2023年01月21日

金の国 水の国

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監督:渡邉こと乃
原作:岩本ナオ「金の国 水の国」(小学館フラワーコミックスαスペシャル刊)
脚本:坪田 文
アニメーションプロデューサー:服部優太  
キャラクターデザイン:高橋瑞香
美術監督:清水友幸
音楽:Evan Call
アニメーション制作:マッドハウス
出演:賀来賢人(ナランバヤル)、浜辺美波(サーラ)、戸田恵子(レオポルディーネ)、神谷浩史(サラディーン)、沢城みゆき(ライララ)、木村昴(ジャウハラ)

隣り合った二つの国、<金の国アルハミド>と<水の国バイカリ>は、ささいなことでいがみ合い、戦争になったことから国交を断絶して100年にもなる。両国王の思惑から、金の国のずっと下位の王女サーラと水の国の貧しい建築士ナランバヤルは、政略結婚の当事者となってしまった。初めて会った二人はお互いに好感を持ちながら、両国の平和のため夫婦を演じようということになった。
商工業が発展し、足りないものは水だけという豊かな金の国。ナランバヤルはサーラの姉の第一王女レオポルディーネと左大臣サラディーンの招待を受けた。金の国の水不足を知ったナランバヤルは、自分の技術で何かできないかと考える。何事も争わず、おっとりした性格のサーラは、誠実なナランバヤルに惹かれていくが、ナランバヤルを敵とみなす者が暗躍する。

「このマンガがすごい!」で、2017年「金の国 水の国」、2018年「マロニエ王国の七人の騎士」と連続して1位(オンナ編)を獲得し、別作品で史上初めて二連覇を達成した唯一の作家・岩本ナオさんの大人気コミックが原作です。「金の国 水の国」を数巻だけ読みましたが、先がとても気になります。本作で結末まで観られてホッとしました。ナランバヤルとサーラの2人が優しくて控えめで”好感度大”です。声をあてた賀来賢人さん、浜辺美波さんも雰囲気があっています。アニメーション制作は『グッバイ、ドン・グリーズ!』『若おかみは小学生』のマッドハウス。
隣国は敵、悪いことばかり吹き込まれてきた両国民は、平和に共存できるでしょうか?と、昨今の情勢と似たところがあります。なんとなくモデルの国はどこだろうと想像してしまいます。現実世界でも物語のように、知恵の働く人が自分の得でなく平和のために尽力してくれるといいんですけどね。
岩本さんの別のコミックもどこかほんわかして、やさしくて心地よい作風です。(白)


原作本は知らなかったのですが、予告編を見て、トルコのモスク風の建物が気になって試写に行きました。「金の国」は中東をイメージして描いていて、トルコ風のモスクの正面がペルシア風だったりして、どこと特定できないのが逆にいいです。「水の国」は、モンゴルやチベットをイメージして描かれています。建物、服装、人の名前、使われている音楽など、それぞれのイメージです。 両国で交わした契約書が一瞬映っただけなので、定かではないのですが、アラビア文字とモンゴルやチベットの文字を組み合わせたような文字に見えました。面白い!
水だけが足りない金の国のために、水の国の豊富な水を国境を越えて供給するための水道橋をナランバヤルは提案します。 イスラエルが分離壁を作る時に、パレスチナ側で水が汲めないようにしていることを思い出してしまいました。 今の世界は、とかく壁を作って、隣国との分断を図る権力者が多くて悲しくなります。そういう権力者にこそ本作を観ていただいて、心を変えてほしいものです。(咲)


2023年/日本/カラー/シネスコ/117分
配給:ワーナー・ブラザース映画
©岩本ナオ/小学館  ©2023「金の国 水の国」製作委員会
https://wwws.warnerbros.co.jp/kinnokuni-mizunokuni-movie/
【映画公式サイト/映画公式Twitter】kinnokuni-mizunokuni-movie.jp 
【映画公式Twitter】@kinmizu_movie #金の国水の国 #最高純度のやさしさ
https://www.youtube.com/watch?v=96U9MSdxjOk
★2023年1月27日(金)全国ロードショー

posted by shiraishi at 17:06| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ピンク・クラウド(原題:A Nuvem Rosa 英題:The Pink Cloud)

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監督・脚本:イウリ・ジェルバーゼ
撮影:ブルーノ・ポリドーロ
出演:ヘナタ・ジ・レリス(ジョヴァナ)、エドゥアルド・メンドンサ(ヤーゴ)

一夜限りの出会いを楽しんでいたジョヴァナとヤーゴ、二人寛いでいると警報が響き渡った。屋内に入って施錠せよという。空はピンク色の雲で覆われ始めていた。ニュースによるとこの雲は世界中で突如発生し、強い毒性があり10秒で絶命するという。ジョヴァナは妹と親友、ヤーゴは老いた父親が気にかかるが、外出は禁止されて部屋から出ることができない。オンラインで無事を確かめ合い、いつか雲は消えるだろうと楽観視するが、期待は裏切られ続ける。二人は役割分担して日々暮らすことになった。そして二人の間に男の子が誕生し、リノと名付けられた。リノは窓からピンクの雲漂う無人の外を眺め、部屋の中だけで成長していく。

コロナのパンデミック以前に完成した作品ですが、まるで状況を予見してなぞるようなストーリーに、製作した側もとても驚いたようです。
すぐにインフラや食料はどうなるの?などと心配になりますが、映画ではネットが盛んでオンラインで注文したものが、窓に取り付けられた太いパイプを通って届けられます。ジョヴァナの出産もオンラインの指導のもと、ヤーゴが取りあげます。
もっと大騒ぎになるだろうとか、外に出られずに生活必需品はどう作られるのかとか、細かく突っ込むときりのない設定です。ではありますが、監督が描きたかったのは死と隣り合わせの非日常が日常となったとき、人間はその中で何を考え、何を求めていくのかということ。
現状を受け入れて前向きに生きようというヤーゴに、ジョヴァナは共感できません。二人の食い違いの中、日々リノは成長します。オンラインでつながっていた人たちにも変化があります。コロナを経験している身には絵空事とは思えず、今も慣れるばかりでなく、解決策はないのかと探したくなります。(白)


イウリ・ジェルバーゼは、これまでに6本の短編の脚本、監督を手がけてきて、本作が長編デビュー作。
突っ込みどころはいろいろありますが、「ロックダウンの状況を論理的に見せることを目指した脚本ではありません」と監督は語っています。 それでも、世界中がコロナ禍を経験した今、他人事ではなく、自分たちの問題として、この映画を捉えることができるでしょう。
閉じ込められた中で、ジョヴァナは最初望んでなかった子供をヤーゴとの間に設けますが、それでも普通の家庭生活をおくりたくないと抵抗します。
ほぼ見知らぬ男性と二人きりの世界に閉じ込められたとき、さて、どう行動する? 女性監督ならではの感情が感じられる場面が多々ありました。(咲) 



2020年/ブラジル/シネスコ/103分/ポルトガル語
字幕翻訳:橋本裕充
配給:サンリスフィルム
(C)2019 Luminary Productions, LLC.
https://senlisfilms.jp/pinkcloud/
https://twitter.com/thepinkcloud_jp
★2023年1月27日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 16:33| Comment(0) | ブラジル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする