2023年02月19日

劇場版 ナオト、いまもひとりっきり

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監督:中村真夕
撮影:中村真夕 辻智彦
出演:松村直登、松村代祐、半谷信一、半谷トシ子

原発事故による全町避難で無人地帯となった福島県富岡町にいまも一人で暮らすナオトは、 高度経済成⻑の裏側でカネに翻弄され続ける人生を送ってきた。原発事故後、人の人生を金で解決しようとする不条理、命を簡単に“処分”しようとする理不尽に納得できず、残った動物たちを世話しはじめた。生きること、生かし続けること。その日々の闘いが、ナオトの生きる道となっていた。
あれから 8 年。新たな命が生まれ消えていく中で、ナオトは変わらず動物たちに餌をやる日々を過ごしている。「将来の糧のため」ニワトリを飼い、蜜蜂を育て始めた。富岡は帰還できる町となったが、若い人たちは戻らない。コロナ禍で開催されたオリンピックでは「復興五輪」の PR として、誰もいない福島の風景の中を聖火リレーが走り過ぎた。

ナオトひとりっきり Alone in Fukushima』(2015)の続編。中村監督は富岡町に通い、ナオトの日々を撮影し続けてきました。ナオトの家族はシロとサビ(ネコ)、モモとサクラ(ダチョウ)、10頭のウシ、ポニーのヤマ、イヌのイシとアキと子犬。2020年3月、帰還困難区域にある夜ノ森駅が再建されて、道も開通しましたた。けれどもコロナ禍でオリンピックは延期、多くの住人が戻らない中、建物ばかりが空しいです。元気な姿が映像に残っているお父さんも、ある日亡くなられました。
ひとり土地に残って、見捨てられた動物たちの世話を10年も続けたナオトさんは「100年たてば元の村に戻るかもしれねぇな」と苦笑いします。今生きている私たちには、確かめることもできません。
原発は古いものから閉じる方向でいたはずではなかったでしょうか?再稼働の動きがあるのはなぜ?
汚染された土は膨大な費用をかけて集められ、パックされて累々と並べられています。汚染水は海上放出され、これが海の生き物にどんな影響をあたえるのか誰も説明しません。忘れてしまうのを待たれているような気がします。
ナオトさんの10年を見つめることは自分を振り返ることでもありました。(白)


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中村真夕監督 2/6 シアターイメージフォーラム

2013年夏から取材を開始した中村監督は「政府の避難要請を無視して、原発から至近距離の場所でひとり暮らすナオトさんの存在は国内メディアではタブー視され、テレビに取材企画を上げても上がOKを出さなかった。だから私は映画として彼を撮影することで世に出そうと思った」と話し、10年弱に及ぶ現地取材を通して感じた富岡町の景色を「住人がナオトさん以外いなくなると、どんどん自然(緑)が溢れてきて、まるである種のユートピアにも思えた」と語った。(トークイベント報告より)

2023年/日本/カラー/106分
製作・配給:Omphalos Pictures, Siglo
配給・宣伝協力:ALFAZBET
http://aloneinfukushima.jp/
★2023年2月25日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 18:42| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ただいま、つなかん

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監督:風間研一
音楽:岡本優子
語り:渡辺謙
出演:菅野和享、菅野一代夫妻

宮城県気仙沼市、唐桑(からくわ)半島の鮪立(しびたち)。美しい入江を見下ろす高台に民宿「唐桑御殿 つなかん」はあります。
100年続く牡蠣の養殖業を営む菅野和享さんと一代さん夫妻は、東日本大震災当時、津波により浸水した自宅を補修し、学生ボランティアの拠点として開放、半年間で延べ500人を受け入れてきました。若者たちに「つなかん」と呼ばれたその場所が、夫妻の「皆がいつでも帰ってこられるように」との思いから、2013年の秋に民宿に生まれ変わります。
女将となった一代さんは、自慢の牡蠣やワカメを振る舞い、土地の魅力を自ら発信。そんな「つなかん」に引き寄せられるかのように、次々とこの地に移り住む元ボランティアの若者たち。彼らは海を豊かにする森を育てたり、漁師のための早朝食堂を営んだり、移住者のサポート体制を整えたりと、地域に根ざしたまちづくりに取り組み始めます。

あの3月11日で被災した後、「つなかん」は菅野さん夫婦によって運営され、二人を慕う人たちによって支えられてきました。10年以上にわたりテレビ報道の現場から関わってきた風間研一ディレクターが、本作を初監督。震災からたちあがった「つなかん」とそこに「ただいま!」と帰ってくるひとたちを映像に残しました。
初めて訪ねても「お帰り!」と迎えてくれそうな一代さんの笑顔に魅了されます。それが、不幸な事故で養殖業をたたみ、家に閉じこもってしまうことになったとは。明るく元気だった一代さんにかける言葉もみつかりません。周りはみんな同じだったでしょう。
でも、日にち薬がきいたのか一代さんはまた立ち上がってくれました。安堵すると同時に胸のうちを考えると、人生は理不尽だと思ってしまいます。流した涙と同じほど、いいことにも巡り合ってほしいです。
民宿「唐桑御殿 つなかん」はこちら。いつか泊りがけで行きたいところです。(白)


「つなかん」、音ではツナ缶と一緒ですが、鮪立(しびたち)の鮪と、菅野(かんの)さんの「かん」で「つなかん」なのですね。
養殖業を営んでいた菅野さん夫妻は、東日本大震災で船以外のすべてを失いました。浸水した自宅は、壊すつもりだったのをやめ、補修して、学生ボランティアの宿泊場所として開放。学生たちに養殖の技術を教えながら、手助けしてもらって養殖業を立て直しました。
物静かで渋い男の菅野和享さんと対照的に、奥さまの一代さんは、いつも明るく元気で笑顔が素敵です。風間研一ディレクターが震災以来、ずっと一家を追っていた中で、思いもかけない不幸が襲いました。カメラになんとか笑顔を見せる一代さんの胸中を思うといたたまれませんでした。
もう40年以上前に、唐桑ユースホステルに行ったことがあります。唐桑半島は、ぐっと入り込んでいて、気仙沼駅から船で行ったのを思い出して、検索してみたら、「気仙沼ー唐桑間で定期運行されていた唐桑汽船が2007年3月31日をもって40年の歴史に幕を閉じた」とありました。唐桑汽船は昭和42年に小鯖、鮪立、宿浦 各港の個人経営の業者が合併して設立されたもの。車が普及して、定期船を利用する人が少なくなって廃止になってしまったようです。
唐桑ユースホステルはこじんまりしていて、ユースホステル仲間の間でアットホームなところと人気でした。唐桑には一度しか行ったことがないのですが、その時に一緒に行ったのが、角館近くのまつばユースホステルの常連仲間でした。まつばにも一代さんのような元気なおばさんがいて、慕って通う人が多かったのです。もう一つの故郷という感じで「ただいま」と帰れるところがあるのは幸せなことだとしみじみ思います。(咲)


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震災から5年後に全国から集まった元ボランティアとの記念撮影 ©️2023 bunkakobo

唐桑半島鮪立を舞台に、民宿「つなかん」の名物女将一代さんと震災ボランティアたちの交流を追ったドキュメンタリー。これまでTVでもだいぶ紹介されてきたらしいけど、知らなかった。東日本大震災関係の映画や番組はけっこう見てきたつもりだったけど、この「つなかん」のことは、この映画で知りました。
この菅野さん夫妻とボランティアの人たちとの関係のような、地元の人の思いに触れて、地元に移り住んだ若者たちとの関係は他にもたくさんあると思いますが、お互い影響し合い、新しい地域の関係を作っていく姿がすがすがしく思いました。
一代さんを主人公にはしていますが、震災を通じて出会った人々の人生を変えるきっかけとなった物語が凝縮された映画。震災という災難が出会いのきっかけではあるけれど、出会いのすばらしさが描かれていました。
この中にも出てきた「海の栄養は山(森)が作る」ということを初めて知ったのは、龍村仁監督の『地球交響曲 ガイアシンフォニー 第八番』(2015)でした。この中でこのことを言っていたのが牡蠣養殖漁師の畠山重篤さん。海の環境を守るには海に注ぐ川、 さらに上流の森を守ることの大切さを説き、漁師仲間とNPO法人「森は海の恋人」を結成し植樹を続けています。今、ネットで調べてみたら、畠山さんも唐桑の人だった! 一代さんたちの山での森作りは畠山さんたちが続けてきた植樹の運動に協力しているのかも。畠山さんのことは、TVのドキュメンタリーや映画でも見ていたのですが、なんで一代さんのことは知らなかったんだろう。もっと前に知っていれば「つなかん」に行っていただろうな。この映画を観たら、私も「つなかん」に行ってみたくなりました。(暁)


2023年/日本/カラー/16:9/DCP/115分/ドキュメンタリー
配給:ウッキー・プロダクション
(C)2023 bunkakobo
https://tuna-kan.com/
https://twitter.com/tuna_kan_movie
https://www.facebook.com/tuna.kan2023/
★2023年2月24日(金)より宮城・フォーラム仙台、2月25日(土)よりポレポレ東中野にて劇場公開!ほか全国順次公開

posted by shiraishi at 18:38| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

レッドシューズ

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監督:雑賀俊朗
脚本:保木本真也 上杉京子
撮影:出口朝彦
音楽:岡本真夜
出演:朝比奈彩(太田真名美)、市原隼人(谷川拓巳)、佐々木希(谷川由佳)、森崎ウィン(太田仁志)、松下由樹(太田葉子)、観月ありさ(介護施設上司)

夫を亡くして娘と二人、つつましく暮らす真名美。ある日家庭裁判所に呼び出され、生活が貧窮状態にあると指摘された。娘は義母が育てるべきとの行政の判断だった。女子ボクシングにうちこみ、働きながら娘を育てるのは楽ではないが、娘と離れることは考えられなかった。
しかし、職場で理不尽な目に遭っている同僚を庇ったことで首になってしまう。友人たちの助力で新たに老人介護施設に働き口を見つけるが、そこで起こしてしまった事故のため、娘は義母と暮らすことになった。真名美はボクシングの試合に勝ち続け、ファイトマネーを得て生活を立て直したいと決意する。チャンピオンを目指しての猛トレーニングが始まった。

女子ボクシングのチャンピオンを目指すシングルマザーを、映画初主演の朝比奈彩さん。 Oggi専属モデルさんでもあり、ボクシングとキックボクシングは4年前から習っていたそうです。元々陸上で好記録(100m12秒台)を出していたスポーツウーマン、はまり役です。厳しく指導するトレーナーに市原隼人さん、妻子を残して亡くなった夫に森崎ウィンさん。
『ケイコ、目を澄ませて』が2022年の話題をさらいました。岸井ゆきのさんが数々の賞を総なめにした熱演をみせました。また条件の違う女性ボクサーが、自分の目標に到達するまでストイックにトレーニングに励む様子は胸打つものがあります。
タイトルの「レッドシューズ」は、やはりボクサーだった真名美の亡き父が残した赤いリングシューズのこと。真名美も父と同じ赤い靴でリングに上がります。
困窮するひとり親家庭には行政の援助があるはずです(何事も申請しなければ受けられません)し、義母も孫を引き取る前にできることがあったのでは、と思ってしまいます。真名美の笑顔が見られるかどうか、見守ってください。(白)


2022年/日本/カラー/シネスコ/121分
配給:S・D・P
(C)映画レッドシューズ製作委員会
〇公式サイト:http://surf-entertainment.com/redshoes.html
〇公式Twitter:https://twitter.com/RedShoes_movie
〇公式Instagram:https://www.instagram.com/redshoes.movie_official/
〇公式 Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100067627389856
★2023年2月24日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
posted by shiraishi at 18:35| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アラビアンナイト 三千年の願い   原題:Three Thousand Years of Longing

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(C)2022 KENNEDY MILLER MITCHELL TTYOL PTY LTD.

監督・脚本:ジョージ・ミラー
共同脚本:オーガスタ・ゴア
原作:A・S・バイアット「The Djinn in the Nightingale's Eye」
製作:ダグ・ミッチェル、ジョージ・ミラー
出演:イドリス・エルバ、ティルダ・スウィントン

物語論(ナラトロジー)の専門家、アリシア・ビニー博士は、学会での講演のためトルコのイスタンブールを訪れる。 バザールで青と白の螺旋模様の入った「ナイチンゲールの目」というガラスの小瓶を買い、ホテルの部屋で瓶を洗っていると、蓋が外れて、中から巨大な黒い魔人〈ジン〉が現れる。「解放してくれたお礼に3つの願いを叶えてあげよう」と言われる。そうすれば呪いが解けて自分も自由の身になれるというのだ。 だが物語の専門家アリシアは、その誘いに疑念を抱く。 願い事の物語はどれも危険でハッピーエンドがないことを知っていた。 魔人は彼女の考えを変えさせようと、 紀元前からの3000年に及ぶ自身の物語を語り始める。
最初は、旧約聖書にあるソロモン王とシバの女王の物語。全身全霊で女王に尽くしていた魔人は、魔術師でもあったソロモン王によって真鍮の瓶に幽閉され紅海に捨てられ、2500年もの間、漂い続けた。
16世紀中頃、真鍮の瓶は漁師に引き揚げられ、オスマン帝国のスレイマン大帝の愛妾グルタンの手に渡る。瓶の中から現れた魔人に、大帝の長男ムスタファ皇子の心をつかみたいと願い、愛し合うようになる。だが、スレイマンのお気に入りの側室ヒュッレムは自分の息子を王位に就かせたいと陰謀を企て、結果、ムスタファは大帝に殺されてしまう。グルテンも大帝の命で殺されてしまい、魔人は再び小瓶の中に幽閉される。
100年後、1620年、故アフメト1世の皇子で11歳にして皇位を継いだムラト4世の時代。亡きアフメト1世の妃キョセムはムラトの弟イブラヒムを皇位継承者として守るため、檻に入れ豊満な巨女たちをあてがう。ムラト4世が酒浸りで亡くなり、皇位についたイブラヒムのお気に入りの巨女“砂糖姫”が、グルテンが隠していた小瓶を発見。魔人は、何か願いをと懇願するが、姫の怒りを買って瓶ごとボスポラス海峡に沈められてしまう。
そして次なる魔人の運命は・・・・

「アラジンと魔法のランプ」のような物語を想像していたのですが、かなり違いました。魔人が語る身の上話に出てくるオスマン帝国の妃ヒュッレムやキョセムは、トルコのドラマ「オスマン帝国外伝」で馴染み深い女性たち。皇位の後継ぎを巡る陰謀が渦巻いていた時代でした。シバの女王から始まる壮大な歴史絵巻かと思いきや、いつしか、魔人とアリシアの大人の恋物語に。それが、イスタンブールのベラパレスホテルのアガサ・クリスティーの部屋で繰り広げられるという次第。そこで話は終わりませんので、結末をどうぞお楽しみに! (咲)

2022年/オーストラリア・アメリカ/英語・トルコ語/カラー/スコープサイズ/5.1ch/108分/PG12
字幕翻訳:松浦美奈
配給:キノフィルムズ
公式サイト:https://www.3wishes.jp/
★2023年2月23日(木・祝) TOHOシネマズ 日比谷ほか 全国ロードショー



posted by sakiko at 03:02| Comment(0) | オーストラリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ペーパーシティ 東京大空襲の記憶   原題:Paper City

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(C)2021 Feather Films Pty Ltd, Filmfest Limited

監督:エイドリアン・フランシス
出演:清岡美知子、星野弘、築山実

東京を拠点にするオーストラリア人映画監督エイドリアン・フランシスが語り継ぐ東京大空襲

1945年3月10日午前0時過ぎ、アメリカ軍の爆撃機が東京を襲撃。木造の家屋が密集する下町を中心に東京の4分の1が焼失。日の出までに10万人以上の死者を出すという、史上最大の空襲だった。
エイドリアン・フランシス監督は、東京で暮らして数年経って初めて東京大空襲のことを知り、これほどの大惨事だったのに、痕跡がほとんどないことに驚く。広島の原爆ドームのような、東京大空襲を象徴するものは遺されていないし、公的な慰霊碑も建てられていないのだ。
生存者は生きているのだろうか。
東京大空襲を語り継ぎたくなかったのだろうか・・・
監督は、生き証人を探し出す。 
浅草寺近くで生まれ育った清岡美知子さん。言問橋の下で冷たい水の中、木の棒にしがみついて助かる。数日後、姉と父の傷一つない遺体を見つける。戦後、戦争を経験していない世代の人々に空襲の恐ろしさを伝えるため活動している。
押上で生まれ育った星野弘さん。空襲の翌朝、死体で埋まった水路を目にする。憲兵隊に遺体を水の中から引きあげる作業を命じられる。元兵士には日本政府のサポートがあるのに、民間人は忘れ去られていると嘆く。
江東区森下で暮らしていた築山実さん。近くに軍の標的になるものはなかったので安全だと思い込んでいた。空襲で3人の兄弟をはじめ多くの知人を失う。亡くなった人の名前を記した巻物を作り保管してきたが、この先受け継いでもらえるのか心配している・・・

映画の冒頭、米軍機が爆弾投下に向かう映像が映されました。「東京を焼いちゃおう」と、まるでゲーム感覚。火の海になり、深夜の東京の町を彷徨った人たちの姿は、語ってくださった方たちの言葉から想像するしかありません。

私の知人に昭和3年生まれで、東京大空襲を墨田区の本所吾妻橋付近で経験した方がいました。「3月10日の東京大空襲って言われるけど、僕の感覚では3月9日の深夜」と、あの町を隅田川に向かって逃げまどった日のことをよく話してくださいました。その方も、10年程前に他界。エイドリアン・フランシス監督が、かろうじてご存命の方たちにご体験を聞き、こうして1本の映画に残してくださったことに感謝です。

私は戦後生まれですが、それでも戦争中や戦前について、子供の頃から両親をはじめ多くの方から聞く機会がありました。今の若い人たちは、日本がアメリカと戦争をし、負けた故に今の日本社会の様々な仕組みがあることを認識していない方が多いのではないでしょうか。憲法しかり、教育制度しかり。
戦争で失ったものは多くの人命をはじめたくさんあります。本作のタイトルになっている「ペーパーシティ」。木と紙で出来た伝統的な日本家屋の美しい家並みの多くが、米軍の空襲で焼かれてしまったことも忘れてはなりません。空襲を免れた京都をはじめ、日本各地に点在する伝統的街並みが郷愁をそそる観光地にもなっていますが、かつての日本は、どこの町にも瓦屋根の美しい家並みがあったことに思いがいたります。戦後、焼け跡の町を復興するときに、なぜ美しい町並みを復元しなかったところが多いのでしょう・・・ 
そして、今、戦争の時代を経験していない人たちが政治の中心にいて、日本がまた戦争に加担しかねない状況に進んでいるのではと危惧します。空襲で家族を失うという無念な思いを抱えて生きてきた人たちの言葉に、政治を担う人たちこそ耳を傾けてほしいものです。(咲)


東京ドキュメンタリー映画祭2022 観客賞受賞

2021年/オーストラリア/80分
配給:フェザーフィルムス
公式サイト:https://papercityfilm.com/
★2023年2月25日よりシアター・イメージフォーラムにて公開




posted by sakiko at 00:27| Comment(0) | オーストラリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする