRAKAS PRODUCRIONS/2022
https://enidfilms.jp/returntoseoul
★2023年8月11日(金)Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にてロードショー中、ほか全国順次公開

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2023年08月06日

キエフ裁判   原題:The Kiev Trial

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(C)Atoms & Void

監督:セルゲイ・ロズニツァ

戦禍の蛮行を裁く、戦勝国による軍事裁判 1946年1月、キエフ。ナチ関係者15名が人道に対する罪で裁判に かけられる。この「キエフ裁判」は、第二次世界大戦の独ソ戦で、 ナチ・ドイツとその協力者によるユダヤ人虐殺など戦争犯罪の首謀者を断罪した国際軍事裁判である。身代わりを申し出る母から無理やり幼子を奪いその場で射殺し、生きたまま子供たちの血を抜き焼き殺すという数々の残虐行為が明るみになる。被告人弁論ではありがちな自己弁明に終始する者、仲間に罪を擦りつける者、やらなければ自らも殺されたと同情を得ようとする者と、その姿にハンナ・アーレントの<凡庸な悪> が露わになる。アウシュヴィッツやバビ・ヤールの生存者による未公開の証言も含み、「ニュル ンベルク裁判」と「東京裁判」に並ぶ戦後最も重要な軍事裁判が現代に蘇る。

ロズニツァ監督は、『バビ・ヤール』(2021)のアーカイブ映像をリサーチしている時に、「キエフ裁判」の映像に出会い、モスクワ中央ドキュメンタリースタジオのカメラマンがキエフのスタッフと共に裁判中の法廷を全て撮影した3時間近い映像がロシアとウクライナの国立公文書館に保管されていることを知りました。1946年にニュース映像の中でごく一部が公開されただけの「キエフ裁判」。映像を精査し、裁判の全容を表し、最後には、判決に従ってカリーニン広場(現在:独立広場)で行われたナチ犯罪者の公開処刑の場面も加え、キエフ裁判の顛末を淡々と映し出しています。

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生々しい絞首刑を大勢の人々が取り囲み眺める姿に、背筋が寒くなりました。見物している人も、そして、映画を観ている私を含め、誰しもがいつか逆の立場になるかもしれないことを肝に銘じなければ! 人間とは、置かれた立場でおぞましいことにも手を染めてしまうものだと。(咲)

この「キエフ裁判」は、「東京裁判」と同じように戦勝国による裁判。第二次世界大戦の独ソ戦でユダヤ人虐殺など、ナチス・ドイツとその協力者による戦争犯罪の首謀者15人を断罪した国際軍事裁判。いくつもの残虐行為が明るみに出て、それにかかわったナチ協力者と証言者の記録映像が流される。そして傍聴する人々の姿も。最後の公開処刑のシーンはショックでした。正直、ここまで出す必要があるのかと思いました。それにしてもたくさんの人が見に来ていたのには驚きました(暁)。

第79回ベネチア国際映画祭正式出品

2022年/オランダ=ウクライナ製作/106分/モノクロ 1.33/5.1ch/ロシア語、ウクライナ語、ドイツ語
日本語字幕 守屋愛
配給:サニーフィルム
★2023年8月12日(土)よりシアター・イメージフォーラム、第七藝術劇場、京都シネマ 他全国順次公開
posted by sakiko at 19:55| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

破壊の自然史  原題:The Natural History of Destruction

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監督:セルゲイ・ロズニツァ

あらゆる人々を焼け焦がした大量破壊 第二次世界大戦末期、連合軍はイギリス空爆の報復として敵国ナチ・ ドイツへ「絨毯爆撃」を行った。連合軍の「戦略爆撃調査報告書」に よるとイギリス空軍だけで40万の爆撃機がドイツの131都市に100 万トンの爆弾を投下し、350 万軒の住居が破壊され、60 万人近くの 一般市民が犠牲となったとされる。技術革新と生産力の向上によって 増強された軍事力で罪のない一般市民を襲った人類史上最大規模の 大量破壊を描く。人間の想像を遥かに超えた圧倒的な破壊を前に想起 する⼼をへし折られた当時のドイツ⽂学者たちと、ナチ・ドイツの犯罪と敗戦国としての贖罪意 識によってこの空襲の罪と責任について戦後⻑い間公の場で議論することが出来なかった社会 について考察するドイツ⼈作家W.G.ゼーバルトの「空襲と⽂学」へのアンサー的作品。

セルゲイ・ロズニツァ コメント(『破壊の⾃然史』ディレクターズノートより抜粋)
戦争の映像や事実を知っていることと、なぜそのような事が起きたのかを理解することは 違います。そのことを理解するには時間がかかりますし、その出来事が起こった瞬間から ずいぶん時間が経ってから理解することもありますし、場合によってはまったく理解でき ないこともあります。 私たちはロシアによるウクライナへの侵略や残虐行為が続いている状況の中でこの映画を 観ることになります。しかし、私は、この映画を別の視点から捉えることができる時が来る と考えています。大量破壊兵器や地球規模の殺戮兵器の使用を可能にするこの文明をどう すれば良いのかという存在論的な問題に私たちはいつか直面するのです。他の人間を殺す ことが、政治的あるいは経済的目標を達成するための普遍的な手段であり続けているのは なぜなのか。私の映画は戦争の本質を描いていると信じています。

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冒頭映し出されるのどかな田園風景。木陰でくつろぐ老人たちや、編み物をする女性。そして、都会では、カフェの外の席でおしゃべりを楽しむ人たち、教会のクリオン時計を見上げる人たち・・・ ナチスの旗があふれる町で普通の生活が営まれています。一転、不気味な音をたてて爆撃機が到来。破壊し尽される町。瓦礫となった町で、バケツリレーする人たち。消火にどれほどの効果があるのか・・・ 荷車に家財道具を乗せ避難する人たち。なけなしの荷物を持って裸足で歩いていく人も。
無差別攻撃が一瞬にして日常生活を壊し、多くの人を殺し、生き残った人々は路頭に迷う・・・ 本作で描き出されるのは、イギリスとドイツの空襲を受けた町。「ドイツに最後のとどめを!」「反撃を!」と叫ぶそれぞれの将軍。戦争に勝った国も、負けた国も、犠牲になるのは何の罪もない庶民。戦争の虚しさがずっしり。(咲)


セルゲイ・ロズニツァ監督の“アーカイヴァル・ドキュメンタリー”は、日本では2020年に『国葬』(2019)、『粛清裁判』(2018)、『アウステ ルリッツ』(2016)の3作品が初めて劇場公開され、これまで日本では専門家以外にはほとんど知られてなかったこの地域で起こったことを広めた。今回はロシアによるウクライナへの侵略が続いている中、<戦争/正義>というテーマで『破壊の自然史』と『キエフ裁判』の2作品が公開される。
『破壊の自然史』では、第2次世界大戦でのドイツというとユダヤ人へ虐殺を描いた作品が多い中、第2次世界大戦末期の連合軍によるドイツへの絨毯爆撃を記録したアーカイブ映像を使い、連合軍、イギリス軍による空爆を描く。この一連の空爆ではイギリス空軍だけで40万の爆撃機が131都市に100万tもの爆弾を投下し、60万人近くの一般市民が犠牲となったという。
最初の穏やかな市民生活が夜の爆撃のシーンへと変わり、その映像が続く。そして昼間の爆撃と崩れたたくさんのビルの映像。飛行船で撮影したのか、空から爆撃後の街を撮った映像も続く。そして市民の人たちのバケツリレーによるがれき処理光景?も出てくる。亡くなった方たちを探す家族の光景も映され、最後はどこかに向かう避難民の姿。延々と続く人々。たくさんの人が焼け出された映像に、ドイツでも日本と同じように爆撃被害があったと知った(暁)。
 

第75回カンヌ国際映画祭特別上映作品

2022年/ドイツ=オランダ=リトアニア製作/英語/105分/1.33 カラー・モノクロ/5.1ch
日本語字幕:渋谷哲也
配給:サニーフィルム
★2023年8月12日(土)よりシアター・イメージフォーラム、第七藝術劇場、京都シネマ 他全国順次公開

公開初日ティーチイン情報
8月12日(土)13:00からの『破壊の自然史』上映後
「戦争観を逆撫するロズニツァ」池田嘉郎(東京大学人文社会系教授)

posted by sakiko at 19:53| Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「セルゲイ・ロズニツァ監督<戦争と正義>2選」『破壊の自然史』&『キエフ裁判』

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ウクライナ出⾝のセルゲイ・ロズニツァ監督が、2022年に発表した『破壊の⾃然史』と『キエフ裁判』の最新2作品が、<戦争と正義>2選として、同時公開されます。

セルゲイ・ロズニツァ監督はフィクションとドキュメンタリーの両⽅を⼿掛けることで知られており、これまでに4作のフィクションと27作のドキュメンタリーを完成させ世界中の映画祭で上映されてきました。
⽇本では2020年に『国葬』(2019)、『粛清裁判』(2018)、『アウステ ルリッツ』(2016)の3作品が「群集3選」と題した企画で初めて劇場公開され、未知なる監督の⽇本初登場として注⽬を集めました。
さらに2022年には現在のロシア=ウクライナ戦争を予⾒していたと⼤きな話題を呼んだ『ドンバス』(2018)がロシアによるウクライナ侵攻直後に緊急公開され、その後『バビ・ヤール』(2021)、『ミスター・ランズベルギス』(2021)、『新⽣ロシア 1991』(2015)と2022年に⽴て続けに4作品が劇場公開されました。
この度、2023年に公開される2作は、過去の記録映像を全編に使⽤して歴史を再構成する、 ロズニツァが得意とする“アーカイヴァル・ドキュメンタリー”です。いずれの作品も第⼆次世界⼤戦をテーマに、戦争の終結と戦争責任を問うために実⾏された⼆つの“正義”に着眼したものです。

ウクライナで育ち、ロシアで映画教育を受け、現在の戦争に対しても世界的視野を持つロズニツァ監督 が戦争における普遍的倫理を問います。


破壊の自然史  原題:The Natural History of Destruction

あらゆる人々を焼け焦がした大量破壊 第二次世界大戦末期、連合軍はイギリス空爆の報復として敵国ナチ・ ドイツへ「絨毯爆撃」を行った。連合軍の「戦略爆撃調査報告書」に よるとイギリス空軍だけで40万の爆撃機がドイツの131都市に100 万トンの爆弾を投下し、350 万軒の住居が破壊され、60 万人近くの 一般市民が犠牲となったとされる。技術革新と生産力の向上によって 増強された軍事力で罪のない一般市民を襲った人類史上最大規模の 大量破壊を描く。人間の想像を遥かに超えた圧倒的な破壊を前に想起 する⼼をへし折られた当時のドイツ⽂学者たちと、ナチ・ドイツの犯罪と敗戦国としての贖罪意 識によってこの空襲の罪と責任について戦後⻑い間公の場で議論することが出来なかった社会 について考察するドイツ⼈作家W.G.ゼーバルトの「空襲と⽂学」へのアンサー的作品。

さらに詳細と感想は、こちらで!

第75回カンヌ国際映画祭特別上映作品

2022年/ドイツ=オランダ=リトアニア製作/英語/105分/1.33 カラー・モノクロ/5.1ch
日本語字幕:渋谷哲也



キエフ裁判   原題:The Kiev Trial

戦禍の蛮行を裁く、戦勝国による軍事裁判 1946年1月、キエフ。ナチ関係者15名が人道に対する罪で裁判に かけられる。この「キエフ裁判」は、第二次世界大戦の独ソ戦で、 ナチ・ドイツとその協力者によるユダヤ人虐殺など戦争犯罪の首謀 者を断罪した国際軍事裁判である。身代わりを申し出る母から無理 やり幼子を奪いその場で射殺し、生きたまま子供たちの血を抜き焼 き殺すという数々の残虐行為が明るみになる。被告人弁論ではあり がちな自己弁明に終始する者、仲間に罪を擦りつける者、やらなけ れば自らも殺されたと同情を得ようとする者と、その姿にハンナ・アーレントの<凡庸な悪> が露わになる。アウシュヴィッツやバビ・ヤールの生存者による未公開の証言も含み、「ニュル ンベルク裁判」と「東京裁判」に並ぶ戦後最も重要な軍事裁判が現代に蘇る。

さらに詳細と感想は、こちらで!

第79回ベネチア国際映画祭正式出品

2022年/オランダ=ウクライナ製作/106分/モノクロ 1.33/5.1ch/ロシア語、ウクライナ語、ドイツ語
日本語字幕 守屋愛



配給:サニーフィルム
★2023年8月12日(土)よりシアター・イメージフォーラム、第七藝術劇場、京都シネマ 他全国順次公開

posted by sakiko at 15:24| Comment(0) | ウクライナ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アウシュヴィッツの生還者  原題:The Survivor

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(C)2022 HEAVYWEIGHT HOLDINGS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

監督:バリー・レヴィンソン(『レインマン』 『グッドモーニング,ベトナム』)
出演:ベン・フォスター(『インフェルノ』)、ヴィッキー・クリープス、ビリー・マグヌッセン、ピーター・サースガード、ダル・ズーゾフスキー、ジョン・レグイザモ、ダニー・デヴィート

1949年、ナチスの収容所から生還したハリー・ハフトは、アメリカに渡り「ポーランドが誇る、アウシュヴィッツの生還者」を宣伝文句にボクサーとして活躍していた。それは、生き別れになった恋人レアに自分の生存を知らせることが目的だった。記者の取材に、「自分が生き延びることができたのは、ナチスが余興のために催した賭けボクシングで、ユダヤ人同士で闘い勝ち続けたからだ」と告白し、「裏切り者」と呼ばれながらも注目をあびる。強豪選手との対戦もレアに気が付いて貰えることを期待して引き受けるが敗退。レアも見つからず、引退を決め、レア探しに尽力してくれた移民サービスに勤めるミリアムと結婚する。それから14年、二人の子供にも恵まれるが、ミリアムにすら打ち明けられない秘密に心をかき乱されていた。そんな中、レアが生きているという報せが届く・・・

アウシュヴィッツからの生還者の息子が、父ハリー・ハフトの半生を書き上げた小説の映画化。
2022年7月22日に日本公開された『アウシュビッツのチャンピオン』は、ボクシングチャンピオンだったために強制収容所に収監されたタデウシュ・ピトロシュコスキを、司令官たちの娯楽としてリングに立たせて闘わせた実話に基づく映画でした。負けた相手には死が待っていました。本作の主人公ハリーも、自分が生きるために同胞を何人も死に追いやったことがいつまでもトラウマになっていたのです。戦争という非常時だったにしても、一生、心の中の傷として残ること、そして、それは誰にも言えないこと。戦争体験者で地獄を見た人ほど口を閉ざしているのは、日本でもほかの国でも同様だと思います。
そして、本作では戦争で愛する人と別れることになってしまったことも大きなテーマになっています。ハリーは恋人レアをナチスに連れ去られ、生き別れ。ニューヨークの政府機関「移民サービス」で、行方不明の家族や友人を再会させる仕事をしているミリアムもまた、戦争で婚約者を亡くしています。戦争さえなければ・・・という思いを、どれほど多くの人が噛みしめていることでしょう・・・ (咲)



2021/カナダ・ハンガリー・アメリカ/英語・ドイツ語・イディッシュ語/129分/ カラー/スコープ/5.1ch/
字幕翻訳:大西公子
提供:木下グループ 
配給:キノフィルムズ
公式サイト:https://sv-movie.jp/
★2023年8月11日(金・祝)新宿武蔵野館ほか公開.



posted by sakiko at 13:32| Comment(0) | カナダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

もしかしたら私たちは別れたかもしれない  原題:어쩌면 우린 헤어졌는지 모른다 英題:Someone You Loved

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(C)2023 kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved

監督・脚本:ヒョン・スル
出演:イ・ドンフィ(『エクストリーム・ジョブ』)、チョン・ウンチェ(『へウォンの恋愛日記』)、カン・ギル(『ベイビー・ブローカー』)、チョン・ダウン(『The Witch/魔女』)、コ・ギュピル(『君の結婚式』)

不動産会社に勤めるアヨン(チョン・ウンチェ)。彼女が新婚夫婦に部屋を案内したマンションの入口で、美大の恩師に声をかけられる。「今は絵を描いてない」というアヨンに「個展を開く時には声をかけてよ」という恩師。アヨンは、美大の同級生で親友から恋人になったジュノ(イ・ドンフィ)が公務員浪人生で、絵を諦め、就職して生計を担っているのだ。それなのに、ジュノは試験勉強もろくにせず、バイトや遊びに明け暮れている。ある日、忘れ物をして家に帰ったアヨンは、図書館に行っているはずのジュノが友達と家で遊んでいて、もう我慢の限度と「もう、終わりに」と言い捨てる。その後、外出したジュノが帰宅すると廊下に自分の荷物が積んである。荷物を持って友人の店に行き、働かせてもらうジュノ。店に来た若い女性と親しくなるジュノ。一方、アヨンも仕事を通じて、新たな出会いがある。そして、1年後・・・

紆余曲折があって、またよりを戻す物語かと思ったら、そうではありませんでした。
倦怠期を迎えた二人が別れ、愛する人が知らない人になる過程を描いた話でした。かつて恋人との別れを経験した人すべてに、それぞれの思いがよぎると思います。いつまでも相手が忘れられなくて、うじうじする人もいれば、さっさと見切りをつけて、あらたな人生を歩む人もいるでしょう。
さて、アヨンとジュノの一年後、どうなったかは、ぜひ劇場でご覧ください。(咲)


2023年/韓国/ 103分/カラー/シネマスコープ/ 5.1ch
日本語字幕:石井絹香
配給:クロックワークス
公式サイト:https://klockworx-asia.com/syl/
★2023年8月11日(金) シネマート新宿ほか 順次公開


posted by sakiko at 13:21| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

バービー(原題:Barbie)

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監督:グレタ・ガーウィグ
脚本:グレタ・ガーウィグ ノア・バームバック
プロデューサー:デイビッド・ヘイマンほか
撮影:ロドリゴ・プリエト
音楽:
視覚効果:グレン・プラット
出演:マーゴット・ロビー(バービー)、ライアン・ゴズリング(ケン)、アメリカ・フェレーラ(グロリア)、アリアナ・グリーンプラット(サーシャ)、ケイト・マッキノン(変てこバービー)、シム・リウ(ケン)、スコット・エバンス(ケン)、マイケル・セラ(アラン)、イッサ・レイ(大統領バービー)、アレクサンドラ・シップ(売れっ子作家バービー)、キングズリー・ベン=アディル(ノーベル物理学賞受賞バービー)、ウィル・フェレル(マテル社CEO)

全てが完璧な夢の世界「バービーランド」。そこではみんながバービー、みんながケン。ピンク×ピンクの世界では毎日がハッピー、誰もが望む自分になれる。大統領、ノーベル賞学者、売れっ子作家などなど。毎日パーティとドライブ、楽しく遊べる何の心配もない世界だったのに、ある日バービーの身体に異変が起きる。ハイヒールにぴったりの爪先立ちの足がペタンコになっていた。なぜ?
原因をさぐるために”変てこバービー”に相談に行ったバービーは、人間世界に行くことになった。ピンクの愛車の後ろには、自分の存在意義に悩めるケンが乗っていた。2人は初めての人間世界で、何を発見できるのか??

ファッションドールの”バービー”が実写映画になりました。どんな展開になるの?全く想像もつきませんでしたが、なんとまあ!バービーならこの人しかいないよね、な、満面の笑顔のマーゴット・ロビーが夢の世界にいました。
監督は『レディ・バード』、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のグレタ・ガーウィグです。ただの可愛い楽しい映画ではありません。現実世界で騒動を巻き起こすバービーとケンですが、そのたびに様々な問題をあぶりだしてくれます。きちんと表現できる俳優がキャスティングされたのも道理。
バービーの発売開始は1959年、世の移り変わりと一緒にバービーも変わってきました。映画の中には今はないレアなキャラも登場します。歌やダンス、ファッション・・・かつてバービーと遊んだ女の子も、現代の女の子も楽しめる要素がたくさん詰まっていました。(白)


2023年/アメリカ/カラー/114分
配給:ワーナー・ブラザース
© 2023 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.
https://wwws.warnerbros.co.jp/barbie/
★2023年8月11日(金・祝)ロードショー
posted by shiraishi at 06:25| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

リボルバー・リリー

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監督:行定勲
原作:長浦京「リボルバー・リリー」(講談社文庫刊)
脚本:小林達夫、行定勲
撮影:今村圭佑
音楽:半野喜弘
衣裳デザイン監修:黒澤和子
出演:綾瀬はるか(小曾根百合)、長谷川博己(岩見良明)、羽村仁成(Go!Go!kids/ジャニーズJr.)、シシド・カフカ、古川琴音、清水尋也、ジェシー(SixTONES)、阿部サダヲ、野村萬斎、豊川悦司

1924(大正13)年。使用人たちを殺され、一人生き残った少年 細見慎太は、謎の男たちに囲まれる。救ったのは、東京の花街に住む小曾根百合。何者かが慎太を執拗に追ってくるのは何故なのか。“リボルバー・リリー”の異名を持つ百合は、彼を守って巨大な陰謀に巻き込まれていく。

少年がなぜ追われるのか、物語が進むにつれて少しずつ明らかになって行きます。大震災の後だというのに、美しいドレスをまとい、老舗の洋服店で豪華な洋服を誂える百合。綾瀬はるかさんはずっと長かった髪をばっさり切って、この陰影のある元女スパイを演じました。動きやすいとは思えない華麗な衣装そのまま、激しいアクションをこなしています。剣を握った映画『ICHI』、テレビの長編ドラマ「精霊の守り人」シリーズでも、しなやかな動きを見せていましたが、今回はS&W、リボルバーを操ります。丁寧に作られた美しいドレスや髪型。ほかの女優陣のファッションも眼福です。たくさんの俳優が共演する中、上役に難題を命令される悪役の津山大尉を演じたジェシー(SixTONES)さん、悪役に徹して悲壮でした。日本帝国海軍と陸軍の対立が激化、百合の過去も事件のたびに語られます。
次第に増えてくる追手に対して、味方は岩見弁護士や、百合の経営するカフェーの従業員たち。みな八面六臂の活躍ぶり。(白)



2022年/日本/カラー/シネスコ/110分
配給:東映
(C)2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
https://revolver-lily.com/
★2023年8月11日(金・祝)ロードショー
posted by shiraishi at 06:18| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月04日

シャーク・ド・フランス(英題:YEAR OF THE SHARK)

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監督・脚本:ルドヴィック&ゾラン・ブケルマ
撮影:ダヴィ・カイエ
美術:ジェレミー・デュシエ
音楽::アモリ―・シャポティ
特殊効果:パスカル・モリーナ
出演:マリナ・フォイス(マジャ)、カド・メラッド(ティエリー)、ジャン=パスカル・ザディ(ブレーズ)、クリスティーヌ・ゴーティエ(ユージニー)

フランス南西部のリゾート地ラ・ポワント。観光客でにぎわう海辺で、男性の遺体が発見された。海上警察官のマジャと検視官は、激しい損傷を受けた痕跡から、大きなサメに襲われたのではと推測した。しかしこのビーチでサメの姿など見たことがなく、漁師や観光業者たちは、信じようとしない。命にかかわることから、再調査のためにビーチは閉鎖されることになった。
マジャは数日後にはリタイアし、夫とゆったりした日々を過ごす予定だったが、この事件が解決してからと上司に延期を願い出る。

サメの映画(=シャーク・ムービー)といえば『ジョーズ』(75/スティーヴン・スピルバーグ監督)!当時サメが迫ってくる効果音(音楽)?に来たー!!と震えた観客が多かったはず。この大ヒット作にオマージュを捧げたルドヴィック&ゾラン・ブケルマ監督は、双子の兄弟。フランス映画界初のシャーク・ムービーを送り出しました。
オリジナルでは主に3人の男性がサメと死闘を繰り広げますが、こちらは3人の海上警察官。退職間近のマジャと若い男女の警察官で専門家ではありません。戦う前からなんだか心配になり、ハラハラ感倍増です。いくらCGが発達しようと、オリジナルの怖さには届きませんが、今風におばちゃんを揶揄し、責任転嫁する有象無象の輩とか、人の心のほうが怖いかも。酷暑の夏は定番・サメの映画で涼しくお過ごしください。(白)


2022年/フランス/カラー/ビスタ/87分
配給:アンプラグド
(C)BAXTER FILMS - LES FILMS VELVET - FRANCE 3 CINÉMA - 2022
★2023年8月11日(金・祝)新宿シネマカリテほか全国順次公開

posted by shiraishi at 11:19| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男(原題:QT8: The First Eight)

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監督・脚本:タラ・ウッド
撮影:ジェイク・ゾートマン
音楽:タイラー・ウェンツェル
出演:ゾーイ・ベル、ブルース・ダーン、ジェイミー・フォックス、サミュエル・L・ジャクソン、ジェニファー・ジェイソン・リー、ダイアン・クルーガー、ルーシー・リュー、マイケル・マドセン、イーライ・ロス、ティム・ロス、カート・ラッセル、クリストフ・ヴァルツ

1992年、カンヌ映画祭で監督デビュー作『レザボア・ドッグス』が上映され、一挙にクエンティン・タランティーノの名が広まった。これまで彼の作品に出演した俳優たちが、逸話と秘話をタブーなしで語る。スタッフやプロデューサーも参戦。「あのとき、こんなことが」、「実は」とさらされる内容に、もう一度作品を観たくなること必至。

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これまでの監督作、9本がこちら。この際ぜひ観直して。

『レザボア・ドッグス』1992/
『パルプ・フィクション』1994/
『ジャッキー・ブラウン』1997/
『キル・ビル Vol.1』2003/
『キル・ビル Vol.2』2004/
『イングロリアス・バスターズ』2009/
『ジャンゴ 繋がれざる者』2012/
ヘイトフル・エイト』2015/
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』2019/

10本監督したら引退すると公言しているタランティーノ監督。本当ですか?
十分稼いだのだろうけど、新作を期待しているファンのためにまだまだ作り続けてほしいものです。
(白)


恐らく、『キル・ビル Vol.1』を観て、あまりに飛んでて、奇才タランティーノに苦手意識を持ってしまって、その後の作品を観ていない私。(もちろん、その前の作品も)
本作を観て、女性は敬うべきと強い女性を描き、黒人は平等と人種差別にも関心を寄せるタランティーンのスタンスを知りました。そして、ほんとに映画が好きなのですね。脚本はパソコンを使わず、黄色いノートにペンで書くというこだわり。その脚本をまちわびている常連の俳優たち。家族のような和気あいあいの撮影現場。タランティーノのことを色々知って、過去作もちゃんと観てみたくなりました。特に、トラヴォルタ復活作となった『パルプ・フィクション』は絶対観たい!
タランティーノの人生哲学、「自分に問う、全力でやっているか、人生を捧げているか・・ そのためにここにいる」という言葉も心に沁みました。(咲)




2019年/アメリカ/カラー/シネスコ/101分
配給:ショウゲート
(C)2019 Wood Entertainment
https://qt-movie.jp/
★2023年8月11日(金・祝)ロードショー
posted by shiraishi at 11:02| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月03日

夢みる校長先生

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プロデューサー・監督・撮影:オオタヴィン
エンディングテーマ:RCサクセション「すべてはALRIGHT」
ナレーション:小泉今日子
出演:國分一哉、西郷孝彦、住田昌治、原口真一、宮崎倉太郎、福田弘彦、尾木直樹、前川喜平ほか

『いただきます』のオオタヴィン監督の新作ドキュメンタリー映画です。昨年2月公開の『夢みる小学校』のスピンオフ作品。公立小学校の校長先生6人が登場して、それぞれが夢見た教育を校長としてどう実現してきたかを語ります。共通するのは、前例重視でも横並びでもない、誰もしなかったことを実践してきたこと。自分だけがむしゃらに突き進んだのではなく、何より子どもを主役に、親御さんの理解を得ながら少しずつ進めたことです。
校長先生というと学校のヒエラルキーのトップです。権威も権限もあります。けれどもこの校長先生たちは校長室をなくしたり、生徒に開放したり、とにかく生徒に近づきます。上からものを言ったりしません。周りにはいつも生徒たちがとりまいて抱き着いたり、どこかにつかまったりしています。それほど好かれているんですね。父親でもこんなにスキンシップはなさそうな気がします。自分を振り返っても、担任の先生や顧問の先生はともかく、校長先生と親しく話した記憶はほとんどありません。
公立の小学校での校長先生の裁量権は大きく、通知表や校則、宿題もなしにすることもできるんです。前作でそれを知って驚きました。今作ではそのユニークな校長先生たちにぐっとせまっています。ポロっと出た本音に笑ってしまいました。こんな先生たちが増えてくれますように。(白)


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2022年/日本/カラー/82分
配給:きろくびと、まほろばスタジオ
©まほろばスタジオ
https://dreaming-teacher.jp/
★2023年8月4日(金)シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

公開記念スペシャルアフタートークイベント開催決定!
 *いずれもオオタヴィン監督との対談

<シネスイッチ銀座>
 8. 5(土) 夢みる校長先生(本作出演)大集合
 8. 6(日) 尾木直樹さん(教育評論家/本作出演)
 8.12(土) 小泉今日子さん(俳優/本作ナレーション)、前川喜平さん(元文部科学事務次官/本作出演)

<アップリンク吉祥寺>
 8. 6(日) 今村久美さん(カタリバ代表)
 8.11(金祝) 二川佳祐さん(公立学校教師)、庄子寛之さん(ベネッセ教育研究所)
 8.12(土) 宮崎倉太郎(元境南小学校校長/本作出演)
 8.13(日) 辻信一さん(文化人類学者)

アップリンク吉祥寺ではオオタヴィン監督過去作品の特集上映&アフタートークも開催!
『いただきます1 みそをつくるこどもたち』
 8.13(日)★アフタートークあり、8.14(月)
『いただきます2 ここは、発酵の楽園』
 8.11(金祝)★アフタートークあり、8.15(火)
『夢みる小学校』
 8.12(土)、8.16(水)、8.17(木)
posted by shiraishi at 13:47| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする